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1話 進むべき道
しおりを挟むパチ、パチ…と薄暗い洞窟の中で炎の弾ける音が響いている。そして、香ばしく、ほんのりと甘い匂いが周囲に漂っていた。
「う…うーん…」
むくりと上体を起こして、ぼーっと周囲を見渡して…
ガバッと!起き上がり俺は臨戦態勢をとる。
「起きたか。少年!まぁ安心しろ。ここは入口付近の安全エリアだから、魔物に襲われることもないだろう。」
コウは、少しずつ覚醒し始めた頭を声のする方に向ける。
そこには、焚き火の光に照らされている、女神の様な女性がこちらを見つめていた。
一瞬あまりの美しさに見惚れてしまい、フリーズした。
クスっ。
「どうした?そんな顔して。傷は完全に癒えていると思うが?」
言われて気付いたが、服装は相変わらずボロボロで、さらに穴だらけとなっていたが…
(傷がない‼そうか、ポーションで治療をしてくれたのか…)
コウは自分の状況を把握し、冷や汗がドッと吹き出していた。なぜならば、ポーション系の回復薬は最下級の物でもかなり値の張る物だからだ。もちろん、コウの様な孤児にそんな金を払えるわけもなく、内心かなり焦り始めていた。
「この度は、助けてもらってありがとうございます…しかし……」
「あ~…お金のことなら気にしないでいいぞ⁇私が勝手に助けて回復したのだからな。」
コウが、だんだんと顔を青くするのを見て察したのか彼女はそう言ってきた。
「助けたといっても君以外は救えなかったからな…」
「そんな‼助けて頂いてそんなわけには…」
確かに、少しは仲間が死に悲しくはあった…だかコウは、仲間死に慣れてしまっていた。孤児院の子供は、死亡率が激しく今までにも何回も仲間の死に触れていたのがあったからだ。
しかし、悲しいものは悲しく、かなり重い雰囲気になってしまっていた。
「ほら、これを飲みな。気持ちが落ち着くから。」
「はい…」
手渡されたスープには、肉がふんだんに使われていて今まで飲んだ事のない様なほど美味しそうだった。そして、そのスープを飲むと俺は気持ちが落ち着いてきた。
「あの~?」
「なんだ⁇」
「やっぱり、僕何かやります‼このままじゃ、やっぱり自分なりになっとく出来ないんで、出来ることならなんでもやります‼」
「いいんだけどな~…もしどうしてもと言うならば、成人し冒険者になってから私に会いに来なさい。その時に、この借りを返してもらう。」
「分かりました。必ず会いに行きます‼えーと…」
「あー、私はエリアス、エリアス・コーネリウスだ‼君は⁇」
「俺は、冒険者ギルド第六孤児院のコウです。」
「コウか…分かった‼コウ必ず私に会いに来なさい。私と再会する前に死ぬ事は許さん‼」
ニカっと満面の笑みを浮かべたエリアスさんは、今まで会った誰よりも美しく、恋をした事のない俺から見ても魅力的に感じた。
「はい!必ず‼」
俺とエリアスさんは笑い合い、再会を約束するのだった。
・・・その後、俺はギルドでエリアスさんの本来の顔知り、そのあまりの住む世界の違いに驚きを覚えるのだった。・・・
~~第2作品目です。至らない事も多いので、アドバイス、感想をいっぱい頂ければ嬉しいです(^o^)
これからもちょいちょい更新しますので、よろしくお願いします‼
あと、1作品目「白い白い雪の降る世界の中で」も更新してきますのでよろしくお願いします。~~
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