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第2章 氷の王子と消えた託宣
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◇
「それでは、わたしたちは隣の部屋で控えております」
テーブルにティーカップと茶菓子を並べると、エラとベッティは隣室に下がっていった。
隣り合わせに座ったジークヴァルトは、開口一番「あーん」とクッキーを差し出してくる。目の前に突き付けられたバターの香りに、リーゼロッテのお腹がきゅるると鳴った。
力を使い果たした後は、しばらくの間、空腹が続く。分かってはいるが、恥ずかしさに頬が熱くなるのは乙女心というものだ。
ぱくりとそれを口にしたあと、リーゼロッテはジークヴァルトの口元にクラッカーを差し出した。
「あーんですわ、ヴァルト様」
顔を見合わせながらぐもぐし合う。このルーチンワークにもはや疑問すら浮かばない。クッキーを飲み下すと、リーゼロッテはさっそく本題を切り出そうとした。
「今日は腹がすいているだろう。もっと食べろ」
すかさずクッキーが放り込まれる。無表情のまませっせと運び続けるジークヴァルトを前に、口の中が空になる隙がない。
(クッキーは自分で食べられますから……!)
そう声にすることができないまま、並べられていたクッキーは無事にすべてがリーゼロッテの胃の中に納まった。最後に紅茶を差し出され、ようやくの思いで息をつく。口を開くなら今しかない。口元をハンカチでブロックしながら、リーゼロッテは隣に座るジークヴァルトの顔をじっと見上げた。
怒りに我を忘れたジョン。その憎しみの波動にのまれたカーク。自分から溢れ出した力は、まっすぐにジョンに向かっていった。だが、記憶はそこで途切れてしまっている。
「ヴァルト様、隠さずに教えてくださいませ。あの後、ジョンとカークはどうなったのですか?」
「……ジョンはお前の力に包まれて沈静化している。この雪で調査は続行不可能だ。春の雪解けを待って再開予定となった」
あの裏庭は、一晩で異常にも思えるほどの雪で埋め尽くされた。今では誰も近づくことすら困難だ。そう説明され、ジョンの処断が先延ばしにされたことに安堵する。
「ではカークは……」
ジョンの悪意が広がるとともに、カークの思念がかき消えた。自分がもう一歩早く力を使っていたら。最悪の事態を想像して、目が覚めてからずっと、そんな考えが頭を巡っていた。
静かに顔をそらしたジークヴァルトに、リーゼロッテの顔が青ざめる。
「今だけ許す。入ってこい」
だが、ジークヴァルトは廊下へ続く扉に向けて声をかけた。次の瞬間、扉を抜けてカークがその厳つい姿をあらわした。
「カーク……!」
思わずカークの元へと駆け寄った。見上げるカークはいつも通りだ。だがその思念は、いつもよりもずっとクリアに感じられた。
ジョンの記憶の中で、カークはオクタヴィアと愛しあっていた。雨が降りしきる裏庭にひとり立たされたカークは、そのときに強い思いとしてあの場に焼き付いたのだろう。
「カーク……あなたが守りたかったものはオクタヴィアだったのね……」
その言葉にカークは不思議そうに首を傾けた。そしてゆっくりと首を振る。
――守りたい
カークの思念が伝わってくる。あたたかなそれは、まっすぐにリーゼロッテへと向けられている。いつも感じていたふてくされた感情は、そこに微塵も感じられなかった。
『カークはただの思念だからね。リーゼロッテの力に触れて、思いが純化したんじゃない?』
「ひょあっ」
前触れなく横にあらわれたジークハルトを見上げようとした瞬間、いきなり大きな腕に抱え上げられた。高くなった視界に驚き、おもわずその首にしがみつく。
「ヴァルト様、突然抱き上げるのはやめてくださいませ」
「非常事態だ」
ふいと顔をそむけると、ジークヴァルトは守護者を睨みつける。
『やだなぁ、もう何もしないって。はいはい、邪魔者は退散するよ。ほら、カークも行った行った』
カークの背を押すようにジークハルトはそのままドアからすり抜けて出て行ってしまった。それをしり目に、ジークヴァルトはリーゼロッテをソファへと運ぶ。そのまま当たり前のように、リーゼロッテを膝に乗せて抱え込んできた。
「あの、ヴァルト様」
「なんだ?」
「ソファは十分に広いですから」
となりの空いたスペースを見やる。ジークヴァルトは「却下だ」と憮然と答えると、リーゼロッテの髪をそっと梳きだした。なぞる指先から感じる力に、思わずリーゼロッテは身をよじった。
「ん……ヴァルト様、それはくすぐったいので」
「じっとしてろ」
確かめるように力を流すジークヴァルトにしがみつく。力を使い果たした後なので、余計に心配なのだろう。そう思うとリーゼロッテも我慢せざるを得なくなる。
一通り確かめて満足したのか、ジークヴァルトがその手を止めた。かと思うとリーゼロッテの頬に手を添えてくる。顔を上向かされて、リーゼロッテはジークヴァルトの瞳を覗き込んだ。
(あれ……?)
