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第158話 ゴライアス
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──大都市エルクステン
聖教会・大聖堂前──
そこには魔王ガリアペストと戦う、大聖女──ノア・フォールトューナの姿があった。
「向こうはシラセさんが勝利したみたい──それに私も流石に押されてきたかな、やっぱ魔王は別格だね」
時折、魔王の毒を浄化しながら戦うノアだが、すぐにまた魔王から毒ガスが吹き出てくる。
ノアは辺りの住民を助けながら戦う。
魔王相手に住民を助けながら戦えるノアは流石であった。
次の瞬間、ノアが口を開く──
「そろそろ私も少し本気でいくよ?」
ノアを纏う雰囲気が変わる。
周りの人間が、そのノアの姿を見ると、誰もが神々しさを感じた。
ノアが横に右手を伸ばす──
するとノア自身の身長の何倍もあるかという程の、ゴツく長い青く燃える剣が現れる。
ノアの魔法で作られた剣だ。
「行くよ」
そう呟くと、刹那──魔王との距離を一気に詰め、ノアはバカでかい剣を振り下ろす!
ザクッ──
「!?」
魔王から鮮血があがる。
これには魔王ガリアペスト自身も驚く。
「お、重たいな……どういう体重してるのかな?」
ノアの疑問もその筈、体長5~6m程度の魔王にしては、その体の質量が異常であった。
まるで星に斬り付けたかのような感覚だった。
次に魔王が動く。
3つある長い尻尾がノアを貫くように攻撃する。
──ザンッ!
ノアは瞬時に自身の何倍もあるかという青く燃えるゴツく長い剣を魔法で生成し、大きく振るう。
魔王の尻尾が切れ、ドシン……と、鈍い音を立て地面に落ちる。
「ほら、私も中々やるでしょ?」
そしてノアは優しく不敵に笑う。
*
──大都市エルクステン・東部──
そこには魔物と戦う、ギルド第1騎士隊の姿があった。
住民の避難を着実にこなし、街を侵略する魔物を片付けている。
「倒しても倒してもキリがありませんね」
ザクリ、と魔物を斬り倒しながら〝狼人族〟の青年が口を開く。
この〝狼人族〟の青年こそが、ギルド第1騎士隊長である──ティクタス・フーズレイズだ。
身長は190を超え、銀髪の紳士的な雰囲気を纏う。
「ご、ゴライアスだぁ! ゴライアスが出たぞ!」
数人の冒険者が血相を変えて、ティクタスの元へ走り込んで来る。
「……ただのゴライアスではありませんね。青いゴライアス何て見たことありません、パワーも桁違いです」
その姿は大きい、20mは軽くある。人型の巨人だ。
肌は青白く、ただのパンチで爆発させるように街を破壊する筋骨粒々のその姿に、辺りの者達は息を呑んだ。
「ゴアァァァァァァァァァッ!!!!」
大気が震える。
「ゴライアス──ということは、魔獣の変異種ですか……皆さん、戦えますか? 戦える方は私に付いてきてください!」
ティクタスが冒険者と第1騎士隊に声をかける。
「だ、第1騎士隊長〝狼王〟ティクタス・フーズレイズ……」
「あんなのと戦えるかッ! 俺は同じ魔獣扱いのヒュドラの変異種の件でもう懲り懲りなんだよ! 仲間も死んじまった! 今は魔王までいるんだろ!」
逃げてきた、冒険者が狼狽える。
「逃げたければ逃げなさい、責めはしません」
そっと目を向け、ティクタスが言う。
「……クソッ、生き残ったらギルドに褒賞金をせしめてやるからな! 覚えてろよ!」
吐き捨てるように冒険者達が言う。
だが、覚悟は決めたようだ。
「──!? 速いっ!!」
ギュンッと、その体格からは考えられないスピードで攻撃を仕掛けてくる。
間一髪、ティクタスが剣でそれを防ぐが、その全部は攻撃を防ぎきれず、後方に吹き飛ばされる。
「ガハッ」
ガラガラガラ……と、家屋を薙ぎ倒し、ティクタスが吹き飛ばされるのを、冒険者達と第1騎士隊員は唖然と眺めていた──。
「嘘だろ……」
「「「「「ティクタス隊長!!」」」」」
バッ、ザン!
飛び出したティクタスがゴライアスに斬りかかる。
「首を狙った筈ですが、少しズレましたね」
しかも皮膚が固いとティクタスは頭を抱える。
今の攻撃も当たりはしたが思ったよりも浅い。
「おい、狼王の兄ちゃん、だ、大丈夫なのか?」
「確かにダメージはありますが、動けないほどではありません。油断しました、気を引き締めます」
心配する冒険者にそう返事し、ティクタスはゴライアスに向き合う──。
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