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第144話 赤い石
しおりを挟むこんな状態で、何で隕石が降ってくんだよ!?
(──不味い! どうする、とにかく上空で破壊しなければ、もし一つでも街に直撃したら終わりだ!)
俺は降ってくる3つの隕石を破壊するため、急ぎ、隕石のある、遥か上空へと向かおうとするが──
「ユキマサ様、お待ちください! 大聖女様からの連絡で──『ここは私に任せて』とのことです!」
右手を耳に当て、直接ノア本人からなのか、ノアの仲介役からの連絡なのかは分からないが〝精神疎通〟を使い、連絡を取るフォルタニアに止められる。
「おい何だ!! あれは!」
「隕石だ!! 隕石が降ってきたぞ!!」
「逃げろ!! 冗談じゃねぇっ!!」
外からはいくつもの悲鳴が聞こえる。
ギルドの中も、軽くパニック状態だ。
「──ノアが? ……分かった、少し様子をみよう」
ノアがそういうならこの場は任せよう──それとこれは余談だが、もし昨日、俺はノアに会ってなかったら、一概に〝大聖女〟だからと言う理由で、この場を任せたりしなかっただろう。
それが偶然かは知らんが、上手く疎通できたな。
でも、万が一の為に、俺はいつでも迎撃できる体制で、もうすぐ落ちてくる隕石を険しく見つめる。
*
──大都市エルクステン 聖教会・大聖堂──
そこに長い綺麗な銀髪の少女がいた。
その傍らには長い黄緑の髪のエルフの女性がいる。
部屋には酒樽ほどの大きさのある〝魔力水晶〟がいくつもあり、一つ一つが今の街の様子を映している。
「──ヴィクトリアさん、ユキマサ君には伝わったかな?」
「はい、フォルタニア殿を通じ、通達済みです」
ヴィクトリアと呼ばれたエルフの女性は〝魔力水晶〟に映る街の状況を確認すると、じんわりと額と手に汗を滲ませながら、返事を返す。
「了解、それと私のとってもお気に入りのこの街を隕石だろうが、何だろうが好き勝手にはさせないよ?」
そう言うと、ノアは両手に魔力を込める。
「《世界を守りし・障壁よ・光れ》──〝聖域〟」
*
──大都市エルクステン
ギルド・入り口付近──
「──何だこれは? ノアの仕業か?」
ノアに言われた通り、空から降ってくる3つの隕石への対応をノアに任せ、俺は警戒しながら空を眺めていると──白く透明な結界のような物が辺りを包む。
規模はデカイ、この都市を丸ごと包んでる様子だ。
(受けるつもりか、結界で──)
確かに結界で受け、防ぐことができれば被害は最小限で済む。
すると……
「──大聖女様の結界ですか、ここはお任せして問題なさそうですね」
同じくその様子を見ていた人物が、こちらに向かい、話しながら歩いてくる。キリッとした女性の声だ。
薄茶色の軍服に軍帽を被った、赤紫の長い髪の10代後半ぐらいの少女で、腰には剣を携えている。
「こんにちは、フォルタニアさん。それとそちらの貴方は噂の──〝竜殺し〟の方ですね」
(うお! 〝黒い変態〟って言われなかったぞ!)
──コイツ、絶対イイ奴だ!
この世界に来てからと言うもの、何処かのエルフのせいで〝黒い変態〟の名が、轟いていたからな。
大丈夫か? 雨とか降らないよな?
雪も槍も勘弁だぞ?
などと考えて、空を見上げてみたら、
……そういえば、さっきから隕石降ってきてたな。
「あ、あれは別に俺のせいじゃないぞ?」
「……? え、ええ……そうでしょうね」
心底不思議そうな顔をされた。
ちょっと頭を冷やそう。
「お待ちしてました。シラセ様、六魔導士の方が来てくださり、とても心強く思います」
「六魔導士? この軍服美少女がか?」
「ご存じなかったのですね、こちらは六魔導士の一人──二つ名は〝独軍〟シラセ・アヤセ様です」
フォルタニアが軍服美少女の説明してくれる。
「先に名乗られてしまいましたね、初めての経験です。2年前に師匠から受け継いで、六魔導士になった若輩者ではありますが、以後よろしくお願いします」
そう言うと、指をスライドし、軍服少女は〝ステータス画面〟をこちらに見せてくる。
―ステータス―
【名前】 シラセ・アヤセ
【種族】 人間
【性別】 女
【年齢】 20
【レベル】96
(レベル96か、強いな──)
「シラセと呼んでください」
「ああ、俺はユキマサだ」
続けて俺も〝ステータス画面〟を見せる。
―ステータス―
【名前】 ユキマサ
【種族】 人間
【性別】 男
【年齢】 16
「ユキマサさんですね、よろしくお願いします。それとそろそろ隕石が来ますよ。大聖女様の結界なら、大丈夫かと思いますが、万が一に備えてください──」
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