上 下
254 / 261
番外編

ドクタースライム

しおりを挟む
「ん?何それ?」

 ウーナが常駐している医務室。その前を通りかかったついでに肩こり用の湿布をもらおうと私は入室した。部屋の中央にはタライが置かれており、その近くの椅子にウーナが座っていた。

「あら、魔勇者様。ちょうどよかったどすえ~」

 こちらに気づいたウーナは両手を合わせ、私の来訪を喜んだ。
「ちょうどよかったって…何が?」
「いや~、この前知り合いから珍しいものを譲ってもらいましてね~」
 タライを指さしながらウーナが言った。その珍しいものとはおそらくタライの中身だろう。
「珍しいもの?」
 タライに近づきながら私は尋ねた。その中は半透明の緑色の液体で満たされていた。そしてなんか磯臭い。
「…なんか、くっさいわね…」
「ま~、海の方で発見されたものらしいどすえ~」
 そう言いながらウーナは椅子とバスタオルを用意した。

「ちょっと足をつっこんでみるどすえ~」
「え?」
 この磯臭い液体は足を突っ込む必要があるらしい。めっちゃ不審な目で私は見た。
「心配無用どすえ~。別に害はないどすえ~」
「うーん…でも…」
「お願いどすえ~。入れてくれたらランチおごってあげますから~」
「ま、まぁ…しょうがないわね…」
 物は試しということで私は裸足になり、椅子に腰かけて液体の中に足を入れた。その感覚は冷たくぬるっとしていた。
「はうっ!?」
 液体に足を掴まれたかのような感触が走った。
「ちょ…何これ?」
「大丈夫どすえ~。そのままじっとするどすえ~」
「大丈夫って…どぁっ!」
 思わず変な声が出た。微弱な電流を流されているかのようにこそばゆい感覚だった。

 しばらくすると足を放されたかのように液体が緩んだ。おそるおそる足を上げるとなんか足がツルツルしていた。

「足が…きれいになってる…?」
「おお~、大成功どすえ~」
 拍手しながらウーナは喜んだ。
「で、結局これは何?」
「これは最近発見された新種のスライムどすえ~」
「新種?」
「そうどすえ~。元々スライムは身体から分泌される液体によって獲物を溶かす体質を持っているんどすえ~。溶かす獲物は肉体、金属、衣類だけなど種類によって異なるどすえ~」
 衣類だけって…。
「そして、このスライムは生物の排出物、つまり垢や角質だけを溶かすタイプなんどすえ~」
 元の世界にもドクターフィッシュというものがあったが、これはそれによく似ている。やったことはないけど。
「美肌効果やリラクゼーション効果があり、魔王様にも大好評なんどすえ~」
「魔王もやったのかよ!」
 なんかすごい光景ね。足がツルツルの魔王を想像すると変な気分になる。
「近々大浴場の一画にこれを設置してみようと思っているんどすえ~」
「そうなんだ…。でも磯臭いのはどうにかしてほしいわね…」
「そうですか~?まぁ、臭いの好みは種族によりますからね~」
 あぁ、そういえばこいつ鰻だったわね。そういうのは平気なほうか。
「でも、こういうのは女子に受けるでしょうね」
「そうでしょう~。バスタブに入れれば全身の垢も溶かしてくれるどすえ~。良かったらやってみるどすえ~」
「成人向けの展開になりそうだから遠慮しとくわ…」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

S級騎士の俺が精鋭部隊の隊長に任命されたが、部下がみんな年上のS級女騎士だった

ミズノみすぎ
ファンタジー
「黒騎士ゼクード・フォルス。君を竜狩り精鋭部隊【ドラゴンキラー隊】の隊長に任命する」  15歳の春。  念願のS級騎士になった俺は、いきなり国王様からそんな命令を下された。 「隊長とか面倒くさいんですけど」  S級騎士はモテるって聞いたからなったけど、隊長とかそんな重いポジションは…… 「部下は美女揃いだぞ?」 「やらせていただきます!」  こうして俺は仕方なく隊長となった。  渡された部隊名簿を見ると隊員は俺を含めた女騎士3人の計4人構成となっていた。  女騎士二人は17歳。  もう一人の女騎士は19歳(俺の担任の先生)。   「あの……みんな年上なんですが」 「だが美人揃いだぞ?」 「がんばります!」  とは言ったものの。  俺のような若輩者の部下にされて、彼女たちに文句はないのだろうか?  と思っていた翌日の朝。  実家の玄関を部下となる女騎士が叩いてきた! ★のマークがついた話数にはイラストや4コマなどが後書きに記載されています。 ※2023年11月25日に書籍が発売!  イラストレーターはiltusa先生です! ※コミカライズも進行中!

