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番外編
魔法テレビ
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「まさかこんなところにテレビがあるとはね…」
魔王城の一画に設けられた私の居室。そのテーブルの上に置かれた四角い物体。元の世界ではお馴染みだが、ファンタジーの世界においてはあまりにも不自然な存在。それがこの魔法テレビである。
奥行のある分厚いデザイン。元の世界ではひと昔前の仕様だ。母方の祖父の家で見たことがある。
私はテレビのそばにあるリモコンを手に取ってみた。リモコンの造りは思ったよりシンプルであり、ボタンはエアコンのリモコンより少ない。電源と音量のボタンだけというなんともシンプル。
「…どんな番組をやっているのかしら…?」
ベッドに端座位になり、試しに電源ボタンを押してみた。テレビのモニターが点灯し、騒がしい音楽が流れだした。
『皆さんこんにちは!本日も始まりました新商品紹介のコーナー!司会のドボンでございます!』
『アシスタントのノリコでーす』
なんか始まった。見たところ通販番組に似たもののようだ。半魚人と犬女がスタジオの中心に紹介する商品らしきものを持ってきた。もったいつけるかのように商品は布で隠されていた。
『本日紹介する商品はこちら!』
司会が布を取り外すと、そこには大きめの壺があった。中には何かの液体が入っている。
『最新型の【三式回復の壺】でございます!』
三式ってなんだよ?これまでに最低二種類あったってことかよ?
『わーお!これはどうやって使うんですか?』
ノリコがオーバーリアクションしながら質問した。
『説明しましょう!使い方は簡単。これまでと同様にこれを適当な場所に置きます。中身がこぼれないよう平な場所に置くのがおすすめです』
そう言いながらドボンは床に壺を置いた。
『そして身体の一部を中の水に浸し、三秒ほど待ちます』
ドボンが右手を液体に浸し、三秒が経過した。右手を取り出すころにはドボンの右手どころか全身が輝くようにツヤツヤになっていた。
『わーお!あっという間に体力が回復しましたねー!』
ノリコがオーバーリアクション気味に驚いた。
『この【三式回復の壺】、二式の三倍の速さで体力と魔力を全快させることができるのです!』
あー、RPGによくある回復ポイントにあるヤツね。ていうか、前のヤツは九秒も時間がかかるのか。
『さらに、この三式は一杯分の水で三十回分も回復させることが可能になりました!』
『わーお!すごーい!』
使用制限あるのかよ!しかもその口ぶりからして以前はもっと少なかったようだ。
『さてさて、気になるお値段ですが…普段は二万ゴルのところをなんと!』
ドボンがカメラ目線で無意味に一回転した。
『こちらの詰め替え用水を三本おつけしまして、一万五千ゴルで販売いたします!』
あらかじめ火薬を仕込んでいたのか、ドボンがカメラ目線でポーズをとった瞬間、彼の背後で大爆発が起こった。その演出いる?
『お求めをご希望の方は購買部へどうぞ。今なら先着二十名様にムラっとボールをおつけいたしまーす』
なんだそのおまけ?
なんか疲れたので私は電源を切った。…なんとまぁ、濃い番組だった。
「買います?」
ベッドの中からアウルが声をかけてきた。
「買わんわ!てか、勝手に入るな!」
魔王城の一画に設けられた私の居室。そのテーブルの上に置かれた四角い物体。元の世界ではお馴染みだが、ファンタジーの世界においてはあまりにも不自然な存在。それがこの魔法テレビである。
奥行のある分厚いデザイン。元の世界ではひと昔前の仕様だ。母方の祖父の家で見たことがある。
私はテレビのそばにあるリモコンを手に取ってみた。リモコンの造りは思ったよりシンプルであり、ボタンはエアコンのリモコンより少ない。電源と音量のボタンだけというなんともシンプル。
「…どんな番組をやっているのかしら…?」
ベッドに端座位になり、試しに電源ボタンを押してみた。テレビのモニターが点灯し、騒がしい音楽が流れだした。
『皆さんこんにちは!本日も始まりました新商品紹介のコーナー!司会のドボンでございます!』
『アシスタントのノリコでーす』
なんか始まった。見たところ通販番組に似たもののようだ。半魚人と犬女がスタジオの中心に紹介する商品らしきものを持ってきた。もったいつけるかのように商品は布で隠されていた。
『本日紹介する商品はこちら!』
司会が布を取り外すと、そこには大きめの壺があった。中には何かの液体が入っている。
『最新型の【三式回復の壺】でございます!』
三式ってなんだよ?これまでに最低二種類あったってことかよ?
『わーお!これはどうやって使うんですか?』
ノリコがオーバーリアクションしながら質問した。
『説明しましょう!使い方は簡単。これまでと同様にこれを適当な場所に置きます。中身がこぼれないよう平な場所に置くのがおすすめです』
そう言いながらドボンは床に壺を置いた。
『そして身体の一部を中の水に浸し、三秒ほど待ちます』
ドボンが右手を液体に浸し、三秒が経過した。右手を取り出すころにはドボンの右手どころか全身が輝くようにツヤツヤになっていた。
『わーお!あっという間に体力が回復しましたねー!』
ノリコがオーバーリアクション気味に驚いた。
『この【三式回復の壺】、二式の三倍の速さで体力と魔力を全快させることができるのです!』
あー、RPGによくある回復ポイントにあるヤツね。ていうか、前のヤツは九秒も時間がかかるのか。
『さらに、この三式は一杯分の水で三十回分も回復させることが可能になりました!』
『わーお!すごーい!』
使用制限あるのかよ!しかもその口ぶりからして以前はもっと少なかったようだ。
『さてさて、気になるお値段ですが…普段は二万ゴルのところをなんと!』
ドボンがカメラ目線で無意味に一回転した。
『こちらの詰め替え用水を三本おつけしまして、一万五千ゴルで販売いたします!』
あらかじめ火薬を仕込んでいたのか、ドボンがカメラ目線でポーズをとった瞬間、彼の背後で大爆発が起こった。その演出いる?
『お求めをご希望の方は購買部へどうぞ。今なら先着二十名様にムラっとボールをおつけいたしまーす』
なんだそのおまけ?
なんか疲れたので私は電源を切った。…なんとまぁ、濃い番組だった。
「買います?」
ベッドの中からアウルが声をかけてきた。
「買わんわ!てか、勝手に入るな!」
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