440 / 528
第3章 寡黙な公爵と託宣の涙
4
しおりを挟む
◇
「「「「「よろしくお願いしまぁすっ!」」」」」
公爵家の廊下に男たちの声が響く。エラの前にずらりと並び、思い思いの花を持つ。みな頭を下げながら、エラの答えを待っていた。
公爵家でここ最近、頻繁に見られるようになった風景を、周囲の者は好奇の目で見守っていた。未婚の男がエラに求婚するというのが、今、公爵家の間で大流行りとなっている。「エラチャレンジ」と呼ばれるようになったこのイベントは、過熱の一途をたどっていた。
発端は子爵家の跡取りであるヨハンがエラにフラれたことだ。エラは貴族籍を抜けて、いずれ平民になるらしい。その噂は瞬く間に広まって、自分たちにもチャンスがあるのではと、使用人の男たちがこぞってエラに迫り出して今に至る。
「今日は厩舎の奴ららしいよ」
「午後の部は庭師たちがいくらしいぜ」
エラに過度な迷惑はかけないようにと、働く部署ごとにくじを引き、順番にプロポーズをしているという徹底ぶりだ。日に二度三度と行われるこのエラチャレンジは、日常でよく見る光景となりつつあった。
「やだ、あんたの彼氏、あそこにまざってない?」
「いいのよ、どうせフラれるんだから。一生の記念にしたいって言うから、快く送り出してやったわ」
「それならわたしも思い出作りにチャレンジしてこようかしら」
「オレもかみさんさえいなければ……」
「それはこっちの台詞よ。もう少し出会うのが早かったら、絶対にあんたよりエラ様を選んでるわ」
そんな会話がそこここで繰り広げられている。
そうこうしているうちに、エラがいつも通り断りの文句を告げた。
「ごめんなさい。お気持ちはうれしいですが、みなさんにお応えすることはできません」
エラが頭を下げると、男たちはうれしそうに礼を言って、手にした花を放り投げつつ去っていく。ここまでがエラチャレンジのお約束だ。
その場から離れていくエラの背を見つめ、使用人たちのおしゃべりは果てなく続く。
「エラ様もいちいち付き合ってくれて、ホントおやさしいよな」
「そんなエラ様に惚れ直しちゃう」
「それにしても、誰かがエラ様を落とす日はくるんだろうか……」
「いつまでもみんなのエラ様でいてほしいなぁ」
「んん? 何の話?」
途中から現れた男を、一同は呆れたように見やる。
「お前、本当に他人に興味ないよな。せめてエラ様のことくらい知っておけよ」
「やだなぁ、エラ様の事なら知ってるよ。ヨハン様に求婚されたんだろう? エラ様も子爵夫人かぁ。玉の輿だねぇ」
うんうんと頷く男に、周囲はため息をついた。一体いつの話だ。しかも一部内容が間違っている。誰もがそう突っ込もうとした時、背後から威圧するように声がかけられた。
「エラがヨハンの求婚を受けただと?」
「ええっグレーデン様ぁあ!?」
振り向くと、そこにはエーミールが立っていた。問題発言をした男の肩をぎりりと掴み、鬼の形相で睨みつけている。
彼らを路傍の石くらいにしか思っていないエーミールが、使用人に話しかけることなどあり得ない。おしゃべりに興じているところを睨まれて、慌てて仕事に戻るというのがせいぜいだ。
「えっと、あの、その……」
間近でイケメン貴公子に凄まれて、男は見惚れたように間抜け面をした。忌々しそうに舌打ちをして、エーミールは突き飛ばすように男の肩から手を離す。そのまま踵を返して離れていく背を、みなはあっけにとられて見送った。
「……あれ、完全に誤解してないか?」
「いや、これでグレーデン様が動くかも」
「やばっ今からでもエーミール様に賭けてこようかな」
この出来事は公爵家内に、電光石火で広まっていくのだった。
◇
廊下を進みながらエラは小さくため息をついた。使用人たちによるプロポーズが、日に幾度も繰り返されている。誰に申し込まれようと返事は変わらないということに、そろそろ気づいてほしいものだ。
ふと廊下に落ちた一輪の花が目に入る。切り花の命は儚く短い。断るたびに投げ捨てられるあの花たちが、エラは可哀そうに思えてならなかった。こんな茶番がおきなければ、もっと長く咲き誇れたろうに。
しかしあの花は了承の証だ。それをエラが手に取るわけにいくはずもない。
先を見やると、壁際に飾られた花瓶が目に入った。廊下に落ちているものと同じ花が生けてある。飾った使用人が気づかず落としていったのだろう。
これは自分のせいで投げ捨てられた花ではない。それが分かるとエラは、その一輪の花を拾って花瓶の中へと差し込んだ。
(少し萎れてしまっているけれど……)
開きかけた蕾が綺麗に咲くように。そう願いながらエラはその場を離れた。今からリーゼロッテを迎えにいくところだ。まだ時間に余裕はあるが、無性に早くその笑顔が見たかった。
普段行かない場所は危ういが、公爵家の廊下も迷くことなくひとりで歩けるようになった。そんなことを思った矢先、エラはいつの間にか人気のない場所にきていたことに気がついた。
しんとした静けさが廊下を包む。エラはさっと顔を青ざめさせた。
(気を抜いているからこういうことになるのよ!)
慣れたころが一番慢心しやすい時期だ。そんなときに大きなミスを犯す同僚を、エラは数多く目にしてきた。自分の失態を呪いながら、エラは誰か人がいないか周囲を見渡した。
耳をそばだてるも、遠くに声さえも聞こえてこない。滞った空気の流れを感じると、ここは滅多に人が通る場所ではないのかもしれない。
(とりあえず来た道を戻ろう)
いくつも曲がり角がある廊下を間違いなく戻れる自信はなかったが、このまま進むよりはましに違いない。そう思い、エラは慎重に歩を進めた。しかし行けども見知った場所にたどり着けない。焦りが不安に変わったころ、遠くから誰かの足音が聞こえてきた。
「エーミール様」
こちらに近づいてくる姿を認め、エラは安堵のあまり一気に気が抜けてしまった。思わず小走りに駆け寄るも、はっとして途中で歩みを止める。
見上げたエーミールのその顔は、今まで見たこともない怒りに満ちたものだった。
◇
(エラがヨハンの求婚を承諾した)
その受け入れがたい言葉だけが、思考のすべてを占拠する。エラが誰と結婚しようが自分には関わりのないことだ。そんなことすら思い浮かばないほど、エーミールの頭には血が上っていた。
父であるグレーデン侯爵に呼ばれ、エーミールはしばらくフーゲンベルク家を離れていた。その間にジークヴァルトは異形に襲われ大怪我を負い、敬愛する主人の大事に力を貸すことすら叶わなかった。
それに戻ってすぐに、マテアスが危険な荒事をエラに教え込んでいるとの話も聞きつけた。そのことに一言物申そうとしていた矢先のことだ。先ほどの信じがたい事実を知ったのは。
かつてないほどに集中し、屋敷中エラの気配を探す。一角をゆっくりと移動しているのをみつけて、エーミールはひたすらそこを目指した。
奥まった廊下にいたエラは、自分を見つけて駆け寄ってくる。許せない。そんな安心しきった顔を見せるくせに、ヨハンのものになろうというのか。
「エーミール様……?」
戸惑いを含んだ声が自分の名を呼ぶ。その瞳に苛立ちを覚えて、エーミールは乱暴にエラの手首を掴み取った。強張った体を逃がさないようにと、すかさずその背を引き寄せる。
「そんなに爵位持ちがいいのか?」
「え……?」
「とぼけなくていい。子爵夫人の地位に目がくらんだのだろう?」
ぎりと睨みつけるとエラは目を泳がせた。
「一体何のお話ですか?」
「はっまだしらを切ろうというのか? 無欲そうな顔をして、エラ、あなたがこんな狡猾な女だったとは驚きだ」
「そのように言われる謂れはございません」
傷ついたような顔をして、エラはエーミールを見上げてくる。そのことにさらに苛立って、エーミールは容赦なく掴む手に力を入れた。
痛みで表情が歪んでも、緩めることはしなかった。これはひどい裏切りだ。そんな思いだけが、止まることを知らず溢れ出る。
「だったらヨハンでなくてもいいだろう? このわたしがエラを娶ってやる。どうだ。これであなたは侯爵家の一員だ」
「な、何をおっしゃっているのですか……?」
「とぼけるな! ヨハンに求婚されて舞い上がっているのだろう? まんまと子爵夫人の地位を手に入れたと」
はっとしてエラは信じられないものを見るような顔つきになった。そんな顔をしても逃がさない。エーミールはさらにエラを強く引き寄せた。
「侯爵家の人間とはいえ、爵位がないと受け入れられないと言うのか? あなたがそんなあさましい女だったとはな」
「何を馬鹿なことを……。エーミール様は本気でわたしを妻に迎えられるとでも思っていらっしゃるのですか?」
その言葉にエラの顔を見る。すぐそこにあるとび色の瞳は、不信感をあらわにしていた。
「ヨハン様の求婚はきちんとお断りいたしました。わたしは誰とも結婚する気はありません。エーミール様、あなたであったとしても!」
「なっ……!?」
エラがエーミールの腕を振り払おうとする。かっとなってエーミールは拘束する手をさらにきつく締めあげた。
「離してください! エーミール様はウルリーケ様に逆らえると言うのですか!? グレーデン家に背き、わたしを娶るなどできるはずもないでしょう?」
ぐっと言葉に詰まったエーミールは、それでもエラから手を離すことはできなかった。
「それとも何ですか? エーミール様はわたしを愛人にでもなさるおつもりですか!」
叫ぶように言って、この手を逃れようと身をよじらせる。頭が真っ白になったエーミールは、エラの頭を乱暴に引き寄せた。
否定を投げつける唇を、無理やりに塞ごうとする。自身の唇がエラのそれに触れようとした瞬間、ぱぁんと乾いた音が大きく響いた。
エラに頬を叩かれたのだ。一瞬遅れた痛みにそう思い至るのと同時に、何者かがふたりの間に割って入った。
「エーミール様、ご自分が何をされているか分かっておられるのですか?」
エラの体を後ろ手に庇い、目の前に立つのはマテアスだった。
はっとエラの顔を見た。マテアスの背を掴む手が小刻みに震え、怯えた瞳のまま視線が逸らされる。血の気が引くようにエーミールは正気を取り戻した。
「いかにエーミール様といえど、このような行いを見過ごすわけにはまいりません。この件は旦那様に報告させていただきます。よろしいですね?」
事務的に告げるマテアスに、返す言葉もみつからなかった。呆然とエラを見続けるも、その顔がこちらに向けられることはない。
「エラ様、お怪我は?」
力なく首を振るエラの背に、マテアスはそっと手を添えた。
「まいりましょう。リーゼロッテ様が心配しておいでです。ご自分でお歩きになれますか?」
今度は小さく頷くと、エラの頬をひと粒の涙が滑り落ちた。
あの涙をエーミールは知っている。ダーミッシュ伯爵の屋敷の片隅で、下衆な男に追い詰められていたエラを救ったのは、誰でもないこの自分だ。だがあの日、今マテアスのいる場所には自分が立っていたはずだった。
(わたしは一体何を――)
激情に任せて我を忘れるなど、今まで一度もありはしなかった。夢であってほしいと思うが、頬の痛みがその願いを打ち砕く。
遠ざかっていくエラの背を見つめ、エーミールは誰もいない廊下をひとり立ち尽くした。
◇
自室の扉を開けて、エラを誘う。誰にも見られていないことを確かめて、マテアスはその扉を閉めた。
「散らかっていて申し訳ありません。何しろ部屋には寝に帰るだけなものでして」
ソファに投げ捨てられていた衣類をかき集めて、軽くソファの埃をはたく。テーブルの上に積まれていた書類を脇に避けてから、マテアスはエラを座らせた。
色を失くした唇のまま、エラの瞳から再び涙が溢れ出した。ほっとして気が緩んだのだろう。何も言わずにマテアスは、懐から取り出したハンカチをエラの手に握らせる。
それを顔に当ててエラは堪えるように歯を食いしばった。エラのするがままにさせて、マテアスは静かにその場を離れた。
部屋に備え付けられた小さなキッチンで湯を沸かす。手際よく温めたポットに紅茶の葉を入れると、マテアスは勢いよくその中に湯を注いだ。すぐさまティーコジーをポットにかぶせると、ひょいと砂時計をひっくり返す。
砂が落ちきる前に戸棚を探る。ロミルダに見つからないようにと隠しておいた焼き菓子を取りだした。ジークヴァルトと違ってマテアスは甘いものが大好きだ。疲れた時や特別に頑張った時のご褒美に、王都で流行りの甘味をいただくのがマテアスの唯一の楽しみだった。
そのとっておきのパウンドケーキを、惜しげもなく皿に綺麗に並べ置く。今出し惜しみなどしたら、男が廃るというものだろう。
タイミングよく落ちきった砂をみやり、マテアスはカップに紅茶を注ぐ。広がった甘めの芳香と一緒に、マテアスはエラの元へと戻っていった。
少し落ち着いてきた様子のエラの前に、紅茶と焼き菓子をサーブする。ハンカチを握りしめたまま反応を見せないエラの前で、マテアスは静かに片膝をついた。
「エラ様」
呼びかけに仕方なく顔を上げたエラの口に、マテアスはひと掬いのケーキを差し入れた。するりとフォークを抜くと、ケーキはうまい具合に口の中に納まったようだ。目を丸くしているエラの顔を覗き込むようにして、マテアスはいたずらが成功した子供のような顔を向けた。
「悲しみに暮れる女性には、甘いものがいちばんだということは実証済みです。この方法で泣き止まなかった女性はおりません」
ぽかんとなったあと、エラは涙が残る顔のまま、仕方なさそうに笑顔になった。
「随分とプレイボーイな発言ですね」
「それはどうでしょう? 試してみたのは母ロミルダと、エマニュエル様、アデライーデ様、それにツェツィーリア様ですから」
「それにわたしが加わったのですね?」
「正に。この理論が間違いないことが再び立証されました」
大仰に頷いたマテアスに、エラはふっと自然に笑った。
「ありがとう、マテアス」
「いえ、もう少し早く行くべきだったと後悔しております」
迎えに来るはずのエラが現れないとリーゼロッテに懇願されて、マテアスはエラを探し回っていた。胸騒ぎを覚えたマテアスは、人気のない区画でエーミールと一緒にいる姿を見つけたとき、一瞬その間に入るのを躊躇した。
「わたしリーゼロッテ様を迎えに行かないと……!」
はっとして立ち上がろうとしたエラの手を取って、マテアスはその場に押しとどめた。
「リーゼロッテ様はわたしが部屋へとお連れしました。今はルチア様とともにベッティさんがついていてくれています」
「そう……ですか」
力が抜けたように、エラは再びソファへと沈み込んだ。
「エラ様……余計な事かもしれませんが、エラ様はエーミール様のことを憎からず思っていらっしゃるのでしょう? エーミール様も同じ思いのご様子です。その手を取っても何も問題はないのではありませんか?」
「……わたしなど、エーミール様に相応しくはありません。グレーデン家がそれを許すとも思えません」
ぎゅっと唇を噛みしめる。そんなエラにマテアスは苦笑いを向けた。
「確かにグレーデン家は格式高いお家でございましょう。ですがウルリーケ様のご容態も思わしくない今、エラ様との婚姻を力づくでどうこうしてくるとは思えません」
「ですが……」
「エーミール様はフーゲンベルク家の護衛として、長年勤めあげておられます。それにリーゼロッテ様がエラ様のしあわせを望めば、我が主もおふたりのことを最大限後押ししてくださることでしょう」
その言葉にエラは、ハンカチを握る手に力を入れた。
「それでも、貴族である以上何がおこるかわかりません。グレーデン家の跡取りであるエルヴィン様はご病弱だと伺っております。万が一、エーミール様が侯爵家を継ぐようなことになれば……」
そこまで言って、エラは一度言葉を切った。マテアスは口をはさむこともなく、ただ静かに続きを待っている。
「わたしはこういった貴族のしがらみから抜け出したいのです。誰よりも、大事なお嬢様をお守りするために――」
「……エラ様のお気持ちはよくわかりました。このマテアス、もう何も申しません」
「ごめんなさい……」
「謝ることなど何もございませんよ。どうか、エラ様の思うままに」
やわらかく微笑むとマテアスは立ち上がった。
「ロミルダを呼んでまいります。そのお姿のまま戻られては、リーゼロッテ様もご心配されるでしょう。エラ様は落ち着くまでここにいらしてください」
そう言って部屋を出ていこうとするマテアスを、エラは咄嗟のように引き止めた。
「マテアス! ひとつだけお願いが……」
「何でございましょう?」
振り返ったマテアスを、瞳を揺らしたエラが見上げてくる。
「あの……今日のことは、公爵様には言わないでいてくれませんか?」
不安げな表情は、いまだエーミールの立場を思ってのことだろう。
「……わかりました。今回の件はこのマテアスの胸にしまっておきましょう。ですが二度目はございませんよ。もし同じようなことが起きたなら、必ずわたしにご相談くださると約束していただけますか?」
それが条件ですとつけ加えると、エラは黙って頷いた。
「では、わたしはこれで」
丁寧に腰を折ってから、マテアスは扉のノブに手をかけた。
「ああ、わたしとしたことが。もうひとつ大切な条件を言うのを忘れておりました」
振り返ったマテアスの真剣な面持ちに、エラが居住まいを正す。
「そちらの焼き菓子は、母が来る前にお食べになっていただけますか? 隠していたことがバレると、後で何を言われるかわからないので」
神妙な顔つきで言ったマテアスを、エラはぽかんと見上げた。
「ふ……ふふ、分かりました。ロミルダに見つからないよう、証拠隠滅しておきます」
「ご協力ありがとうございます」
今度こそ扉を開けたマテアスに「たくさんありがとう」と小さく言葉がかけられる。
「お安い御用です。エラ様の笑顔のためでしたら、このマテアス、努力は惜しみませんよ」
そう言い残して、マテアスは出ていった。
ひとり残された部屋で、エラはゆっくりとケーキを口に運んだ。ブランデーの香りが、口いっぱいに広がっていく。
もう、賽は投げられたのだ。自分の行くべき道が、今後変わることはない。
――この味を生涯忘れることはないのだろう
エラは最後のひと口を、涙とともに飲み込んだ。
【次回予告】
はーい、わたしリーゼロッテ。自分の思いに区切りをつけたエラとともに、夜会出席の準備が進められていって。やるせない気持ちのままジークヴァルト様のパートナーとして、デルプフェルト家に向かいます。そこでイザベラ様から思いもよらないことを告げられたわたしは……?
次回、3章第16話「初夏の夜会」 あわれなわたしに、チート、プリーズ!!
「「「「「よろしくお願いしまぁすっ!」」」」」
公爵家の廊下に男たちの声が響く。エラの前にずらりと並び、思い思いの花を持つ。みな頭を下げながら、エラの答えを待っていた。
公爵家でここ最近、頻繁に見られるようになった風景を、周囲の者は好奇の目で見守っていた。未婚の男がエラに求婚するというのが、今、公爵家の間で大流行りとなっている。「エラチャレンジ」と呼ばれるようになったこのイベントは、過熱の一途をたどっていた。
発端は子爵家の跡取りであるヨハンがエラにフラれたことだ。エラは貴族籍を抜けて、いずれ平民になるらしい。その噂は瞬く間に広まって、自分たちにもチャンスがあるのではと、使用人の男たちがこぞってエラに迫り出して今に至る。
「今日は厩舎の奴ららしいよ」
「午後の部は庭師たちがいくらしいぜ」
エラに過度な迷惑はかけないようにと、働く部署ごとにくじを引き、順番にプロポーズをしているという徹底ぶりだ。日に二度三度と行われるこのエラチャレンジは、日常でよく見る光景となりつつあった。
「やだ、あんたの彼氏、あそこにまざってない?」
「いいのよ、どうせフラれるんだから。一生の記念にしたいって言うから、快く送り出してやったわ」
「それならわたしも思い出作りにチャレンジしてこようかしら」
「オレもかみさんさえいなければ……」
「それはこっちの台詞よ。もう少し出会うのが早かったら、絶対にあんたよりエラ様を選んでるわ」
そんな会話がそこここで繰り広げられている。
そうこうしているうちに、エラがいつも通り断りの文句を告げた。
「ごめんなさい。お気持ちはうれしいですが、みなさんにお応えすることはできません」
エラが頭を下げると、男たちはうれしそうに礼を言って、手にした花を放り投げつつ去っていく。ここまでがエラチャレンジのお約束だ。
その場から離れていくエラの背を見つめ、使用人たちのおしゃべりは果てなく続く。
「エラ様もいちいち付き合ってくれて、ホントおやさしいよな」
「そんなエラ様に惚れ直しちゃう」
「それにしても、誰かがエラ様を落とす日はくるんだろうか……」
「いつまでもみんなのエラ様でいてほしいなぁ」
「んん? 何の話?」
途中から現れた男を、一同は呆れたように見やる。
「お前、本当に他人に興味ないよな。せめてエラ様のことくらい知っておけよ」
「やだなぁ、エラ様の事なら知ってるよ。ヨハン様に求婚されたんだろう? エラ様も子爵夫人かぁ。玉の輿だねぇ」
