345 / 528
第2章 氷の王子と消えた託宣
4
しおりを挟む
◇
「王兄殿下、命により参上いたしました」
「おせぇな、ようやく連れてきたか」
正午過ぎに公爵家に戻って早々、バルバナスの元をジークヴァルトと共に訪れた。淑女の礼を取るリーゼロッテをちらりと一瞥しただけで、バルバナスはついて来るようにと歩き出す。
慌ててその背を追おうとすると、後ろ手を引かれて、ジークヴァルトに抱え上げられた。驚きに思わずその首にしがみついてしまう。
「ヴァルト様……わたくし自分で歩けますわ。降ろしてくださいませ」
「駄目だ、却下だ」
抱く手にぎゅっと力を入れたジークヴァルトは、有無を言わさず歩き出した。子供抱きにされたまま、ずんずんと廊下を進む。その顔を伺うも、機嫌はあまりよろしくないようだ。
馬車の中でジークヴァルトは始終無言だった。ただジョンに会わせるとだけ言って、その後はずっと不機嫌そうに、膝に乗せたリーゼロッテの髪に指を絡めていた。
(そんなにジョンに会わせたくないのかしら……)
泣き虫ジョンが星を堕とす者だと言うことに、リーゼロッテはいまだ納得できていない。
自分が話したことがきっかけで、こんな大事になってしまった。ジョンには申し訳ないことをした。そんなことばかりが頭をよぎる。
裏庭に出て、踏み固められた雪道を進む。日当たりの悪いこの方面は、寒さも倍増に感じられた。だが雪が降っていない分だけ、今日はまだましな日だと言えるだろう。白い息を吐きながら、一行は程なくして泣き虫ジョンの元へとたどり着いた。
そこで待っていたのは、昨日と同じ面々だった。数人の騎士をはじめエッカルトたち公爵家の者の視線が、遅れてやってきたこちらに集まった。
抱えあげられたまま、遠巻きにジョンの姿を見やる。枯れ木の周りだけ、円を描いたように雪が積もっていなかった。上を見上げると、あの日リーゼロッテが視たままに、木に絡みついた自身の力が鮮やかな緑の光を放っていた。
(ジョン……)
心の中で呼びかけるも、ジョンは木の腹に片手をついたままじっと上を見上げている。もっと近くに行ってみたい。そう思うが、ジークヴァルトはここにいる誰よりも遠い場所から、その足を進めようとしなかった。
「抱えたままでいい。もっとあいつに近づけろ」
命令し慣れているだろうその声に、それでもジークヴァルトは動こうとしない。
「……ヴァルト様」
その冷えた頬を、リーゼロッテは小さな両手で包み込んだ。
「わたくし怖くはありませんわ。ヴァルト様がいてくださいますから」
ぐっと眉間にしわを寄せると、バルバナスの焦れたような舌打ちを合図に、しぶしぶジョンへ向かって歩き出した。円の一歩手前で立ち止まると、「手前ギリギリまで進め」とすかさずバルバナスの声が飛ぶ。
「ジークヴァルト、まずはお前が一発叩き込め」
リーゼロッテがはっと顔を上げると、すでにジークヴァルトはジョンに向かって手をかざしていた。制止する暇もなく、その手のひらから青い力が放たれる。
しかし、濃縮された青の光がジョンへと届くことはなかった。放たれた力は反れるように上方へと向かい、そのまま枝に絡む緑に飲まれるようにかき消えた。
「っち、役立たずだな」
ジークヴァルトの力は絶大だ。バルバナスはもとより、あのマルグリットの力をも凌ぐかもしれない。それでもバルバナスは忌々しそうに毒づいた。
「おい、リーゼロッテ。お前の力だ。お前がどうにかして来い」
「お言葉ですが……」
「おめえには言ってねぇ! リーゼロッテ、お前が行くんだ」
ジークヴァルトに反論を許さず、バルバナスは顎で絡みつく緑を指し示した。
ジョンへの恐怖はない。頑なに自分を降ろそうとしないジークヴァルトの顔を、リーゼロッテはそっと覗き込んだ。
「ジークヴァルト様」
「駄目だ」
「ですが……」
