142 / 378
第141話 神託
しおりを挟む「──大聖女!?」
「ホント、貴方、何で知らないのよ!」
俺はエメレアに怒られる。
つーか、俺の前の予想あってたじゃん……
大聖女は銀髪って聞いてたから、最初見た時の紫の髪が地毛だと思って、違うって判断したやつだ。
(うーん、恐るべし……魔法……)
──バッ
気づくと、クレハ達3人は立ち上がりノアに頭を下げている。
「知らずとはいえ、大変失礼しました」
3人を代表し、クレハが口を開く。
「あ、いいよいいよ、そういうの。私も畏まられ過ぎるのは好きじゃないんだ。ユキマサ君みたいに、普通に話してくれると嬉しいな♪」
―ステータス―
【名前】 ノア・フォールトューナ
【種族】 人間
【性別】 女
【レベル】100↑
【年齢】 17
すると、ノアは指をスライドした後、それぞれに指を弾くような動作をし、俺を含めた4人に自身の〝ステータス画面〟を見せてくる。
「「「……!!」」」
俺はこないだ見たから、あまり驚かないが……
三人は息を呑むように緊張しながら驚いている。
「それとも、こないだユキマサ君みたいに何か渾名でも付けてみる? 何が良いかな?」
「このバカは大聖女様に何で渾名なんて付けてるのよ!」
またもや俺はエメレアに怒られる。
そう言われてもな……
「ふふ、白娘って呼ばれたよ♪ そんな呼ばれ方は初めてだから新鮮だったな♪ あ、新しく私の事はトューナちゃんとかどうかな? 渾名っぽいでしょ?」
クスクスと笑うノアは何故か、渾名呼びが随分とお気に召したらしい。
「……できれば、大聖女様──もしくは御尊名で呼ばせてほしいのですが」
「うーん、じゃあ、お互いさん付けにしようか! 私は呼び捨てはあんまりしないんだ。深い理由は無いけどね。てことで、私もクレハさんって呼ぶね♪ 後エメレアさんとミリアちゃん♪」
どうやら、ミリアはちゃんらしい。
まあ、そっちのが確かにしっくりくるな。
「わ、分かりました」
「私もです」
「ひゃ、ひゃいっ」
クレハ、エメレア、ミリアは、それぞれ頷きながら、ノアに返事を返す。
「それで、俺に伝えたいことって何だ?」
──ゴス……
エメレアに蹴られた。なんなんだよ?
「貴方、まだ目の前の人物が誰なのか分かってないの!? 一周して、最早天才よ? バカの天才」
最後の一言が余計だ……
何だよ、バカの天才って……
文字だけみるとパッと見、矛盾しかない。
「あはは、ユキマサ君はいつも通り話してくれればいいよ♪ 今更ユキマサ君に敬語使われても変だしね」
と、フォローも入ると、エメレアは「大聖……ノアさんがそれでいいなら……」と、渋々引き下がる。
自己紹介も程々に、次に俺はノアに本題を聞く。
「で、エメレアに遮られたが、用ってなんだ?」
「うん、それなんだけどね、明日はユキマサ君に絶対に、この〝大都市エルクステン〟に居て欲しいんだ」
「別に構わないが、何故だ? 理由は聞いてもいいのか?」
「──アルテナ様の事は知ってるよね?」
「ん? ああ、神様の事だろ? 知ってる」
知ってるも何も、そのアルテナに呼ばれて、
俺は今この世界に居るわけだからな。
「私ね、時々未来の夢を見るの──予知夢ってやつかな? 〝聖教会〟では〝神託〟って呼ばれてるけどね。ユキマサ君の名前を最初に知ったのも、その夢でだよ」
それでか……!? やっと、初対面でノアに、クレハ以外には伝えても公開してもいない筈の、俺の本名を当てられた理由が分かったぞ。
「──ッ……その夢でアルテナに会ったのか?」
「会ったり、会わなかったりかな? ユキマサ君の事の時は、夢で会って聞いたよ♪ 銀髪で優しくて、凄く美人な方だよね」
神託──夢で会ってか……これまた凄い話だな。
「性格はポワポワしてたな? それで何を見たんだ? てか、今回はアルテナには会ったのか?」
そんな質問する俺をエメレアとミリアは唖然と見ている。
クレハだけはじっと黙って話を聞いている。
「今回は会ってないかな。毎回会えるものでも、いくら神託とは言え、全てを思いどおりに分かる訳でもないみたい。今回私が見たのは赤い石と黒い山──」
毎回で無くとも、見れるだけで凄いと思うけどな。
にしても、赤い石と黒い山か……
何とも予言チックな言葉じゃねぇか。
「嫌な予感がするの、だからユキマサ君にも明日はこの都市にいて貰いたいの──私の方でも〝中央連合王国アルカディア〟から〝六魔導士〟を明日に向けて、1人呼んでもらってる、大事無ければいいけど、念の為ね。それに偶然か必然か、明日はあの日だから──」
「あの日?」
含みのある言い方に俺は聞き返す。
「それも伝えなきゃだね、ユキマサ君、この世界で明日はね、66日ごとに訪れる魔王が変わる日だよ──」
36
お気に入りに追加
539
あなたにおすすめの小説
初期ステータスが0!かと思ったら、よく見るとΩ(オメガ)ってなってたんですけどこれは最強ってことでいいんでしょうか?