うんうんと頷く男に、周囲はため息をついた。一体いつの話だ。しかも一部内容が間違っている。誰もがそう突っ込もうとした時、背後から威圧するように声がかけられた。
「エラがヨハンの求婚を受けただと?」
「ええっグレーデン様ぁあ!?」
振り向くと、そこにはエーミールが立っていた。問題発言をした男の肩をぎりりと掴み、鬼の形相で睨みつけている。
彼らを路傍の石くらいにしか思っていないエーミールが、使用人に話しかけることなどあり得ない。おしゃべりに興じているところを睨まれて、慌てて仕事に戻るというのがせいぜいだ。
「えっと、あの、その……」
間近でイケメン貴公子に凄まれて、男は見惚れたように間抜け面をした。忌々しそうに舌打ちをして、エーミールは突き飛ばすように男の肩から手を離す。そのまま踵を返して離れていく背を、みなはあっけにとられて見送った。
「……あれ、完全に誤解してないか?」
「いや、これでグレーデン様が動くかも」
「やばっ今からでもエーミール様に賭けてこようかな」
この出来事は公爵家内に、電光石火で広まっていくのだった。
◇
廊下を進みながらエラは小さくため息をついた。使用人たちによるプロポーズが、日に幾度も繰り返されている。誰に申し込まれようと返事は変わらないということに、そろそろ気づいてほしいものだ。
ふと廊下に落ちた一輪の花が目に入る。切り花の命は儚く短い。断るたびに投げ捨てられるあの花たちが、エラは可哀そうに思えてならなかった。こんな茶番がおきなければ、もっと長く咲き誇れたろうに。
しかしあの花は了承の証だ。それをエラが手に取るわけにいくはずもない。
先を見やると、壁際に飾られた花瓶が目に入った。廊下に落ちているものと同じ花が生けてある。飾った使用人が気づかず落としていったのだろう。
これは自分のせいで投げ捨てられた花ではない。それが分かるとエラは、その一輪の花を拾って花瓶の中へと差し込んだ。
(少し萎れてしまっているけれど……)
開きかけた蕾が綺麗に咲くように。そう願いながらエラはその場を離れた。今からリーゼロッテを迎えにいくところだ。まだ時間に余裕はあるが、無性に早くその笑顔が見たかった。
普段行かない場所は危ういが、公爵家の廊下も迷くことなくひとりで歩けるようになった。そんなことを思った矢先、エラはいつの間にか人気のない場所にきていたことに気がついた。
しんとした静けさが廊下を包む。エラはさっと顔を青ざめさせた。
(気を抜いているからこういうことになるのよ!)
慣れたころが一番慢心しやすい時期だ。そんなときに大きなミスを犯す同僚を、エラは数多く目にしてきた。自分の失態を呪いながら、エラは誰か人がいないか周囲を見渡した。
耳をそばだてるも、遠くに声さえも聞こえてこない。滞った空気の流れを感じると、ここは滅多に人が通る場所ではないのかもしれない。
(とりあえず来た道を戻ろう)
いくつも曲がり角がある廊下を間違いなく戻れる自信はなかったが、このまま進むよりはましに違いない。そう思い、エラは慎重に歩を進めた。しかし行けども見知った場所にたどり着けない。焦りが不安に変わったころ、遠くから誰かの足音が聞こえてきた。
「エーミール様」
こちらに近づいてくる姿を認め、エラは安堵のあまり一気に気が抜けてしまった。思わず小走りに駆け寄るも、はっとして途中で歩みを止める。
見上げたエーミールのその顔は、今まで見たこともない怒りに満ちたものだった。
◇
(エラがヨハンの求婚を承諾した)
その受け入れがたい言葉だけが、思考のすべてを占拠する。エラが誰と結婚しようが自分には関わりのないことだ。そんなことすら思い浮かばないほど、エーミールの頭には血が上っていた。
父であるグレーデン侯爵に呼ばれ、エーミールはしばらくフーゲンベルク家を離れていた。その間にジークヴァルトは異形に襲われ大怪我を負い、敬愛する主人の大事に力を貸すことすら叶わなかった。
それに戻ってすぐに、マテアスが危険な荒事をエラに教え込んでいるとの話も聞きつけた。そのことに一言物申そうとしていた矢先のことだ。先ほどの信じがたい事実を知ったのは。
かつてないほどに集中し、屋敷中エラの気配を探す。一角をゆっくりと移動しているのをみつけて、エーミールはひたすらそこを目指した。
奥まった廊下にいたエラは、自分を見つけて駆け寄ってくる。許せない。そんな安心しきった顔を見せるくせに、ヨハンのものになろうというのか。
「エーミール様……?」
戸惑いを含んだ声が自分の名を呼ぶ。その瞳に苛立ちを覚えて、エーミールは乱暴にエラの手首を掴み取った。強張った体を逃がさないようにと、すかさずその背を引き寄せる。
「そんなに爵位持ちがいいのか?」
「え……?」
「とぼけなくていい。子爵夫人の地位に目がくらんだのだろう?」
ぎりと睨みつけるとエラは目を泳がせた。
「一体何のお話ですか?」
「はっまだしらを切ろうというのか? 無欲そうな顔をして、エラ、あなたがこんな狡猾な女だったとは驚きだ」
「そのように言われる謂れはございません」
傷ついたような顔をして、エラはエーミールを見上げてくる。そのことにさらに苛立って、エーミールは容赦なく掴む手に力を入れた。
痛みで表情が歪んでも、緩めることはしなかった。これはひどい裏切りだ。そんな思いだけが、止まることを知らず溢れ出る。
「だったらヨハンでなくてもいいだろう? このわたしがエラを娶ってやる。どうだ。これであなたは侯爵家の一員だ」
「な、何をおっしゃっているのですか……?」
「とぼけるな! ヨハンに求婚されて舞い上がっているのだろう? まんまと子爵夫人の地位を手に入れたと」
はっとしてエラは信じられないものを見るような顔つきになった。そんな顔をしても逃がさない。エーミールはさらにエラを強く引き寄せた。
「侯爵家の人間とはいえ、爵位がないと受け入れられないと言うのか? あなたがそんなあさましい女だったとはな」
「何を馬鹿なことを……。エーミール様は本気でわたしを妻に迎えられるとでも思っていらっしゃるのですか?」
その言葉にエラの顔を見る。すぐそこにあるとび色の瞳は、不信感をあらわにしていた。
「ヨハン様の求婚はきちんとお断りいたしました。わたしは誰とも結婚する気はありません。エーミール様、あなたであったとしても!」
「なっ……!?」
エラがエーミールの腕を振り払おうとする。かっとなってエーミールは拘束する手をさらにきつく締めあげた。
「離してください! エーミール様はウルリーケ様に逆らえると言うのですか!? グレーデン家に背き、わたしを娶るなどできるはずもないでしょう?」
ぐっと言葉に詰まったエーミールは、それでもエラから手を離すことはできなかった。
「それとも何ですか? エーミール様はわたしを愛人にでもなさるおつもりですか!」
叫ぶように言って、この手を逃れようと身をよじらせる。頭が真っ白になったエーミールは、エラの頭を乱暴に引き寄せた。
否定を投げつける唇を、無理やりに塞ごうとする。自身の唇がエラのそれに触れようとした瞬間、ぱぁんと乾いた音が大きく響いた。
エラに頬を叩かれたのだ。一瞬遅れた痛みにそう思い至るのと同時に、何者かがふたりの間に割って入った。
「エーミール様、ご自分が何をされているか分かっておられるのですか?」
エラの体を後ろ手に庇い、目の前に立つのはマテアスだった。
はっとエラの顔を見た。マテアスの背を掴む手が小刻みに震え、怯えた瞳のまま視線が逸らされる。血の気が引くようにエーミールは正気を取り戻した。
「いかにエーミール様といえど、このような行いを見過ごすわけにはまいりません。この件は旦那様に報告させていただきます。よろしいですね?」
事務的に告げるマテアスに、返す言葉もみつからなかった。呆然とエラを見続けるも、その顔がこちらに向けられることはない。
「エラ様、お怪我は?」
力なく首を振るエラの背に、マテアスはそっと手を添えた。
「まいりましょう。リーゼロッテ様が心配しておいでです。ご自分でお歩きになれますか?」
今度は小さく頷くと、エラの頬をひと粒の涙が滑り落ちた。
あの涙をエーミールは知っている。ダーミッシュ伯爵の屋敷の片隅で、下衆な男に追い詰められていたエラを救ったのは、誰でもないこの自分だ。だがあの日、今マテアスのいる場所には自分が立っていたはずだった。
(わたしは一体何を――)
激情に任せて我を忘れるなど、今まで一度もありはしなかった。夢であってほしいと思うが、頬の痛みがその願いを打ち砕く。
遠ざかっていくエラの背を見つめ、エーミールは誰もいない廊下をひとり立ち尽くした。
◇
自室の扉を開けて、エラを誘う。誰にも見られていないことを確かめて、マテアスはその扉を閉めた。
「散らかっていて申し訳ありません。何しろ部屋には寝に帰るだけなものでして」
ソファに投げ捨てられていた衣類をかき集めて、軽くソファの埃をはたく。テーブルの上に積まれていた書類を脇に避けてから、マテアスはエラを座らせた。
色を失くした唇のまま、エラの瞳から再び涙が溢れ出した。ほっとして気が緩んだのだろう。何も言わずにマテアスは、懐から取り出したハンカチをエラの手に握らせる。
それを顔に当ててエラは堪えるように歯を食いしばった。エラのするがままにさせて、マテアスは静かにその場を離れた。
部屋に備え付けられた小さなキッチンで湯を沸かす。手際よく温めたポットに紅茶の葉を入れると、マテアスは勢いよくその中に湯を注いだ。すぐさまティーコジーをポットにかぶせると、ひょいと砂時計をひっくり返す。
砂が落ちきる前に戸棚を探る。ロミルダに見つからないようにと隠しておいた焼き菓子を取りだした。ジークヴァルトと違ってマテアスは甘いものが大好きだ。疲れた時や特別に頑張った時のご褒美に、王都で流行りの甘味をいただくのがマテアスの唯一の楽しみだった。
そのとっておきのパウンドケーキを、惜しげもなく皿に綺麗に並べ置く。今出し惜しみなどしたら、男が廃るというものだろう。
タイミングよく落ちきった砂をみやり、マテアスはカップに紅茶を注ぐ。広がった甘めの芳香と一緒に、マテアスはエラの元へと戻っていった。
少し落ち着いてきた様子のエラの前に、紅茶と焼き菓子をサーブする。ハンカチを握りしめたまま反応を見せないエラの前で、マテアスは静かに片膝をついた。
「エラ様」
呼びかけに仕方なく顔を上げたエラの口に、マテアスはひと掬いのケーキを差し入れた。するりとフォークを抜くと、ケーキはうまい具合に口の中に納まったようだ。目を丸くしているエラの顔を覗き込むようにして、マテアスはいたずらが成功した子供のような顔を向けた。
