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第七章
修復できない?
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「…んで、これは?」
「さっきの遺跡で使っていたヤツだな」
リエルから渡された折れた聖剣。ハガーはそれを手に取り、まじまじと見つめた。
「これは聖剣エクセリオン。ペスタ地方のタタリア遺跡で発見されたものなの」
「聖剣?こいつが?」
リエルからの説明を聞いてハガーは目を丸くした。
「派手に折れちまってんな。こいつからあの光の刃が出たってわけか」
「それであのフキホラの壺を内側から破壊したんか。あの魔法アイテムを簡単に壊すとはすごい魔力を秘めてんな」
聖剣を見ながら話し合うドワーフ二人の目は職人独特の鋭さを秘めていた。
「どう?直せそう?」
ビオラからの問いかけにハガーは一瞬沈黙し、やがて口を開いた。
「…無理だな」
「ええ?どうして?」
「ゴロンダ一の鍛冶屋なんでしょ?匙投げるの早すぎでしょうが!」
率直な回答にリエルとビオラは狼狽した。
「理由は簡単。材料がない。それがなけりゃ話にならねぇだろ?」
ハガーは折れた聖剣の刀身の部分を指さしながら冷静に答えた。
「この聖剣は『アルテニウム』と呼ばれる超レアな鉱石を素材にしている。さすがにこの辺で採れる代物じゃねぇ」
「アルテニウムか…確か、魔力を増幅させる効果を持つって聞いたことあるな。あの光の刃はその影響ってことか」
オーカワはハガーの説明を聞いて納得した。
「でも変じゃねぇか?アルテニウムは俺の知る限りじゃあかなり頑丈な素材だ。それこそ魔王ぐらいやばい力を持つヤツでもなけりゃ折れないはずだぜ?」
オーカワの疑問の言葉を聞き、リエルの表情は険しくなった。
「……魔勇者…」
「え?」
ハガーはリエルが呟いた言葉を拾い、首を傾げた。
「…魔勇者に折られたの…」
リエルは聖剣エクセリオンが折れた瞬間を鮮明に覚えていた。両手に黒い炎を宿し、妖しく動く赤いマフラーを身に着けた自分と同じくらいの年ごろの黒髪の少女。その少女にリエルは仲間の僧侶を殺され、聖剣をへし折られたのだ。その出来事を思い出すうちにリエルは両手の拳を強く握りしめていた。
「…その様子じゃあ、そうとうヤベー奴にやられたみたいだな」
「ああ。どんな奴か知らないが、アルテニウムの剣を折るくらいだかんな」
ハガーとオーカワはリエルの表情から察した。
「とにかく、アルテニウムがなけりゃどうしようもねぇ。心当たりはあるんだが…」
「どこにあるの?」
ハガーは地図を取り出し、テーブルの上に広げた。そして、地図南部のクラウディ大陸の西側に位置する諸島を指さした。
「レイニィ諸島東部のソティ王国。そこが治める島の一つであるアウスラ島にアルテニウムの地下鉱脈があるらしい」
「アウスラ島か。確か大昔、流れ星が降って来た場所だって聞いたことがあるな」
「ああ。その流れ星の中にアルテニウムが含まれていたのかもな。もっとも、その島には狂暴な魔物が溢れかえっていて地元の人間は誰も近づかないらしい」
ドワーフ二人は両腕を組んで説明した。
「でもソティ王国か…遠いわね…」
「そうね。ここから行くとしたらマリーカ地方経由でエキョウに戻ってサンユー王国から船で行くことになるけど…」
「それでも一か月以上はかかりそうですね…」
「うーん…」
地図を眺めながらリエル達は今後のルートを検討した。
「安心しな。ソティ王国までなら俺が面倒見てやるぜ」
その声に反応してリエルが顔を上げると、オーカワが自信に満ち溢れた表情で彼女を見ていた。
「さっきの遺跡で使っていたヤツだな」
リエルから渡された折れた聖剣。ハガーはそれを手に取り、まじまじと見つめた。
「これは聖剣エクセリオン。ペスタ地方のタタリア遺跡で発見されたものなの」
「聖剣?こいつが?」
リエルからの説明を聞いてハガーは目を丸くした。
「派手に折れちまってんな。こいつからあの光の刃が出たってわけか」
「それであのフキホラの壺を内側から破壊したんか。あの魔法アイテムを簡単に壊すとはすごい魔力を秘めてんな」
聖剣を見ながら話し合うドワーフ二人の目は職人独特の鋭さを秘めていた。
「どう?直せそう?」
ビオラからの問いかけにハガーは一瞬沈黙し、やがて口を開いた。
「…無理だな」
「ええ?どうして?」
「ゴロンダ一の鍛冶屋なんでしょ?匙投げるの早すぎでしょうが!」
率直な回答にリエルとビオラは狼狽した。
「理由は簡単。材料がない。それがなけりゃ話にならねぇだろ?」
ハガーは折れた聖剣の刀身の部分を指さしながら冷静に答えた。
「この聖剣は『アルテニウム』と呼ばれる超レアな鉱石を素材にしている。さすがにこの辺で採れる代物じゃねぇ」
「アルテニウムか…確か、魔力を増幅させる効果を持つって聞いたことあるな。あの光の刃はその影響ってことか」
オーカワはハガーの説明を聞いて納得した。
「でも変じゃねぇか?アルテニウムは俺の知る限りじゃあかなり頑丈な素材だ。それこそ魔王ぐらいやばい力を持つヤツでもなけりゃ折れないはずだぜ?」
オーカワの疑問の言葉を聞き、リエルの表情は険しくなった。
「……魔勇者…」
「え?」
ハガーはリエルが呟いた言葉を拾い、首を傾げた。
「…魔勇者に折られたの…」
リエルは聖剣エクセリオンが折れた瞬間を鮮明に覚えていた。両手に黒い炎を宿し、妖しく動く赤いマフラーを身に着けた自分と同じくらいの年ごろの黒髪の少女。その少女にリエルは仲間の僧侶を殺され、聖剣をへし折られたのだ。その出来事を思い出すうちにリエルは両手の拳を強く握りしめていた。
「…その様子じゃあ、そうとうヤベー奴にやられたみたいだな」
「ああ。どんな奴か知らないが、アルテニウムの剣を折るくらいだかんな」
ハガーとオーカワはリエルの表情から察した。
「とにかく、アルテニウムがなけりゃどうしようもねぇ。心当たりはあるんだが…」
「どこにあるの?」
ハガーは地図を取り出し、テーブルの上に広げた。そして、地図南部のクラウディ大陸の西側に位置する諸島を指さした。
「レイニィ諸島東部のソティ王国。そこが治める島の一つであるアウスラ島にアルテニウムの地下鉱脈があるらしい」
「アウスラ島か。確か大昔、流れ星が降って来た場所だって聞いたことがあるな」
「ああ。その流れ星の中にアルテニウムが含まれていたのかもな。もっとも、その島には狂暴な魔物が溢れかえっていて地元の人間は誰も近づかないらしい」
ドワーフ二人は両腕を組んで説明した。
「でもソティ王国か…遠いわね…」
「そうね。ここから行くとしたらマリーカ地方経由でエキョウに戻ってサンユー王国から船で行くことになるけど…」
「それでも一か月以上はかかりそうですね…」
「うーん…」
地図を眺めながらリエル達は今後のルートを検討した。
「安心しな。ソティ王国までなら俺が面倒見てやるぜ」
その声に反応してリエルが顔を上げると、オーカワが自信に満ち溢れた表情で彼女を見ていた。
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