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第九章
見えない襲撃
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「くそっ…あのクソ団長め…!」
ズアーの森の中手下達に両肩を貸すエイノーは恨めしそうに呟いた。
「どうするんスか?このままじゃ伯爵から金もらえませんよ?」
ナカト伯爵から与えられた任務――ハバキリ道場とその周辺の接収もしくは破壊。その任務のために猟兵のエイノー達は派遣された。
しかし、結果は惨敗。道場主であるサリアの門下生の少女一人によって全員返り討ちにされたのだ。失敗はもとより、騎士ですらない少女に敗れたことに対し、エイノーは腹をたてていた。
「あんなガキに元サンメート騎士団の俺が負けるなど…!」
騎士の誇りを捨て、金のために猟兵の道に走ったエイノーは手下の手を払いのけた。
「いずれにせよ…手ぶらで帰るつもりはねぇ!」
「な、なんか考えでもあるんスか?」
バンダナの猟兵は恐る恐る尋ねた。
「サンユー王国の勇者様にあの女共を始末してもらうのさ!」
「ええ!?」
荒唐無稽なアイデアに手下達は言葉を失った。
「王国に『元騎士団長のサリア・ミナカタが戦力を集め、反乱を企てている』と伝えるのだ!国の脅威とあれば王も黙っちゃいねぇだろ!」
あまりにも常軌を逸した発想であった。
「し、しかし、情報によるとサンユーの勇者様は『クイーン・ゼイナル号』の護衛の任があるとのことで――」
「知るか!だったらサリアが国を滅ぼそうとか大げさに盛ってやれば――」
話の途中で光の軌跡がエイノーの首を通過した。
「――へ?」
一拍遅れてエイノーの首は滑るように落下し、地面に転がった。
「え?」
手下達は何が起きたかわからなかった。
「な、何が――」
頭部を失ったエイノーの身体が仰向けに倒れた直後、顎髭の猟兵の両腕が地面に落下した。
「ぎ、ぎゃあああぁぁ!」
事実を把握した顎髭が叫んだ瞬間、彼の上半身と下半身が分かれ、叫び声はすぐに止んだ。
「な、何だよこれ?」
周りには自分達以外に誰もいない。そのはずであった。しかし、現に二人が無残に惨殺されている。
「だ、誰が――」
バンダナはスキンヘッドの猟兵の方向へ顔を向けた。その瞬間、スキンヘッドの胴体はX字に切断され、その頭部と両腕が崩れ落ちた。
「う、うわああぁぁぁぁ!」
ここにいてはいけない。一人残され、そう判断したバンダナは全速力でこの場を離れようとした。しかし、それは容易く阻まれた。
「え?」
目の前の何もない空間に一筋の緋色の裂け目が生じ、そこから一本の剣が飛び出した。バンダナの顔を貫いた剣はそのまま下方向に振り下ろされ、バンダナの身体を真っ二つに切り分けた。
エイノー達は自分達に襲い掛かった何者かの正体をついぞ知ることはなかった。
ズアーの森の中手下達に両肩を貸すエイノーは恨めしそうに呟いた。
「どうするんスか?このままじゃ伯爵から金もらえませんよ?」
ナカト伯爵から与えられた任務――ハバキリ道場とその周辺の接収もしくは破壊。その任務のために猟兵のエイノー達は派遣された。
しかし、結果は惨敗。道場主であるサリアの門下生の少女一人によって全員返り討ちにされたのだ。失敗はもとより、騎士ですらない少女に敗れたことに対し、エイノーは腹をたてていた。
「あんなガキに元サンメート騎士団の俺が負けるなど…!」
騎士の誇りを捨て、金のために猟兵の道に走ったエイノーは手下の手を払いのけた。
「いずれにせよ…手ぶらで帰るつもりはねぇ!」
「な、なんか考えでもあるんスか?」
バンダナの猟兵は恐る恐る尋ねた。
「サンユー王国の勇者様にあの女共を始末してもらうのさ!」
「ええ!?」
荒唐無稽なアイデアに手下達は言葉を失った。
「王国に『元騎士団長のサリア・ミナカタが戦力を集め、反乱を企てている』と伝えるのだ!国の脅威とあれば王も黙っちゃいねぇだろ!」
あまりにも常軌を逸した発想であった。
「し、しかし、情報によるとサンユーの勇者様は『クイーン・ゼイナル号』の護衛の任があるとのことで――」
「知るか!だったらサリアが国を滅ぼそうとか大げさに盛ってやれば――」
話の途中で光の軌跡がエイノーの首を通過した。
「――へ?」
一拍遅れてエイノーの首は滑るように落下し、地面に転がった。
「え?」
手下達は何が起きたかわからなかった。
「な、何が――」
頭部を失ったエイノーの身体が仰向けに倒れた直後、顎髭の猟兵の両腕が地面に落下した。
「ぎ、ぎゃあああぁぁ!」
事実を把握した顎髭が叫んだ瞬間、彼の上半身と下半身が分かれ、叫び声はすぐに止んだ。
「な、何だよこれ?」
周りには自分達以外に誰もいない。そのはずであった。しかし、現に二人が無残に惨殺されている。
「だ、誰が――」
バンダナはスキンヘッドの猟兵の方向へ顔を向けた。その瞬間、スキンヘッドの胴体はX字に切断され、その頭部と両腕が崩れ落ちた。
「う、うわああぁぁぁぁ!」
ここにいてはいけない。一人残され、そう判断したバンダナは全速力でこの場を離れようとした。しかし、それは容易く阻まれた。
「え?」
目の前の何もない空間に一筋の緋色の裂け目が生じ、そこから一本の剣が飛び出した。バンダナの顔を貫いた剣はそのまま下方向に振り下ろされ、バンダナの身体を真っ二つに切り分けた。
エイノー達は自分達に襲い掛かった何者かの正体をついぞ知ることはなかった。
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