35 / 106
町おこし編
第31話 弟子を指導しよう
しおりを挟む冒険者ギルドでの話し合いが終わり、爺さんから準備金としてお金も工面してもらえた。
家へと一旦帰る道中、サラは満面の笑みでスキップしている。
「師匠、この後はどうするんですか?」
クルリとサラが振り返って聞いてくる。
美少女の笑顔は破壊力が凄い。
町の男連中もサラに見惚れてやがる。
「えっと、家に戻ってから取り敢えずキリカさんの所へゴムを届けないとな。その後はゴム作りを進めないといけないしな。」
「私もゴム作りのお手伝いがしたいです!」
「うん。それよりもサラはどこに住むんだ?宿とか取っているのか?」
「え?取ってないですよ。住み込みでお世話をしない弟子なんていませんから!」
「え?」
「え?」
やっぱり一緒に住むのか・・・
部屋は・・・爺ちゃんの部屋でいいか。
あ、爺ちゃんの部屋はワイン樽を置いていたか。まぁ、しばらくは我慢してもらおう。
家に戻り工房でゴムの乾燥具合をチェックする。
加工しても大丈夫そうだ。
これでゴムシートの在庫は6足分ある。
爺さんとゴードンさんにそれぞれブーツとサンダルの見本を用意しないといけないので4足分は必要だしな。
まぁ、いいや。6足分すべてキリカさんに渡しておこう。実験用か予備に必要だろう。
「あ、そうだ。サラ、爺ちゃんの部屋を自由に使っていいから。案内するよ。」
「え!!ガルバン様のお部屋をですか!?」
「うん。しばらく使ってなかったから掃除してから使ってくれる?」
「はい!お任せください!!」
「あ、それから部屋にワイン樽が置いてあるけど、今度移動させるからしばらくは我慢してね。」
「ワイン樽ですか?師匠はそんなにワインがお好きなんですか?」
「いや、実験中なんだよ。」
「なんと!師匠は飲み物まで研究の対象にしているんですね!凄いです。」
部屋の掃除を任せている間に外出して用事を済ませようとしたが、掃除は別の時間にするので連れて行ってほしいと言ってきた。
この子は言い出したら聞かないからな。
仕方ないのでサラも連れて行く。
まずはキリカさんの所にゴムシートを届けた。
店番をしていたキリサさんがサラを見るなり話し掛け、2人はしばらく話し込んでいた。
スミスさん達からサラの事を聞いていたのだろう。
2人がガールズトークをしている間に仕事の話を済ませておこう。
スミスさんとキリカさんにゴムシートを渡して見本を2セット作ってもらう事と、余分は実験に使ってもらう事を伝える。
そうするとキリカさんから俺のブーツを靴底の滑り止め加工の参考にしたいと申し出があった。
俺のブーツと店で一番良いブーツを交換してほしいとの事だったので、有り難く交換してもらった。
あ、そう言えばリィナにサンダルをプレゼントするって言ってたんだっけ。
キリカさんと滑り止め加工の方法を打ち合わせしながら1つ仕上げてもらった。
それを女子向けの可愛いデザインのサンダルに接着してもらった。
買い取ると言ったのだが、踵の留め具の件もあるのでタダで良いと言われてしまった。
「いや、プレゼントなので支払いますよ。」
「あらぁ、サラちゃんに早速プレゼント?ガルドもやるわねぇ。」
「え?サラじゃなくてリィナにですよ?プレゼントするって約束しちゃったんで。」
「あらあら、まぁまぁ。荒れそうねぇ~。」
「え?何がですか?」
「ふふふ。いいのよ、気にしないで。」
不思議な笑みを浮かべたキリカさんに代金を支払ってから、まだ話し込んでいたサラを呼んで店を後にする。
帰り道に林檎を大量購入したのでサラにも荷物を運んでもらった。
予想外に時間を使ってしまったので、荷物を家に置いたらすぐにゴムの樹液の回収へ行かないと。
サラと2人で木桶を持って回収に行った。
樹液を採取するゴムの木を5本に増やしたので今までよりも多くの樹液が回収できた。
サラは樹液の匂いに顔をしかめていたが、多分そのうち慣れるだろう。
家に戻ると早速、ゴムを作る準備をする。
精製スキルで樹液の不純物を取り除く方法を実践してサラに教える。
魔玉作り以外に精製スキルを使った事が無かったサラはこれにも感動していた。
イメージが大切なので練習していけばサラもできるようになるだろう。
サラにも作業として林檎の果汁絞りをお願いした。
麻袋に林檎を詰めて、タライの上で踏み潰してもらう。
サラがスカートの裾を持って足踏みをするので白い太ももがチラリ、チラリとして目に毒だった。
サラが林檎潰しに夢中になっている間に鉄塊からゴムシートの型を追加で3個作る。
固有スキルは説明が面倒なのでサラにもまだ秘密にしておきたいのだ。
型に樹液を流し入れて果汁を加えてからかき混ぜる。ここは俺の指示に従ってサラに作業をやってもらった。
実際に作業ができたのでサラも満足した様子だった。
作業を終えると時間はすっかり夕食時だ。
折角なのでサラを連れて外食に行こう。
2人だけど歓迎会をしてあげよう。
0
お気に入りに追加
3,124
あなたにおすすめの小説
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?


異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています

このやってられない世界で
みなせ
ファンタジー
筋肉馬鹿にビンタをくらって、前世を思い出した。
悪役令嬢・キーラになったらしいけど、
そのフラグは初っ端に折れてしまった。
主人公のヒロインをそっちのけの、
よく分からなくなった乙女ゲームの世界で、
王子様に捕まってしまったキーラは
楽しく生き残ることができるのか。


巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる