生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
上 下
68 / 378

第67話 魔物と動物

しおりを挟む


「──といっても、どこから話したものか……」
「えーと、じゃあ、どんな感じの人だったの?」

 悩む俺にクレハが質問して来てくれる。
 
(これは助かる、質問形式のが話しやすいしな)

「糞爺は今は置いとくして……婆ちゃんや、親父や母さんはみんな優しい人だったよ──俺の両親が亡くなったのは、今から8年前だ。俺が8時の頃に山の事故で亡くなった」

 その話しを、クレハは神妙な顔で聞いている。

「そして、それからすぐに糞爺と婆ちゃんが出ていった。何処に行ったかは知らないし、出ていく時には糞爺は『わしを恨んでいい、この糞爺をな──』とか言って、俺を50mメートルぐらい蹴り飛ばして出ていったよ」

 ちなみにそれ以来、俺は糞爺を糞爺と呼んでいる。

「え、お爺さんとお婆さんは何で出ていったの!? というか、何でユキマサ君は蹴り飛ばされたの!?」
「さあな? でも、婆ちゃんは体も弱くて病気もあってな? 8年前の時点で厳しい状態だったから、海外他の国の大きな病院にでも連れてったんじゃないか? 元気ならいいが、後、蹴られた理由は知らん」

 蹴りに関しては、本当に謎しか残ってない。

(あの、糞爺め……)

「そ……そうなんだ……」
「他に変わった事だと──糞爺も婆ちゃんも、親父も母さんも、一定の年になると、見た目は20代半ばぐらいで若かったとかか?」

「え、な、何それ……!?」

「さあな、どういうわけか……糞爺と親父は、恐らくこの世界で言う──〝魔力〟や〝スキル〟みたいな物を持ってたのかもな。ただ単に特殊な血筋かもしれんが、とにかく糞爺と親父は25~30歳ぐらいから老けなくなったとか言ってた」 

(だから、糞爺と街を歩いてると、孫では無く……必ず息子か、年の離れた兄弟に間違われるんだよな……)

「あれ……でも、それだとお爺さんやお父さんはともかく、ユキマサ君のお婆ちゃんとお母さんは〝魔力〟や〝スキル〟を確実に持ってない人だったってことだよね? それなのに老けなかったの?」

「……そうだな。まあ〝元いた世界〟では、母さん達みたいに〝魔力〟や〝スキル〟が無いのが普通なんだけどな? 婆ちゃんや母さんが老けなかったのは、ちょっとしたはあるんだが……悪い、今は言えない」

(母さんや婆ちゃんも、見た目は20代にしか見えなかったからな……婆ちゃんに至っては、本当の歳を言って、身分証まで見せても、信じてくれる人は少なかったしな。初対面で信じたのは理沙ぐらいだ)

「あ、あれ……ダメなの? ちょっと興味あったんだけど……口止めされてるとか?」
「まあ、そんな所だな」

 ──昔、酔った親父が口を滑らせたんだが…… 
 翌日、こっぴどく母さんに怒られたらしい親父が、手と額を地面に擦り付けながら『頼むから黙っててくれ』と切実に言ってたからな。

 別にクレハになら話してもいいと思うんだが……何て言うか、少しな内容も含んでいるので……
 今、この場で説明するのは止めておきたい。

「つーか、この世界ならみたいなのは別に珍しく無いだろ? 吸血鬼のフィップも、あの姿で歳は300越えとか聞いたぞ?」

 あいつも20代ぐらいにしか見えなかったしな。

「そうだね。吸血鬼とかエルフの人達は種族的にも長寿だし、老化現象に関しても、あまり気にしてる人は少ないかな?」

 そう考えると、エメレアやフォルタニアは、エルフの中だとかなり若い部類なんだな。

「確かにフィップも歳とか別に気にして無かった感じだったな──あ、それと、今日ちょっと気になった事があったんだが、聞いてもいいか?」

 ふと、俺は今の種族とかで思いだした疑問を、クレハに聞いてみていいか確認を取る。

「あ、うん。何?」
「魔物と動物の違いって何だ?」

 俺は今日、アトラが〝水仙鳩すいせんばと〟と言う〝魔力〟を持ったを見た時に思った疑問を質問する。

 異世界に来たばかりの俺は〝大猪おおしし〟とかの体験から

 ・魔力を死んだらその場でのが魔物
 ・魔力を死んでも死体が残るのが動物

 なのでは無いかと、思っていたのだが……
 今日の〝魔力〟を持った動物の出現で、その考えが間違いだと気付かされた。

「そっか。魔力が無かったユキマサ君の居た世界だと、そういう所も違う事になるんだね?」

(やはりこれもこの異世界では一般常識なのか……)

 クレハには、異世界から来た事を話してあるので『そうなんだ』ぐらいで済んだが……

 他の奴等に聞いてたら、また俺は〝異世界の常識地雷〟を踏み『この人、頭大丈夫?』みたいな感じで可哀想な人を見る、ドン引いた目で見られてる所だったな。

「魔物や魔獣と動物の違いはね、大きく分けて2つあるんだ──
 1つは魔物と魔獣は死ぬとその場で確率で〝ドロップアイテム〟がドロップするの。
 でも、動物は死んでも死体はに残って、動物からは〝ドロップアイテム〟がドロップする事は無いんだ。
 ……えーと、ここまでは分かる?」

 ここまでは何となく思ってた通りみたいだ。

「ああ、最初は驚いたがな?」
「うん。じゃあ、次ね、2つ目はが有るか無いかだよ。動物には心臓があるけど──魔物や魔獣には心臓が無いんだ」

「は……? 心臓が無い? じゃあ、どうやって動いてんだ……魔物だって斬ったら血も出たぞ?」

「〝魔力〟だよ。魔物や魔獣は〝魔力〟で動いてるの。まあ、食事を取る魔物もいるみたいだけどね? ギルドにも、畑や家畜を荒らす魔物の退治依頼とか結構あったりするよ?」
「でも、例えはクラゲとか、元々心臓の無い生き物とかもいるだろ? それはどういう扱いになるんだ?」

 まあ、この世界にクラゲがいるかは知らんが、
 パッと思い浮かんだ疑問をついでに聞いてみる。

「そういう時は1つ目の違いで判断する感じだよ。基本的にそういう時は、死んだ時にその場で死体がかで判断する事になるよ。魔物と魔獣のこれだけはだから。まあ、クラゲとかの場合は稀な特例みたいな感じで考えていいと思うよ?」
「そういう事か……やっと理解したよ」

 何となくこの世界の仕組みがわかってきたな。

 あと、クラゲもいるんだな。
 どうでもいいけど。

 アルテナの言うとおり、この〝異世界〟は〝元いた世界〟とは全く別の構造で成り立ってるみたいだ。

「どういたしまして、またいつでも聞いてね?」
「ああ、助かる」

 話しも一区切り付いたので『そろそろ寝るか?』みたいな感じになったのだが……

 ──その後も、何だかんだで俺とクレハは、この後2時間ぐらい、他愛もない話を話し込んでしまい、気付くと……いつの間にか、お互い寝落ちそのまま寝てしまう。

(……やっぱ、温かいな……)

 もう半分ぐらい寝ている、微睡まどろみの中で、意識が遠退く最中……俺は頭の中で、そんな事を思いながら眠りに落ち──〝異世界〟3日目の日が終わるのだった。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生

野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。 普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。 そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。 そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。 そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。 うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。 いずれは王となるのも夢ではないかも!? ◇世界観的に命の価値は軽いです◇ カクヨムでも同タイトルで掲載しています。

処理中です...