生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
上 下
168 / 378

第167話 終戦

しおりを挟む


 *

 ──大都市エルクステン・壁外──
 
 そこにはゴライアスに乗った、血だらけの愧火キビがいた。脳と心臓は破壊されていないが、ティクタスとの戦いで怪我を負っていた。
 ティクタスからは隙を突いて逃げ出してきたが、魔王が倒され、しばし呆然としていた。

「これは俺達の負けだな、ズラかるぞ」

 そう言い、愧火キビはゴライアスの変異種ヴァルタリスに乗り、その場を後にする。

 *

 ──大都市エルクステン・壁外北部──

「ユキマサ君、よかった、魔王を倒せたみたいだね♪」 
 
 魔物を葬りながらノアが嬉しそうに笑う。
 魔王が倒されると、街に向かっていた魔物達はちりじりに散らばっていく。

 だが、ノアはその魔物達を魔法で作った自身の身長の何倍もある大剣で、一振り、二振りと、大剣を振るい、魔物を倒して行く。

 *

 ──大都市エルクステン・ギルド──

「「「「「「「うおぉぉぉぉ!!」」」」」」」

 ギルドから歓声があがる。

「魔王が倒された! それは本当ですか!」 

 明るい笑顔になるロキ。

「はい、壁外上空にて魔王城の崩壊が確認されています」
「彼は無事ですか!?」

「ユキマサ様、クレハさんの無事の確認はまだ取れていません。現在、安否不明のギルド隊員も合わせて早急に確認いたします──」

 *

 俺とクレハは大都市エルクステンに向かい歩く。

「よし、戻るか!」
「うん、お、お疲れ様ぁ!」

 クレハはドバっと疲れた様子だ。

 と、その時だ──

 パァァァン! と、空が光る。

(これは魔王の封印が変わった時と同じ──)

「魔王が倒されると、66日ごとに変わる魔王がみたいだよ」
「なるほどな」

 てことは、最悪、連戦の可能性もあるのか──

 と、次の瞬間、

「「クレハぁーー!」」

 ダダダダタッとエメレアとミリアが走ってくる。

「エメレアちゃん、ミリア!?」
「「クレハ!」」

 ぎゅ、ぼふりと二人がクレハに抱き付く。

「二人共無事でよかった! 第1隊の援軍はどうなったの?」
「そ、それが……私達が駆けつけた時は既に魔族愧火キビした後だったわ」

「そうなんだ……でも、スゴい成果だよ! 魔王を倒して、魔王軍も殆ど壊滅だもん!」
「そうよね! でも、本当にここ最近は生きた心地がしないわ、クレハ、無事でよかったぁー!」

 再び、むぎゅりとエメレアはクレハに抱きつく。

「おーい、お前ら、嬉しいのは分かるが、ギルドに戻るぞ?」
「べ、別に、貴方に言われなくても分かってるわよ」

 ようやく俺を見たエメレアはムクれている。

 渋々ながら歩き始めるエメレアはクレハに抱きついたままだ。いつも聞き分けのいいミリアも、今回ばかりはクレハの袖を可愛く嬉しそうに掴んでいる。

 ぐしゃぐしゃになった大砦の門を潜り抜け、大都市エルクステンに戻る。
 街の中は、あれ? こんな人沢山いたっけ? と思うほど騒がしくなっており、歓声が街にこだまする程に大きく広がっている。

「ユキマサさん! よかった、ご無事のようで!」
「ロキか、随分と街が騒がしいが、ノア達や他の連中はどうなっている?」

「大聖女様達もこちらへ向かってるようです。怪我をしたギルドの隊の者達も、既に救助に向かっております。お陰さまで被害も最小限と言っていいでしょう」
「そうか、そういえばロキ、こんな物を拾ったんだが、いるか?」

