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第一章
戦闘(殺戮)開始
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「むきゅー…」
逃げ場を失ったツノワタが大木を背にして震えていた。
「へへへ、逃げても無駄だぜ…金づるちゃんよ…」
冒険者は自分が持つ剣の刃を舐めながら獲物を追い詰める。いよいよ斬ろうと剣を振り上げたその時、背中から妙な衝撃が走った。
「…え?」
男が視線を下ろすと自分の胸から刃が突き出ていた。後ろを向くと冷たい目をした黒髪の少女が立っていた。少女が手に持っている刀を男の身体から引き抜くと、男の手の力が抜けて剣が地面に落ち、男の口から赤い血があふれ出た。やがて男は膝から崩れ落ち、肉塊と化した。
「な…なんだお前は…?」
突然の事態に困惑している他の冒険者をよそに少女は遠く離れた弓使いに目を向けた。その視線に恐怖を覚えた弓使いは急いで矢をつがえた。
「う、うわぁぁぁ!」
しかし、弓を引いた時にはすでに遅かった。少女は瞬時に距離を詰め、手にしていた刀を横薙ぎに払うと弓使いの上半身が吹き飛び、近くの冒険者の足元に落ちた。
「ひっ!」
仲間の無残な姿を見たその冒険者はすくみ上がり、ズボンの股ぐらを濡らした。
「こ、このやろおぉー!」
木の陰に隠れていたスキンヘッドの弓使いが矢を放った。その矢は少女の頭部を確実に捉えていた。しかし、矢が来ることがわかっていたかのように少女は自然に刀を振り上げ、矢を切り払った。少女はそのまま地面を蹴って宙を舞い、弓使いの目前に着地するやいなや左手に短刀を持ち、彼の喉元を切り裂いた。
「がばぁあ!」
穴の開いたホースのごとく首から血を噴出した弓使いは短い悲鳴をあげた。少女はその血を浴びながら両腕を振るい、目の前の亡骸の首と両腕を跳ね飛ばした。
「く、くそぉぉぉ!」
少女の背後に回ったこん棒使いが武器を振り上げ、頭部を叩きつぶそうと試みるが、何かがこん棒を叩き落とした。少女の首に巻き付いた赤いマフラーの仕業だ。マフラーはそのままこん棒をつかみ取り、こん棒使いの頭に叩き返した。
「ば、バカな…」
少女の首から生えた第三の赤い腕。それが頭を潰された彼が見た最後の光景であった。
「うわ~、容赦ないっスねー…」
「まさかこれほどまでのものとは…」
初陣とは思えないほどの静葉の立ち回りに二人はただ驚愕していた。魔勇者の初陣を援護するよう魔王から命じられていたアウルとヌコだったが、その様子は援護など不要であることは見て明らかであった。
「なんだなんだ?」
「何か聞こえたぞ?」
アウルが洞窟の方に目を向けると、採取を終えて洞窟から出ようとする冒険者達が顔を出していた。
「おい、あれ見ろよ!人が!」
冒険者の一人が剣士の亡骸を指さした。
「だ、大丈夫か?」
一人が駆け寄ろうと前に出た途端、カチッと足元から音が鳴り、巨大な爆風が洞窟の入り口を包んだ。
「どうやらかかったようですね」
「ありゃー、思ったより火薬が多かったみたいっスねー…ってアウルさん?」
ヌコが頭をかいているうちにアウルは茂みから飛び出していた。爆風に巻き込まれ、両脚を失った冒険者の眉間に向けてアウルは刃のごとく鋭い羽を打ち込んだ。その冒険者は爆発による苦痛から永遠に解放された。アウルは倒れていた残り二人の冒険者の眉間にも羽をプレゼントした。
「ありゃー相変わらず仕事が速いっスねー」
ヌコは残念そうに二人の殺戮の様子を眺めていた。彼女はぼやきながら頭上の木から紫色の水晶玉をロープで引き寄せた。ボウリングの球程の大きさのそれは生物の瞳のような形をしている。
「これがなけりゃあたしも参加したんスけどねー」
「あ…あぁ…」
残された男にとってそれは悪夢の光景であった。希少な素材を持つ魔物を狩り、大金を得る手はずだったのに、自分達が得体の知れない存在に狩られることになるなど微塵も思っていなかった。男の目前には右手に刀を持ち、首から生えた赤い腕に仲間のこん棒を持った少女が立ち尽くしていた。
「よ、よせ…やめろ…」
男は震えながら武器を落とし、嘆願した。周りから立ち込める血と火薬の匂いが彼の中の恐怖をさらに刺激した。じわじわと迫りくる少女を止めようと両腕を前に出した途端、何かが男の足元に落ちた。男が下を向くとそこには自分の左腕が落ちていた。
「あ…あぁぁぁー!」
激痛にもだえる男の喉元に少女は血のついた刀を向け、男を黙らせた。
「…さっさと失せろ」
少女の口からその言葉を聞いた男は踵を返し、全力でその場を離れた。この化け物の手から逃れるために。恐怖に染まった彼にとって腕の痛みなど感じる暇などなかった。
逃げ場を失ったツノワタが大木を背にして震えていた。
「へへへ、逃げても無駄だぜ…金づるちゃんよ…」
冒険者は自分が持つ剣の刃を舐めながら獲物を追い詰める。いよいよ斬ろうと剣を振り上げたその時、背中から妙な衝撃が走った。
「…え?」
男が視線を下ろすと自分の胸から刃が突き出ていた。後ろを向くと冷たい目をした黒髪の少女が立っていた。少女が手に持っている刀を男の身体から引き抜くと、男の手の力が抜けて剣が地面に落ち、男の口から赤い血があふれ出た。やがて男は膝から崩れ落ち、肉塊と化した。
「な…なんだお前は…?」
突然の事態に困惑している他の冒険者をよそに少女は遠く離れた弓使いに目を向けた。その視線に恐怖を覚えた弓使いは急いで矢をつがえた。
「う、うわぁぁぁ!」
しかし、弓を引いた時にはすでに遅かった。少女は瞬時に距離を詰め、手にしていた刀を横薙ぎに払うと弓使いの上半身が吹き飛び、近くの冒険者の足元に落ちた。
「ひっ!」
仲間の無残な姿を見たその冒険者はすくみ上がり、ズボンの股ぐらを濡らした。
「こ、このやろおぉー!」
木の陰に隠れていたスキンヘッドの弓使いが矢を放った。その矢は少女の頭部を確実に捉えていた。しかし、矢が来ることがわかっていたかのように少女は自然に刀を振り上げ、矢を切り払った。少女はそのまま地面を蹴って宙を舞い、弓使いの目前に着地するやいなや左手に短刀を持ち、彼の喉元を切り裂いた。
「がばぁあ!」
穴の開いたホースのごとく首から血を噴出した弓使いは短い悲鳴をあげた。少女はその血を浴びながら両腕を振るい、目の前の亡骸の首と両腕を跳ね飛ばした。
「く、くそぉぉぉ!」
少女の背後に回ったこん棒使いが武器を振り上げ、頭部を叩きつぶそうと試みるが、何かがこん棒を叩き落とした。少女の首に巻き付いた赤いマフラーの仕業だ。マフラーはそのままこん棒をつかみ取り、こん棒使いの頭に叩き返した。
「ば、バカな…」
少女の首から生えた第三の赤い腕。それが頭を潰された彼が見た最後の光景であった。
「うわ~、容赦ないっスねー…」
「まさかこれほどまでのものとは…」
初陣とは思えないほどの静葉の立ち回りに二人はただ驚愕していた。魔勇者の初陣を援護するよう魔王から命じられていたアウルとヌコだったが、その様子は援護など不要であることは見て明らかであった。
「なんだなんだ?」
「何か聞こえたぞ?」
アウルが洞窟の方に目を向けると、採取を終えて洞窟から出ようとする冒険者達が顔を出していた。
「おい、あれ見ろよ!人が!」
冒険者の一人が剣士の亡骸を指さした。
「だ、大丈夫か?」
一人が駆け寄ろうと前に出た途端、カチッと足元から音が鳴り、巨大な爆風が洞窟の入り口を包んだ。
「どうやらかかったようですね」
「ありゃー、思ったより火薬が多かったみたいっスねー…ってアウルさん?」
ヌコが頭をかいているうちにアウルは茂みから飛び出していた。爆風に巻き込まれ、両脚を失った冒険者の眉間に向けてアウルは刃のごとく鋭い羽を打ち込んだ。その冒険者は爆発による苦痛から永遠に解放された。アウルは倒れていた残り二人の冒険者の眉間にも羽をプレゼントした。
「ありゃー相変わらず仕事が速いっスねー」
ヌコは残念そうに二人の殺戮の様子を眺めていた。彼女はぼやきながら頭上の木から紫色の水晶玉をロープで引き寄せた。ボウリングの球程の大きさのそれは生物の瞳のような形をしている。
「これがなけりゃあたしも参加したんスけどねー」
「あ…あぁ…」
残された男にとってそれは悪夢の光景であった。希少な素材を持つ魔物を狩り、大金を得る手はずだったのに、自分達が得体の知れない存在に狩られることになるなど微塵も思っていなかった。男の目前には右手に刀を持ち、首から生えた赤い腕に仲間のこん棒を持った少女が立ち尽くしていた。
「よ、よせ…やめろ…」
男は震えながら武器を落とし、嘆願した。周りから立ち込める血と火薬の匂いが彼の中の恐怖をさらに刺激した。じわじわと迫りくる少女を止めようと両腕を前に出した途端、何かが男の足元に落ちた。男が下を向くとそこには自分の左腕が落ちていた。
「あ…あぁぁぁー!」
激痛にもだえる男の喉元に少女は血のついた刀を向け、男を黙らせた。
「…さっさと失せろ」
少女の口からその言葉を聞いた男は踵を返し、全力でその場を離れた。この化け物の手から逃れるために。恐怖に染まった彼にとって腕の痛みなど感じる暇などなかった。
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