「悲しみに暮れる女性には、甘いものがいちばんだということは実証済みです。この方法で泣き止まなかった女性はおりません」
ぽかんとなったあと、エラは涙が残る顔のまま、仕方なさそうに笑顔になった。
「随分とプレイボーイな発言ですね」
「それはどうでしょう? 試してみたのは母ロミルダと、エマニュエル様、アデライーデ様、それにツェツィーリア様ですから」
「それにわたしが加わったのですね?」
「正に。この理論が間違いないことが再び立証されました」
大仰に頷いたマテアスに、エラはふっと自然に笑った。
「ありがとう、マテアス」
「いえ、もう少し早く行くべきだったと後悔しております」
迎えに来るはずのエラが現れないとリーゼロッテに懇願されて、マテアスはエラを探し回っていた。胸騒ぎを覚えたマテアスは、人気のない区画でエーミールと一緒にいる姿を見つけたとき、一瞬その間に入るのを躊躇した。
「わたしリーゼロッテ様を迎えに行かないと……!」
はっとして立ち上がろうとしたエラの手を取って、マテアスはその場に押しとどめた。
「リーゼロッテ様はわたしが部屋へとお連れしました。今はルチア様とともにベッティさんがついていてくれています」
「そう……ですか」
力が抜けたように、エラは再びソファへと沈み込んだ。
「エラ様……余計な事かもしれませんが、エラ様はエーミール様のことを憎からず思っていらっしゃるのでしょう? エーミール様も同じ思いのご様子です。その手を取っても何も問題はないのではありませんか?」
「……わたしなど、エーミール様に相応しくはありません。グレーデン家がそれを許すとも思えません」
ぎゅっと唇を噛みしめる。そんなエラにマテアスは苦笑いを向けた。
「確かにグレーデン家は格式高いお家でございましょう。ですがウルリーケ様のご容態も思わしくない今、エラ様との婚姻を力づくでどうこうしてくるとは思えません」
「ですが……」
「エーミール様はフーゲンベルク家の護衛として、長年勤めあげておられます。それにリーゼロッテ様がエラ様のしあわせを望めば、我が主もおふたりのことを最大限後押ししてくださることでしょう」
その言葉にエラは、ハンカチを握る手に力を入れた。
「それでも、貴族である以上何がおこるかわかりません。グレーデン家の跡取りであるエルヴィン様はご病弱だと伺っております。万が一、エーミール様が侯爵家を継ぐようなことになれば……」
そこまで言って、エラは一度言葉を切った。マテアスは口をはさむこともなく、ただ静かに続きを待っている。
「わたしはこういった貴族のしがらみから抜け出したいのです。誰よりも、大事なお嬢様をお守りするために――」
「……エラ様のお気持ちはよくわかりました。このマテアス、もう何も申しません」
「ごめんなさい……」
「謝ることなど何もございませんよ。どうか、エラ様の思うままに」
やわらかく微笑むとマテアスは立ち上がった。
「ロミルダを呼んでまいります。そのお姿のまま戻られては、リーゼロッテ様もご心配されるでしょう。エラ様は落ち着くまでここにいらしてください」
そう言って部屋を出ていこうとするマテアスを、エラは咄嗟のように引き止めた。
「マテアス! ひとつだけお願いが……」
「何でございましょう?」
振り返ったマテアスを、瞳を揺らしたエラが見上げてくる。
「あの……今日のことは、公爵様には言わないでいてくれませんか?」
不安げな表情は、いまだエーミールの立場を思ってのことだろう。
「……わかりました。今回の件はこのマテアスの胸にしまっておきましょう。ですが二度目はございませんよ。もし同じようなことが起きたなら、必ずわたしにご相談くださると約束していただけますか?」
それが条件ですとつけ加えると、エラは黙って頷いた。
「では、わたしはこれで」
丁寧に腰を折ってから、マテアスは扉のノブに手をかけた。
「ああ、わたしとしたことが。もうひとつ大切な条件を言うのを忘れておりました」
振り返ったマテアスの真剣な面持ちに、エラが居住まいを正す。
「そちらの焼き菓子は、母が来る前にお食べになっていただけますか? 隠していたことがバレると、後で何を言われるかわからないので」
神妙な顔つきで言ったマテアスを、エラはぽかんと見上げた。
「ふ……ふふ、分かりました。ロミルダに見つからないよう、証拠隠滅しておきます」
「ご協力ありがとうございます」
今度こそ扉を開けたマテアスに「たくさんありがとう」と小さく言葉がかけられる。
「お安い御用です。エラ様の笑顔のためでしたら、このマテアス、努力は惜しみませんよ」
そう言い残して、マテアスは出ていった。
ひとり残された部屋で、エラはゆっくりとケーキを口に運んだ。ブランデーの香りが、口いっぱいに広がっていく。
もう、賽は投げられたのだ。自分の行くべき道が、今後変わることはない。
――この味を生涯忘れることはないのだろう
エラは最後のひと口を、涙とともに飲み込んだ。
【次回予告】
はーい、わたしリーゼロッテ。自分の思いに区切りをつけたエラとともに、夜会出席の準備が進められていって。やるせない気持ちのままジークヴァルト様のパートナーとして、デルプフェルト家に向かいます。そこでイザベラ様から思いもよらないことを告げられたわたしは……?
次回、3章第16話「初夏の夜会」 あわれなわたしに、チート、プリーズ!!
0
※小説家になろうグループムーンライトノベルズにて【R18】ふたつ名の令嬢と龍の託宣 不定期投稿中☆
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

異世界転移聖女の侍女にされ殺された公爵令嬢ですが、時を逆行したのでお告げと称して聖女の功績を先取り実行してみた結果
富士とまと
恋愛
公爵令嬢が、異世界から召喚された聖女に婚約者である皇太子を横取りし婚約破棄される。
そのうえ、聖女の世話役として、侍女のように働かされることになる。理不尽な要求にも色々耐えていたのに、ある日「もう飽きたつまんない」と聖女が言いだし、冤罪をかけられ牢屋に入れられ毒殺される。
死んだと思ったら、時をさかのぼっていた。皇太子との関係を改めてやり直す中、聖女と過ごした日々に見聞きした知識を生かすことができることに気が付き……。殿下の呪いを解いたり、水害を防いだりとしながら過ごすあいだに、運命の時を迎え……え?ええ?

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

忙しい男
菅井群青
恋愛
付き合っていた彼氏に別れを告げた。忙しいという彼を信じていたけれど、私から別れを告げる前に……きっと私は半分捨てられていたんだ。
「私のことなんてもうなんとも思ってないくせに」
「お前は一体俺の何を見て言ってる──お前は、俺を知らな過ぎる」
すれ違う想いはどうしてこうも上手くいかないのか。いつだって思うことはただ一つ、愛おしいという気持ちだ。
※ハッピーエンドです
かなりやきもきさせてしまうと思います。
どうか温かい目でみてやってくださいね。
※本編完結しました(2019/07/15)
スピンオフ &番外編
【泣く背中】 菊田夫妻のストーリーを追加しました(2019/08/19)
改稿 (2020/01/01)
本編のみカクヨムさんでも公開しました。

【本編完結】異世界再建に召喚されたはずなのにいつのまにか溺愛ルートに入りそうです⁉︎
sutera
恋愛
仕事に疲れたボロボロアラサーOLの悠里。
遠くへ行きたい…ふと、現実逃避を口にしてみたら
自分の世界を建て直す人間を探していたという女神に
スカウトされて異世界召喚に応じる。
その結果、なぜか10歳の少女姿にされた上に
第二王子や護衛騎士、魔導士団長など周囲の人達に
かまい倒されながら癒し子任務をする話。
時々ほんのり色っぽい要素が入るのを目指してます。
初投稿、ゆるふわファンタジー設定で気のむくまま更新。
2023年8月、本編完結しました!以降はゆるゆると番外編を更新していきますのでよろしくお願いします。

【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

裏切られた令嬢は死を選んだ。そして……
希猫 ゆうみ
恋愛
スチュアート伯爵家の令嬢レーラは裏切られた。
幼馴染に婚約者を奪われたのだ。
レーラの17才の誕生日に、二人はキスをして、そして言った。
「一度きりの人生だから、本当に愛せる人と結婚するよ」
「ごめんねレーラ。ロバートを愛してるの」
誕生日に婚約破棄されたレーラは絶望し、生きる事を諦めてしまう。
けれど死にきれず、再び目覚めた時、新しい人生が幕を開けた。
レーラに許しを請い、縋る裏切り者たち。
心を鎖し生きて行かざるを得ないレーラの前に、一人の求婚者が現れる。
強く気高く冷酷に。
裏切り者たちが落ちぶれていく様を眺めながら、レーラは愛と幸せを手に入れていく。
☆完結しました。ありがとうございました!☆
(ホットランキング8位ありがとうございます!(9/10、19:30現在))
(ホットランキング1位~9位~2位ありがとうございます!(9/6~9))
(ホットランキング1位!?ありがとうございます!!(9/5、13:20現在))
(ホットランキング9位ありがとうございます!(9/4、18:30現在))

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる