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第219話 応接室
しおりを挟む応接室を覗くと、今や何処か懐かしくすら思う、デコ出しがチャーミングの綺麗な長い金髪の髪のエルフの女性──フォルタニア・シルフディートを発見する。
(フォルタニア、やっとお目にかかれたな)
テーブルを挟み、その向かいには高そうな服を着て、頭にはティアラを付けている、フォルタニアから幼さを取り、髪型を少し変えただけの、フォルタニアによく似た、同じく長い金髪のエルフ美女がいる。
さて、どうするか──
このままフォルタニアを連れ帰るのは簡単だ。
だが、根本的な解決にはならない。連れ戻されるのが関の山だ。つーか、これ、問題は山積みだな。
──!?
不味い、誰か来る!!
しかも、多分この国の手練れだ。
このままじゃ気づかれるな。
(チッ、一旦、退くか。折角、ここまで来たのに)
そうして俺は一度この場を去るのだった。
*
──エルフの国〝シルフディート〟
王宮・応接室──
コンコン、コンコン。
「失礼します!」
「来たわね。アルタイル」
アルタイルと呼ばれた青髪のエルフの青年は、女王とフォルタニアに頭を垂れる。
「ロキ・ラピスラズリに何か動きはある?」
「いえ、今の所、私の方にも、何も〝精神疎通〟の報告は入っておりません」
──〝精神疎通〟
一部の例外があるにせよ、エルフの種族の者は生まれつき全員が、スキル〝精神疎通〟を持っている。
その発動条件は2つ。
・〝精神疎通〟は〝精神疎通〟を持っている仲間のエルフにのみ使用ができる。
・通称──〝手合わせ〟と呼ばれる、相手の掌と自身の掌を合わせたことのある人物にのみ、通信が可能である。
「そう、何か動きがあれば直ぐに報告しなさい」
「御意。念の為〝大都市エルクステン〟の騎士隊の方も警戒しておきます」
「ええ、頼むわね」
「……」
女王とアルタイルの会話を、悲しそうな表情でフォルタニアは無言で聞いている。
(……〝星艦〟アルタイル・フォース……ウチのギルド……いえ、もうウチではありませんか……〝大都市エルクステン〟のギルド隊長と同格かそれ以上に強いですね。確実に互角以上に戦えるとしたら第1騎士隊長のティクタス隊長ぐらいでしょうか)
「フォルタニア」
「はい、何でしょうか、お母様」
「もういいわ、部屋に戻りなさい。明日は結婚式よ、早く休みなさい」
「……分かりました。それではアルタイル様もごきげんよう」
「ハッ、フォルタニア様、ゆっくりお休みくださいませ」
そうアルタイルに見送られながら、フォルタニアは応接室を後にするのだった──
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