いつもの流れでは青い瞳と見つめ合うのだが、ジークヴァルトの視線がずれている。試しに明後日の方に目を向けてみたが、ジークヴァルトはじっと同じ場所を見ているようだ。
なんとなく口元を見られているような気がして、リーゼロッテは口角を少しばかり上げてみた。すると微妙にジークヴァルトの口の端が動いた。続いて口をへの字にしてみる。つられるようにジークヴァルトの口もへの字に曲がった。
それを見て取ったリーゼロッテは、にゅっと唇を突き出した。タコのような変顔をすれば、ジークヴァルトはもっと反応するのではないか? そんな思いでやったことだ。
ジークヴァルトがカっと目を見開いた瞬間、ドンっ、と空気が揺れた。その振動に思わずジークヴァルトの首筋にしがみつくと、さらに部屋中の物が飛び跳ねた。
(こ、公爵家の呪い!?)
エッカルトに聞いた話だが、公爵家では時々異形が騒ぎ出す。思わず上を見上げると、先ほどより近い距離にジークヴァルトの顔があった。驚いたような表情で、やはり自分の口元を見つめている。
「ひゃあっ」
ますます揺れる部屋の中、リーゼロッテはさらに強くジークヴァルトにしがみついた。いつぞやの執務室を思わせる騒音だ。
「公爵様ぁ。お気持ちは重々お察しいたしますがぁ、どうぞご自制くださいませねぇ。マテアスさんからの伝言ですよぅ」
隣の部屋から顔を出したベッティが、のほほんと声をかけてきた。その後ろでエラが青い顔をしている。
ぐっと奥歯を噛みしめると、ジークヴァルトはうなだれて大きく息を吐いた。そんなめずらしい様子に、リーゼロッテが心配そうにのぞき込む。
「とにかく今日はゆっくり休め。明日からはカークを連れて行けば、屋敷の中ならどこへ行っても構わない」
そう言うとジークヴァルトは、リーゼロッテを膝から降ろした。部屋の中はいつの間にか沈静化している。
「もうすぐ新年を祝う夜会がある。今回は公爵家から連れて行くからそのつもりでいろ」
「わたくしも出席してよろしいのですか?」
リーゼロッテの瞳が輝く。
「ああ。だが、絶対にオレのそばを離れるなよ」
くぎを刺すように言うジークヴァルトに、リーゼロッテは何度もこくこくと頷いた。
「それでは、わたしたちは隣の部屋で控えております」
テーブルにティーカップと茶菓子を並べると、エラとベッティは隣室に下がっていった。
隣り合わせに座ったジークヴァルトは、開口一番「あーん」とクッキーを差し出してくる。目の前に突き付けられたバターの香りに、リーゼロッテのお腹がきゅるると鳴った。
力を使い果たした後は、しばらくの間、空腹が続く。分かってはいるが、恥ずかしさに頬が熱くなるのは乙女心というものだ。
ぱくりとそれを口にしたあと、リーゼロッテはジークヴァルトの口元にクラッカーを差し出した。
「あーんですわ、ヴァルト様」
顔を見合わせながらぐもぐし合う。このルーチンワークにもはや疑問すら浮かばない。クッキーを飲み下すと、リーゼロッテはさっそく本題を切り出そうとした。
「今日は腹がすいているだろう。もっと食べろ」
すかさずクッキーが放り込まれる。無表情のまませっせと運び続けるジークヴァルトを前に、口の中が空になる隙がない。
(クッキーは自分で食べられますから……!)
そう声にすることができないまま、並べられていたクッキーは無事にすべてがリーゼロッテの胃の中に納まった。最後に紅茶を差し出され、ようやくの思いで息をつく。口を開くなら今しかない。口元をハンカチでブロックしながら、リーゼロッテは隣に座るジークヴァルトの顔をじっと見上げた。
怒りに我を忘れたジョン。その憎しみの波動にのまれたカーク。自分から溢れ出した力は、まっすぐにジョンに向かっていった。だが、記憶はそこで途切れてしまっている。
「ヴァルト様、隠さずに教えてくださいませ。あの後、ジョンとカークはどうなったのですか?」
「……ジョンはお前の力に包まれて沈静化している。この雪で調査は続行不可能だ。春の雪解けを待って再開予定となった」
あの裏庭は、一晩で異常にも思えるほどの雪で埋め尽くされた。今では誰も近づくことすら困難だ。そう説明され、ジョンの処断が先延ばしにされたことに安堵する。
「ではカークは……」
ジョンの悪意が広がるとともに、カークの思念がかき消えた。自分がもう一歩早く力を使っていたら。最悪の事態を想像して、目が覚めてからずっと、そんな考えが頭を巡っていた。
静かに顔をそらしたジークヴァルトに、リーゼロッテの顔が青ざめる。
「今だけ許す。入ってこい」
だが、ジークヴァルトは廊下へ続く扉に向けて声をかけた。次の瞬間、扉を抜けてカークがその厳つい姿をあらわした。
「カーク……!」
思わずカークの元へと駆け寄った。見上げるカークはいつも通りだ。だがその思念は、いつもよりもずっとクリアに感じられた。
ジョンの記憶の中で、カークはオクタヴィアと愛しあっていた。雨が降りしきる裏庭にひとり立たされたカークは、そのときに強い思いとしてあの場に焼き付いたのだろう。
「カーク……あなたが守りたかったものはオクタヴィアだったのね……」
その言葉にカークは不思議そうに首を傾けた。そしてゆっくりと首を振る。
――守りたい
カークの思念が伝わってくる。あたたかなそれは、まっすぐにリーゼロッテへと向けられている。いつも感じていたふてくされた感情は、そこに微塵も感じられなかった。
『カークはただの思念だからね。リーゼロッテの力に触れて、思いが純化したんじゃない?』
「ひょあっ」
前触れなく横にあらわれたジークハルトを見上げようとした瞬間、いきなり大きな腕に抱え上げられた。高くなった視界に驚き、おもわずその首にしがみつく。
「ヴァルト様、突然抱き上げるのはやめてくださいませ」
「非常事態だ」
ふいと顔をそむけると、ジークヴァルトは守護者を睨みつける。
『やだなぁ、もう何もしないって。はいはい、邪魔者は退散するよ。ほら、カークも行った行った』
カークの背を押すようにジークハルトはそのままドアからすり抜けて出て行ってしまった。それをしり目に、ジークヴァルトはリーゼロッテをソファへと運ぶ。そのまま当たり前のように、リーゼロッテを膝に乗せて抱え込んできた。
「あの、ヴァルト様」
「なんだ?」
「ソファは十分に広いですから」
となりの空いたスペースを見やる。ジークヴァルトは「却下だ」と憮然と答えると、リーゼロッテの髪をそっと梳きだした。なぞる指先から感じる力に、思わずリーゼロッテは身をよじった。
「ん……ヴァルト様、それはくすぐったいので」
「じっとしてろ」
確かめるように力を流すジークヴァルトにしがみつく。力を使い果たした後なので、余計に心配なのだろう。そう思うとリーゼロッテも我慢せざるを得なくなる。
一通り確かめて満足したのか、ジークヴァルトがその手を止めた。かと思うとリーゼロッテの頬に手を添えてくる。顔を上向かされて、リーゼロッテはジークヴァルトの瞳を覗き込んだ。
(あれ……?)
いつもの流れでは青い瞳と見つめ合うのだが、ジークヴァルトの視線がずれている。試しに明後日の方に目を向けてみたが、ジークヴァルトはじっと同じ場所を見ているようだ。
なんとなく口元を見られているような気がして、リーゼロッテは口角を少しばかり上げてみた。すると微妙にジークヴァルトの口の端が動いた。続いて口をへの字にしてみる。つられるようにジークヴァルトの口もへの字に曲がった。
それを見て取ったリーゼロッテは、にゅっと唇を突き出した。タコのような変顔をすれば、ジークヴァルトはもっと反応するのではないか? そんな思いでやったことだ。
ジークヴァルトがカっと目を見開いた瞬間、ドンっ、と空気が揺れた。その振動に思わずジークヴァルトの首筋にしがみつくと、さらに部屋中の物が飛び跳ねた。
(こ、公爵家の呪い!?)
エッカルトに聞いた話だが、公爵家では時々異形が騒ぎ出す。思わず上を見上げると、先ほどより近い距離にジークヴァルトの顔があった。驚いたような表情で、やはり自分の口元を見つめている。
「ひゃあっ」
ますます揺れる部屋の中、リーゼロッテはさらに強くジークヴァルトにしがみついた。いつぞやの執務室を思わせる騒音だ。
「公爵様ぁ。お気持ちは重々お察しいたしますがぁ、どうぞご自制くださいませねぇ。マテアスさんからの伝言ですよぅ」
隣の部屋から顔を出したベッティが、のほほんと声をかけてきた。その後ろでエラが青い顔をしている。
ぐっと奥歯を噛みしめると、ジークヴァルトはうなだれて大きく息を吐いた。そんなめずらしい様子に、リーゼロッテが心配そうにのぞき込む。
「とにかく今日はゆっくり休め。明日からはカークを連れて行けば、屋敷の中ならどこへ行っても構わない」
そう言うとジークヴァルトは、リーゼロッテを膝から降ろした。部屋の中はいつの間にか沈静化している。
「もうすぐ新年を祝う夜会がある。今回は公爵家から連れて行くからそのつもりでいろ」
「わたくしも出席してよろしいのですか?」
リーゼロッテの瞳が輝く。
「ああ。だが、絶対にオレのそばを離れるなよ」
くぎを刺すように言うジークヴァルトに、リーゼロッテは何度もこくこくと頷いた。
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