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第九章
竹林の中の家屋
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「いやー。派手に迷っちまったなぁオイ」
青々と生い茂る竹林の中、おやつのクッキーを勝手に食べながらトニーは呟いた。
「うーん…せめて街道に出られたらよかったんですけどねぇ…」
地図を見ながらアズキは頭をひねらせた。
「もー!ピンクラットに目がくらむからこうなるのよ!」
眉間にしわを寄せてリエルはビオラをしかりつけた。
「しょーがないでしょ!めったに遭遇しないレア魔物なんだし!アイツの尻尾は高く売れるってリエルも知ってるでしょ?」
反省する様子もなくビオラは反論した。
ズアーの森を抜けたリエル達は看板の案内に従って移動しようとした時、彼女達の目の前にピンクラットと呼ばれるピンク色の小さなネズミが姿を現した。目撃情報が非常に少ないこのネズミの尻尾はある特殊なアイテムの素材になるらしく、高値で取引されることから冒険者達はこぞってその尻尾を狙っている。しかし、ピンクラットの動きは非常に素早く、なぜか魔法に対する耐性も非常に高く、上級魔法ですら傷一つつけることはできない。そのため、ほとんどの冒険者は目の前でまんまと逃げられ、歯噛みする結果となっていた。
リエル達もその例に漏れることなく、ビオラが発見したピンクラットの後をがむしゃらに追いかけた結果、この竹林に迷い込むことになったのであった。
「だいたい、リエルだってその聖剣でパワーアップしてんだから、あいつにだって追いつけるでしょうが!」
「追いつけたって、攻撃が当たらなかったら意味ないでしょ!それに、あの光の刃をやたらと振り回したらみんなが危ないじゃない!」
静かな竹林の中でビオラとリエルは口論を繰り広げていた。
「あ…あの、そのくらいにしてください。二人とも」
見るに耐えかねたアズキが声をかけた。
「そうだぜ。そんなに怒鳴ったらパイがまた小さくなるぜ」
ビオラの足元からトニーが声をかけた。
「うるせぇ!パイは関係ないでしょうが!」
足元にいるトニーの顔面をビオラは思いきり踏みつけた。
「そ、そうね。ごめん」
アズキとトニーの声を聞いたリエルは頭を冷やした。
「でも、どこに向かえば…おや?」
正面に群生する竹の隙間を覗くと、大きめの二階建て家屋がひっそりとたたずんでいた。
「何かしら?あの…家?」
「オウカ式の木造建築ですね。ただの民家ではないようですけど…」
「貴族の屋敷…にしてはボロいわね。なんの建物かしら?」
「さあ…でも、誰か住んでるかもしれない。行ってみましょう」
「ですね」
三人と一匹はその家屋を目指して歩きだした。
――――
「すみませーん…」
玄関からリエルが声をかけたが、返事はない。
「…誰もいないのかしら…?」
ビオラは引き戸に手をかけ、ゆっくりと引き開けた。その中は薄暗くも広大な畳敷きの部屋となっており壁にはいくつかの絵画や書道がかけられていた。
「…なんなのかしら?ここ…」
三人と一匹は中に入り、きょろきょろと見渡した。
「おーい、客だぞー誰かいないのか?」
トニーは畳の上に上がり込んだ。彼の顔面にはビオラにつけられた足跡がいまだに残っている。
「ちょ、ちょっとトニー!勝手に上がっちゃだめでしょ!」
「でも、本当に誰もいないみたいですね。鍵はかかっていませんでしたけど…」
アズキは首を傾げた。
「大丈夫なんじゃない?こんなボロ屋敷、盗るものなんかなさそうだし…」
二人と一匹の背中が見える位置でビオラは肩を竦めた。そして、一度外に出ようと後ろを向くと、何者かが彼女の目の前に立ちはだかっていた。
「曲者!」
鋭い目つきの女性は手にした木刀を頭から思いきり振り下ろした。
青々と生い茂る竹林の中、おやつのクッキーを勝手に食べながらトニーは呟いた。
「うーん…せめて街道に出られたらよかったんですけどねぇ…」
地図を見ながらアズキは頭をひねらせた。
「もー!ピンクラットに目がくらむからこうなるのよ!」
眉間にしわを寄せてリエルはビオラをしかりつけた。
「しょーがないでしょ!めったに遭遇しないレア魔物なんだし!アイツの尻尾は高く売れるってリエルも知ってるでしょ?」
反省する様子もなくビオラは反論した。
ズアーの森を抜けたリエル達は看板の案内に従って移動しようとした時、彼女達の目の前にピンクラットと呼ばれるピンク色の小さなネズミが姿を現した。目撃情報が非常に少ないこのネズミの尻尾はある特殊なアイテムの素材になるらしく、高値で取引されることから冒険者達はこぞってその尻尾を狙っている。しかし、ピンクラットの動きは非常に素早く、なぜか魔法に対する耐性も非常に高く、上級魔法ですら傷一つつけることはできない。そのため、ほとんどの冒険者は目の前でまんまと逃げられ、歯噛みする結果となっていた。
リエル達もその例に漏れることなく、ビオラが発見したピンクラットの後をがむしゃらに追いかけた結果、この竹林に迷い込むことになったのであった。
「だいたい、リエルだってその聖剣でパワーアップしてんだから、あいつにだって追いつけるでしょうが!」
「追いつけたって、攻撃が当たらなかったら意味ないでしょ!それに、あの光の刃をやたらと振り回したらみんなが危ないじゃない!」
静かな竹林の中でビオラとリエルは口論を繰り広げていた。
「あ…あの、そのくらいにしてください。二人とも」
見るに耐えかねたアズキが声をかけた。
「そうだぜ。そんなに怒鳴ったらパイがまた小さくなるぜ」
ビオラの足元からトニーが声をかけた。
「うるせぇ!パイは関係ないでしょうが!」
足元にいるトニーの顔面をビオラは思いきり踏みつけた。
「そ、そうね。ごめん」
アズキとトニーの声を聞いたリエルは頭を冷やした。
「でも、どこに向かえば…おや?」
正面に群生する竹の隙間を覗くと、大きめの二階建て家屋がひっそりとたたずんでいた。
「何かしら?あの…家?」
「オウカ式の木造建築ですね。ただの民家ではないようですけど…」
「貴族の屋敷…にしてはボロいわね。なんの建物かしら?」
「さあ…でも、誰か住んでるかもしれない。行ってみましょう」
「ですね」
三人と一匹はその家屋を目指して歩きだした。
――――
「すみませーん…」
玄関からリエルが声をかけたが、返事はない。
「…誰もいないのかしら…?」
ビオラは引き戸に手をかけ、ゆっくりと引き開けた。その中は薄暗くも広大な畳敷きの部屋となっており壁にはいくつかの絵画や書道がかけられていた。
「…なんなのかしら?ここ…」
三人と一匹は中に入り、きょろきょろと見渡した。
「おーい、客だぞー誰かいないのか?」
トニーは畳の上に上がり込んだ。彼の顔面にはビオラにつけられた足跡がいまだに残っている。
「ちょ、ちょっとトニー!勝手に上がっちゃだめでしょ!」
「でも、本当に誰もいないみたいですね。鍵はかかっていませんでしたけど…」
アズキは首を傾げた。
「大丈夫なんじゃない?こんなボロ屋敷、盗るものなんかなさそうだし…」
二人と一匹の背中が見える位置でビオラは肩を竦めた。そして、一度外に出ようと後ろを向くと、何者かが彼女の目の前に立ちはだかっていた。
「曲者!」
鋭い目つきの女性は手にした木刀を頭から思いきり振り下ろした。
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