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第208話 第二王子
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フォルタニアは食事を終えると、またもやベッドに寝っこがる。こんなだらけたフォルタニアは珍しい。
それだけ今回の状況に参ってたということである。
「ロキ……私はこんなに弱かったのですね」
ボソリと、そう呟くフォルタニア。涙を流さなかっただけ頑張ったと言えるだろう。
──コンコン、コンコン。
その時、控えめなノックがフォルタニアの部屋のドアを叩く。
「はい」
「フォルタニア様、失礼します」
すると青色の髪のエルフの男性と茶髪ロングの人間の女性が入って来る。
「アルタイル、ベガ、只今参りました」
男性の方がアルタイル、女性の方がベガだ。
「エルフの国の近衛騎士団のNo.1とNo.2がお見えですか。それで、私になにかご用ですか?」
「いえ、用という程のことでは……」
「ただご挨拶をと思いまして──」
「私に気遣いは不要ですよ」
「ハッ、かしこまりました!」
「では、我々はこれにて」
シュッと、一瞬で下がるアルタイルとベガ。
「近衛騎士団長アルタイル・フォースと、近衛騎士副団長ベガ・アルルカント──強いですね、見張りも兼ねてという事ですか。別に私は逃げはしませんのに」
ふぅ、と息を吐くフォルタニアの表情は暗い。
*
──エルフの国〝シルフディート〟
王宮・ヴォロンの部屋──
金髪の髪、シルフディート王国、王位継承権第二位、第二王子──ヴォロン・シルフディートは自室にて、水を張った洗面器に顔を突っ込んでいた。
ぶくぶくぶくぶく。
(あぁ……身体が酸素を求めて苦しむ快感……いぃ……いいぞ、そそられる……ぶくぶくぶくぶく……)
何を隠そう──シルフディート王国、第二王子ヴォロン・シルフディートは生粋のドMであった。
コンコン。
「ヴォロン様、お食事の時間です」
「クソを付けろといつも言ってるだろうっ!」
「す、すいません。クソ王子様、お食事の時間です」
「残飯だろ? 何度いわせれば分かるんだ」
「ハッ、本日も選りすぐりの不美味な残飯をご用意しています」
「よし、案内しろ。空腹に悩まされるのもまた一興だが、残飯となれば話は別だ。ゴミ箱いきの食材が我が体内に入り込んでくるとは、まるで自分もゴミになったかのような背徳感があるな、ハッハッハッハ!」
何て返せばいいんだろう……。と、本気でヴォロンを呼びに来たメイドは頭を抱える。
「お、無視か! よいの、よいのぅ!」
……喜ばれてしまった。
「で、では、こちらへ──なッ!?」
メイドが驚くのも無理は無い。
こちらへといった瞬間、足元をなにかが高速で駆けた──ハイハイで。
それがヴォロン王子だと気づくのに熟練のメイドでも、数秒を要したという。
「どうした? 放置プレイか? 悪くないな!」
どこまでも決してブレる事がない、目の前のドM王子にメイドは背筋に冷たいものを感じた──
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