生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
上 下
324 / 378

第323話 エメラルドの約束22

しおりを挟む


 クレープを食べ終え、竜車に戻るとリーダーさん達が皆戻ってきていた。
 遅くなって怒られるかと思ったが、全くそんなことは無かった。

 その後、皆で街を見た。
 リーダーさん達は買い出しもしていた。

 物珍しそうにする私に、リーダーさんやシュナさんが優しく街の説明をしてくれた。

 夕刻、竜車に戻ると。夕食の準備だ。
 1日3食と言うのは私には考えられない厚待遇だ。

 街で食材を買って、皆が作った料理はどれもとても美味しかった。調子に乗った私はおかわりもした。

 ──翌日。

 早朝から出発だ。朝食はおにぎり。
 食べてばっかだ。1日3食は本当に贅沢だと思う。

 道中・荷台の中でのこと。

「エメレアちゃん、具合はどう?」

 キサラギさんが私に聞いてくる。

「はい、今は落ち着いています」
「よかった。何かあったらすぐ言ってね?」

 トントンと、自身の隣を叩き「おいで」と、キサラギさんが私を呼ぶ。
 私が隣に行くと「ホントかわいー♪」と頭を撫でられた。流石に照れる。お世辞でも嬉しい。

「キサラギさんは冒険者は長いんですか?」
「私? 5年ぐらいかな? ちなみに今は16歳だよ」

「明るくていい冒険者パーティーですね」
「あはは、ありがとう」

 あっけらかんに、でも上品に笑うキサラギさん。

「トアのお陰かな。最初はトア1人から始めた冒険者パーティーだったんだよ。私もトアに拾ってもらった口だしね。他に女の子もいるから居心地もいいし」

「いい人たちですよね。シュナさんには本当にお世話になって、レベッカさんにも飴とか貰いました」
「あー、レベッカは飴だけか。まあ名目上はシュナがエメレアちゃんのお世話係りってことになってるから、あんまり近づけないのかな?」

 と、その時だ──

「──敵襲!! 戦闘準備だ!」

 リーダーさんの焦ったような声が響く。

「エメレアちゃん、私でも誰でもいいから、絶対に離れないで。1人になっちゃダメよ」

 荷台から顔を出すと、10名ぐらいの武装した柄の悪い男たちに竜車は囲まれていた。

「盗賊……」

 キサラギさんが呟く。

「へぇ、女もいるじゃねぇか、ラッキー、ラッキー」
かしら、あの幼女は俺にくれよ!」
「物好きな奴だな。好きにしろ、俺は隣の巨乳だな」

 私とキサラギさんを見て笑い声をあげる男たち。

「このっ、下衆め……!」

 睨むキサラギさん。
 いつの間にか両手には魔力銃が握られている。

 すると、リーダーさんが私とキサラギさんを庇うように腕を横に伸ばし──

「先に言っておきますが、荷物も仲間もあなた方には一切お渡しいたしません。お引き取りください」

 と、淡々と言う。

「なんだと、てめぇ! 状況理解してんのか?」
「それはこっちの台詞だ!」

 エルセムが槍で男を攻撃する。
 転んだ男に合わせてレイトが爆発魔法を使う。

「これで1人減ったね、下がるなら今だよ?」

 冷たい声でトアが言う。

「ふざけるなぁ!」

 盗賊のかしらがリーダーさんに向かう。危ない!

 リーダーさんはその場から動かず腰の剣を抜く。盗賊の頭がリーダーさんの心臓めがけて剣を刺す──
 その瞬間リーダーさんが最低限の動作で剣を弾く。

 驚く、盗賊の頭の首筋に剣を当てる。

「盗賊の討伐には褒賞金がもらえるんだったね」
「ま、まってくれ、悪かった。帰る、帰るから!」

「家の仲間を下衆な目で見ていて、そんな甘い考えが通用すると思うか? お前はここで終わりだ」

 トアは悩んだ。首を切ってしまうのは簡単だ。
 だが、トラウマを持つエメレアがいる場所で斬首は躊躇った。

 結果、剣のつかの部分で頭を強く叩き、気絶させ、縄で縛った。
 他の連中もエルバを始め、ライグラファ達に縛り上げられている。

 全員を気絶させ縛り上げた所で、一番足の速いエルバが1人〝ルベンダの街〟に憲兵を呼びに行った。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...