夜ふかし
ファンタジー
気がついたらよくわからない所でよくわからない死を司る神と対面した須木透(スキトオル)。
1人目は美味しいとの話につられて、ある世界の初転生者となることに。
転生先で期待して初期ステータスを確認すると0!
かと思いきや、よく見ると下が開いていたΩ(オメガ)だった。
Ωといえば、なんか強そうな気がする!
この世界での冒険の幕が開いた。
異世界転生~チート魔法でスローライフ
玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。
43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。
その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」
大型連休を利用して、
穴場スポットへやってきた!
テントを建て、BBQコンロに
テーブル等用意して……。
近くの川まで散歩しに来たら、
何やら動物か?の気配が……
木の影からこっそり覗くとそこには……
キラキラと光注ぐように発光した
「え!オオカミ!」
3メートルはありそうな巨大なオオカミが!!
急いでテントまで戻ってくると
「え!ここどこだ??」
都会の生活に疲れた主人公が、
異世界へ転生して 冒険者になって
魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。
恋愛は多分ありません。
基本スローライフを目指してます(笑)
※挿絵有りますが、自作です。
無断転載はしてません。
イラストは、あくまで私のイメージです
※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
少し趣向を変えて、
若干ですが恋愛有りになります。
※カクヨム、なろうでも公開しています
【完結】神様と呼ばれた医師の異世界転生物語 ~胸を張って彼女と再会するために自分磨きの旅へ!~
川原源明
ファンタジー
秋津直人、85歳。
50年前に彼女の進藤茜を亡くして以来ずっと独身を貫いてきた。彼の傍らには彼女がなくなった日に出会った白い小さな子犬?の、ちび助がいた。
嘗ては、救命救急センターや外科で医師として活動し、多くの命を救って来た直人、人々に神様と呼ばれるようになっていたが、定年を迎えると同時に山を買いプライベートキャンプ場をつくり余生はほとんどここで過ごしていた。
彼女がなくなって50年目の命日の夜ちび助とキャンプを楽しんでいると意識が遠のき、気づけば辺りが真っ白な空間にいた。
白い空間では、創造神を名乗るネアという女性と、今までずっとそばに居たちび助が人の子の姿で土下座していた。ちび助の不注意で茜君が命を落とし、謝罪の意味を込めて、創造神ネアの創る世界に、茜君がすでに転移していることを教えてくれた。そして自分もその世界に転生させてもらえることになった。
胸を張って彼女と再会できるようにと、彼女が降り立つより30年前に転生するように創造神ネアに願った。
そして転生した直人は、新しい家庭でナットという名前を与えられ、ネア様と、阿修羅様から貰った加護と学生時代からやっていた格闘技や、仕事にしていた医術、そして趣味の物作りやサバイバル技術を活かし冒険者兼医師として旅にでるのであった。
まずは最強の称号を得よう!
地球では神様と呼ばれた医師の異世界転生物語
※元ヤンナース異世界生活 ヒロイン茜ちゃんの彼氏編
※医療現場の恋物語 馴れ初め編
最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした
服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜
大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。
目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!
そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。
まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!
魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!
『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる
農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」
そんな言葉から始まった異世界召喚。
呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!?
そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう!
このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。
勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定
私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。
ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。
他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。
なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。
誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!
ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく
高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。
高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。
しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。
召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。
※カクヨムでも連載しています
【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。
ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。
剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。
しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。
休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう…
そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。
ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。
その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。
それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく……
※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。
ホットランキング最高位2位でした。
カクヨムにも別シナリオで掲載。
転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。
克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります!
辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる