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第296話 ノアの部屋7
しおりを挟む両手でグラスを持ち、くぴくぴと鼻唄混じりに果実酒を飲むノアは「♪」と実にご機嫌だ。
「そーいや、ロキ、ギルドの方はいいのか?」
「この時間はお暇をいただいてますよ。というか、ユキマサさんを見つけるまではお暇を頂戴するつもりだったんですけどね」
「なら、随分と短いお暇になったな?」
「こうして、貴方と大聖女様と酌み交わす機会ができるとは、1ヶ月、2ヶ月もの休みよりも貴重ですよ」
あははと笑い、ノアから〝万祭〟なる酒を貰ったロキは早くもデキ上がってきている。
「大聖女様、今度このお礼に私のお勧めのお酒をいくつか見繕って贈らせてもらいます」
「ホント? それは楽しみかな♪」
「つーか、ノアは結構飲むのか?」
「飲むよ♪ それに知ってる? お酒はね、神様との距離を縮めてくれる、素敵飲み物なんだよ♪」
「聞いたことあるような、無いような話だな? アルテナも酒好きなのか?」
意外とこの様子を酒を飲みながら見てたりしてな?
「神様は大体お酒は好きな筈だよ♪ いつか、アルテナ様とも飲んでみたいな? ──なんてね♪」
アルテナとノアのツーショットは姉妹みたいだな。髪の色も一緒だし、美女と美少女って感じだ。
「あ、ユキマサ君、おかわり♪ スイーツレモンはダブルでお願いします♪」
「はいよ、ダブルな」
スイーツレモンをやけに気に入ったらしいノアは、ダブルでおかわりしてくる。ちなみにスイーツレモンは俺も食べたが、甘味強めの甘酸っぱいレモンだ。
ひょいひょいとおかわりを作って渡すと、ノアがお返し(?)に盃に入れたエルフ酒を渡してくる。
「うんうん、ユキマサ君のスイセン服の格好だとグラスやコップより盃や枡が似合うね♪ ──どうぞ、エルフ酒♪」
「じゃあ、遠慮なく」
口当たりはいいな。すっきりしていて凄く飲みやすい。酒の味はするのに水でも飲んでるみたいにぐんぐんと胃に流れ込んでいく。それでいて仄かに今までの俺の人生で感じたことの無い、不思議な甘さがある。
「不思議な味だ。嫌いじゃない、むしろ好きかもな」
酒自体をあまり好きじゃない俺でもこれは美味いと思う。というか、この飲みやすさと、不思議な甘さにハマっちまいそうだ。
「よかった、遠慮せず飲んでね♪ 気に入ったなら全部空けちゃっていいよ♪」
「いいのか? 珍しい酒なんだろ?」
「うん、ユキマサ君が喜んでくれるなら、私はその方が嬉しいかな? あ、でも、私にも少し頂戴♪」
するとノアは俺の盃を持つ手にそっと上から触れ、そのまま俺の手ごと移動させ、エルフ酒を飲む。
「ふふ、間接キスだね♪」
「ったく、子供じゃあるまいし」
「あ、酷い。間接キスだって、私初めてだったのに」
ムスーッとノアが上目使いで怒る。
あー、もう、可愛いな、この野郎。
「ユキマサさんは罪作りですね。フォルタニアさんとも随分と仲良くなったようで、あんなフォルタニアさんは初めて見ましたよ。ああ、勿論、良い意味です」
チビチビと〝万祭〟を飲むロキはやっといつもの胡散臭い笑顔に戻った。
てか、コイツ、相当酒好きだな?
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