生まれる世界を間違えた俺は女神様に異世界召喚されました【リメイク版】

雪乃カナ

文字の大きさ
上 下
28 / 378

第27話 第2騎士隊長と第3騎士隊長2

しおりを挟む


「〝剣斎けんさい〟エルルカ・アーレヤストっていうと、人類最高峰の鍛冶師にして〝中央連合王国アルカディア〟の、たった6人の少数精鋭〝王国魔導士団〟通称〝六魔導士〟の1人よね……人類でも、トップクラスの実力者で〝7年前の魔王戦争〟でも大活躍した人物よ!? ──貴方、何でそんな超大物に、プロポーズなんてされてるのよ!」

 バンッとテーブルをてのひらで叩き、身を乗り出しながら、エメレアが長々な説明付きで、俺に話しかける。

(ある程度はクレハから聞いていたが……反応を見るに、俺が思っていたよりも、随分と大物らしいな?)

 それに、今の説明だとエルルカは『〝7年前の魔王戦争〟でも大活躍』ってのが少しキーな気がする。

 でも、そんな事より──

 ……今はクレハの視線が何か怖い。

 こちらをずっとジトーっとした目で「ふーん……ふーん……」と呟きながら、俺を見ている。

 そして、何が怖いって……
 クレハの、その瞳にはいつも必ずある筈の、が何処にも見当たらなのだ。

(これ、回復魔法で治ったりしないかな……?)

 すると、先程からこちらに話すタイミングを、伺う様子を見せていた、ヴィエラに話しかけられる。

「〝剣斎けんさい〟からプロポーズされたって事はユキマサさんは〝剣斎〟より強いって認められたって考えていいのかしら? ──あ、普通に呼んでしまったけど、ユキマサさんって呼ばせて貰っていいかしら? それと私は〝第3騎士隊長〟の──ヴィエラ・フローリアよ。ヴィエラって呼んでちょうだいね!」

 軽く自己紹介した後に、指をスライドするような動作を見せ。最早、異世界の名刺代わりでお馴染みである〝ステータス画面〟を見せてくる。
 
 ―ステータス―
 【名前】 ヴィエラ・フローリア
 【種族】 鳥人族ハルピュリア
 【性別】 女
 【年齢】 27
 【レベル】60

 やっぱり、鳥人族ハルピュリアか。簡単に言うと翼の生えた人間だな。見た感じは足とかも人間のそれだしな。

「さあな? それと別にさんは付けなくていいぞ?」

 ──確か、武器屋のレノンの話だと……

 エルルカはもし誰かと付き合うなら『自分より強くて見た目も若く、黒髪の男性じゃないと嫌だ』とかいう随分と具体的な事を言っていたらしい。

(今の質問をして来るって事は、経緯は知らないが、ヴィエラはそのエルルカの話を知ってたんだろうな)

 次に、俺も軽く魔力を込めて指をスライドし……

 ―ステータス―
 【名前】 ユキマサ
 【種族】 人間ヒューマン
 【性別】 男
 【年齢】 16

 お馴染みの素っ気ない〝ステータス画面〟を、俺はヴィエラと、後、リーゼスにも見せる。

「あら、否定も肯定もしないのね? それと呼び方の件も了解よ。じゃあ、改めてよろしくお願いするわね。ユキマサ。これからは私とも是非仲良くしてちょうだいね?」

 可愛く少し斜めに、人指し指を立てたポーズを取りながら、ヴィエラはウィンク混じりに言ってくる。

「ほほう! それにしてもあのとまで言われた〝剣斎〟と恋仲とはすみに置けんの? わしは──リーゼス・ロックじゃ。ちなみに〝第2騎士隊長〟を任されとる。気軽に、リゼ爺とでも呼んでくれいの!」

 リーゼスも、軽い自己紹介と共に〝ステータス画面〟を見せてくる。

 ―ステータス―
 【名前】 リーゼス・ロック
 【種族】 人間ヒューマン
 【性別】 男
 【年齢】 68
 【レベル】67

「いや、別に恋仲とかじゃないんだが……ユキマサだ。まあ、よろしく頼むよ。リゼの爺さん?」

「何と!? あの〝剣斎〟をフリおったのか? ──エルルカ・アーレヤストと言えば、ファンクラブができる程の超絶美人で、腕っぷしは強く、ああ見えて弟子や仲間思いで。その上、とても一途で、ちまたでは、理想の嫁ランキングは、常に上位の超絶美女じゃぞ?」

 ずいぶんと詳しいな? てか、何だよ? 理想の嫁ランキングって? あと何処のちまただ?