やさしい異世界転移

みなと
ファンタジー
妹の誕生日ケーキを買いに行く最中 謎の声に導かれて異世界へと転移してしまった主人公 神洞 優斗。 彼が転移した世界は魔法が発達しているファンタジーの世界だった! 元の世界に帰るまでの間優斗は学園に通い平穏に過ごす事にしたのだが……? この時の優斗は気付いていなかったのだ。 己の……いや"ユウト"としての逃れられない定めがすぐ近くまで来ている事に。 この物語は 優斗がこの世界で仲間と出会い、共に様々な困難に立ち向かい希望 絶望 別れ 後悔しながらも進み続けて、英雄になって誰かに希望を託すストーリーである。

幸福の魔法使い〜ただの転生者が史上最高の魔法使いになるまで〜

霊鬼
ファンタジー
生まれつき魔力が見えるという特異体質を持つ現代日本の会社員、草薙真はある日死んでしまう。しかし何故か目を覚ませば自分が幼い子供に戻っていて……? 生まれ直した彼の目的は、ずっと憧れていた魔法を極めること。様々な地へ訪れ、様々な人と会い、平凡な彼はやがて英雄へと成り上がっていく。 これは、ただの転生者が、やがて史上最高の魔法使いになるまでの物語である。 (小説家になろう様、カクヨム様にも掲載をしています。)

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

元チート大賢者の転生幼女物語

こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。) とある孤児院で私は暮らしていた。 ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。 そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。 「あれ?私って…」 そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。

俺だけ毎日チュートリアルで報酬無双だけどもしかしたら世界の敵になったかもしれない

亮亮
ファンタジー
朝起きたら『チュートリアル 起床』という謎の画面が出現。怪訝に思いながらもチュートリアルをクリアしていき、報酬を貰う。そして近い未来、世界が一新する出来事が起こり、主人公・花房 萌(はなぶさ はじめ)の人生の歯車が狂いだす。 不意に開かれるダンジョンへのゲート。その奥には常人では決して踏破できない存在が待ち受け、萌の体は凶刃によって裂かれた。 そしてチュートリアルが発動し、復活。殺される。復活。殺される。気が狂いそうになる輪廻の果て、萌は光明を見出し、存在を継承する事になった。 帰還した後、急速に馴染んでいく新世界。新しい学園への編入。試験。新たなダンジョン。 そして邂逅する謎の組織。 萌の物語が始まる。

日本帝国陸海軍 混成異世界根拠地隊

北鴨梨
ファンタジー
太平洋戦争も終盤に近付いた1944(昭和19)年末、日本海軍が特攻作戦のため終結させた南方の小規模な空母機動部隊、北方の輸送兼対潜掃討部隊、小笠原増援輸送部隊が突如として消失し、異世界へ転移した。米軍相手には苦戦続きの彼らが、航空戦力と火力、機動力を生かして他を圧倒し、図らずも異世界最強の軍隊となってしまい、その情勢に大きく関わって引っ掻き回すことになる。

男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件

美鈴
ファンタジー
転生したのは男性が少ない世界!?貴族に生まれたのはいいけど、どういう風に生きていこう…? 最新章の第五章も夕方18時に更新予定です! ☆の話は苦手な人は飛ばしても問題無い様に物語を紡いでおります。 ※ホットランキング1位、ファンタジーランキング3位ありがとうございます! ※カクヨム様にも投稿しております。内容が大幅に異なり改稿しております。 ※各種ランキング1位を頂いた事がある作品です!

処理中です...