 俺はロキに魔王石を渡す。

「魔王石!! 魔王を倒した証明になりますね! ですが、これは大聖女様にお渡しください」
「ノアにか? 分かった、そうするよ」

 と、その時だ──

「──あーー! やっと、見つけた!! ユキマサ!!」

 こちらに一人の少女が駆け寄ってくる──そして俺はその少女の姿を見ると、自分の目と耳を疑った。

「……は、!? 何でお前ここにいるんだ!?」

 それは他でもない。元いた世界のにいた筈の、俺の幼馴染みにして、血の繋がらない兄妹家族である栗毛色の長い髪の少女──花蓮理沙はなはすりさであった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

はずれスキル『本日一粒万倍日』で金も魔法も作物もなんでも一万倍 ~はぐれサラリーマンのスキル頼みな異世界満喫日記~

緋色優希
ファンタジー
 勇者召喚に巻き込まれて異世界へやってきたサラリーマン麦野一穂(むぎのかずほ)。得たスキルは屑(ランクレス)スキルの『本日一粒万倍日』。あまりの内容に爆笑され、同じように召喚に巻き込まれてきた連中にも馬鹿にされ、一人だけ何一つ持たされず荒城にそのまま置き去りにされた。ある物と言えば、水の樽といくらかの焼き締めパン。どうする事もできずに途方に暮れたが、スキルを唱えたら水樽が一万個に増えてしまった。また城で見つけた、たった一枚の銀貨も、なんと銀貨一万枚になった。どうやら、あれこれと一万倍にしてくれる不思議なスキルらしい。こんな世界で王様の助けもなく、たった一人どうやって生きたらいいのか。だが開き直った彼は『住めば都』とばかりに、スキル頼みでこの異世界での生活を思いっきり楽しむ事に決めたのだった。

ReBirth 上位世界から下位世界へ

小林誉
ファンタジー
ある日帰宅途中にマンホールに落ちた男。気がつくと見知らぬ部屋に居て、世界間のシステムを名乗る声に死を告げられる。そして『あなたが落ちたのは下位世界に繋がる穴です』と説明された。この世に現れる天才奇才の一部は、今のあなたと同様に上位世界から落ちてきた者達だと。下位世界に転生できる機会を得た男に、どのような世界や環境を希望するのか質問される。男が出した答えとは―― ※この小説の主人公は聖人君子ではありません。正義の味方のつもりもありません。勝つためならどんな手でも使い、売られた喧嘩は買う人物です。他人より仲間を最優先し、面倒な事が嫌いです。これはそんな、少しずるい男の物語。 1~4巻発売中です。

巻き込まれ召喚されたおっさん、無能だと追放され冒険者として無双する

高鉢 健太
ファンタジー
とある県立高校の最寄り駅で勇者召喚に巻き込まれたおっさん。 手違い鑑定でスキルを間違われて無能と追放されたが冒険者ギルドで間違いに気付いて無双を始める。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

クラス転移して授かった外れスキルの『無能』が理由で召喚国から奈落ダンジョンへ追放されたが、実は無能は最強のチートスキルでした

コレゼン
ファンタジー
小日向 悠(コヒナタ ユウ)は、クラスメイトと一緒に異世界召喚に巻き込まれる。 クラスメイトの幾人かは勇者に剣聖、賢者に聖女というレアスキルを授かるが一方、ユウが授かったのはなんと外れスキルの無能だった。 召喚国の責任者の女性は、役立たずで戦力外のユウを奈落というダンジョンへゴミとして廃棄処分すると告げる。 理不尽に奈落へと追放したクラスメイトと召喚者たちに対して、ユウは復讐を誓う。 ユウは奈落で無能というスキルが実は『すべてを無にする』、最強のチートスキルだということを知り、奈落の規格外の魔物たちを無能によって倒し、規格外の強さを身につけていく。 これは、理不尽に追放された青年が最強のチートスキルを手に入れて、復讐を果たし、世界と己を救う物語である。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~

明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!! 『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。  無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。  破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。 「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」 【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?

処理中です...