【完結】斜め前の遠藤君。

古堂 素央

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「こっち日陰になってっから」

 置かれた木箱に遠藤君と並んで腰かけた。近い距離にまたまた心臓が大きく跳ねる。遠藤君は気にもしてないようで、わたしが膝に抱える袋を覗き込んできた。

 焼きそばパンにコロッケパン、カレーパンにメロンパン。ウインナーがはさまったやつも、ちょっと高かったけど奮発して買ってみた。ほかにもいろいろ選んでみたけど、どれもこれも遠藤君がよく食べてるパンだった。
 え? ストーカーじゃないよ? たまたま、たまたま食べてるのが見えちゃっただけだもん。

「やべぇどれもうまそう。これどこのパン屋?」
「わたしの家のそばにあるパン屋さん。子どもの頃から良く買ってるんだ」
「へぇ、あとで場所教えてよ」

 うれしすぎて大きく頷いた。また遠藤君と話ができる。今日思い切って声かけてみてよかった。がんばったわたし。えらいぞわたし。

「大木はどれにする? 俺は残ったの食べるから」
「遠藤君から選んでいいよ。わたしは全部食べたことあるし」
「でもとっておきのあんだろ?」

 促されてわたしはカスタードの乗ったブルーベリーパンと、芥子けしの実が散らされたふっくらつやつやのあんパンを選んだ。
 あんパンに鼻をうずめて匂いをかぐのが昔から好きだ。そう言ったら遠藤君に、なんだそらって笑われてしまった。
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