こちらを睨みつけているバルバナスを不安げに見やる。王兄の命令に背くなど、いかにジークヴァルトとはいえ、どんな処罰が待つか分からない。
「ちっ、めんどくせぇな。もういいからふたりで入れ。託宣の相手くれぇ守れんだろう? なぁ、ジークヴァルト」
その言葉をジークヴァルトはジョンを見据えたまま聞いていた。
「離すなよ」
リーゼロッテの耳元で言って、ジークヴァルトは円の中へと踏み込んだ。思わずその首筋へとしがみつく。ジークヴァルトが数歩歩いただけで、ジョンのすぐそばまでやってきた。だが、手を伸ばしても届かない。そんな距離に思えた。
あの力をどうにかしろと言われたが、何がどうしてああなったのか、リーゼロッテにも皆目見当がつかなかった。いつもはふわりと大気に溶けてしまう自分の力が、なぜあそこに留まっているのか。むしろこちらが教えてほしいくらいだ。
「ジョン……」
仕方なくまずはジョンに声をかけてみる。しかし、その呼びかけに反応する様子はなかった。ジョンは木の腹に片手をついて、ただじっと上を見上げている。
ふと思ってジークヴァルトの顔を見る。その耳元で囁くと、ジークヴァルトは眉間にしわを寄せた。
「……ならばオレがやる。お前は力を抜いてただ感じていろ」
頷くと、ジークヴァルトは慎重にリーゼロッテを地面に降ろした。そのまま後ろから抱え込むように手を回す。リーゼロッテは胸元で祈るように手を組んだ。その上からジークヴァルトが大きな手を重ねてくる。
包み込んだ小さな手の中に、ジークヴァルトは緑の力を集めていった。きゅうとそれは小さな結晶となり、重なる手と手の隙間から幾筋かの光をこぼした。
「いくぞ」
その言葉を合図に、リーゼロッテは握り込んだ手を開く。緑の結晶はまっすぐにジョンへと放たれ、その体を一瞬で包みこんだ。
そのまま天へと還ってほしい。リーゼロッテはそう願った。
無理やりに祓われてしまうというのなら、せめてこの手で送ってやりたかった。その願いを聞けずとも、自分ならば苦しまずに昇らせてあげられるはずだから。
ジョンはその光の中でふいに振り返った。こちらを見てくれた。そう思ったのも束の間、耐え難いほどの憎悪が一瞬のうちにその場に広がった。
『……――ク』
地を這うような声が響いた。それがジョンから発せられたものだと気づくまで、一体、幾秒費やしただろうか。
放った緑の力がその場に溶けて消えた後も、ジョンはその場に立ったままだった。ただ、こちらを凝視しながら、悪意に満ちた意識をむけてくる。
「ジョン……?」
リーゼロッテの声は届かない。ジョンの前髪が風に巻き上げられ、その額で禍々しい紅玉が光を放つ。
(龍の烙印――)
その紅のしるしにリーゼロッテは青ざめた。目の前にいるジョンから放たれるその邪気は、あの日見た深紅の女と同等――いや、それ以上のものだった。
ジョンの憎悪はまっすぐとこちらに向かっている。ジークヴァルトに再び抱えあげられて、リーゼロッテはその肩ごしの先にいた人物に、思わず目を見張った。
(違う、わたしじゃない)
むき出しの感情はリーゼロッテを過ぎ、その少し後ろに立っていた人物へと向けられていた。
そこいたのはカークだった。カークはゆっくりと歩を進め、ふたりをかばうようにジョンの前へと立ちふさがる。
『カーク……! レオン・カークぅ! お前が……お前さえいなければ……!』
咆哮を上げたジョンの憎悪が変化する。そこに満ちているものは、もはや殺意だった。絶望の深淵に沈む蓄積した澱が、その叫びと共に巻き上げられる。むき出しの憎しみはジョンの意識の表層へと濁流を描き、それはただひとりカークへと向けられた。
「いや! やめて、やめてジョン! 駄目よ! その光を放っては駄目……!」
手を伸ばすも、ジークヴァルトがかばうように引き離してしまう。それでもリーゼロッテはジョンへと届くように必死に叫んだ。
「王兄殿下、命により参上いたしました」
「おせぇな、ようやく連れてきたか」
正午過ぎに公爵家に戻って早々、バルバナスの元をジークヴァルトと共に訪れた。淑女の礼を取るリーゼロッテをちらりと一瞥しただけで、バルバナスはついて来るようにと歩き出す。
慌ててその背を追おうとすると、後ろ手を引かれて、ジークヴァルトに抱え上げられた。驚きに思わずその首にしがみついてしまう。
「ヴァルト様……わたくし自分で歩けますわ。降ろしてくださいませ」
「駄目だ、却下だ」
抱く手にぎゅっと力を入れたジークヴァルトは、有無を言わさず歩き出した。子供抱きにされたまま、ずんずんと廊下を進む。その顔を伺うも、機嫌はあまりよろしくないようだ。
馬車の中でジークヴァルトは始終無言だった。ただジョンに会わせるとだけ言って、その後はずっと不機嫌そうに、膝に乗せたリーゼロッテの髪に指を絡めていた。
(そんなにジョンに会わせたくないのかしら……)
泣き虫ジョンが星を堕とす者だと言うことに、リーゼロッテはいまだ納得できていない。
自分が話したことがきっかけで、こんな大事になってしまった。ジョンには申し訳ないことをした。そんなことばかりが頭をよぎる。
裏庭に出て、踏み固められた雪道を進む。日当たりの悪いこの方面は、寒さも倍増に感じられた。だが雪が降っていない分だけ、今日はまだましな日だと言えるだろう。白い息を吐きながら、一行は程なくして泣き虫ジョンの元へとたどり着いた。
そこで待っていたのは、昨日と同じ面々だった。数人の騎士をはじめエッカルトたち公爵家の者の視線が、遅れてやってきたこちらに集まった。
抱えあげられたまま、遠巻きにジョンの姿を見やる。枯れ木の周りだけ、円を描いたように雪が積もっていなかった。上を見上げると、あの日リーゼロッテが視たままに、木に絡みついた自身の力が鮮やかな緑の光を放っていた。
(ジョン……)
心の中で呼びかけるも、ジョンは木の腹に片手をついたままじっと上を見上げている。もっと近くに行ってみたい。そう思うが、ジークヴァルトはここにいる誰よりも遠い場所から、その足を進めようとしなかった。
「抱えたままでいい。もっとあいつに近づけろ」
命令し慣れているだろうその声に、それでもジークヴァルトは動こうとしない。
「……ヴァルト様」
その冷えた頬を、リーゼロッテは小さな両手で包み込んだ。
「わたくし怖くはありませんわ。ヴァルト様がいてくださいますから」
ぐっと眉間にしわを寄せると、バルバナスの焦れたような舌打ちを合図に、しぶしぶジョンへ向かって歩き出した。円の一歩手前で立ち止まると、「手前ギリギリまで進め」とすかさずバルバナスの声が飛ぶ。
「ジークヴァルト、まずはお前が一発叩き込め」
リーゼロッテがはっと顔を上げると、すでにジークヴァルトはジョンに向かって手をかざしていた。制止する暇もなく、その手のひらから青い力が放たれる。
しかし、濃縮された青の光がジョンへと届くことはなかった。放たれた力は反れるように上方へと向かい、そのまま枝に絡む緑に飲まれるようにかき消えた。
「っち、役立たずだな」
ジークヴァルトの力は絶大だ。バルバナスはもとより、あのマルグリットの力をも凌ぐかもしれない。それでもバルバナスは忌々しそうに毒づいた。
「おい、リーゼロッテ。お前の力だ。お前がどうにかして来い」
「お言葉ですが……」
「おめえには言ってねぇ! リーゼロッテ、お前が行くんだ」
ジークヴァルトに反論を許さず、バルバナスは顎で絡みつく緑を指し示した。
ジョンへの恐怖はない。頑なに自分を降ろそうとしないジークヴァルトの顔を、リーゼロッテはそっと覗き込んだ。
「ジークヴァルト様」
「駄目だ」
「ですが……」
こちらを睨みつけているバルバナスを不安げに見やる。王兄の命令に背くなど、いかにジークヴァルトとはいえ、どんな処罰が待つか分からない。
「ちっ、めんどくせぇな。もういいからふたりで入れ。託宣の相手くれぇ守れんだろう? なぁ、ジークヴァルト」
