106 / 106
王都暗躍編
第100話 お前もか
しおりを挟む
ペコラさんとハナさんとは今後も友好的な交流が持てそうで良かった。
これで生活環境をより充実させる事が出来そうだ。
工房を見学していたリポポさんとピートも帰ってきた。
機織りや色彩豊富な色糸があったりと予想以上に楽しめたそうだ。
今後も帝都へ来る機会が増えるかもしれないな。
今日の商談に満足感を得ながらペコラさんの工房を後にした。
その後も散策をしながら途中で夕食を済ませて宿へと戻った。
夕食はリポポさんのご機嫌をとるためにキノコ料理があるお店へ案内してもらった。
キノコ料理と言っても、丸焼きにしていたり塩での味付け程度のレベルだった。
パスタとかあればもっとバリエーションが増えそうなんだが、そこはリィナに相談だな。
とりあえずはリポポさんのご機嫌が無事に戻ってくれたので良かった。
宿へ戻るとスタッドさんに呼び止められた。
「あんたにお客さんだ。一番奥の部屋で待ってるぜ。」
きっと諜報員からの接触だ。
そう思った俺は、リポポさんとピートに部屋で先に休むように言って奥の部屋へと1人で向かった。
一番奥の部屋、普段から照明も点いていない薄暗い場所だが夜になると尚更に暗い。
暗くて何色かも分からないドアをノックする。
コン、コン、コン。
「どうぞー。」
部屋からは対照的に明るい少年の声が返ってきた。
ドアを開けて中に入る。
意外にも部屋の中は綺麗に手入れが行き届いており上品な部屋だった。
いくつかの蝋燭に明かりが灯され、雰囲気をより引き立たせていた。
「あんたがガルドにゃね?」
部屋の中央で椅子に腰かけて待っていたのは少年だった。
スラリとした細身に小麦色の肌と黒髪が野性味を感じさせる。
頭の猫耳がピクピクと忙しなく動き、大きな黄色の瞳が俺を見つめている。
彼は黒猫の獣人だろう。
「えぇ、俺がガルドです。あなたは?」
「にゃーはクロだにゃ。あんた、なかなか面白そうにゃね。」
「へっ?面白そうって?」
「にゃーの人を見る目は確かにゃ。良いにゃよ。あんたの依頼、受けるにゃ。」
「えっ!もしかして腕利きの諜報員って。」
「それはにゃーの事なんだにゃー。」
「そうなんだ。てっきり使いの人かと思った。」
「失礼にゃねー。まぁいいにゃ。どんな依頼かにゃ?」
クロは椅子の上で胡坐をかいた。長い尻尾をユラユラと揺らしている。
俺は近くの椅子に腰かけて依頼の内容を説明した。
「わかったにゃ。そのカメラで決定的な瞬間を撮影すれば良いんにゃね?」
「その通り。出来るかな?」
「楽勝にゃ!使い方を教えてほしいにゃ。」
早速、魔道具の使い方と10分しか撮影出来ない事を説明した。
クロは物珍しそうに魔道具を見つめ、楽しそうに鼻歌交じりに聞いていた。
「にゃー にゃにゃーん にゃにゃにゃにゃーん。」
あれ、このメロディーって聞き覚えがあるな。
某将軍様が白馬に乗って浜辺を疾走しているあの曲だ。
しかもさっきカメラって言ってたよな?
「もしかして、クロって転生組?」
「そうにゃよ?ガルドと一緒にゃね。」
「えっ、なんで知ってるんだ!?」
「そんにゃの、見ればわかるにゃ。猫の目は誤魔化せないのにゃ!」
マジかよ。
猫の目ってなんだよ。
暗い所でもよく見えるだけじゃないのかよ。
「にゃーは前も猫だったにゃ。神様って奴にチートをあげるから転生しろって言われたにゃん。」
「マジか。元猫なんだ。」
クロは自身のスキルについても、あっけらかんと話してくれた。
猫の目とはスキルの名前で、自分に有益な人物か、どのように有益なのかを何となく分かるようになるらしい。
なんともスッキリしないスキルだ。
さらに野生の勘と言うスキルも持っているそうだが、本人は効力を感じていない。
多分だが、前世の頃から野生の勘は持っていたのだろう。
しかも生まれた時からレベルが周りよりも上がりやすかったらしく、今では50を超えているそうだ。
これって勇者とか主人公が貰うようなチートなんじゃないのか?と自分との違いに憤りを感じつつも、ケラケラと屈託のない笑顔で笑う彼を見ると納得してしまいそうになる。
「どうしたにゃ?」
「いや、何でもないよ。」
境遇の違いを嘆くよりも、今を変える努力をしないとね。
自分で自分を言い聞かせて落ち着いた。
「そうにゃ、報酬の話がまだだったにゃ!」
「そうだね。俺は相場とか知らないから、クロの希望を教えてよ。」
「にゃーは高いにゃよー?」
クロはまたケラケラと目を細めて笑う。
その台詞が本心なのか冗談なのか。
「にゃ!そうにゃ、今から良いトコに行こうにゃ!」
「えっ、今から!?」
これで生活環境をより充実させる事が出来そうだ。
工房を見学していたリポポさんとピートも帰ってきた。
機織りや色彩豊富な色糸があったりと予想以上に楽しめたそうだ。
今後も帝都へ来る機会が増えるかもしれないな。
今日の商談に満足感を得ながらペコラさんの工房を後にした。
その後も散策をしながら途中で夕食を済ませて宿へと戻った。
夕食はリポポさんのご機嫌をとるためにキノコ料理があるお店へ案内してもらった。
キノコ料理と言っても、丸焼きにしていたり塩での味付け程度のレベルだった。
パスタとかあればもっとバリエーションが増えそうなんだが、そこはリィナに相談だな。
とりあえずはリポポさんのご機嫌が無事に戻ってくれたので良かった。
宿へ戻るとスタッドさんに呼び止められた。
「あんたにお客さんだ。一番奥の部屋で待ってるぜ。」
きっと諜報員からの接触だ。
そう思った俺は、リポポさんとピートに部屋で先に休むように言って奥の部屋へと1人で向かった。
一番奥の部屋、普段から照明も点いていない薄暗い場所だが夜になると尚更に暗い。
暗くて何色かも分からないドアをノックする。
コン、コン、コン。
「どうぞー。」
部屋からは対照的に明るい少年の声が返ってきた。
ドアを開けて中に入る。
意外にも部屋の中は綺麗に手入れが行き届いており上品な部屋だった。
いくつかの蝋燭に明かりが灯され、雰囲気をより引き立たせていた。
「あんたがガルドにゃね?」
部屋の中央で椅子に腰かけて待っていたのは少年だった。
スラリとした細身に小麦色の肌と黒髪が野性味を感じさせる。
頭の猫耳がピクピクと忙しなく動き、大きな黄色の瞳が俺を見つめている。
彼は黒猫の獣人だろう。
「えぇ、俺がガルドです。あなたは?」
「にゃーはクロだにゃ。あんた、なかなか面白そうにゃね。」
「へっ?面白そうって?」
「にゃーの人を見る目は確かにゃ。良いにゃよ。あんたの依頼、受けるにゃ。」
「えっ!もしかして腕利きの諜報員って。」
「それはにゃーの事なんだにゃー。」
「そうなんだ。てっきり使いの人かと思った。」
「失礼にゃねー。まぁいいにゃ。どんな依頼かにゃ?」
クロは椅子の上で胡坐をかいた。長い尻尾をユラユラと揺らしている。
俺は近くの椅子に腰かけて依頼の内容を説明した。
「わかったにゃ。そのカメラで決定的な瞬間を撮影すれば良いんにゃね?」
「その通り。出来るかな?」
「楽勝にゃ!使い方を教えてほしいにゃ。」
早速、魔道具の使い方と10分しか撮影出来ない事を説明した。
クロは物珍しそうに魔道具を見つめ、楽しそうに鼻歌交じりに聞いていた。
「にゃー にゃにゃーん にゃにゃにゃにゃーん。」
あれ、このメロディーって聞き覚えがあるな。
某将軍様が白馬に乗って浜辺を疾走しているあの曲だ。
しかもさっきカメラって言ってたよな?
「もしかして、クロって転生組?」
「そうにゃよ?ガルドと一緒にゃね。」
「えっ、なんで知ってるんだ!?」
「そんにゃの、見ればわかるにゃ。猫の目は誤魔化せないのにゃ!」
マジかよ。
猫の目ってなんだよ。
暗い所でもよく見えるだけじゃないのかよ。
「にゃーは前も猫だったにゃ。神様って奴にチートをあげるから転生しろって言われたにゃん。」
「マジか。元猫なんだ。」
クロは自身のスキルについても、あっけらかんと話してくれた。
猫の目とはスキルの名前で、自分に有益な人物か、どのように有益なのかを何となく分かるようになるらしい。
なんともスッキリしないスキルだ。
さらに野生の勘と言うスキルも持っているそうだが、本人は効力を感じていない。
多分だが、前世の頃から野生の勘は持っていたのだろう。
しかも生まれた時からレベルが周りよりも上がりやすかったらしく、今では50を超えているそうだ。
これって勇者とか主人公が貰うようなチートなんじゃないのか?と自分との違いに憤りを感じつつも、ケラケラと屈託のない笑顔で笑う彼を見ると納得してしまいそうになる。
「どうしたにゃ?」
「いや、何でもないよ。」
境遇の違いを嘆くよりも、今を変える努力をしないとね。
自分で自分を言い聞かせて落ち着いた。
「そうにゃ、報酬の話がまだだったにゃ!」
「そうだね。俺は相場とか知らないから、クロの希望を教えてよ。」
「にゃーは高いにゃよー?」
クロはまたケラケラと目を細めて笑う。
その台詞が本心なのか冗談なのか。
「にゃ!そうにゃ、今から良いトコに行こうにゃ!」
「えっ、今から!?」
0
お気に入りに追加
3,124
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(64件)
あなたにおすすめの小説
能力値カンストで異世界転生したので…のんびり生きちゃダメですか?
火産霊神
ファンタジー
私の異世界転生、思ってたのとちょっと違う…?
24歳OLの立花由芽は、ある日異世界転生し「ユメ」という名前の16歳の魔女として生きることに。その世界は魔王の脅威に怯え…ているわけでもなく、レベルアップは…能力値がカンストしているのでする必要もなく、能力を持て余した彼女はスローライフをおくることに。そう決めた矢先から何やらイベントが発生し…!?


異世界転生漫遊記
しょう
ファンタジー
ブラック企業で働いていた主人公は
体を壊し亡くなってしまった。
それを哀れんだ神の手によって
主人公は異世界に転生することに
前世の失敗を繰り返さないように
今度は自由に楽しく生きていこうと
決める
主人公が転生した世界は
魔物が闊歩する世界!
それを知った主人公は幼い頃から
努力し続け、剣と魔法を習得する!
初めての作品です!
よろしくお願いします!
感想よろしくお願いします!
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています


巻き込まれた薬師の日常
白髭
ファンタジー
商人見習いの少年に憑依した薬師の研究・開発日誌です。自分の居場所を見つけたい、認められたい。その心が原動力となり、工夫を凝らしながら商品開発をしていきます。巻き込まれた薬師は、いつの間にか周りを巻き込み、人脈と産業の輪を広げていく。現在3章継続中です。【カクヨムでも掲載しています】レイティングは念の為です。
魔境へ追放された公爵令息のチート領地開拓 〜動く屋敷でもふもふ達とスローライフ!〜
西園寺わかば🌱
ファンタジー
公爵家に生まれたエリクは転生者である。
4歳の頃、前世の記憶が戻って以降、知識無双していた彼は気づいたら不自由極まりない生活を送るようになっていた。
そんな彼はある日、追放される。
「よっし。やっと追放だ。」
自由を手に入れたぶっ飛んび少年エリクが、ドラゴンやフェンリルたちと気ままに旅先を決めるという物語。
- この話はフィクションです。
- カクヨム様でも連載しています。

異世界に飛ばされたけど『ハコニワ』スキルで無双しながら帰還を目指す
かるぼな
ファンタジー
ある日、創造主と言われる存在に、理不尽にも異世界に飛ばされる。
魔獣に囲まれるも何とか生き延びて得たスキルは『ハコニワ』という、小人達の生活が見れる鑑賞用。
不遇スキルと嘆いていたそれは俺の能力を上げ、願いを叶えてくれるものだった。
俺は『ハコニワ』スキルで元の世界への帰還を目指す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
更新がないと順位もあがらないですね・・・
可もなく不可もなく。
コメディとしては低クオリティ
異世界物としては中途半端
ストーリーは驚きとかなく単調
暇つぶしで読むものなくて仕方なくって時に読んでるけど、まぁ読むのやめて寝ようかなと思う程度
いいところ……(意味深
)