魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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町おこし編

第29話 美少女現る

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朝だ。昨日は夜更かしをしたのでまだまだ寝足りない。なぜ起きてしまったかと言うと、さっきから鳴り止まないノックの音の所為だ。

コンコン コン コン コンコン コン

ずっとノックするとか嫌がらせか!?
眠い目を擦りながら扉を開けると・・・
目が覚めるような美少女が立っていた。
少し幼い印象だが絵に描いたような金髪碧眼の美少女がそこにいたのだ。

「あの、ガルバン様の工房はこちらですか?」

「うん?まぁ、ここは爺ちゃんの工房だったよ。」

「え!じゃあ、あなたはガルバン様のお孫さんですか?」

「うん、そうだけど。爺ちゃんは2年前に亡くなったよ。」

「えぇ!そんなぁ。そうだったんですか。」

「うん。何か御用でした?」

「あの!私、ガルバン様の大ファンなんです!お会いしてみたくて来たんですけど・・・」

「そうなんだ。」

「はい。もし良ければ工房を見学させてもらえませんか?」

「でも、今は俺が使っちゃってるよ?」

「全然構いません!ダメですかぁ?」

美少女の上目遣いに抗う事など不可能だろ。
とりあえず家に招き入れて、工房へ案内する。
寝巻から着替えるので自由に見学しててもらう。

着替えて工房へ向かうと、爺ちゃん作のランプを手に持ち興奮で息を荒くする美少女がいた。

「はぁ、はぁ、これがガルバン式ランプのオリジナル!しかもシリアルナンバーが1なんて・・・鼻血出そうです。」

「あの・・・」

「きゃっ!い、いつからそこに?」

「ついさっきだけど・・・そう言えば、君の名前は?」

「あ、私の名前はサラって言います。」

サラの話を聞くと、この子は爺ちゃんのお師匠様のお孫さんらしい。
しかもなんと爺ちゃんのお師匠様は魔具師の祖と言われているマリーゴールド様らしい。
マリーゴールド様と言えば魔具師でなくてもその名前を知っているような偉人だ。
エルフでありながら魔具師という職業を確立させた変わり者であり、噂では絶世の美女だったそうだ。
つまりサラはエルフのクォーターという事になり、絶世の美女エルフの血を引いていると言われても頷ける可愛さなのだ。
しかしクォーターともなると耳は尖ってないらしい。
見た目では人間族の女の子にしか見えないな。

なんでもずっと王都で暮らしていたがマリーゴールド様は10年以上前にエルフの国へ戻ってしまったそうだ。
その後は父母と3人で暮らしたが、幼い頃から爺ちゃんの作った玩具で遊んで育ったらしく、鼻を押すと目が光る猪の人形だったり、カタカタと馬が動く馬車の模型だったりと俺にも憶えのある玩具が大好きで、ずっと魔具師になりたかったらしい。
それで両親には反対されたが押し切って魔具師の職に就いたは良いが基本を教えてくれる人がいなかったのと、周りは勝手に期待してくるし、でも実力と経験不足ですぐに失望されるしの繰り返しで耐え切れず、爺ちゃんに助けを求めにやって来たそうだ。

お茶を飲みながら話を聞いていたが飲み切ってしまったのでお茶を淹れ直しに行く。
戻って来るとサラは魔導玩具のナイフを手に取って眺めていた。

「あの!このナイフはガルバン様の作品ではないですよね?」

「えっ?そうだけど、なんで分かるの?」

「ガルバン様の作品には必ずサインを入れられるとお婆ちゃんに聞きましたので。」

「へぇー、そうだったんだ。確かにそれは俺が作ったナイフだよ。」

「す、すごいです。さすがはガルバン様のお孫さんです!」

「いやぁ、それほどでも。」

美少女に褒められるのは良いものだ。
そこからは俺が趣味の時間に作った物についての質問攻めが始まってしまった。
布を被せて隠しておいたはずの秘密の物までしっかりと発見されていた。


「これは人体の模型か何かですか?」

サラが訝しげな目でこちらを見てくる。
変な奴だと思われたくないので説明してあげる。


「これはゴーレム用の体だよ。ゴーレムの札で土の代わりに使おうと思ってね。」

「そんな事が出来るんですか!?」

「まぁ、ただの俺の趣味で遊びみたいな物だから上手くいくか分からないけどね。」

「それでもすごい発想です!この魔導具も見た事ない物ばっかりですし。」

「まぁ、自分で使う用だしね。売りには出してないし。」

「あの・・・私を弟子にして下さい!」

「へっ!?」

「師匠~、お願いがします!」

金髪美少女が土下座している。


「いやいや、俺に弟子なんて無理だよ。」

「いえ、住み込みでお世話しますので師匠の技を近くで見せて下さい。」

「いやいやいや、住み込みってのも無理があるよ!」

「お願いします!何でもします!お願いします!!」

こんな美少女の弟子と1つ屋根の下なんて絶対に身が持たないよ。
何でもするとか都合の良い妄想をしてしまいそうだし。

とりあえず弟子の話は保留にしてもらった。これからスミスさん達とサイモンの爺さんに話をしに行かなくてはならないのだ。

ちなみにサラの解析結果はこんな感じでした。


サラ
エルフクォーターの16歳の女性
王都出身の魔具師見習い
身長165センチ
体重53キログラム
B83 W59 H86 Dカップ
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