平凡を望みます

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ありきたりな日々

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「 ん、……ふぁぁ… 」

靄のかかった思考に釣られるように欠伸を零す。未だ休息を必要としているようで、実は充分といっても過言ではない程に布団に身を委ねていた。眦に水を貯め、重い身体を叱咤し学校へ向う準備をする。平野ひらの みのりだけ口が悪い普通の高校二年生だ。髪は黒、染めようとは思わないしこれ以上ゴワつくのは御免なので染める予定もない。可もなく不可もない顔は、其処らに闊歩する人々に紛れても違和感等ないだろう。

必要なものを全てリュックに詰め、朝の支度をする為に階段を降りる。朝食の準備をしていたらしい母親が俺を見ると少し呆れるように息を吐く。

「 やーっと起きてきたのね、稔。貴方ったら昨日あんなに早く寝入ったのにこんなギリギリに起きてくるんだもの。」

「仕方ない、布団が"まだ寝ていいよ"って言ってくるからつい、ね。」

そう言い訳を零せば、「そんな訳ないでしょ。」と苦笑しては椅子に座った俺の前に作り終えた朝食類を並べる。…うん、美味しそう。

「いただきます。」

食前の挨拶を終え、黙々と食べていると母親が何か思い出したように顔を上げる。

「あ、私今日は帰りが遅いから冷蔵庫にあるやつで適当に作って夕飯済ませてくれない?」

偶にある、故に慣れた俺は了承の意を込めて頷くと慌ただしく出て行った。社会人も大変そうだなぁ、と思いながら残りのおかずを口へ詰め込む。時計を見るとそろそろ出ないといけない時間を刺そうとしていた。

「あ、ヤバ…ゆっくりしてる暇ないや。ご馳走様でした。」

食後の挨拶も済ませ、洗面所に駆け込むと時間の許す限り歯を磨く。とは言っても2分とないけど。

リュックにまだ入れてなかった弁当を入れて玄関を出る。今の時間なら歩いても間に合う、はず…うん。まぁ遅刻したら遅刻したでたった数分。そんなに説教も食らうことなく教室には行けるだろう。

ふと顔を上げると、黒猫が目の前を走り去っていった。確か、黒猫が前を通ると不幸が起きるとか何とか…可愛いのに残念。占いは最下位だったのかな、と考えながら歩を進める。

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