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第288話 再来
しおりを挟む──大都市エルクステン・クレハの家──
「な、何で、クレハの家……何ですか?」
「うーん、近いから? それに私もクレハさんにも会いたいし、会えるかな?」
「クレハ、家にいませんよ。というか行方不明で……」
と、その時だ──
「おや、エメレアにミリア、どうしたんだい!?」
「お婆ちゃん! って、クレハ!!」
そこに現れたのはクレハの祖母、マリア・アートハイムと、マリアの背中に背負われた意識の無いクレハの姿だった。
「うん、会えたね。私は運がいいみたい♪ ──と、それは〝魔力枯渇〟だね、状態は軽度の部類かな」
ノアが言う。
「治療は私がするよ、マリアさん、お家を借りてもいいかな?」
「え、ええ。勿論」
急ぎ、ノア達は家に入る。
家に入ると、クレハの部屋のベッドにクレハとミリアを寝かせ、ノアが治療をする。
「クレハさんには私の魔力を分けとくね。ミリアちゃんには回復魔法で治療するよ、ミリアちゃんはすぐに目を覚ますかな」
テキパキとノアは手を動かす。
「で、次の治療は貴方だよ。エメレアさん、治しながら、何があったかも聞いていいかな?」
「そ、それが──」
──
────
エメレアは経緯から全部を包み隠さず話した。
「なるほどね。うんうん、頑張ったね♪ でも、ユキマサ君は心からは喜ばないと思うよ?」
「別に私はユキマサに喜んで欲しいワケじゃないです」
「でも少し面倒なことになりそうだね。エメレアさんと後システィア隊長にも何かしらの処分があると思うよ」
「覚悟の上です。あ、私、システィアさんの所へ行かなきゃ。ギルドマスターに報告に行ってるんです。おばあちゃん、ごめん。ミリアをお願いしてもいい?」
「勿論、任せておきなさい」
「じゃあ、私もそろそろ失礼しようかな」
「の、白娘さん、本当にありがとうございました」
深々と頭を下げるエメレア、その近くではクレハのお婆ちゃんもノアに頭を下げている。
「どういたしまして、それじゃあ、またね──」
ノアはクレハの家を後にし帰路につくのだった。
*
「ただいま」
「ああ、おかえり」
ノアが帰ってくる。
俺はノアを出迎える。
「エメレアさん達に会ったよ」
「マジか、怒ってたろ?」
「ふふ、そうだね♪ 怒ってはいたよ」
ん? また含みのある言い方だな。
「で、そのことで伝えておきたいことがあるんだ」
「うん? ああ、話してくれ」
そして俺は聞いた──
・俺を屑と呼んだ男達にエメレアがブチギレて喧嘩になったこと。
・エメレアとミリアが怪我をしたこと。
・エメレアとシスティアに今回の喧嘩の件で何かしらの処分が下るということ。
・クレハが〝魔力枯渇〟を起こしているとのこと。
「あ、あいつら……バカやりやがって」
失礼かもしれないが、エメレアが俺が屑呼ばわりされたことについてキレたのは本当に意外だった。
「ユキマサ君、どこ行くの?」
「ギルド、エメレアの様子を見てくる」
「今は止めておいた方がいいよ。大分、警戒されていたから、具体的には憲兵がズラリ。今、騒ぎを起こしたくないでしょ?」
「……」
沈黙。ノアの言ってることは最もな意見だ。
あぁ、歯痒いな。実に歯痒い──
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