生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

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第191話 治療

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 ──現代・大都市エルクステン
       ギルドマスター室──

「……と、言うわけだ」

 俺は簡潔に話しを纏める。部屋には相変わらず、クレハ、エメレア、ミリアにノアとロキ、フォルアニアとシスティアに糞爺と理沙がいる。

「『と、言うわけだ』じゃないわよ! 異世界って何!? フォルタニアさん!」

 エメレアが叫ぶ、フォルタニアに今の話しが嘘か本当かを確かめているのだろう。

「嘘はありませんね……正直、私も驚いています」

「クレハは知ってたの?」
「うん、大体は……元カノの件は知らなかったけど」

 ムスり顔のクレハ。

「私は大体知ってたかな? 神託で見たよ」

 どこまでも落ち着いた様子のノアは、この場でいちばん落ち着いてる様子だ。

「ノアは理沙が来ることも知ってたのか?」
「ごめん、それは知らなかったかな、私が知ってたのはユキマサ君の方……それと、大丈夫? その傷」

 ノアの視線が俺の腹部へと向く。
 ガリアペストから貰った一撃のやつだ。

「ああ、自分の怪我は自分じゃ俺は治せないらしくてな。まあ、クレハに貰った〝上回復薬ハイポーション〟が効いてるよ」
「そっか、ならいいんだけど」

「それにしても驚きました。異世界もですが、白獅子と血縁者とは……」

 本気で驚いた様子のロキ。

「俺は糞爺が白獅子なんて名で呼ばれてる方が不思議だけどな? つーか、その髪どうしたんだ?」

 以前は黒髪だった髪が白くなってる糞爺に俺は質問する。

魔力消失マジックアウトではないでしょうか?」

 その質問に答えたのはフォルタニアだ。

「何だ、そりゃ?」
「一定以上の魔力をすると起きる現象です」

「魔王との戦いで少し無茶しての、このザマじゃ」

魔力消失マジックアウト? 治らないのか?」
「多分、お前が治療しても無理じゃな」

「そうか……」
「なあに、ユキマサが気に病むことはない。わしが自分でやったことじゃからの」

「そうかよ、別に心配なんてしてねぇけど」 

「積もる話しもあるかと思いますが、今は魔王戦争の後片付けを優先してもよろしいですか?」

 恐る恐るロキが発言する。

「すまんの、気にせず続けてくれ」
「それには同感だ、俺たちに気にするな」

「はぁ、そう言われましても……」

「どっちだよ!?」

 てか、ロキが言い出しっぺだろ? 何で悩むんだよ。こいつも混乱してるのか?

「あのなぁ、話せることは全部話したつもりだぞ?」
「まだ頭の整理がつきませんで、ですか、そうでしたね、そうですね、すいません」

「いや、謝ることはないが……」

 いささか言葉に詰まるロキに言葉が詰まる。

「取り合えず、今日は解散でいいんじゃないかな? 後始末もバカみたいに残ってるし……暁さんも理沙さんもそれでいいよね?」

 ノアが発言するが、その言葉は重い。
 まるで、その全てが正しいかのようだ。

「わしは構わんぞ」
「わ、私もです」

「だ、そうだ。つーか、ロキ、魔王戦争の後始末もバカみたいに残ってんだろ? それに集中しろ」

「分かりました。まだまだ話を聴きたくないといえば嘘になりますが、まずは都市の終息を急ぎましょう。隊からもかなりの負傷者を出してしまった」

 瞬時に頭を切り替えられるロキは優秀だ。

「ユキマサ、解散とのことじゃが、明日またこの場所に集合でよいかの?」
「なんだ、こっちから予定をいれようと思ってたが、不要だったか?」

「……怒っとらんのか?」
「そうだな。怒ってる。でも、何か理由があるんだろ? 明日、ちゃんと話せ、ちゃんと聞くから」

「……分かった」

 そう糞爺は言うのだった。

 *

 ギルドを出ると糞爺と理沙は壁外にあるという家に向かった。明日には再集合だしな、久しぶりに会う婆ちゃんにも楽しみだ。

「負傷者、多いみたいだな」
「うん、魔王戦争だからね、これでも少ない方だよ」

 隣のクレハが言う。

「最小限記録でしょうね、今回は六魔導士から3名、それに聖女様、大聖女様にユキマサ様が集まってくださり、大戦力で迎え撃つことができました」

 高らかに話すロキは手を空に大きく広げ、大変満足な様子だ。

「ギルドマスター、第3隊と第6隊が戻ってきました! 共に多数の重傷者が見られますが、死者は確認されていません」

 隊の一人がロキに報告する。

「直ぐに手当てを!」
「任せな、俺も手伝う」

「ほ、本当ですか! 重ね重ね申し訳ありません」
「私も手伝うよ」

 そう自ら手を挙げたのはノアだ。

「決まりだ──おい! 重傷者からこっちに運べ! つーか、ヴィエラ! お前だ、お前!」

 明らかに一人、意識は何とかあるようだが大ケガの第3隊長のヴィエラ・フローリアを俺は名指しで呼ぶ。

「ユキマサ……私より他の人をお願い」
「言ったろ? 重傷者順だ、お前のはもう重体だろうがな、あとはそこの忍者か?」

 ちなみに軽傷、重傷は命に別状がない怪我。
 重体は命に別状がある怪我だ。

「僕も大丈夫です……先に皆さんを」

 忍者服の猫人族キャットヒューマンの男性が喋るが、ヴィエラ同様、傷は深そうだ。

「何度も言わすな、重体のお前らが優先だ。ノアはこの忍者を頼む、ヴィエラは俺が治す」
「了解、ルドルフ隊長、じっとしててね?」

 そうして俺たちは治療をしていく。
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