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第316話 エメラルドの約束15
しおりを挟む「えっと、エメレアさん? どうしたのかな? もしかして私たちじゃ不安だったかな?」
近距離の男の人が怖くて黙る私に、
あはは……と、困り顔のリーダーさん。あれ? 名前なんだっけ? まあいいか、リーダーさんで。
「大丈夫です、よろしくお願いします」
このリーダーさんを含めて10人の冒険者パーティーのようだ。でも、3人ほど──女の人もいる。
「じゃあ、行こうか? 少し狭いかもだけど、家のパーティーの竜車に乗って行ってね──」
「……はい。お邪魔します」
縮こまる私にリーダーさんは「怖がらせちゃったかな」と、また苦笑いをする。
「おーい、トア! 早く行こうぜぇ!」
大きな男性の声にビクッとする私。
「あ、コラ! エルセム、エメレアさんが怯えてるだろ! 少しは空気を読んで静かにしなさい」
「おっと、悪い悪い、は……早く行こうぜー……」
ゴン! と、いい音がした。
見ると今しがたエルセムと呼ばれた赤髪短髪の男性が、大人しそうな長い黒髪の女の人に杖で叩かれる。
「これだから男は──それに小さな子とは言え、正式な私たちの依頼主さんよ? 礼節を弁えなさい」
「わーったよ、ごめんな、依頼主ちゃん」
そんな人混みを掻き分けて、白いローブのふわりとした綺麗な金髪の女の人が私に話しかけて来る。
「この中だと私が一番年が近いかな? 治療術士のシュナだよ。歳は12、よろしくね。小さな依頼主さん」
「よろしくお願いします……エメレア、7歳です」
歳の近い、5つ離れてる、シュナさんの登場に私は少し安堵する。それを見たリーダーさんが優しく笑っているのに気づくと、この人たちなら信頼してもいいかなと心の中で少しずつ思えてくる。
門を出るときに〝ステータス画面〟の提示を求められた、やり方は兄さんから習っていたけど実際に使用するのは生まれて初めてだった。
国から出るのも初めてだ。
生まれ育ち、兄さんと暮らした私の故郷。
最悪な別れとなった。本当に最悪の最悪だ。
兄さんの遺体すら回収できなかった。
お墓もない。今や形見となってしまった、昔、兄さんに貰った、私はいつも首にかけてる、緑色のペンダントを私は握りしめる。
(兄さん……兄さん……)
ダメだ。考えるな、また涙が止まらなくなる。
竜車の荷台の端で、ぐしぐしと涙を拭う私をシュナさんが優しく頭を撫でてくれた。
「ど、どうした!?」
「バカ、ありゃ、相当なワケありだ。じゃなきゃあの歳の子が一人で護衛を付けて国を渡るか」
ビクッとする私。
「イグナス、エルバ、静かにしてください」
キッと睨むシュナさん。
「わ、悪い」
「失言だ、すまねぇ」
罰の悪そうな二人をシュナさんはまだ睨む。
「ごめんね。エメレアちゃん、悪気があったワケでも悪い人たちでもないの。それは私が保証するわ」
「……うん、大丈夫です……」
竜車は進んでいく──私たちを乗せて。
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