魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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町おこし編

第25話 爆弾を試してみよう

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早朝に一度起きてしまったが遠慮なく二度寝を貪る。この時間が幸せで堪らない。
昼前に起きて昨日の野菜スープの残りを食べた。

工房へ移動して生ゴムの乾燥を確認する。
もう少し乾燥をさせた方が良さそうなので、型から外して安置を続けた。

それから以前に作った魔導ランプから魔玉を外して魔導玩具のナイフに嵌めておいた。

昨日の深夜の趣味の時間には色々と作ったのだが、その中から竹筒で作った水筒に水を入れてナイフと一緒にリュックへ入れる。
お試し用の爆弾はリュックに入れるのは怖いので竹で編んだ竹籠で手持ちする事にした。
装備を身に付けたら南の草原へ向かおう。

町の南側から出ると一面に畑が広がっている。
たまに農家の人が住む小屋があったりするが、野菜や麦の畑がずっと続いている。
町の南西の森付近では葡萄や林檎の果物も栽培しているらしい。
1時間ほど歩けば人気のない草原に出た。
先の視界には地平線がただ続いている。
もっと先へ進めば砂漠が広がっているらしい。

「この辺りなら大丈夫だろう。」

地面に爆弾を設置してから導火線代わりの針金を持って離れる。
導火線が切れないように慎重に伸ばしていき、およそ100メートルぐらい離れた。
これから試しに爆弾を発破させてみる。
すごくドキドキワクワクする。
謎の緊張感を抑えつつ、念のため地に伏せてから導火線を握る。

「発破!」

誰もいないけど、雰囲気で叫んでしまった。
ゴクリと固唾を飲み込み、起爆の魔力を流す。
導火線伝いに回路まで魔力が流れるはずだが、なんと言っても距離がある。
起爆までのタイムラグは仕方がないだろう。

「あれ?失敗した?」

そう思って顔を上げた瞬間。

ボォーーーン

大きな爆発音と共に巨大な砂埃が立ち上る。
砂埃は突風のように、こちらにも襲いかかった。
顔を上げてしまっていたので、顔面へモロに食らってしまった。
目に砂が入り涙が止まらない。


『レベルアップしました。』


溢れ出る涙を拭っているとレベルアップが告げられた。
目に入った砂が取れたので導火線を回収しつつ爆発地点へと向かった。
途中で大きな鼠の魔物の死体があった。
体表が焼かれているので爆発に巻き込まれて吹き飛ばされたのだろう。
こいつのお陰でレベル8になった。
魔石の欠片だけ回収して他は放置する。

爆発地点に着くと地面が大きく抉られている。周りの草も焼け焦げている。

「なかなかの爆破力だが危険すぎて戦闘には向かないなぁ。」

これを作ったのは採掘場の岩盤を砕く為だ。

「あまりの爆破力に坑道が耐えられないとかないよね?」

そんな一抹の不安を感じたが、発破の時に坑道の外に出ていれば良いかと楽観する。
ここで長居をしてまた変な魔物が寄ってきても嫌なので早々に退散した。

町へと歩いていると3人組の冒険者が急いでこちらへ走って来る。
パーティーで狩りにでも行くのかな?と思っていると、1人の冒険者に声をかけられた。


「おい、そこのお前。南の方角から来たみたいだが、何か変わった事はあったか?」

何やら偉そうな冒険者だ。
冒険者の中には戦闘ができる自分たちが偉いと勘違いしている連中もいる。
この人もそんな考えの人なのだろう。


「いいえ、特に何もなかったですが。何かあったんですか?」

「そうか、何もなかったのならそれで良い。我々は急いでいるのだ。」

言い終わらないうちにまた走って行ってしまった。感じの悪い連中だ。

またしばらく歩いて町へと戻って来た。
大通りを歩いていると冒険者ギルドの前が騒がしい。町の人や冒険者でごった返しているではないか。
その中からサイモンの爺さんを見つけたので何かあったのか聞いてみる。

「爺さん、何かあったのかい?」

「なんじゃガルドは出掛けておったのか?先程な、町の南の方角から大きな爆発音がしたのじゃ。強力な魔物が現れたかもしれんからのう、念のため調査依頼を出したのじゃ。」

あぁ、さっきの冒険者たちは爆発音の調査に向かったのか。道理で急いでいた訳だ。
しかし、その爆発音ってのは間違いなく俺の爆弾が原因だよね?
やっぱり怒られたりするのかな?


「あ、爺さん。その爆発音って、たぶん俺が原因だわ。」

「はぁ?」

「坑道を塞ぐ岩を破壊する為の爆弾を作ったんだけど、それの試験をしたんだよね。」

「バカモーン!」

そこから1時間ぐらいお説教は続きました。
そんな危ない物を町の付近で実験するな!実験する時は事前に連絡しろ!との事だった。
怒られたついでに明日の坑道で爆弾を使う旨を連絡しておく。
爺さんは安全性に疑問を持っていたが、上手くいけば新たな鉱脈を発見できる可能性を伝えると何とか許可が下りた。
やっと解放された時にはもうクタクタだった。

一度家に戻ってから木桶と絞った林檎を持ってゴムの樹液の回収へと向かう。

樹液の溜まり具合を確認してみると2割程度だった。
別のゴムの木を探す事にした方が良いな。
樹液は2つの木桶へまとめて入れておく。
絞った林檎は木の根元に埋めておいた。

北の方角へゴムの木を探して歩く。
町の北側の入り口を超えて少し行った所でゴムの木を発見した。
その辺りを探すと5本生えていた。
5本全ての木の幹に傷を付けて木桶を設置していく。
なかなか良いポイントを発見できた。
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