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第四章
陽キャ僧侶
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「おっはよう!シズハちゃん!」
朝、身支度を済ませて自室の扉を開けると、満面の笑みを浮かべた僧侶の女性が私を出迎えていた。さらりとした銀色の長い髪と豊満なバストが印象的な美しい年上の僧侶だ。
「…何してんの?」
朝っぱらからテンションの高い人の相手は人生で苦手な行動トップ10に入る私は苦い顔で尋ねた。
「お誘いに来たの!一緒に朝ごはんをたべたいからね」
「…ええ…?」
めっちゃニコニコしている。
「…あなた、私が何をしたかわかってるの?」
「ええ。私の胸に手刀で風穴を開けて殺した」
ニコニコしたままはっきりと答えた。どんな話題にもニコニコしていて胡散臭い。
この僧侶――メイリスという女性と出会ったのは一か月前のペスタ地方での任務の時である。彼女の言う通り私は任務の邪魔をしてきた冒険者の彼女を思いっきり殺した。否、殺したはずだった。
実はメイリスは二百年ほど前に死亡していたアンデッドだったのである。かつて、ペスタ王国の騎士だったメイリスはとある策略によって命を落としかけたところを禁断魔法とやらでつなぎ止められ、二百年もの歳月をかけてアンデッドとしてよみがえったらしい。彼女はその正体を隠しながら冒険者ギルドで僧侶として活動を開始。そして、私に身体を回収されたことをきっかけにこの魔王軍に鞍替えするということになったのだ。どういうことだよ。
「…てか、あなたペスタにいたんじゃなかったの?」
「あの支部長さんにお願いして異動させてもらったの。身体は一通り診てもらったし、魔王様に正式な契約書も出さなきゃならないし。会いたい顔もいるからね」
「会いたい顔?」
「そう。あなたよ」
そう告げたメイリスは私の鼻の頭に指を突き付けた。
「私ぃ?というか、冒険者の人間がよくまぁ魔族だらけのとこに来ようと思ったわね」
「あら、私は二百年も前から人間やめてるアンデッドなのよ?つまりは魔族の仲間。魔王城にいる方がむしろ自然じゃない?」
「ぐ、ぐぅ…」
ぐうの音しか出なかった。
「それに、昔から興味があったのよ。人間の敵である魔族がどんな暮らしをしてるのかね。そうしたら、こんなにも皆和やかで至れり尽くせりで居心地がいいんだもの。驚いたわ」
魔王軍が居心地いいだなんて。ギルドとやらがどんなところか知らないけどとんだ適応力を持ってるのね。
「おまけに、こんなかわいい娘が魔勇者なんてやってるんだもの。ますます興味がわいちゃうわ」
そう言いながらメイリスは私の頬に手を当てた。
「ちょっ!何触ってんのよ!」
ヒヤッとした感覚に驚いて私は思いきり払いのけた。
「あら?そんなに冷たかった?」
人間の体温がまるで感じられなかった。やはりアンデッドだ。
「ごめんね。冷え性で」
「冷え性って…あなたアンデッドでしょうが」
「そうだったわね。てへ」
メイリスはわざとらしく舌を出した。小粋なアンデッドジョークのつもりなのだろう。
「さあさあ。早く朝ご飯食べに行きましょ!今朝のオススメはベーコンエッグマフィンですって!」
「あ!ちょっと!」
メイリスは私の手を掴み、強引に引っ張っていった。強引系陽キャだ。マジ苦手なタイプだ。手は冷たいし。
まったく、朝から面倒なことになったものだわ。最近、胸やけがひどいし。
朝、身支度を済ませて自室の扉を開けると、満面の笑みを浮かべた僧侶の女性が私を出迎えていた。さらりとした銀色の長い髪と豊満なバストが印象的な美しい年上の僧侶だ。
「…何してんの?」
朝っぱらからテンションの高い人の相手は人生で苦手な行動トップ10に入る私は苦い顔で尋ねた。
「お誘いに来たの!一緒に朝ごはんをたべたいからね」
「…ええ…?」
めっちゃニコニコしている。
「…あなた、私が何をしたかわかってるの?」
「ええ。私の胸に手刀で風穴を開けて殺した」
ニコニコしたままはっきりと答えた。どんな話題にもニコニコしていて胡散臭い。
この僧侶――メイリスという女性と出会ったのは一か月前のペスタ地方での任務の時である。彼女の言う通り私は任務の邪魔をしてきた冒険者の彼女を思いっきり殺した。否、殺したはずだった。
実はメイリスは二百年ほど前に死亡していたアンデッドだったのである。かつて、ペスタ王国の騎士だったメイリスはとある策略によって命を落としかけたところを禁断魔法とやらでつなぎ止められ、二百年もの歳月をかけてアンデッドとしてよみがえったらしい。彼女はその正体を隠しながら冒険者ギルドで僧侶として活動を開始。そして、私に身体を回収されたことをきっかけにこの魔王軍に鞍替えするということになったのだ。どういうことだよ。
「…てか、あなたペスタにいたんじゃなかったの?」
「あの支部長さんにお願いして異動させてもらったの。身体は一通り診てもらったし、魔王様に正式な契約書も出さなきゃならないし。会いたい顔もいるからね」
「会いたい顔?」
「そう。あなたよ」
そう告げたメイリスは私の鼻の頭に指を突き付けた。
「私ぃ?というか、冒険者の人間がよくまぁ魔族だらけのとこに来ようと思ったわね」
「あら、私は二百年も前から人間やめてるアンデッドなのよ?つまりは魔族の仲間。魔王城にいる方がむしろ自然じゃない?」
「ぐ、ぐぅ…」
ぐうの音しか出なかった。
「それに、昔から興味があったのよ。人間の敵である魔族がどんな暮らしをしてるのかね。そうしたら、こんなにも皆和やかで至れり尽くせりで居心地がいいんだもの。驚いたわ」
魔王軍が居心地いいだなんて。ギルドとやらがどんなところか知らないけどとんだ適応力を持ってるのね。
「おまけに、こんなかわいい娘が魔勇者なんてやってるんだもの。ますます興味がわいちゃうわ」
そう言いながらメイリスは私の頬に手を当てた。
「ちょっ!何触ってんのよ!」
ヒヤッとした感覚に驚いて私は思いきり払いのけた。
「あら?そんなに冷たかった?」
人間の体温がまるで感じられなかった。やはりアンデッドだ。
「ごめんね。冷え性で」
「冷え性って…あなたアンデッドでしょうが」
「そうだったわね。てへ」
メイリスはわざとらしく舌を出した。小粋なアンデッドジョークのつもりなのだろう。
「さあさあ。早く朝ご飯食べに行きましょ!今朝のオススメはベーコンエッグマフィンですって!」
「あ!ちょっと!」
メイリスは私の手を掴み、強引に引っ張っていった。強引系陽キャだ。マジ苦手なタイプだ。手は冷たいし。
まったく、朝から面倒なことになったものだわ。最近、胸やけがひどいし。
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