 すると、サラッとお代わりのお茶を持ってきてくれたフォルタニアから、俺はお茶を受け取ると「悪いな」と言い、俺はそのままお茶を飲み始める。

「──というか、ユキマサ君の返事を待たずにエルルカさん帰っちゃったんだよね……そういえば『また会いましょ、今度は二人で』とか言われてたけど……あの後、二人で会ったりしたの……?」

 クレハもお茶のお代わりを受け取ると、何処か気を紛らわすような感じでお茶をズズッ……と飲んでいる。

「いや、会ってねぇよ? それにあの後、俺はクレハとずっと一緒にいただろうが……」

 その言葉に「むッ……」と反応するエメレアと「あらまあ」と何だか楽しそうなヴィエラ。

 そして気づくと、いつの間にかヴィエラとリーゼスも椅子に座り、フォルタニアのお茶を飲んでいる。

 ちなみにヴィエラは俺の右隣で、リーゼスはエメレアの左隣に座っている。俺は別に構わんが……ヴィエラ? お前は魔物の数が不可解だの、魔族だの、何だのの調べはいいのか?

 後〝魔王信仰〟がどうのとかも言っていたな?
 まあ〝魔王信仰〟何て呼び方で、想像はつくが……
 
「そ、そうだったね……! ずっと一緒に居たもんね、そっか、そうだよね……うん……!」
 と、何故か少し機嫌が良くなって行くクレハ。
「……ず、ずっと……ですって……?」
 と、なんか少し機嫌が悪くなって行くエメレア。

「ふむ。でも〝剣斎〟が、自分より上と認めたのが本当なら、大体お主のレベルの想像はつくのう?」
「悪いな? レベル非公開で?」

 俺は嫌みっぽくでは無く、流すように言う。

「そんな事は気にせんでよいよい。むしろ詮索せんさくをしている、わしのがマナー違反じゃからの?」
「……そうか。別にそれぐらいは構わねぇよ」

「ちなみに六魔導士のエルルカさんのレベルっていくつぐらいなんですか?」

 と、まずそこを確認するエメレア。どうやら俺のレベルあてクイズに参加するらしい。

 お前は俺の事はどうでもいいんじゃなかったのか?

 そしてエメレアの質問にフォルタニアが答える。
「ご本人から確認した情報ではございませんが。エルルカ様のレベルは、1年前の時点で〝88〟だと聞いております」
 
「……88!?」
「私もそれぐらい……いやそれ以上に強くならなきゃ」
「ケフ……ケホ、お茶が気管支に入っちゃった……」
「その話は、私も聞いたことあるわよ」
「レベルが全てでは無いが、わしもまだまだじゃの」

 エメレア、クレハ、むせるミリア、ヴィエラ、リーゼスが、エルルカのレベルに対し、それぞれの感想を述べている。

 まあ、1人はお茶が気管支への侵入報告だったが。

(えーと……ミリア、大丈夫か?)

 だが、よく見るとエメレアが『むせた時は頭を低くしなさい』とミリアの顔をうつ伏せで、自分の膝の上に乗せ、優しく背中を擦っている。

 相変わらず、ミリアには物凄く優しいな?

 その優しさの0.1%ぐらい俺にも分けてもらえませんかね……? と、そんな事を考えながら、俺はお茶を啜る。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

初期ステータスが0!かと思ったら、よく見るとΩ(オメガ)ってなってたんですけどこれは最強ってことでいいんでしょうか?

夜ふかし
ファンタジー
気がついたらよくわからない所でよくわからない死を司る神と対面した須木透(スキトオル)。 1人目は美味しいとの話につられて、ある世界の初転生者となることに。 転生先で期待して初期ステータスを確認すると0! かと思いきや、よく見ると下が開いていたΩ(オメガ)だった。 Ωといえば、なんか強そうな気がする! この世界での冒険の幕が開いた。

