250 / 378
第249話 剣斎vs屍6
しおりを挟む「〝樹霊守護者〟!? この方が!?」
フォルタニアが驚くのも無理は無い。火澄は、先祖代々〝世界樹の番人〟として世界樹を守っている守人である。
彼女が世界樹から離れられるのは数年に一度ある〝神霊祭〟の時だけだ。
勿論、今日はその日では無い。
忌々し気に火澄を睨むシリュウは、全身に更に魔力を込める。
「調子に乗るなぁァ!!」
破裂音を立て、シリュウを絡めとっていた樹木の根が爆発する。隙を見てオックボックが意識の無いヴォロンを回収するが、今のシリュウにはヴォロンの生死はどうでもよかった。
「簡単に逃がしはしないわ」
掌を下に向け火澄は無詠唱で魔法を使う。現れたのは、またしても樹木。だが先程の根だけの物より遥かに大きい。火澄の魔力を帯びた、枝、根、がシリュウを束縛し、襲いかかる。
シリュウは双剣で樹を斬るが、キリがない。どんどんと伸びてくる。
「小賢しいィ!! 術者を殺せばこの木屑も消えますでしょう!!」
シリュウは火澄に向かい、魔法を使う。
「〝大震爪・月影〟!!」
シリュウの背後から黒い鉤爪が現れる、火澄どころか、その後ろにいる女王やフォルタニアも優に吹き飛ばし、尚、まだあまる威力だろう。
「私がいるの、忘れないでもらえるかしら?」
刹那、ヒュンと言う小さな音と共に、シリュウの魔法で作られた、人の身長の何倍もある大きな鉤爪が見事なまでに綺麗にバラバラになる。
「え、エルルカ・アーレヤスト……この死に損ないがァァ!! ──〝獄龍覇・天塵〟!!」
シリュウは強力な魔法を使う、いつもの冷静さを忘れて。
球体の大きな黒い大闇魔法がエルルカ達に迫る。辺り一帯を押し潰さんばかりの黒い常闇のシリュウの大魔法に対し、逆に心底冷静なエルルカも魔法を使う。
「──〝大炎戒・永夜緋天空〟!!」
シリュウと戦い初めてからは、比べ物にならないぐらいの大魔法だ。常人なら当たれば焼き付くすどころか、骨一つ残らないであろう業火がシリュウの魔法を呑み込み打ち消す。
「貴方の樹も焼いちゃうわね、ごめんなさい」
「気にしなくていいわ。また出せばいいしね」
シリュウの魔法を打ち消し、尚まだ余力の残るエルルカの魔法の業火がシリュウに命中する。
今までにない悲鳴にも似た声をあげながら、シリュウが膝をつく。
「エルルカ、まだよ。行きなさい。こっちの守りは火澄に頼むから、こちらを気にせず戦いなさい!」
エルルカは本気を出してはいたが、女王たちを庇いながら戦っていた。
シリュウ相手に誰かを庇いながら戦うのは至難の技だ。結果、エルルカですら大怪我を負った。
「……分かったわ」
エルルカの表情には悔しさも見れる、女王たちを守りながらでも互角近くには持ち込もうと思っていた。
だが結果は敗北と言っても差し支えないダメージを受けた、フォルタニアやオックボック、そしてヴォロンに回復や時間稼ぎをしてもらわなければ本当に危なかったかもしれない。
エルルカは刃に魔法を込めると、刀身が潰したトマトのように真っ赤になる。炎属性の魔法だ。刃を構え、刃を振るう、動きを止められたシリュウに刃を当てることなど、今のエルルカには造作もなかった。
28
あなたにおすすめの小説
湖畔の賢者
そらまめ
ファンタジー
秋山透はソロキャンプに向かう途中で突然目の前に現れた次元の裂け目に呑まれ、歪んでゆく視界、そして自分の体までもが波打つように歪み、彼は自然と目を閉じた。目蓋に明るさを感じ、ゆっくりと目を開けると大樹の横で車はエンジンを止めて停まっていた。
ゆっくりと彼は車から降りて側にある大樹に触れた。そのまま上着のポケット中からスマホ取り出し確認すると圏外表示。縋るようにマップアプリで場所を確認するも……位置情報取得出来ずに不明と。
彼は大きく落胆し、大樹にもたれ掛かるように背を預け、そのまま力なく崩れ落ちた。
「あははは、まいったな。どこなんだ、ここは」
そう力なく呟き苦笑いしながら、不安から両手で顔を覆った。
楽しみにしていたキャンプから一転し、ほぼ絶望に近い状況に見舞われた。
目にしたことも聞いたこともない。空間の裂け目に呑まれ、知らない場所へ。
そんな突然の不幸に見舞われた秋山透の物語。
やさしい異世界転移
みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公
神洞 優斗。
彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった!
元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……?
この時の優斗は気付いていなかったのだ。
己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。
この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
俺、何しに異世界に来たんだっけ?
右足の指
ファンタジー
「目的?チートスキル?…なんだっけ。」
主人公は、転生の儀に見事に失敗し、爆散した。
気づいた時には見知らぬ部屋、見知らぬ空間。その中で佇む、美しい自称女神の女の子…。
「あなたに、お願いがあります。どうか…」
そして体は宙に浮き、見知らぬ方陣へと消え去っていく…かに思えたその瞬間、空間内をとてつもない警報音が鳴り響く。周りにいた羽の生えた天使さんが騒ぎたて、なんだかポカーンとしている自称女神、その中で突然と身体がグチャグチャになりながらゆっくり方陣に吸い込まれていく主人公…そして女神は確信し、呟いた。
「やべ…失敗した。」
女神から託された壮大な目的、授けられたチートスキルの数々…その全てを忘れた主人公の壮大な冒険(?)が今始まる…!
社畜の異世界再出発
U65
ファンタジー
社畜、気づけば異世界の赤ちゃんでした――!?
ブラック企業に心身を削られ、人生リタイアした社畜が目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界。
前世では死ぬほど働いた。今度は、笑って生きたい。
けれどこの世界、穏やかに生きるには……ちょっと強くなる必要があるらしい。
異世界でゆるゆるスローライフ!~小さな波乱とチートを添えて~
イノナかノかワズ
ファンタジー
助けて、刺されて、死亡した主人公。神様に会ったりなんやかんやあったけど、社畜だった前世から一転、ゆるいスローライフを送る……筈であるが、そこは知識チートと能力チートを持った主人公。波乱に巻き込まれたりしそうになるが、そこはのんびり暮らしたいと持っている主人公。波乱に逆らい、世界に名が知れ渡ることはなくなり、知る人ぞ知る感じに収まる。まぁ、それは置いといて、主人公の新たな人生は、温かな家族とのんびりした自然、そしてちょっとした研究生活が彩りを与え、幸せに溢れています。
*話はとてもゆっくりに進みます。また、序盤はややこしい設定が多々あるので、流しても構いません。
*他の小説や漫画、ゲームの影響が見え隠れします。作者の願望も見え隠れします。ご了承下さい。
*頑張って週一で投稿しますが、基本不定期です。
*本作の無断転載、無断翻訳、無断利用を禁止します。
小説家になろうにて先行公開中です。主にそっちを優先して投稿します。
カクヨムにても公開しています。
更新は不定期です。
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
『スローライフどこ行った?!』追放された最強凡人は望まぬハーレムに困惑する?!
たらふくごん
ファンタジー
最強の凡人――追放され、転生した蘇我頼人。
新たな世界で、彼は『ライト・ガルデス』として再び生を受ける。
※※※※※
1億年の試練。
そして、神をもしのぐ力。
それでも俺の望みは――ただのスローライフだった。
すべての試練を終え、創世神にすら認められた俺。
だが、もはや生きることに飽きていた。
『違う選択肢もあるぞ?』
創世神の言葉に乗り気でなかった俺は、
その“策略”にまんまと引っかかる。
――『神しか飲めぬ最高級のお茶』。
確かに神は嘘をついていない。
けれど、あの流れは勘違いするだろうがっ!!
そして俺は、あまりにも非道な仕打ちの末、
神の娘ティアリーナが治める世界へと“追放転生”させられた。
記憶を失い、『ライト・ガルデス』として迎えた新しい日々。
それは、久しく感じたことのない“安心”と“愛”に満ちていた。
だが――5歳の洗礼の儀式を境に、運命は動き出す。
くどいようだが、俺の望みはスローライフ。
……のはずだったのに。
呪いのような“女難の相”が炸裂し、
気づけば婚約者たちに囲まれる毎日。
どうしてこうなった!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる