魔具師になったら何をつくろう?

アマクニノタスク

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町おこし編

第11話 装備を考えよう

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納品を無事に終えたので、次は魔物を倒す準備に取り掛かろう。

「まずは武器と防具の見直しかな。」

そのまま近所の武具屋へ移動する。

ここは俺の幼馴染のビグルの一家が営んでいるお店だ。
ビグルは狩人なので店の手伝いはしていないが、父親のスミスさんが鍛治、母親のキリカさんが裁縫、お姉さんのキリサさんが販売係とお店と工房を兼ねているのでオーダーメイドにも対応してくれる。

ガチャリと店の扉を開くと広い店内に武器や防具がたくさん並んでいる。


「いらっしゃい。」

キリサさんが声をかけてきた。

「キリサさん、こんにちは。ちょっと見てってもいいですか?」

「ガルドが店に来るなんて珍しいね!何か探してるの?」

「いやぁ、俺も少しはレベルを上げようかと思って。武器と防具を見直そうかなって。」

「そっかぁ、じゃあお姉さんがオススメを教えてあげるね。」

「いやいや、一人で大丈夫ですよ!?」

「遠慮は無用よ。早速武器から見ていきましょう!」

キリサさんは普段なら美人で優しいお姉さんなんだが、武器の事になると変な癖があるからなぁ・・・不安だ。


「まずは私のオススメの鉄のロングソードよ。やっぱり男の子ならこれに憧れるわよねぇ。」

キリサさんはロングソードを手に取りウットリしている。


「見て、この綺麗な刃!さぞかし良く斬れるんでしょうねぇ~。」

キリサさんは完全に自分の世界に入ってしまったな。


「昔からなぜかこうなんだよなぁ。」

キリサさんはかなりモテていたが、この癖を知ると男達は皆逃げてしまった。
美人だしスタイルも良いんだけどね。

『解析』


キリサ
この町に住む21歳の女性
武具屋の販売員
重度の武器フェチ
身長162センチ
体重50キログラム
B80 W59 H88 Cカップ


「ふむ、勿体無いよねぇ。」

武器に夢中で一人で喋っているキリサさんを何気に解析してから勝手に武器を見せてもらう事にする。


「剣は確かにカッコいいけど、重いし扱えないかなぁ。」

試しにショートソードを手に持ってみるが自分には無理そうだ。
さらに戦闘職でない自分が近接戦闘を行うのは防御の面でも不安がある。


「こっちは防具コーナーか。おっ、鉄の兜とか男らしくてカッコいいよなぁ。」

シンプルな鉄の兜を被ってみる。

グギッ

「あっダメだ。重くて首がもたない!」

すぐに兜を脱いで元に戻しておく。


「こうなると戦闘方法はやっぱり遠距離攻撃に限られるな。」

現状でもレベル上げを行える方法を思案していると店に誰かが入ってきた。


「ただいまぁ。ってガルドじゃん!店に来るなんて珍しいな、どうしたんだよ。」

ビグルが狩りから帰ってきた様だ。
肩に担いだ袋は大きく膨らんでいるので獲物を仕留めて来たみたいだな。


「おっす、ビグル。俺もレベルを上げようと思ってな。装備を考えてたんだよ。」

「へぇー。ジャックさんから聞いた通り、雷でなんか成長したみたいだな。やっとお前もレベルに関心を持ったかぁ。それで姉さんはどうした?」

俺は無言でキリサさんのいる方向を向く。


「あちゃー。またお客を放ったらかして・・・なら俺が一緒に選んでやるよ。ちょっと待ってろよ。」

ビグルは店の奥に荷物を置いてすぐに戻って来た。


「じゃあまずは武器からだな。何かやってみたいのはあるのか?」

「いや、特にないが遠距離が良いかなと考えていた所だ。」

「そうだな。魔具師のお前なら無理せず遠距離攻撃にした方が良いだろうな。なら短弓はどうだ?」

ビグルから初心者用の短弓を受け取り、弓を引いてみる。


「んー。まだ俺の力じゃ満足に引けないな。技術も必要だし難しそうだ。」

「まぁ弓は練習しないと当たらないだろうな。」

「力が必要なくて、誰でも簡単に当てられる様な武器ってあるのかな?」

「そうだなぁ~。あっ!それならこれはどうだ?」

ビグルは短い木の棒みたいな物を取り出した。


「それは?木の棒か?」

「これは吹き矢だ。俺もたまに使うが力も要らないし、意外と簡単に当てられるぞ!」

確かに吹くだけだし、狙いと目線が一致するので女性や初心者でも簡単だと聞いた事があるな。


「それは良いかもな。でもそれで魔物が倒せるのか?」

「倒すのは無理だな。威力は弱いから毒や痺れ薬を矢先に仕込むのが普通だな。獲物を弱らせてから狩るんだ。」

「なるほどな。弱りきった相手ならナイフでも倒せそうだな。」

「そうだな。明日の朝なら俺も一緒に行ってやるよ。」

「ホントか!それは助かる。なら明日の朝、俺の家まで来てくれ。」

「おう。その代わり防具もうちで買っていけよ?」

「わかったよ。鉄製は重いから革の胸当てが良いかと思うんだけど、どうかな?」

「その方が良いだろうな。あとは森に入るなら革のブーツにした方が良いぞ。」

「それじゃあ武器は吹き矢セットとナイフ、防具は革の胸当てとブーツを頼むよ。友達価格で!」

「まいど!姉さーん、仕事だよ。起きて!」


キリサさんは長いトリップから戻って来るとテキパキと防具のサイズ調整や精算を済ませてくれた。
美人で仕事も早いのに・・・残念な人だな。
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