その言葉をジークヴァルトはジョンを見据えたまま聞いていた。
「離すなよ」
リーゼロッテの耳元で言って、ジークヴァルトは円の中へと踏み込んだ。思わずその首筋へとしがみつく。ジークヴァルトが数歩歩いただけで、ジョンのすぐそばまでやってきた。だが、手を伸ばしても届かない。そんな距離に思えた。
あの力をどうにかしろと言われたが、何がどうしてああなったのか、リーゼロッテにも皆目見当がつかなかった。いつもはふわりと大気に溶けてしまう自分の力が、なぜあそこに留まっているのか。むしろこちらが教えてほしいくらいだ。
「ジョン……」
仕方なくまずはジョンに声をかけてみる。しかし、その呼びかけに反応する様子はなかった。ジョンは木の腹に片手をついて、ただじっと上を見上げている。
ふと思ってジークヴァルトの顔を見る。その耳元で囁くと、ジークヴァルトは眉間にしわを寄せた。
「……ならばオレがやる。お前は力を抜いてただ感じていろ」
頷くと、ジークヴァルトは慎重にリーゼロッテを地面に降ろした。そのまま後ろから抱え込むように手を回す。リーゼロッテは胸元で祈るように手を組んだ。その上からジークヴァルトが大きな手を重ねてくる。
包み込んだ小さな手の中に、ジークヴァルトは緑の力を集めていった。きゅうとそれは小さな結晶となり、重なる手と手の隙間から幾筋かの光をこぼした。
「いくぞ」
その言葉を合図に、リーゼロッテは握り込んだ手を開く。緑の結晶はまっすぐにジョンへと放たれ、その体を一瞬で包みこんだ。
そのまま天へと還ってほしい。リーゼロッテはそう願った。
無理やりに祓われてしまうというのなら、せめてこの手で送ってやりたかった。その願いを聞けずとも、自分ならば苦しまずに昇らせてあげられるはずだから。
ジョンはその光の中でふいに振り返った。こちらを見てくれた。そう思ったのも束の間、耐え難いほどの憎悪が一瞬のうちにその場に広がった。
『……――ク』
地を這うような声が響いた。それがジョンから発せられたものだと気づくまで、一体、幾秒費やしただろうか。
放った緑の力がその場に溶けて消えた後も、ジョンはその場に立ったままだった。ただ、こちらを凝視しながら、悪意に満ちた意識をむけてくる。
「ジョン……?」
リーゼロッテの声は届かない。ジョンの前髪が風に巻き上げられ、その額で禍々しい紅玉が光を放つ。
(龍の烙印――)
その紅のしるしにリーゼロッテは青ざめた。目の前にいるジョンから放たれるその邪気は、あの日見た深紅の女と同等――いや、それ以上のものだった。
ジョンの憎悪はまっすぐとこちらに向かっている。ジークヴァルトに再び抱えあげられて、リーゼロッテはその肩ごしの先にいた人物に、思わず目を見張った。
(違う、わたしじゃない)
むき出しの感情はリーゼロッテを過ぎ、その少し後ろに立っていた人物へと向けられていた。
そこいたのはカークだった。カークはゆっくりと歩を進め、ふたりをかばうようにジョンの前へと立ちふさがる。
『カーク……! レオン・カークぅ! お前が……お前さえいなければ……!』
咆哮を上げたジョンの憎悪が変化する。そこに満ちているものは、もはや殺意だった。絶望の深淵に沈む蓄積した澱が、その叫びと共に巻き上げられる。むき出しの憎しみはジョンの意識の表層へと濁流を描き、それはただひとりカークへと向けられた。
「いや! やめて、やめてジョン! 駄目よ! その光を放っては駄目……!」
手を伸ばすも、ジークヴァルトがかばうように引き離してしまう。それでもリーゼロッテはジョンへと届くように必死に叫んだ。
0
※小説家になろうグループムーンライトノベルズにて【R18】ふたつ名の令嬢と龍の託宣 不定期投稿中☆
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる