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第234話 休戦
しおりを挟む「──死死死死……やっと着きましたか」
不敵に笑うシリュウはエルルカの相手に集中する。
「ここは通しませんよ? 貴方に行かれたら、せっかく来た部下達が全滅しかねませんからね」
「……」
エルルカは無言だ。
その間にも、あっという間に〝魔王信仰〟の増援が大広間に攻めてくる。皆、怪しげな黒いマントに、これまた黒い口当てを着けている。
「──覚悟! シアナ・シルフディートォ!!」
「陛下ッ!!」
ザグリ。
鮮血が舞う。まるで噴水のようだ。
「……ヴォロン」
血を吹いたのは、女王を庇った第2王子──ヴォロン・シルフディートであった。
「ハハハ、盾になるのはいいな、悪くない苦痛だ!」
ドバドバと血が流れるヴォロンは流血を意に介さず、ハハハと笑う。
あれ、笑い事の出血量じゃねぇぞ?
「王族の首、貰ったぁァ!!」
「──仕方ねぇな」
ドバン!!
俺は〝魔王信仰〟の男に蹴りをお見舞いする。ちなみに、未だにフォルタニアはお姫様抱っこ状態だ。
「貴様、何の真似だ」
「さあな、でもまあ、俺は別にお前らを殺しに来た訳じゃない──目の前で〝魔王信仰〟の奴等の好きにさせるのも癪だし、エルルカも戦ってるしな?」
「いいや、そうじゃない! 私への攻撃を何で邪魔したんだと言う意味だ! 痛みが感じられないじゃないか!」
「……は?」
やべ、素で返しちまった!
そーいや、コイツ……ドMだったな?
「すいません、兄が……こういう人なんです」
謝るフォルタニア。まあ、いいけど。
「あ、あの! ゆ、ユキマサ様、図々しいとは百も承知で、どうかお願いがあります!」
「〝魔王信仰〟を倒せばいいか?」
「──ッ!?」
「いや、流石に分かるぞ?」
「待ちなさい。貴方に何の利点があるの?」
女王が鋭い目付きで見てくる。
バン、バン、ドン!!
その間も敵は待ってはくれないので、俺は向かってくる〝魔王信仰〟の奴等を〝魔力銃〟で倒しながら話を続ける。
「……だから言ったろ? 〝魔王信仰〟の奴等に好き勝手にさせるのが癪だってな? 後、付け足しとくが、アルタイル達を倒した件は謝らねぇからな?」
そこは明確にしておく、それはそれこれはこれだ。
「分かったわ」
「一時休戦だな? フォルタニア一度降ろすぞ?」
「あ、はい、すいません。重かったですよね」
「いや、全然、むしろ嬉しかったぐらいだ」
するとフォルタニアは顔を赤らめ「あ、ありがとうございます」と言って来る。
「じゃあ、下がってな、シルフディート家──」
そうして俺は〝アイテムストレージ〟から〝月夜〟を取り出して、構え──〝魔王信仰〟に刃を振るう。
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