368 / 528
第2章 氷の王子と消えた託宣
6
しおりを挟む
◇
令嬢姿のカイと共に一度会場から姿を消したハインリヒは、再び壇上へと舞い戻っていた。挨拶にやって来る貴族の相手をするのも、王太子としての大事な役目だ。
先ほどダンスのパートナーを務めた令嬢は誰なのか。その問いかけがいちばんに面倒だった。その問いには無言で返し、冷たい表情を貫いた。あとは周りの者が気を遣って、次の貴族が待っているからと質問した貴族を追い返すのがいつもことだ。
(アンネマリーがいない……?)
貴族へ対応しながら、会場の一角をみやる。ジークヴァルトたちを守るように取り巻く一団が目に入るが、そこにアンネマリーの姿はなかった。
(ファーストダンスの時は、確かにあの辺りにいたはずなのに)
リーゼロッテが言っていたように、アンネマリーはあの不思議な光沢を放つ織物のドレスを身に纏っていた。遠めに見ても、その存在に意識が釘付けとなった。カイと踊っている間も、アンネマリーを盗み見ずにはいられなかった。
ほかのフロアを見渡すも、その姿を見つけることはできない。クラッセン侯爵夫人はまだそこにいるということは、会場を後にしたわけではなさそうだ。
(アンネマリーが他の男と踊る姿など、もう見たくはない)
結局、あの懐中時計は持ち歩いてしまっている。母の形見ではあるものの、これはアンネマリーとの思い出をつなぐ唯一の存在だ。
アンネマリーと顔を合わせたところで何が生まれるわけでもない。だが、その姿が再び見られることに、期待で胸を膨らませている自分がいた。
その彼女が、今、いない。
貴族への対応も上の空に、胸騒ぎを覚えたハインリヒの視線は、会場の中を彷徨った。
◇
ミヒャエルは、夜会の会場の片隅で、イジドーラ王妃がダンスフロアの中央で踊る姿を眺めやっていた。王と見つめ合いながら、優雅に踊る。その美しい姿に、自然と目が吸い寄せられた。
(あの娘はわたしの物だ)
ザイデル公爵家の謀反が起きた時に、自分がイジドーラを救うはずだった。それを横からかっさらうように奪ったのがディートリヒだ。
神官として生きてきた自分が、貴族のようにダンスを踊るわけにはいかない。踊りのステップのひとつも知らない自分が呪わしく感じる。
(いや、そんなもの、わたしが王となればどうとでもなる)
あのイジドーラを、目の前に跪かせることもできるのだ。そう言い聞かせて心を落ち着ける。今はまだやらねばならないことがある。
(余裕の顔でいられるのも今のうちだ)
そう思ってほくそ笑んだ。自分に近づいてきた貴族の男の目配せ受けて、その場を後にする。男と共に入った休憩室の一室では、幾人もの貴族たちが待っていた。
「ミヒャエル司祭枢機卿様……」
うつろな目をした貴族たちが、自分に対して礼を取る。その様にミヒャエルは下卑た笑みを漏らした。
「女神はなんとおっしゃられているのですか?」
ここに集まるは、紅の女神を真の神として崇める者たちだ。女神の存在をその肌で感じることができる選ばれた者たちだった。
だが、女神の姿を見、その声を聞きことができるのは、唯一この自分だけだ。その事実こそ、自分がこの国の王となるべく女神に選ばれた人間という証と言えよう。
「我らが紅の女神は、この国を欲しておられる。国の命運を握るのはハインリヒ王子だ。王子を消せば、この国はすぐにでも我らが手に落ちるだろう」
ミヒャエルの宣言に、その場にいた者たちの動揺が走る。その様を冷たく見やり、ミヒャエルは中指にはめた大ぶりの紅玉の指輪を掲げて見せた。
「紅の女神は、唯一にして絶対神なるぞ。我が命に従い、王子の首を取るのだ!」
紅玉が禍々しいまでの光を放つ。その光は部屋にいた貴族だけでなく、夜会の会場周辺まで不穏な空気を広げていった。
◇
(なんだ……?)
王城の廊下で突如感じた重い波動の広がりに、令嬢姿から式典用の騎士服に着替えたカイが辺りを見回した。
(異形たちがざわついている)
リーゼロッテが起こした騒ぎの時とはまた違う、不安を煽られるような空気感だ。
「うわっと」
物陰からいきなり剣を振り上げられて、カイは咄嗟にその人物から距離を取る。振り下ろされた剣は空を切り、先ほどまでカイがいた床を大きくえぐった。
目の前にうつろな瞳をした王城騎士がいる。再び剣を振り上げ、カイへとその剣先を向けた。
(異形に憑かれているのか?)
それを難なく避けて、カイはその騎士の首筋へと手刀を浴びせた。あっさりと倒れるかに見えた騎士が、寸でのところでゆらりと再び立ち上がった。
「ったく、面倒だな」
完全に異形の者に飲まれている様子の騎士は、もはや操り人形のようだ。意識を失ったまま、危うげな足取りでカイへと迫って来る。
騎士の背後へと回る。力を手中に溜めておき、それを叩きつけるように再び手を振り下ろした。騎士がその場に崩れ落ちる。今度こそ気を失ったようだ。騎士が立ち上がる様子はない。
(不穏な空気が広がっている)
カイは急ぎ、夜会の会場へと向かった。
◇
宴もたけなわの中、突然悲鳴が響き渡った。それを皮切りに、あちこちで混乱が巻き起こる。
ある者は気分が悪くなって倒れ込み、ある者は錯乱したように周囲の者を傷つけようとする。王たちがいる壇上へも、数人の貴族が意味不明な言葉を叫びながら、剣を振り上げなだれ込んできた。
「王と王妃殿下はこちらへ」
いち早くふたりが騎士たちに守られ、奥へと誘導されていく。その姿には目もくれずに、錯乱した一団は、ハインリヒへとまっすぐに向かっていった。
「王太子だ! 王太子の首を女神に差し出すのだっ」
煽るようにどこからか声が響き、かばうように剣を受けた近衛騎士が薙ぎ飛ばされていく。
(狙いはわたしなのか?)
ハインリヒも剣を抜き応戦に回るが、すぐに自身を守るように、近衛騎士の壁が目の前にでき上がった。
「この者たちは正気ではありません。すぐに安全な場所へお逃げください」
目の前にいる者たちが、異形に憑かれていることはすぐに分かった。だが、夜会で貴族の帯剣は禁じられている。それがあっさり持ちこまれている様子を見ると、何か意図的なものを感じずにはいられなかった。
「王太子殿下、お急ぎください!」
狙いが自分ならば、ここにいるのは足手まといだ。異形が原因というのなら、守りが張られている場所へと逃げ込めば、とりあえず奴らは手を出せなくなる。
「ハインリヒ様」
背後からカイの声がする。
「こちらへ」
振り向くと騎士服に着替えたカイが、王族用の出入り口の扉を開けて手招きをしていた。頷いてそちらへと駆け込んだ。扉が閉まる寸前に襲い掛かる貴族を、カイが剣で薙ぎ払った。
鍵をかけ、その場をすぐに離れた。あちら側から人の力とは思えないほどの振動で扉をたたく音がする。
「騎士の中にも異形に飲まれている者がいます。どうかお気を付けを」
誘導するように廊下の先を行くカイの背を追いかける。不穏な空気は王城の廊下まで広がっているようだ。普段は無害な異形までもが毛を逆立てるように殺気立っていた。
「一体何が……」
「分かりません。分かりませんけど、狙いはハインリヒ様のようです。ここは素直にお逃げください」
頷きかけて、ハインリヒははっとした。会場でも異形に飲まれるように錯乱する者がいた。異形は弱い心に付け込んで、時に犯罪者を生むことになる。
「アンネマリーがいなかった」
人の助けが入らないところで、誰かに襲われでもしたら。そう思うとハインリヒは一気に青ざめた。
「アンネマリー嬢なら、殿下の庭近くの廊下にいますよ。あそこにあるソファで待つように言ってあります」
「なぜ、そんなところに……?」
「廊下で迷っていたようなので、あとで迎えに行こうかと」
「どうしてすぐ連れてこなかったんだ!」
「オレ、その時まだカロリーネ姿だったから……って、ハインリヒ様、どこ行くんですかっ」
いきなり走り出した背に叫ぶ。
「アンネマリーを探しに行くに決まっているだろう!」
その姿はあっという間に廊下の先に消えていく。
「ったく、ハインリヒ様、あなたがいちばん危険だっつうの」
ハインリヒのそばが今いちばんの危険地帯だ。アンネマリーを庇いながら襲われでもしたら、不利どころが窮地にしかならない。しかもハインリヒはアンネマリーに触れることすらできないのだ。そんな中彼女を守るのは、腕の立つ騎士でも難しいことだろう。
カイは呆れながらも、仕方なしにその後を全速力で追いかけた。
令嬢姿のカイと共に一度会場から姿を消したハインリヒは、再び壇上へと舞い戻っていた。挨拶にやって来る貴族の相手をするのも、王太子としての大事な役目だ。
先ほどダンスのパートナーを務めた令嬢は誰なのか。その問いかけがいちばんに面倒だった。その問いには無言で返し、冷たい表情を貫いた。あとは周りの者が気を遣って、次の貴族が待っているからと質問した貴族を追い返すのがいつもことだ。
(アンネマリーがいない……?)
貴族へ対応しながら、会場の一角をみやる。ジークヴァルトたちを守るように取り巻く一団が目に入るが、そこにアンネマリーの姿はなかった。
(ファーストダンスの時は、確かにあの辺りにいたはずなのに)
リーゼロッテが言っていたように、アンネマリーはあの不思議な光沢を放つ織物のドレスを身に纏っていた。遠めに見ても、その存在に意識が釘付けとなった。カイと踊っている間も、アンネマリーを盗み見ずにはいられなかった。
ほかのフロアを見渡すも、その姿を見つけることはできない。クラッセン侯爵夫人はまだそこにいるということは、会場を後にしたわけではなさそうだ。
(アンネマリーが他の男と踊る姿など、もう見たくはない)
結局、あの懐中時計は持ち歩いてしまっている。母の形見ではあるものの、これはアンネマリーとの思い出をつなぐ唯一の存在だ。
アンネマリーと顔を合わせたところで何が生まれるわけでもない。だが、その姿が再び見られることに、期待で胸を膨らませている自分がいた。
その彼女が、今、いない。
貴族への対応も上の空に、胸騒ぎを覚えたハインリヒの視線は、会場の中を彷徨った。
◇
ミヒャエルは、夜会の会場の片隅で、イジドーラ王妃がダンスフロアの中央で踊る姿を眺めやっていた。王と見つめ合いながら、優雅に踊る。その美しい姿に、自然と目が吸い寄せられた。
(あの娘はわたしの物だ)
ザイデル公爵家の謀反が起きた時に、自分がイジドーラを救うはずだった。それを横からかっさらうように奪ったのがディートリヒだ。
神官として生きてきた自分が、貴族のようにダンスを踊るわけにはいかない。踊りのステップのひとつも知らない自分が呪わしく感じる。
(いや、そんなもの、わたしが王となればどうとでもなる)
あのイジドーラを、目の前に跪かせることもできるのだ。そう言い聞かせて心を落ち着ける。今はまだやらねばならないことがある。
(余裕の顔でいられるのも今のうちだ)
そう思ってほくそ笑んだ。自分に近づいてきた貴族の男の目配せ受けて、その場を後にする。男と共に入った休憩室の一室では、幾人もの貴族たちが待っていた。
「ミヒャエル司祭枢機卿様……」
うつろな目をした貴族たちが、自分に対して礼を取る。その様にミヒャエルは下卑た笑みを漏らした。
「女神はなんとおっしゃられているのですか?」
ここに集まるは、紅の女神を真の神として崇める者たちだ。女神の存在をその肌で感じることができる選ばれた者たちだった。
だが、女神の姿を見、その声を聞きことができるのは、唯一この自分だけだ。その事実こそ、自分がこの国の王となるべく女神に選ばれた人間という証と言えよう。
「我らが紅の女神は、この国を欲しておられる。国の命運を握るのはハインリヒ王子だ。王子を消せば、この国はすぐにでも我らが手に落ちるだろう」
ミヒャエルの宣言に、その場にいた者たちの動揺が走る。その様を冷たく見やり、ミヒャエルは中指にはめた大ぶりの紅玉の指輪を掲げて見せた。
「紅の女神は、唯一にして絶対神なるぞ。我が命に従い、王子の首を取るのだ!」
紅玉が禍々しいまでの光を放つ。その光は部屋にいた貴族だけでなく、夜会の会場周辺まで不穏な空気を広げていった。
◇
(なんだ……?)
王城の廊下で突如感じた重い波動の広がりに、令嬢姿から式典用の騎士服に着替えたカイが辺りを見回した。
(異形たちがざわついている)
リーゼロッテが起こした騒ぎの時とはまた違う、不安を煽られるような空気感だ。
「うわっと」
物陰からいきなり剣を振り上げられて、カイは咄嗟にその人物から距離を取る。振り下ろされた剣は空を切り、先ほどまでカイがいた床を大きくえぐった。
目の前にうつろな瞳をした王城騎士がいる。再び剣を振り上げ、カイへとその剣先を向けた。
(異形に憑かれているのか?)
