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第201話 風邪2
しおりを挟む「うぅん……」
夜中、熱が更に上がってきた様子のクレハが小さく唸りを上げる。
(クレハ……大丈夫か……何で俺の回復魔法じゃ風邪は治せないんだ、毎回我ながら謎だ──)
*
「う……うん……」
朝、最初に目覚めたのは俺だった。
「……ユキマサ君……起きてたの……」
「今起きた所だ、クレハ、熱は……まだありそうだな」
腕枕から伝わるクレハの体温から、まだクレハの熱が下がってない事を確認する。
「クレハ、昨日の夜から何も食ってないだろ? 何か作ってくるよ、台所借りるぞ」
「うん、ありがとう」
ということで俺は台所を借り、お粥を作る。
クレハの婆さんはクレハの風邪薬を朝一で買いにいったみたいだ。
さて、まずは米を用意してと──
お粥はシンプルに作るのが一番美味い。
俺は鍋に水を入れ、米を煮ていく。
米が煮える間に俺はミリアの森で貰った〝ゴッドアップル〟をウサギ切りで切る。
エメレアの話だと最高級のリンゴらしい。
「お、そろそろ完成するな」
火を止め、お粥を皿に装い、クレハの部屋に運ぶ。
「クレハ、お粥できたぞ、食えるか?」
「うん……ありがとう……」
ベッドから上体を起こすクレハだが、上体を起こすだけでも辛そうだ。
「あ、おい、フラフラじゃねぇか」
「ご、ごめんね」
「いや、だから謝る必要は全く無いんだが……仕方ねぇな。ちょっと失礼するぞ?」
と、俺はクレハの背後に回る。
所謂、バッグハグの形でクレハを寄りかからせる。
「ゆ、ユキマサ君っ///」
「嫌だったか? 寄りかかれた方が楽だろ?」
「ぜ、全然嫌じゃない……///」
「そりゃよかった」
これでクレハに嫌だとか言われたら立ち直れなかったところだったな。
「美味しそう……いただきます……」
「召し上がれ、塩はお好みで入れてくれ」
「美味しい! あ、ダルかった疲れが取れる……ユキマサ君の〝料理師〟のスキルだね」
「みたいだな、少しでも楽になれば俺も嬉しいよ」
「リンゴも美味しい。ミリアのリンゴだね」
「ミリアには沢山果物貰ったからな」
その後もクレハはゆっくりと食事を進める。
*
「──ご馳走さまでした」
「お粗末さん、食欲があって良かった」
と、俺が食器を片付けようとするとクレハが少し残念そうに口を開く。
「う……何か勿体ない」
「何がだ?」
「ユキマサ君に寄りかかるの私好きかも」
「ハハッ、何だそりゃ? こんなんでよければいつでもしてやるよ」
「ほんと?」
「ああ、本当だ。食器を片付けたら、またしてやるよ」
そう言い俺は食器を片付けに行く。
すると丁度そのタイミングでクレハの婆さんが風邪薬を買って戻ってくる。
「おかえり、婆さん。丁度、クレハが食事を終えた所なんだ。よければ持っていくが、薬を貰えるか?」
「ただいま。ええ、じゃあ、お願いしようかしら。それとこれも渡しといて貰えるかしら?」
「ん? 何だこれは?」
婆さんから渡されたのは果物だ。
「エメレアとミリアからだよ。丁度ギルドの近くであってね、クレハが風邪って伝えると、お見舞いだってくれたのよ」
「なるほどな、了解だ」
正直、こないだのミリアのくれた果物で果物は事足りてる気がするんだが、よく見るとミリアの森では無かった種類の果物だ。
被らないように配慮はしてくれたんだな。
「あ、あと、エメレアがユキマサさんに重々よろしくと伝えてくれとのことですよ」
「なんだそりゃ? まあ、確かに聞いたよ」
そう言い残し、俺はクレハの部屋に戻る。
「クレハ、婆さんが風邪薬買って、エメレアとミリアからお見舞品貰ってきてくれたぞ?」
「ほんと? 後でお婆ちゃんとエメレアちゃん達にお礼言わないと」
「それなら早く治さないとだな?」
「うん」
「風邪薬、飲んどけ」
「うん、ありがとう」
クレハに風邪薬を飲ませた後、俺は約束通り、クレハをバッグハグ体制で寄りかからせながら、ベッドに腰かける。
「えへへ……/// 何か凄く嬉しい」
「まだ寝てろ、熱も下がってないんだから」
「うん、でも、もう少しだけ……ねぇ、ユキマサ君、お話ししよ」
俺を下から覗き込むクレハは少し真剣な顔で、そう言ってくるのだった──
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