上 下
13 / 20
宗善の第二章 年寄りの経験と知識は過去の遺物

知的障害のかんがえていること

しおりを挟む
診断の医者はこう言った

「お母さん、あなたのお子さんは、知的障害を持っています。」

「なんですか?それ」

母が聞き返した

「知的障害とは、脳機能に不全があり一般的な成長の発達が遅くなります。」

つまり、真田宗善は普通の人より覚えが異常に遅い、と言うことだそうだ

俺のIQは68~73がいいところだそうだ!

一般平均は100が当たり前らしい

IQが70を切ってしまうと知的障害として扱われるらしい

あれ?

俺は60台と70台の中間じゃないか

母が医者にこう尋ねた

「そうなんです。まぁ知的障害として扱えますが診断が微妙なんですよね。とりあえず、障害者手帳作れるようにしておきます。」

(微妙っか)

なんか、ここまでくると、いっそ清々しくなるな

勉強ダメ、運動ダメ、音楽ダメ、芸術ダメ
自殺は失敗、障害者かどうかも怪しい

なんか………こんなんばっかりだな!

周りは中学1年レベルの漢字とか数学とか歴史とか知識とか、勉強すればするほど頭の中に入るのに、俺はそうじゃなかった、てことですかい?

まさに、出来損ないだな!

俺は自分の頭の異変を知ることで、

人生の生きる価値を11歳で無くしてしまった

本当は知っている、自分はまだ、マシな方だと

重度の障害者は今の俺みたいに、頭の中で思考を巡らすことすら出来ないらしい

世界人口70億人がいる中で、俺は障害者として生きていく覚悟が必要になる

それは多分普通に生きるより難しいことだと思う

絶対に何かしらトラブルの絶えない人生になると思う

その過程で友達と呼べる相手に出会えるだろうか?

恋人とかできるだろうか?

やりたいこと、見つけられるだろうか?

…………不安だ

◆◇◆◇◆◇

今、俺は移動教室で伊豆高原に来ている

東京に比べれば田舎だ!

だが、割と居心地はいい方だ

この移動教室に来る前、やはりと言った出来事が起こっている

それは、この移動教室に行くための契約書のような手紙が先生から配られたのだが

その契約書を無くしてしまったんだ

行く気がなかったからなのか

何も考えていなかったのか

また、いつものように、先生が怒鳴り散らす

「この連絡帳に書いてこい!じゃなかったら行かせないからな!」

ほら!まーた怒った

連絡帳のことは母に伝えた、後日俺は確かに母から《見たよ》と渡されたはずなのだが

本当に《ただ見た、だけだった》

連絡帳には何も書かれていないのだ

当然先生は怒った

まぁ、俺は元々行く気はなかったし

いいじゃん!《健常者だけで、楽しめば!》

心からそう思っていたのだが、当時まだ生きていた、祖父が、学校に講義をしに行った

あの時は驚いたな!

まさか、自分のために怒ってくれる人がいるとは、知らなかった

でも、もう遅いんだよ

移動教室は楽しくもなく、つまらなくもなかった

《なんとも思わなかった》

これも知的障害だからなのかな?

いや、本当にキツかったのはここからだ

◆◇◆◇◆◇

移動教室から帰ると1日、休養日がある

俺は家でゲームをやっていた

ところが、今日は何故かもう1人、妹も家にいた

今日は移動教室から帰ってきた生徒以外は登校日だったはず、なんでだ

まぁ、どうでもいいか

しばらく経ったら祖父が家に来た

どうやら学校から連絡が来たみたいだ

祖父が妹に問う

「なんで学校に行かないの?」

妹が答える

「今日、身体測定だから」

?????

(何言ってんだ?)俺はそう思った。多分祖父も同じこと考えてたと思う

というか、何故祖父が家に?

こういう連絡は母に来るはず?

そうか!母が祖父に説得するように言ったのか!

祖父は妹の駄々に疲れたのか家に帰っていった

しばらく経つと母が家に帰ってくる





《今でも忘れはしない、あれが、
  1番の地獄だ!》
しおりを挟む

処理中です...