それを難なく避けて、カイはその騎士の首筋へと手刀を浴びせた。あっさりと倒れるかに見えた騎士が、寸でのところでゆらりと再び立ち上がった。
「ったく、面倒だな」
完全に異形の者に飲まれている様子の騎士は、もはや操り人形のようだ。意識を失ったまま、危うげな足取りでカイへと迫って来る。
騎士の背後へと回る。力を手中に溜めておき、それを叩きつけるように再び手を振り下ろした。騎士がその場に崩れ落ちる。今度こそ気を失ったようだ。騎士が立ち上がる様子はない。
(不穏な空気が広がっている)
カイは急ぎ、夜会の会場へと向かった。
◇
宴もたけなわの中、突然悲鳴が響き渡った。それを皮切りに、あちこちで混乱が巻き起こる。
ある者は気分が悪くなって倒れ込み、ある者は錯乱したように周囲の者を傷つけようとする。王たちがいる壇上へも、数人の貴族が意味不明な言葉を叫びながら、剣を振り上げなだれ込んできた。
「王と王妃殿下はこちらへ」
いち早くふたりが騎士たちに守られ、奥へと誘導されていく。その姿には目もくれずに、錯乱した一団は、ハインリヒへとまっすぐに向かっていった。
「王太子だ! 王太子の首を女神に差し出すのだっ」
煽るようにどこからか声が響き、かばうように剣を受けた近衛騎士が薙ぎ飛ばされていく。
(狙いはわたしなのか?)
ハインリヒも剣を抜き応戦に回るが、すぐに自身を守るように、近衛騎士の壁が目の前にでき上がった。
「この者たちは正気ではありません。すぐに安全な場所へお逃げください」
目の前にいる者たちが、異形に憑かれていることはすぐに分かった。だが、夜会で貴族の帯剣は禁じられている。それがあっさり持ちこまれている様子を見ると、何か意図的なものを感じずにはいられなかった。
「王太子殿下、お急ぎください!」
狙いが自分ならば、ここにいるのは足手まといだ。異形が原因というのなら、守りが張られている場所へと逃げ込めば、とりあえず奴らは手を出せなくなる。
「ハインリヒ様」
背後からカイの声がする。
「こちらへ」
振り向くと騎士服に着替えたカイが、王族用の出入り口の扉を開けて手招きをしていた。頷いてそちらへと駆け込んだ。扉が閉まる寸前に襲い掛かる貴族を、カイが剣で薙ぎ払った。
鍵をかけ、その場をすぐに離れた。あちら側から人の力とは思えないほどの振動で扉をたたく音がする。
「騎士の中にも異形に飲まれている者がいます。どうかお気を付けを」
誘導するように廊下の先を行くカイの背を追いかける。不穏な空気は王城の廊下まで広がっているようだ。普段は無害な異形までもが毛を逆立てるように殺気立っていた。
「一体何が……」
「分かりません。分かりませんけど、狙いはハインリヒ様のようです。ここは素直にお逃げください」
頷きかけて、ハインリヒははっとした。会場でも異形に飲まれるように錯乱する者がいた。異形は弱い心に付け込んで、時に犯罪者を生むことになる。
「アンネマリーがいなかった」
人の助けが入らないところで、誰かに襲われでもしたら。そう思うとハインリヒは一気に青ざめた。
「アンネマリー嬢なら、殿下の庭近くの廊下にいますよ。あそこにあるソファで待つように言ってあります」
「なぜ、そんなところに……?」
「廊下で迷っていたようなので、あとで迎えに行こうかと」
「どうしてすぐ連れてこなかったんだ!」
「オレ、その時まだカロリーネ姿だったから……って、ハインリヒ様、どこ行くんですかっ」
いきなり走り出した背に叫ぶ。
「アンネマリーを探しに行くに決まっているだろう!」
その姿はあっという間に廊下の先に消えていく。
「ったく、ハインリヒ様、あなたがいちばん危険だっつうの」
ハインリヒのそばが今いちばんの危険地帯だ。アンネマリーを庇いながら襲われでもしたら、不利どころが窮地にしかならない。しかもハインリヒはアンネマリーに触れることすらできないのだ。そんな中彼女を守るのは、腕の立つ騎士でも難しいことだろう。
カイは呆れながらも、仕方なしにその後を全速力で追いかけた。
0
※小説家になろうグループムーンライトノベルズにて【R18】ふたつ名の令嬢と龍の託宣 不定期投稿中☆
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました
しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。
自分のことも誰のことも覚えていない。
王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。
聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。
なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる