ものぐさ勇者のレールプレイング

モッフン

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勇者? 俺が? めんどうだよもおぉぉぉ

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「勇者?俺が?勘弁してよー」
俺の名はニト。
名前から分かる通り、異世界人だ。
俺はこの世界に来る前、日本で普通に暮らしていたのだが……ある日突然に事故に遭い死んでしまったのだ! いやぁーあれは痛かったなぁー……。

そして次に目が覚めた時にはもうこのファンタジー世界だったってわけだ! ………………うん?ちょっと待った!! なんで俺が勇者なんだよっ!?おかしいだろっ!?普通こういうのはイケメンがなるもんだろ!?なのに何で俺みたいな普通の男が選ばれてんだよぉっ!?神様のバカヤロォォォォッ!!

 あ~あ~こんな事になるんだったらもっと遊んでおけば良かったな~!ゲームとか漫画とかラノベとか色々やり残した事いっぱいあるんだけどなぁ~!こんな事ならもう少し勉強しておけばよかったよぉぉぉぉぉっっ!!!! まぁ今更後悔しても遅いんだけどさぁ……。

はぁ~あ……これから俺どうなっちゃうんだろ……?不安しかないんですけどぉぉっ!?誰か助けてぇぇっっ!! もうこうなったら仕方ない!とりあえずやれるだけやってみようじゃないかぁっ!!やってやろうじゃないのさっ!!かかってこいやぁぁっっ!!! そんな訳で俺は今、勇者として魔王を倒す旅に出ている最中なのだ!

そういえばさっきから俺の隣にいる可愛い女の子

アリア・アルサークちゃんっていう子なんだけどなんとこの子も異世界人なんだってよ!しかも超美少女なんだよこれがまた凄いんだよマジで可愛いのなんのって、それ考えたら勇者やるのも悪くはないか

「ニト様?大丈夫ですか?」

危ない危ない。つい顔に出てしまったようだぜ。気をつけないとな……。それにしてもアリアちゃんは本当に可愛いよな
あ、そうだった。勇者になったはいいが、これからどこに行けばいいのやら

「ニト様、ニト様!」

「ん?」

俺を呼ぶ声がする。振り向くとそこにはアリアがいた。彼女は今日も美しい金髪をなびかせながら、その碧眼で俺をまっすぐに見据えていた。彼女の服装はいかにも勇者といった鎧姿ではなく、普通の村人のような格好をしているがそれでもなお彼女の美しさを隠すことはできなかった。

「どうした?何か用か?」と俺は答えた。
すると彼女は少し怒ったような表情をして言った。

「『どうかしたのか?』じゃありませんよ!今私たちがいる場所は魔王城ですよ!?そんな気の抜けた態度でどうするんですか!?」と怒られた....ってここ魔王城なのおぉぉぉ?
「いや、だって俺勇者じゃないし……」と俺は反論する。すると彼女はため息をつきながら言った。

「はぁ……ニト様はいつもそうですね。私がいくら言っても自分が勇者だと認めてくれないんですから」とアリアは呆れ顔で言った。
いや、だってさ?いきなり異世界に召喚されて魔王を倒してくれって言われても困るじゃんか!それに俺が今までやってきたことといえばせいぜいバイトで食いつなぐ生活だったんだぞ!?そんな俺に何ができるっていうんだよ!!
ていうか君いつから隣にいたんだよっ
可愛いからいいけどさぁ……

「ニト様、何か失礼なことを考えていませんか?」とアリアがジト目で見つめてくる。

「べ、別に何も考えてないよ!それより早く魔王を倒さないとな!」と言って俺は誤魔化すことにした。すると彼女は少し不満げな顔をしながらも納得してくれたようだった。ふぅ危ないところだったぜ……

そんなやり取りをしている内に俺たちは城の最奥部にたどり着いたようだ。そこには禍々しい扉があり、その前には二人の魔王が立っていた。
「よく来たな勇者よ!ここが貴様らの墓場となる場所だ!」と片方の魔王が叫ぶ。もう片方は何も言わずにただこちらを睨んでいただけだった。どうやらこの魔王たちは双子らしい。見た目は全く同じだが、よく見ると瞳の色が違うことに気づいた。片方は赤い瞳をしており、もう片方は青い目をしていた。おそらくこちらが兄なのだろうと思った俺はアリアに目配せをして戦闘態勢に入った。それを見た彼女は小さくうなずくと剣を構えたのだった……ってあれ?なんでアリアも戦う気満々なんだよぉぉ!!

「ちょ、ちょっと待てよ!なんでアリアも戦う気満々なんだよ!?」と俺は慌てて言った。すると彼女は不思議そうな顔をして答えた。
「え?だって私も勇者ですよ?」
いや、初耳なんですけどぉぉ!?ていうか君が勇者なら俺が戦わなくてもいいんじゃないのぉ!? そんな俺の思いとは裏腹に魔王たちは攻撃を仕掛けてきたのだった……っておいぃぃ!!いきなりかよぉぉ!!

「くっ!仕方ないか……アリア、行くぞ!」と俺は覚悟を決めて剣を構えた。すると彼女は嬉しそうに微笑みながら言った。
「はい!ニト様と一緒なら怖いものなんてありませんから!!」そう言って彼女も俺に続いたのだった……ってあれ?なんかおかしくないかい??なんで俺が前衛で君が後衛なんだよぉ!?普通逆じゃないのかい!? そんな俺の心の叫びも虚しく戦いが始まってしまったのであった……あぁもうどうにでもなれっ!!こうして俺たちの魔王退治が始まったのである……!「くっ!なかなかやるな勇者よ!」と魔王の一人が言う。しかし俺は全くダメージを受けていなかったので余裕綽々で答えた。

「ふっ、当たり前だ!俺を誰だと思っているんだ?世界を救った英雄だぞ?」と言ってドヤ顔をしてみせる俺だったが内心はめちゃくちゃ焦っていた……だってしょうがないじゃんか!!いきなり異世界に連れてこられて魔王を倒せって言われても困るんだよぉぉ!!しかも女の子の前だしさぁ……恥ずかしいじゃんかぁぁ!!

「ふんっ!口だけは達者なようだな!」と魔王の一人が言う。そしてもう一人が続けて言った。
「だが、我らの力はこんなものではないぞ!!」と言って二人は力を溜め始めたようだった。それを見た俺は慌てて叫んだ。

「まずい!アリア、防御魔法を頼む!」と言うと彼女はうなずき詠唱を始めたのだった……ってあれ?なんかおかしくないかい??なんで君が魔法を使えるんだい!?しかも俺より強力なやつをさぁぁあ!!
次の瞬間双子の魔王は『あれ?』と慌てだした。
「な、なぜだ!?我らの力が発動しないぞ!?」と魔王の一人が叫ぶ。もう一人の魔王も困惑しているようだ。そして彼らは同時に叫んだのだった……『勇者よ!卑怯だぞ!!』

いや、だって俺勇者じゃないしぃぃ!!ていうか君たちが勝手に勘違いしただけだよねぇぇえ??なんで俺が悪いみたいになってるんだよぉぉお!! そんな俺の心の叫びなど知る由もなく二人の魔王は力の制御ができず芸人ばりのリアクションをカマしていた。

「おのれぇええ!!」と叫びながら魔法を暴発させる魔王たち。
「ぐわぁぁ!!」と叫び声を上げながら吹き飛ぶ二人を見て俺は思ったのだった……こいつらアホなのか?ていうかアリアもなんか言ってやれよ!と思いながら彼女の方を見ると彼女はなぜかキラキラした目でこちらを見ていたのであった……え、なにこの子怖いんだけどぉぉ!!

てかなんで君はそんなに嬉しそうなんだい!?意味わかんないんですけどぉぉおお!! そんな俺の心の叫びなど知る由もなく二人の魔王は倒れてしまったようだった。
それから街へ凱旋し、俺とアリアは英雄と与えられるが一言いい?
俺たちなんっもやってないのよぉぉおお!! そして俺はアリアとなぜか許嫁となり、勇者の家系なるものが出来上がってしまうのだった……
嫌々勇者になり魔王が自滅し、なぜか相方と結婚することになる..これは、
正にレールプレイングっ!【完】
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