【完結】斜め前の遠藤君。

古堂 素央

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 わたしは大木ミナ。この春高校に入学したばかりの女子高生だ。
 仲の良い友達はできたけど、男子とはほとんど話せないでいる。
 小学生のころ近所にいじめっ子のお兄ちゃんがいて、それ以来ずっと男の子が苦手になっていた。

 ――あ、遠藤君だ。

 そんなわたしにも気になるクラスメイトがいた。
 遠藤君は目つきが悪くて、第一印象は不良っぽくてすごく怖かったのを覚えている。

 入学式で隣に遠藤君が座ってて、あの日はなんて幸先の悪い高校生活だって思ったっけ。
 教室でも遠藤君は斜め前の席で、しばらくの間わたした恐々と高校生活を送っていた。

 でもある日トイレから戻ってきたら、わたしの席にほかの男子が座ってたときがあったんだ。
 そこどいてって言えなかったわたしは、授業のチャイムが鳴るまでの間遠巻きにひとりで立ってたんだけど。
 そしたら見かねた遠藤君が座ってた男子の背中を蹴りつけて、わたしの席から追い出してくれたんだ。

 別にわたしのためとは言われなかったけど、「ありがとう」って小さな声でお礼を言ったら、遠藤君は「ん」ってやっぱり小さな声で返してくれた。

 そのあとすぐにチャイムが鳴って、後ろから見た遠藤君の耳はなんだかちょっと赤くなっていた。

 見た目は怖いけど、遠藤君はきっとやさしい人なんだ。それ以来わたしは遠藤君を観察するのが日課になった。

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