生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
上 下
134 / 378

第133話 魔族6

しおりを挟む


「……それはこっちの台詞だ。何でこんな所にいんだよ、ユキマサ──?」

 驚いた顔でフィップが俺に返事を返して来る。
 そして、頭部が割れ、心臓を貫いたアルケラが……

 ──バリバリ、バーン!!

 魔物を倒した時と同じく、
 全身にゲームのようなラグが走り、消えていく。

「は……!? 魔族も死ぬと消えるのか?」

 俺は予想外の出来事に、フィップの質問そっちのけで、思ったことを口に出してしまう。

「あたりめーだ、何で知らねぇんだよ?」
ついでに教えてくれ、これは何だ? 魔力結晶にしては大分小さいみたいだが……」

 呆れ気味のフィップに俺は、アルケラが消えた後に落ちてきた、トランプのダイヤのマークのような菱形ひしがたの結晶を手に取り、質問する。

 色はで、サイズは小さい。
 親指と人差し指で普通に持てる、5cmぐらいだ。

 魔物が落とす〝魔力結晶〟に似ているが、それとも違うみたいだ。

「〝魔族〟を倒したら残る〝魔力核まりょくかく〟だ。ギルドにでも、聖教会にでも持ってきな。魔族を倒した証拠になる」
「なるほどな。つーか〝魔族〟ってのはどれぐらいいるんだ?」

「…………お前、マジで言ってんのか?」

 最早フィップは、俺の知識の無さにドン引きだ。

 チラリと俺の後ろにいるクレハを見ると、うんうんと頷いてくれている。

「正確には残り8人だ──〝7年前の魔王戦争〟で〝魔王ユガリガ軍〟の魔族3人が、魔王ユガリガと一緒に倒されたからな、それで今お前が倒したのが〝魔王イヴリス軍〟の魔族だ」

 ドン引きしつつも、フィップは説明してくれた。

「助かる……」
「あ、後ね〝魔族〟は、各魔王軍に3人ずついるよ」

 ここでクレハの補足が入る、ありがたい。

「それにあたしがアルケラに会った時点で、瀕死だったが、やったのはお前だな?」
「ああ、最後の最後で逃がしちまってな。フィップが足止めしてくれて助かった、礼を言う」

「足止め何て大層な事でもなかったけどな? それとお前──〝イリス皇国〟の連中を見てないか?」

 大鎌を左肩に掛けながら、フィップが真剣な目と口調で聞いてくる。

「イリス皇国? ドレスのお姫様──レヴィニアとイルザになら、ついさっきあったぞ。つーか、最初にアルケラに追われてたのはそいつらだ。今お前は『連中』って言ってたが、俺はその二人しか見てないぞ」

 俺は隠すこと無く、フィップに話す。
 変に警戒する相手じゃないしな。

「なんだと!? バカ、それを早く言え! 王女達はどこだ!? 生きてんだろうな!?」

 声を荒らげ、フィップは俺を見る。

「イルザの方は怪我が酷かったから治療して、その後、イルザはレヴィニアを連れて〝大都市エルクステン〟に向かった──それで俺とクレハはアルケラを追って来たら、お前がアルケラと戦ってて、クレハの〝瞬間移動〟でアルケラの背後に移動して、心臓をつらぬいてトドメを刺したんだよ。これが大まかな経緯だ」

一先ひとまず、王女とイルザは無事みたいだな。それにそこの女は、こないだギルドで、あのエルルカ相手に言い合ってた奴だな?」

 チラリとフィップはクレハを見る。

「あ、えーと、その節はすいません。クレハ・アートハイムと申します。よろしくお願いします」

 少し顔を赤らめながら、クレハが頭を下げる。

「クレハ、覚えとくよ。あたしの事はフィップって呼んでくれ。それとユキマサ、あたしは〝大都市エルクステン〟に戻るぞ? お前達はどうする?」

 クレハと軽く自己紹介を交わし、フィップが俺に問いかけてくる。

「俺達も戻る、元々は俺達は軽い散歩のつもりだったんだがな。どうやら、思った以上に大事おおごとになってるみたいだし、ロキにこれも渡したいしな──」

 と、俺はアルケラからドロップ(?)した……というか、残した〝魔力核〟に目を落とす。

「なら、一緒に行くぞ、お嬢も心配するしな」
「お嬢……ああ、アリスか」

「他に誰がいんだよ?」

 こう見えて、アリス、大・大好きのフィップは、こんな会話でもアリスの事になると睨んでくるので「悪かった、悪かった。ほら、行くぞ?」と──俺は適当に話を流し、クレハと、そしてフィップと共に、急ぎ足で〝大都市エルクステン〟へ戻るのだった。
 
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

初期ステータスが0!かと思ったら、よく見るとΩ(オメガ)ってなってたんですけどこれは最強ってことでいいんでしょうか?

夜ふかし
ファンタジー
気がついたらよくわからない所でよくわからない死を司る神と対面した須木透(スキトオル)。 1人目は美味しいとの話につられて、ある世界の初転生者となることに。 転生先で期待して初期ステータスを確認すると0! かと思いきや、よく見ると下が開いていたΩ(オメガ)だった。 Ωといえば、なんか強そうな気がする! この世界での冒険の幕が開いた。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...