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碧眼の魔性
第二話 二人と一箱
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「今、上で親方と交渉してるみたい。うちは金はともかく受けられる人がいなかったから……でもウルクスが帰ってきたから大丈夫だね」
「他にいないのか? デリスとかホッブとか。どうせ酒飲んで寝てるんだろ?」
「要望がね、腕のいい虫狩りって言うんだ。どうも誰かに追われてるらしい」
「おいおい、やばそうな仕事じゃねえか。余計に嫌だぜ。少なくとも一人じゃなくて二人にしてくれよ」
「まあいいじゃないか。お前は見た目はパッとしないけど腕は悪くない。喧嘩も強いし、丁度いいんじゃないかな?」
パッとしなくて悪かったな。しかしどうも俺が行く方向で話が進んでるらしい。まずいぞ。
「あ……ちょっと果樹園の様子を見てくる。カメムシが戻っていないか確認しないと」
「何言ってるんだい。もう修了の判子押したんだから駄目だよ。逃げようったってそうはいかない」
「くそ、本当に俺かよ? 話は……どうなってるんだ? 長引いてるのか」
「親方とカシンダが一緒に話してる。もう三十分くらいかな」
「なんとかしろって向こうがごねてるのか?」
「さっき上で盗み聞きしたんだけど、漏れ聞こえてくる限りじゃ親方がビートルの角欲しいからごねてるみたい。誰か手配しろってカシンダに言ってるみたいだよ」
「なんだよ、それ。自分で行けよな、だったら」
「親方が出るとなると高いからね。あ、でもビートルの角ならお釣りが来るね。なにせ一ターフ弱もあるんだ」
「金貨を積んだとして……百枚か?」
「比重が違うから半分くらいかな。それでも五十金セドニ! ちょっとした一財産だ」
「受けたとして俺がもらえるのか? そんなわけないよな」
「うちはピンはねするからね」
堂々と言うな、ノーマンめ。腹が立ってくる。
ノーマンと馬鹿みたいな話をしていると上の方でゴトゴト音が聞こえてきた。話がまとまったのか? もしくは蹴ったのか。いずれにしろ終わったようだ。
ドアが開く音が聞こえ、親方、ガブレスのでかい声が寄合所に響いた。
「ノーマン! 誰か戻ったか?」
「はい親方! ウルクスが準備万端です!」
準備万端? 心の準備もできてねえよ、この馬鹿。
「おおウルクスか! そろそろ戻ってくると思ってたがちょうど良かったな。」
ドカドカと足音がして、階段の手前までガブレスが歩いてくる。後ろに依頼人がいるようだが、その顔が見えた。男と女。確かに白い。目も青い。市のおっさんが言ってた羽振りの良い二人組のようだ。
「戻ったばかりで悪いが、依頼が入った。これからカドホックに向かってくれ」
「今日中にか? 今日は新月に近いんだぜ」
「細かい話はカシンダに聞け! おいノーマン! タルカスに車を準備させろ」
「はい、親方。じゃ、頑張ってねウルクス。僕は帰って食べて飲んで寝るよ」
「……やれやれだな」
頭を抱えたい気分だ。虫車を使わせてくれるんならその分は楽になるが、カドホックだと? 二頭立ててとばしても……時速五タルターフがせいぜいだ。十時間かかる。今は大体十五時だから、真夜中になっちまう。
「あの男がウルクスです。腕は確かな男です。さ、カシンダ。準備をさせろ」
「分かりました。では下へどうぞ」
ガブレスはにこにこしながら部屋に戻る。これからビートルの角を磨きながら酒でも飲むんだろう。あの爺。
カシンダと一緒に依頼人が降りてくる。灰色の外套をまとっていて身なりは分からない。靴は黒い革靴だ。汚れてるし値打ちものって感じじゃない。見た感じ金持ちには見えないが、見てくれでは分からないものだ。
依頼人が来たので、一応姿勢を正す。
「この男が虫狩りのウルクス。スリングを使うが、腕は良い。警護の経験も豊富です」
「どうも」
カシンダめ。警護の経験だと? 二度ほどついていったことはあるが、俺はずっと虫車の御者だったぜ。バチバチやりあうのは他のやつの仕事だった。いい加減なことを言いやがって。しかしそれをここで言うわけにもいかないので、精一杯にこやかにする。
「スリングだと? 弓ではないのか?」
男のほうが喋る。聞いたことのない訛りがある。どこの生まれだ?
「はい。ウルクスはスリングの名手です。それにスリングの方が広い範囲を掃討できます。万一襲われても、守りやすい。殺すのでしたら弓ですが、足止めするのならスリングの方が適しています」
殺す、だ? 随分物騒な話になってるな。本当に大丈夫なのか?
「……ふん、いいだろう。ではこれから出発だな? いつ着く」
「はい。二頭立ての虫車を用意します。大体今日の真夜中、日付が変わる頃にはたどり着くかと。準備をしますので、あちらの部屋でお待ち下さい。荷物はあとで車に積ませます」
「いや、いい。自分でやる。準備が済んだら呼んでくれ」
「かしこまりました」
カシンダが恭しく頭を下げる。俺もそれにならう。依頼人の二人は客室に入っていった。
「いつから俺は腕のいい警護になったんだ、カシンダ」
「腕は悪くないし、警護の経験もある。適任だ」
澄ました顔でカシンダが言う。
「……どのくらいやばいんだ? 殺すだのなんだのって……」
「追われていて命を狙われているとは言った。だが相手は一人らしい。それと虫が数頭」
「一人? 虫って……車のか?」
「分からん。どうも虫を操るそうだが……聞いたこともないな、そんな話」
俺とカシンダは客室から離れ、隣の駐機所に行く。ここでなら話も聞こえないだろう。
「どう考えてもやばい依頼だろ。なんで受けた? 一人でやるような仕事じゃないだろ? 他の寄合に回せよ」
「回ったんだと。で、お前の言うように胡散臭いからって追い返されて、来たのがうちだ。そしてビートルの角。お前が行くことになった」
「俺の命はどうなる? 虫相手ならともかく、人間相手の切った張ったなんて俺の仕事じゃねえぞ」
「シャディーンと名乗ってたが、あの男が言うには今なら無事逃げられるそうだ。虫車を使ってならな。歩きでは駄目だし、明日では遅すぎる。しかし今すぐ出れば、追いつかれる前に逃げおおせる」
「本当かね? 怪しいもんだぜ。カドホックと言ってたが、どこなんだ。」
「セム川の上流と言っていた。遺跡のある辺り」
「辺り? 漠然としてるな。遺跡ったって広いだろ」
カドホックはここから東にある地域だ。カルサーク山脈の手前の台地で、岩だらけの草も生えないような所だ。そこには岩をくり抜いた住居の跡が点在していて、それは遺跡と呼ばれている。今は誰も住んでいないし、近寄る奴もほとんどいない。たまにアリを見かけるくらいだ。
「とにかく依頼は成立だ。詳細な場所はあいつらに聞け。自分たちで虫を引くと言ってたから、お前は警護に集中しろ。必要なものがあればここのを使って構わん。糧食、水は用意する。スリングの球が必要なら持っていけ」
「気前のいいこって……」
「三十分後に出発だ。遅れるなよ」
カシンダが寄合所の方へ戻っていく。タルカス爺さんが虫車の用意をしているが、非常にゆっくりしている。ナナフシみたいだ。間に合うのかな?
「俺も準備……か」
軽く腹ごしらえをして、装備を整えねば。スリングの球をくれるというから、どうせだからたくさん持っていこう。実際必要になるかもしれない。
まったく。せっかく特別市の日だってのに、ついてないぜ。
荷物を整えた頃、タルカス爺さんも虫車の準備を終えた。マギーとペギーも目を青くして待っている。
虫車の荷台には台付の幌が乗っていた。幌の屋根部分に乗れるようになっていて、警護するときは上に乗って周囲を警戒する。壁もついてるから矢を射掛けられても隠れることができる。そしてそれは俺の役目だ。
梯子に手をかけて上に乗る。ここに乗るのはひょっとすると初めてかもしれない。
ドアが開いて、寄合所の方からカシンダが入ってきた。その後に色白の男が来る。男はでかい木の箱を引きずっていた。箱の後ろの方は地面に付いてるが、そっちの方には車輪がついているらしい。その後ろから女が来る。でかい背嚢を二つ持っている。自分と男の分だろう。金持ちの持ち物には見えない。
「あんたはそこに乗るのか」
色白の男が聞いてくる。
「そうです。ここだと周囲が見渡せる」
「ふん……金は払ったんだ。しっかり仕事をしてくれよ」
不機嫌そうに言い、男は荷台の後ろに回って木箱を載せようとする。
「手伝います」
「いらん! そこに座ってろ」
どうも機嫌が悪いようだ。元々の性格なのか、それとも親方にふっかけられたからなのか。
ガタゴトと手こずりながら男が木箱を荷台に載せる。様子を見ている限りでは相当重いようだ。長さも一ターフ近くある。
女は荷台に乗り、木箱を縄で固定し始めた。男は御者台に座った。
「虫車は乗り捨てていけばいいんだな?」
「はい。ウルクスが乗って帰りますので、それで結構です。その分の料金も頂いてますから」
何だと? 俺が乗って帰る? そりゃそうか。カドホックで降りるんなら、虫車はそこで不要になる。俺が乗って帰らないと駄目だ。
明日の朝までかけて行って帰ってか。本当、嫌になるぜ。
追手は来るし、依頼人も怪しいし、親方はがめつい。全部の割りを食うのは俺だ。くそ。給料を上げてもらわないと。
男が虫車を出す。ペギーとマギーが首の発振器の信号に従って歩き始めた。
(何事もなけりゃいいが……)
サラーホスでもケーリオスでもいい。加護とやらで守ってもらいたいもんだぜ。
「他にいないのか? デリスとかホッブとか。どうせ酒飲んで寝てるんだろ?」
「要望がね、腕のいい虫狩りって言うんだ。どうも誰かに追われてるらしい」
「おいおい、やばそうな仕事じゃねえか。余計に嫌だぜ。少なくとも一人じゃなくて二人にしてくれよ」
「まあいいじゃないか。お前は見た目はパッとしないけど腕は悪くない。喧嘩も強いし、丁度いいんじゃないかな?」
パッとしなくて悪かったな。しかしどうも俺が行く方向で話が進んでるらしい。まずいぞ。
「あ……ちょっと果樹園の様子を見てくる。カメムシが戻っていないか確認しないと」
「何言ってるんだい。もう修了の判子押したんだから駄目だよ。逃げようったってそうはいかない」
「くそ、本当に俺かよ? 話は……どうなってるんだ? 長引いてるのか」
「親方とカシンダが一緒に話してる。もう三十分くらいかな」
「なんとかしろって向こうがごねてるのか?」
「さっき上で盗み聞きしたんだけど、漏れ聞こえてくる限りじゃ親方がビートルの角欲しいからごねてるみたい。誰か手配しろってカシンダに言ってるみたいだよ」
「なんだよ、それ。自分で行けよな、だったら」
「親方が出るとなると高いからね。あ、でもビートルの角ならお釣りが来るね。なにせ一ターフ弱もあるんだ」
「金貨を積んだとして……百枚か?」
「比重が違うから半分くらいかな。それでも五十金セドニ! ちょっとした一財産だ」
「受けたとして俺がもらえるのか? そんなわけないよな」
「うちはピンはねするからね」
堂々と言うな、ノーマンめ。腹が立ってくる。
ノーマンと馬鹿みたいな話をしていると上の方でゴトゴト音が聞こえてきた。話がまとまったのか? もしくは蹴ったのか。いずれにしろ終わったようだ。
ドアが開く音が聞こえ、親方、ガブレスのでかい声が寄合所に響いた。
「ノーマン! 誰か戻ったか?」
「はい親方! ウルクスが準備万端です!」
準備万端? 心の準備もできてねえよ、この馬鹿。
「おおウルクスか! そろそろ戻ってくると思ってたがちょうど良かったな。」
ドカドカと足音がして、階段の手前までガブレスが歩いてくる。後ろに依頼人がいるようだが、その顔が見えた。男と女。確かに白い。目も青い。市のおっさんが言ってた羽振りの良い二人組のようだ。
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「はい、親方。じゃ、頑張ってねウルクス。僕は帰って食べて飲んで寝るよ」
「……やれやれだな」
頭を抱えたい気分だ。虫車を使わせてくれるんならその分は楽になるが、カドホックだと? 二頭立ててとばしても……時速五タルターフがせいぜいだ。十時間かかる。今は大体十五時だから、真夜中になっちまう。
「あの男がウルクスです。腕は確かな男です。さ、カシンダ。準備をさせろ」
「分かりました。では下へどうぞ」
ガブレスはにこにこしながら部屋に戻る。これからビートルの角を磨きながら酒でも飲むんだろう。あの爺。
カシンダと一緒に依頼人が降りてくる。灰色の外套をまとっていて身なりは分からない。靴は黒い革靴だ。汚れてるし値打ちものって感じじゃない。見た感じ金持ちには見えないが、見てくれでは分からないものだ。
依頼人が来たので、一応姿勢を正す。
「この男が虫狩りのウルクス。スリングを使うが、腕は良い。警護の経験も豊富です」
「どうも」
カシンダめ。警護の経験だと? 二度ほどついていったことはあるが、俺はずっと虫車の御者だったぜ。バチバチやりあうのは他のやつの仕事だった。いい加減なことを言いやがって。しかしそれをここで言うわけにもいかないので、精一杯にこやかにする。
「スリングだと? 弓ではないのか?」
男のほうが喋る。聞いたことのない訛りがある。どこの生まれだ?
「はい。ウルクスはスリングの名手です。それにスリングの方が広い範囲を掃討できます。万一襲われても、守りやすい。殺すのでしたら弓ですが、足止めするのならスリングの方が適しています」
殺す、だ? 随分物騒な話になってるな。本当に大丈夫なのか?
「……ふん、いいだろう。ではこれから出発だな? いつ着く」
「はい。二頭立ての虫車を用意します。大体今日の真夜中、日付が変わる頃にはたどり着くかと。準備をしますので、あちらの部屋でお待ち下さい。荷物はあとで車に積ませます」
「いや、いい。自分でやる。準備が済んだら呼んでくれ」
「かしこまりました」
カシンダが恭しく頭を下げる。俺もそれにならう。依頼人の二人は客室に入っていった。
「いつから俺は腕のいい警護になったんだ、カシンダ」
「腕は悪くないし、警護の経験もある。適任だ」
澄ました顔でカシンダが言う。
「……どのくらいやばいんだ? 殺すだのなんだのって……」
「追われていて命を狙われているとは言った。だが相手は一人らしい。それと虫が数頭」
「一人? 虫って……車のか?」
「分からん。どうも虫を操るそうだが……聞いたこともないな、そんな話」
俺とカシンダは客室から離れ、隣の駐機所に行く。ここでなら話も聞こえないだろう。
「どう考えてもやばい依頼だろ。なんで受けた? 一人でやるような仕事じゃないだろ? 他の寄合に回せよ」
「回ったんだと。で、お前の言うように胡散臭いからって追い返されて、来たのがうちだ。そしてビートルの角。お前が行くことになった」
「俺の命はどうなる? 虫相手ならともかく、人間相手の切った張ったなんて俺の仕事じゃねえぞ」
「シャディーンと名乗ってたが、あの男が言うには今なら無事逃げられるそうだ。虫車を使ってならな。歩きでは駄目だし、明日では遅すぎる。しかし今すぐ出れば、追いつかれる前に逃げおおせる」
「本当かね? 怪しいもんだぜ。カドホックと言ってたが、どこなんだ。」
「セム川の上流と言っていた。遺跡のある辺り」
「辺り? 漠然としてるな。遺跡ったって広いだろ」
カドホックはここから東にある地域だ。カルサーク山脈の手前の台地で、岩だらけの草も生えないような所だ。そこには岩をくり抜いた住居の跡が点在していて、それは遺跡と呼ばれている。今は誰も住んでいないし、近寄る奴もほとんどいない。たまにアリを見かけるくらいだ。
「とにかく依頼は成立だ。詳細な場所はあいつらに聞け。自分たちで虫を引くと言ってたから、お前は警護に集中しろ。必要なものがあればここのを使って構わん。糧食、水は用意する。スリングの球が必要なら持っていけ」
「気前のいいこって……」
「三十分後に出発だ。遅れるなよ」
カシンダが寄合所の方へ戻っていく。タルカス爺さんが虫車の用意をしているが、非常にゆっくりしている。ナナフシみたいだ。間に合うのかな?
「俺も準備……か」
軽く腹ごしらえをして、装備を整えねば。スリングの球をくれるというから、どうせだからたくさん持っていこう。実際必要になるかもしれない。
まったく。せっかく特別市の日だってのに、ついてないぜ。
荷物を整えた頃、タルカス爺さんも虫車の準備を終えた。マギーとペギーも目を青くして待っている。
虫車の荷台には台付の幌が乗っていた。幌の屋根部分に乗れるようになっていて、警護するときは上に乗って周囲を警戒する。壁もついてるから矢を射掛けられても隠れることができる。そしてそれは俺の役目だ。
梯子に手をかけて上に乗る。ここに乗るのはひょっとすると初めてかもしれない。
ドアが開いて、寄合所の方からカシンダが入ってきた。その後に色白の男が来る。男はでかい木の箱を引きずっていた。箱の後ろの方は地面に付いてるが、そっちの方には車輪がついているらしい。その後ろから女が来る。でかい背嚢を二つ持っている。自分と男の分だろう。金持ちの持ち物には見えない。
「あんたはそこに乗るのか」
色白の男が聞いてくる。
「そうです。ここだと周囲が見渡せる」
「ふん……金は払ったんだ。しっかり仕事をしてくれよ」
不機嫌そうに言い、男は荷台の後ろに回って木箱を載せようとする。
「手伝います」
「いらん! そこに座ってろ」
どうも機嫌が悪いようだ。元々の性格なのか、それとも親方にふっかけられたからなのか。
ガタゴトと手こずりながら男が木箱を荷台に載せる。様子を見ている限りでは相当重いようだ。長さも一ターフ近くある。
女は荷台に乗り、木箱を縄で固定し始めた。男は御者台に座った。
「虫車は乗り捨てていけばいいんだな?」
「はい。ウルクスが乗って帰りますので、それで結構です。その分の料金も頂いてますから」
何だと? 俺が乗って帰る? そりゃそうか。カドホックで降りるんなら、虫車はそこで不要になる。俺が乗って帰らないと駄目だ。
明日の朝までかけて行って帰ってか。本当、嫌になるぜ。
追手は来るし、依頼人も怪しいし、親方はがめつい。全部の割りを食うのは俺だ。くそ。給料を上げてもらわないと。
男が虫車を出す。ペギーとマギーが首の発振器の信号に従って歩き始めた。
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