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第285話 屑2
しおりを挟む「ミリア、ミリア!!」
額と口から血を流すエメレアだが、そんなことは一切気にせず、ミリアの元へ駆け寄る。
ドス。
エメレアの腹に鈍い音が響く。
「おいおい、姉ちゃん、随分なことしてくれんじゃねぇか、無事に帰れると思うなよ?」
「離せ! ミリアを返せ!」
気を失っているミリアはピクリとも動かない。
ドバン。
顔面から地面に叩きつけられるエメレア。
痛みに顔をしかめるが声はあげない。
「何か言えよクソエルフ」
「……ユキマサを……私の大恩人を……屑呼ばわりしたことを取り消せ……私のミリアを返せ……」
「そこまで威勢も張れりゃ上出来だ。私刑確定な」
そういうとエメレアの腹を男は蹴った。
2発目、3発目、4発目と蹴りが放たれる。
「ぐふっ……」
そして5発……
「──おい、貴様ら、私の妹たちに何をしている?」
彼女にしては本当に珍しい底冷えするような冷たい声だった。
意識が朦朧とするエメレアが、その声の主がシスティアであると気付くのに数秒かかった。それほど、普段のシスティアからは想像できない冷たい声だった。
システィアの愛用のレイピアが、エメレアを踏みつける男の足を斬り飛ばす。
早業だった。男がシスティアに斬られたのに気付いたのは赤い鮮血と共に地面に足が落ちてからだった。
「第8騎士隊長システィア・エリザパルシィ……」
不意に何処からか声が上がる。
「だったらどうした?」
「いいのかよ、俺達一般市民を攻撃して? 最初に突っ掛かって来たのはそこのガキだぜ?」
「妹より、立場を選ぶ姉がどこにいる?」
ブチギレのシスティアが男達を制圧したのは、物の数分の出来事であった──
*
──大都市エルクステン
聖教会・ノアの部屋──
「意外と物、無いんだな」
ノアの部屋はクレハの部屋と比べると大分広いが、ベッドとクローゼット、黒のテーブルにゴシックなソファーがあるだけのシンプルな部屋だった。
「必要なら買うんだけどね、正直これだけあれば生活にはこと足りるからあまり物は無いんだ。まあ、座ってよ」
「そういうもんか、まあ分からんでも無いが」
俺がソファーに腰かけると、ノアも隣に座ってくる。
「で、本題ね。ユキマサ君、これどこまで本当?」
クイっと、手配書を見せてくるノア。
「結果だけ見れば殆ど本当だよ〝八柱の大結界〟の〝魔術柱〟を破壊したのはシリュウだが、警備が手薄になったのは俺がアルタイル達を倒したからだしな」
「ふむふむ、でも、ここには書いてないけど、王宮の崩壊とか〝世界樹〟の破壊は〝原始の黒〟──ウルスラとの戦いが関係してるよね?」
「まあな、でも、俺が〝シルフディート〟に攻め行ったかと言えば、違うとは言えないがな?」
「それはフォルタニアさんを助けるためでしょ? 私的にはユキマサ君が間違ってるとは思えないんだ」
「……ありがとう。で、いいのか? これも」
「いいんじゃないかな、誉めたつもりだし♪」
ソファーの横に座るノアは『ふふ♪』と、笑う。
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