生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
上 下
199 / 378

第198話 結界の家

しおりを挟む

「……ん、寝ちまった」

 俺は目を覚ますと上体を起こす。

 すると隣には、すやすやと寝息を立てるノアとクレハの姿があった。
 
(よく見なくても、宝石みたいに綺麗な奴だな、ノアは)

 後、傷、治ってるな。完全に。

「んっ……んっ……」
「おはよう、ノア、治療ありがとな。それと寝ちまってすまん」

「おはよう、全然大丈夫だよ。ふふ♪ 朝起きて男の人の顔が真っ先に目に入って来るなんて初めてかな」

 相変わらずのマイペースさでノアは微笑む。

 じー。
 ノアとは反対側から視線を感じる。

「クレハもおはよう」
「うん、おはよう。ノアさんも」

「おはよう、クレハさん、いい朝だね」

 ふりふりと手を振るノアは機嫌がよさそうだ。

 *

 クレハの婆さんが、作ってくれた朝食をノアも含め一緒に食べると、俺達はギルドへ向かう。

「じゃあ、私は大聖堂に戻るね」
「改めてありがとな、助かったよ」

「どういたしまして、また会おうね」
「今度は外に食事でも行こうぜ、ギルド前の〝ハラゴシラエ〟はクレハに教わったんだが絶品なんだ」

「うん♪ 楽しみにしてるね♪ それじゃ、またね」

 そう告げるとノアは旋風を巻き上げ、風のように去っていくのだった──

 *

「あ、やっと来た」

 ギルドに着くと理沙と糞爺がいた。

「悪い、待たせたな」
「まあ、このギルドは色々あるから退屈はしなかったけどね」

「それじゃ行くかの」
「ああ、その前に改めて、こっちはクレハだ。この世界に来てかなり世話になってる」

 俺がそういうとペコリとクレハが頭を下げる。

「クレハ・アートハイムです。よろしくお願いします」

稗月暁ひえづきあかつきじゃ」
花蓮理沙はなはすりさです」

「それじゃ、自己紹介も済んだし、行くか、この世界の糞爺の家に──」

 *

 にしても、婆ちゃんに会うの久しぶりだな。
 話したいことも沢山あるんだ。

 何せ8年ぶりだ。背も大分伸びたんだぜ? もう身長は余裕で追い越したかな。昔はよく手を繋いで歩いてくれたよな? あの頃は照れ臭くて言えなかったけど、すごく嬉しかったんだ。

「ここじゃ」
「ん? 何にもないじゃねぇか」

 場所は〝大都市エルクステン〟から歩いて30分ぐらいの何の変哲もない森だ。

「結界を張ってあるからの、普通じゃ気づかん」
「なるほど、そう言うことか」

 すると何もない空間に糞爺が手刀を入れると、そこからぐにゃりと空間が歪む。

「凄い……」

 クレハが呟く。

「邪魔するぜ」
「お邪魔します」
「ただいま」

 結界内に入ってく糞爺に続き、俺、クレハ、理沙がそれに続く。

「お帰りなさいませ」

 飛び込んできたのは薄ピンク色の髪をした女性だ。年は20代半ばぐらいだろうか?
 しかしこの女……どっかで見たことある気が……

「おい糞爺。誰だこの女は?」
「コイツか? コイツはストレアじゃ」

「ストレア? どっかで聞いたことあるような……」

 どこでだっけ?

「あ、ユキマサ君、レヴィニアさんのお姉さん!」
「それだ!」

 確か〝7年前の魔王戦争〟の時に白獅子──糞爺に拐われた事になってる奴だ。
 見た感じデマっぽいぞ?

「つーか、婆ちゃんどうした? 家ん中か?」

「……!? ユキマサ、お前……何を言うとるんじゃ……」
「おじいちゃん、私たちユキマサに言ってない!」

 何だ? どう言うことだ?

 その後、理沙に付いてきてとだけ言われ、後を付いていくと稗月魅王ひえづきみおうと書かれた墓石がそこにあった── 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

初期ステータスが0!かと思ったら、よく見るとΩ(オメガ)ってなってたんですけどこれは最強ってことでいいんでしょうか?

夜ふかし
ファンタジー
気がついたらよくわからない所でよくわからない死を司る神と対面した須木透(スキトオル)。 1人目は美味しいとの話につられて、ある世界の初転生者となることに。 転生先で期待して初期ステータスを確認すると0! かと思いきや、よく見ると下が開いていたΩ(オメガ)だった。 Ωといえば、なんか強そうな気がする! この世界での冒険の幕が開いた。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

固有スキルガチャで最底辺からの大逆転だモ~モンスターのスキルを使えるようになった俺のお気楽ダンジョンライフ~

うみ
ファンタジー
 恵まれない固有スキルを持って生まれたクラウディオだったが、一人、ダンジョンの一階層で宝箱を漁ることで生計を立てていた。  いつものように一階層を探索していたところ、弱い癖に探索者を続けている彼の態度が気に入らない探索者によって深層に飛ばされてしまう。  モンスターに襲われ絶体絶命のピンチに機転を利かせて切り抜けるも、ただの雑魚モンスター一匹を倒したに過ぎなかった。  そこで、クラウディオは固有スキルを入れ替えるアイテムを手に入れ、大逆転。  モンスターの力を吸収できるようになった彼は深層から無事帰還することができた。  その後、彼と同じように深層に転移した探索者の手助けをしたり、彼を深層に飛ばした探索者にお灸をすえたり、と彼の生活が一変する。  稼いだ金で郊外で隠居生活を送ることを目標に今日もまたダンジョンに挑むクラウディオなのであった。 『箱を開けるモ』 「餌は待てと言ってるだろうに」  とあるイベントでくっついてくることになった生意気なマーモットと共に。

処理中です...