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

最強の職業は解体屋です! ゴミだと思っていたエクストラスキル『解体』が実は超有能でした

服田 晃和
ファンタジー
旧題:最強の職業は『解体屋』です!〜ゴミスキルだと思ってたエクストラスキル『解体』が実は最強のスキルでした〜 大学を卒業後建築会社に就職した普通の男。しかし待っていたのは設計や現場監督なんてカッコいい職業ではなく「解体作業」だった。来る日も来る日も使わなくなった廃ビルや、人が居なくなった廃屋を解体する日々。そんなある日いつものように廃屋を解体していた男は、大量のゴミに押しつぶされてしまい突然の死を迎える。  目が覚めるとそこには自称神様の金髪美少女が立っていた。その神様からは自分の世界に戻り輪廻転生を繰り返すか、できれば剣と魔法の世界に転生して欲しいとお願いされた俺。だったら、せめてサービスしてくれないとな。それと『魔法』は絶対に使えるようにしてくれよ!なんたってファンタジーの世界なんだから!  そうして俺が転生した世界は『職業』が全ての世界。それなのに俺の職業はよく分からない『解体屋』だって?貴族の子に生まれたのに、『魔導士』じゃなきゃ追放らしい。優秀な兄は勿論『魔導士』だってさ。  まぁでもそんな俺にだって、魔法が使えるんだ!えっ?神様の不手際で魔法が使えない?嘘だろ?家族に見放され悲しい人生が待っていると思った矢先。まさかの魔法も剣も極められる最強のチート職業でした!!  魔法を使えると思って転生したのに魔法を使う為にはモンスター討伐が必須!まずはスライムから行ってみよう!そんな男の楽しい冒険ファンタジー!

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

誰一人帰らない『奈落』に落とされたおっさん、うっかり暗号を解読したら、未知の遺物の使い手になりました!

ミポリオン
ファンタジー
旧題:巻き込まれ召喚されたおっさん、無能で誰一人帰らない場所に追放されるも、超古代文明の暗号を解いて力を手にいれ、楽しく生きていく  高校生達が勇者として召喚される中、1人のただのサラリーマンのおっさんである福菅健吾が巻き込まれて異世界に召喚された。  高校生達は強力なステータスとスキルを獲得したが、おっさんは一般人未満のステータスしかない上に、異世界人の誰もが持っている言語理解しかなかったため、転移装置で誰一人帰ってこない『奈落』に追放されてしまう。  しかし、そこに刻まれた見たこともない文字を、健吾には全て理解する事ができ、強大な超古代文明のアイテムを手に入れる。  召喚者達は気づかなかった。健吾以外の高校生達の通常スキル欄に言語スキルがあり、健吾だけは固有スキルの欄に言語スキルがあった事を。そしてそのスキルが恐るべき力を秘めていることを。 ※カクヨムでも連載しています

【改稿版】休憩スキルで異世界無双!チートを得た俺は異世界で無双し、王女と魔女を嫁にする。

ゆう
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生したクリス・レガード。 剣聖を輩出したことのあるレガード家において剣術スキルは必要不可欠だが12歳の儀式で手に入れたスキルは【休憩】だった。 しかしこのスキル、想像していた以上にチートだ。 休憩を使いスキルを強化、更に新しいスキルを獲得できてしまう… そして強敵と相対する中、クリスは伝説のスキルである覇王を取得する。 ルミナス初代国王が有したスキルである覇王。 その覇王発現は王国の長い歴史の中で悲願だった。 それ以降、クリスを取り巻く環境は目まぐるしく変化していく…… ※アルファポリスに投稿した作品の改稿版です。 ホットランキング最高位2位でした。 カクヨムにも別シナリオで掲載。

転生したら脳筋魔法使い男爵の子供だった。見渡す限り荒野の領地でスローライフを目指します。

克全
ファンタジー
「第3回次世代ファンタジーカップ」参加作。面白いと感じましたらお気に入り登録と感想をくださると作者の励みになります! 辺境も辺境、水一滴手に入れるのも大変なマクネイア男爵家生まれた待望の男子には、誰にも言えない秘密があった。それは前世の記憶がある事だった。姉四人に続いてようやく生まれた嫡男フェルディナンドは、この世界の常識だった『魔法の才能は遺伝しない』を覆す存在だった。だが、五〇年戦争で大活躍したマクネイア男爵インマヌエルは、敵対していた旧教徒から怨敵扱いされ、味方だった新教徒達からも畏れられ、炎竜が砂漠にしてしまったと言う伝説がある地に押し込められたいた。そんな父親達を救うべく、前世の知識と魔法を駆使するのだった。

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

処理中です...