321 / 528
第2章 氷の王子と消えた託宣
第19話 氷の王子
しおりを挟む
【前回のあらすじ】
突然現れた女が禁忌の異形・星を堕とす者だと、カイに告げられたリーゼロッテ。その上、泣き虫ジョンまで、星を堕とす者である疑惑が浮上します。
そのまま王城へ連れていかれたリーゼロッテは、カイとベッティが腹違いの兄妹だとベッティに告げられて。ジークヴァルトの思いを微妙に誤解しつつ、王妃の離宮での生活が始まるのでした。
眠ると、必ずアンネマリーの夢を見る。
あの庭で、少し距離を置いた場所に座るきみ。まぶしくて、あたたかくて、ここちよい。向けられる屈託のないその笑顔は、揺れる木漏れ日そのものだ。
自分の弱さも、ずるさも、当たり前のようにすべてやさしく包んでくれる。
手を伸ばせば、すぐそこにいる。誰よりも、愛おしいきみ――
人の気配感じて、ハインリヒははっと意識を戻した。書類を手にしたまま、少し転寝をしていたようだ。数度、頭を軽く振ってから、備え付けられた本棚へと視線を向けた。
しばらくするとの壁の奥でカチリと音が鳴り、その本棚が横にスライドしていく。棚が移動したその奥には、暗い通路が奥まで広がっている。冷やりとした風の流れができて、その暗がりからジークヴァルトが姿を現した。
「ハインリヒ……まだ起きていたのか」
そう言いながらジークヴァルトは本棚の一冊を奥へと押しこんだ。再びカチリと鳴って、本棚が重い音を立てながら元の位置へと戻っていく。
「眠れないのか?」
自室の書斎に執務を持ち込んで、夜更けまで書類に目を通していたハインリヒに、ジークヴァルトは気づかわし気な声音で問うた。
「ああ、何かしていた方が気が紛れる」
正確には眠れないのではなく眠りたくないだけだ。だが、そんなことをジークヴァルトに言っても意味はないだろう。
「ヴァルトは気にせず先に休んでいろ。昔、乳母が使っていた部屋を整えさせた。そこを好きに使え」
「いや、いい。オレはここで寝る」
そっけなく言った後、ジークヴァルトは空いているソファに腰をかけた。そのまま腕を組んだかと思うと、目をつぶって黙り込む。
その様子を黙って見ていたハインリヒは、しばらくしてからあきれたようにため息をついた。
「何を心配しているのか知らないが、わたしはリーゼロッテ嬢のところに夜這いに行ったりはしないぞ」
このハインリヒの自室は、王太子妃の部屋である星の読みの間に、隠し通路でつながっている。ジークヴァルトは先ほどそこを通って、リーゼロッテに会いに行ったのだろう。
グレーデン家に星を堕とす者が現れたことは、ハインリヒも報告を受けている。リーゼロッテが星読みの間で保護されているのもそういう経緯からだ。王妃の離宮は王による加護が厚い。異形に対する守りならば、国内随一の場所と言えた。
「そんなに心配だったら、向こうに行ったまま戻ってこなければいいだろう」
投げやりに言って、ハインリヒは手にした書類に再び目を落とした。本当にジークヴァルトは変わったと心底思う。こんなにも一人の女性に執着するなど、未だに信じがたいことだ。
重く長い息をつきながら、書類をめくる。その文字を目で追うものの、頭になど入ってこない。この脳裏を巡るのは、あきれるくらいアンネマリーのことばかりだ。
さすがに自分でも頭がおかしくなったのではないかと思っている。彼女と共に過ごしたのは、本当に僅かな時間だったのだから。
アンネマリーを忘れることはあきらめた。最近では、そんなふうに開き直っている自分に対して、もはや投げつける言葉もみつからない。
「非効率だな」
不意に書類を取り上げられる。手にした紙の束を無造作に机に放り投げると、ジークヴァルトはハインリヒの腕をつかんで立ち上がらせた。
「そんな腐った顔をしているくらいなら、少しオレに付き合え」
そのまま有無を言わさず部屋の外へ引っ張り出される。ハインリヒはされるがままに、ジークヴァルトに連れられて行った。その後を、部屋を警護していた近衛の騎士が、慌てたようについてくる。
「お前はここで待て。大丈夫だ、無茶はしない」
ジークヴァルトは近衛騎士に向かって言うと、鍛錬場の扉を開けた。
しんとした薄暗い部屋が広がっている。壁に掛けられた模擬剣を二本取ると、ジークヴァルトはそのうちの一本をハインリヒに向けて投げてよこした。
「たまにはいいだろう?」
「ああ、こうしてお前と手合わせるのは久しぶりだな」
深夜の寒々とした鍛錬場で、ふたりは剣の切っ先を向け合い対峙した。しばらく無言でにらみ合ったあと、ほぼ同時に動き出す。
続けざまに、剣がこすれ合う音が響いていく。一閃、一閃、火花が散り、気を抜くことは一時もできない。
こういったとき、ジークヴァルトは容赦がない。王太子である自分を相手にしたとき、大概の者は怪我をさせまいとその手を抜いてくる。わざと負けられるのはおもしろくはないが、己の立場を思えばそれも仕方のないことだ。
しかし、ジークヴァルトは怪我をさせないギリギリのところを攻め立ててくる。重い斬撃を受け止め、弾き、攻撃に転じる。それを幾度か繰り返したのち、勝負はあっさりとついてしまった。
手にした剣が弾き飛ばされ、遠くの床へとすべりながら転がっていく。尻もちをついた喉元すれすれに、冷やりとした剣先を突きつけられた。
互いの荒い息遣いだけが鍛錬場に響く。しばしの後、ジークヴァルトはその剣を鞘に納め、そのままハインリヒの腕を引いて立ち上がらせた。
「……ろくにお前に勝てた試しはないな」
「お前は守られる立場の人間だ。お前よりオレが強くて当然だろう」
そっけなく言うと、ジークヴァルトは転がっている剣を拾い上げ、元あった壁へともどしていった。
思えばジークヴァルトと最後に手合わせたをしたのはいつの事だったろうか。子供の頃から幾度となく行われていたそれは、忙しい日々にいつの間にか忘れ去られていった。
ジークヴァルトとて、公爵の立場だ。本来ならば、多くの者に守られて当然だろう。それなのに、自分のこの背を守るように、いまだ当たり前にここにいる。
(そうか……あの日以来、ヴァルトとは手合わせはしていなかった)
アデライーデを傷つけたあの日、ジークヴァルトをも失っておかしくなかった。だが、そうさせなかったのは、アデライーデ自身に他ならない。
(わたしはいつだって周りに甘えてばかりだ)
無言のまま、ハインリヒは拳をきつく握りしめた。
「お前はもっと、人を使うことを覚えた方がいい」
不意にジークヴァルトが言った。暗に周りを頼れとにおわされ、ハインリヒはその端正な顔を歪めた。
人を動かすことを苦手としている自覚はある。執務を引き継ぎ、多くの者に指示を出す。父王の存在は大きすぎて、王太子である自分に素直に従う者は、期待するほど多くはない。
「まずは実力を示さねば、人はついてこないものだろう」
砂をかみしめるように言う。自分に足りないものを認めることは、思いのほか難しい。
「お前は十二分にやれていると思うがな」
ジークヴァルトにそう言われても、素直には頷けない。王太子として、誰にも隙を見せるわけにはいかない。その立場にあぐらをかいて、努力を怠ることなどできるはずもなかった。
だが実際は、自分は何もかもが中途半端だ。つなぎとめることも、断ち切ることも、守ることすら、本当に、何もかも――。
流した汗の分だけ、冷えた空気が体温を奪い始める。
一体どうしたらいいのか。自分がどうしたいのか。それすらもわからない。
眠れない夜はいつまで続くのだろう。もしかしたら、この思いは永遠に付きまとうのかもしれない。
――はやくこの思いすべてが凍てついてしまえばいい
そんな日が来ることを、ハインリヒはただ一心に願っていた。
突然現れた女が禁忌の異形・星を堕とす者だと、カイに告げられたリーゼロッテ。その上、泣き虫ジョンまで、星を堕とす者である疑惑が浮上します。
そのまま王城へ連れていかれたリーゼロッテは、カイとベッティが腹違いの兄妹だとベッティに告げられて。ジークヴァルトの思いを微妙に誤解しつつ、王妃の離宮での生活が始まるのでした。
眠ると、必ずアンネマリーの夢を見る。
あの庭で、少し距離を置いた場所に座るきみ。まぶしくて、あたたかくて、ここちよい。向けられる屈託のないその笑顔は、揺れる木漏れ日そのものだ。
自分の弱さも、ずるさも、当たり前のようにすべてやさしく包んでくれる。
手を伸ばせば、すぐそこにいる。誰よりも、愛おしいきみ――
人の気配感じて、ハインリヒははっと意識を戻した。書類を手にしたまま、少し転寝をしていたようだ。数度、頭を軽く振ってから、備え付けられた本棚へと視線を向けた。
しばらくするとの壁の奥でカチリと音が鳴り、その本棚が横にスライドしていく。棚が移動したその奥には、暗い通路が奥まで広がっている。冷やりとした風の流れができて、その暗がりからジークヴァルトが姿を現した。
「ハインリヒ……まだ起きていたのか」
そう言いながらジークヴァルトは本棚の一冊を奥へと押しこんだ。再びカチリと鳴って、本棚が重い音を立てながら元の位置へと戻っていく。
「眠れないのか?」
自室の書斎に執務を持ち込んで、夜更けまで書類に目を通していたハインリヒに、ジークヴァルトは気づかわし気な声音で問うた。
「ああ、何かしていた方が気が紛れる」
正確には眠れないのではなく眠りたくないだけだ。だが、そんなことをジークヴァルトに言っても意味はないだろう。
「ヴァルトは気にせず先に休んでいろ。昔、乳母が使っていた部屋を整えさせた。そこを好きに使え」
「いや、いい。オレはここで寝る」
そっけなく言った後、ジークヴァルトは空いているソファに腰をかけた。そのまま腕を組んだかと思うと、目をつぶって黙り込む。
その様子を黙って見ていたハインリヒは、しばらくしてからあきれたようにため息をついた。
「何を心配しているのか知らないが、わたしはリーゼロッテ嬢のところに夜這いに行ったりはしないぞ」
このハインリヒの自室は、王太子妃の部屋である星の読みの間に、隠し通路でつながっている。ジークヴァルトは先ほどそこを通って、リーゼロッテに会いに行ったのだろう。
グレーデン家に星を堕とす者が現れたことは、ハインリヒも報告を受けている。リーゼロッテが星読みの間で保護されているのもそういう経緯からだ。王妃の離宮は王による加護が厚い。異形に対する守りならば、国内随一の場所と言えた。
「そんなに心配だったら、向こうに行ったまま戻ってこなければいいだろう」
投げやりに言って、ハインリヒは手にした書類に再び目を落とした。本当にジークヴァルトは変わったと心底思う。こんなにも一人の女性に執着するなど、未だに信じがたいことだ。
重く長い息をつきながら、書類をめくる。その文字を目で追うものの、頭になど入ってこない。この脳裏を巡るのは、あきれるくらいアンネマリーのことばかりだ。
さすがに自分でも頭がおかしくなったのではないかと思っている。彼女と共に過ごしたのは、本当に僅かな時間だったのだから。
アンネマリーを忘れることはあきらめた。最近では、そんなふうに開き直っている自分に対して、もはや投げつける言葉もみつからない。
「非効率だな」
不意に書類を取り上げられる。手にした紙の束を無造作に机に放り投げると、ジークヴァルトはハインリヒの腕をつかんで立ち上がらせた。
「そんな腐った顔をしているくらいなら、少しオレに付き合え」
そのまま有無を言わさず部屋の外へ引っ張り出される。ハインリヒはされるがままに、ジークヴァルトに連れられて行った。その後を、部屋を警護していた近衛の騎士が、慌てたようについてくる。
「お前はここで待て。大丈夫だ、無茶はしない」
ジークヴァルトは近衛騎士に向かって言うと、鍛錬場の扉を開けた。
しんとした薄暗い部屋が広がっている。壁に掛けられた模擬剣を二本取ると、ジークヴァルトはそのうちの一本をハインリヒに向けて投げてよこした。
「たまにはいいだろう?」
「ああ、こうしてお前と手合わせるのは久しぶりだな」
深夜の寒々とした鍛錬場で、ふたりは剣の切っ先を向け合い対峙した。しばらく無言でにらみ合ったあと、ほぼ同時に動き出す。
続けざまに、剣がこすれ合う音が響いていく。一閃、一閃、火花が散り、気を抜くことは一時もできない。
こういったとき、ジークヴァルトは容赦がない。王太子である自分を相手にしたとき、大概の者は怪我をさせまいとその手を抜いてくる。わざと負けられるのはおもしろくはないが、己の立場を思えばそれも仕方のないことだ。
しかし、ジークヴァルトは怪我をさせないギリギリのところを攻め立ててくる。重い斬撃を受け止め、弾き、攻撃に転じる。それを幾度か繰り返したのち、勝負はあっさりとついてしまった。
手にした剣が弾き飛ばされ、遠くの床へとすべりながら転がっていく。尻もちをついた喉元すれすれに、冷やりとした剣先を突きつけられた。
互いの荒い息遣いだけが鍛錬場に響く。しばしの後、ジークヴァルトはその剣を鞘に納め、そのままハインリヒの腕を引いて立ち上がらせた。
「……ろくにお前に勝てた試しはないな」
「お前は守られる立場の人間だ。お前よりオレが強くて当然だろう」
そっけなく言うと、ジークヴァルトは転がっている剣を拾い上げ、元あった壁へともどしていった。
思えばジークヴァルトと最後に手合わせたをしたのはいつの事だったろうか。子供の頃から幾度となく行われていたそれは、忙しい日々にいつの間にか忘れ去られていった。
ジークヴァルトとて、公爵の立場だ。本来ならば、多くの者に守られて当然だろう。それなのに、自分のこの背を守るように、いまだ当たり前にここにいる。
(そうか……あの日以来、ヴァルトとは手合わせはしていなかった)
アデライーデを傷つけたあの日、ジークヴァルトをも失っておかしくなかった。だが、そうさせなかったのは、アデライーデ自身に他ならない。
(わたしはいつだって周りに甘えてばかりだ)
無言のまま、ハインリヒは拳をきつく握りしめた。
「お前はもっと、人を使うことを覚えた方がいい」
不意にジークヴァルトが言った。暗に周りを頼れとにおわされ、ハインリヒはその端正な顔を歪めた。
人を動かすことを苦手としている自覚はある。執務を引き継ぎ、多くの者に指示を出す。父王の存在は大きすぎて、王太子である自分に素直に従う者は、期待するほど多くはない。
「まずは実力を示さねば、人はついてこないものだろう」
砂をかみしめるように言う。自分に足りないものを認めることは、思いのほか難しい。
「お前は十二分にやれていると思うがな」
ジークヴァルトにそう言われても、素直には頷けない。王太子として、誰にも隙を見せるわけにはいかない。その立場にあぐらをかいて、努力を怠ることなどできるはずもなかった。
だが実際は、自分は何もかもが中途半端だ。つなぎとめることも、断ち切ることも、守ることすら、本当に、何もかも――。
流した汗の分だけ、冷えた空気が体温を奪い始める。
一体どうしたらいいのか。自分がどうしたいのか。それすらもわからない。
眠れない夜はいつまで続くのだろう。もしかしたら、この思いは永遠に付きまとうのかもしれない。
――はやくこの思いすべてが凍てついてしまえばいい
そんな日が来ることを、ハインリヒはただ一心に願っていた。
0
※小説家になろうグループムーンライトノベルズにて【R18】ふたつ名の令嬢と龍の託宣 不定期投稿中☆
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説

完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。

異世界転移聖女の侍女にされ殺された公爵令嬢ですが、時を逆行したのでお告げと称して聖女の功績を先取り実行してみた結果
富士とまと
恋愛
公爵令嬢が、異世界から召喚された聖女に婚約者である皇太子を横取りし婚約破棄される。
そのうえ、聖女の世話役として、侍女のように働かされることになる。理不尽な要求にも色々耐えていたのに、ある日「もう飽きたつまんない」と聖女が言いだし、冤罪をかけられ牢屋に入れられ毒殺される。
死んだと思ったら、時をさかのぼっていた。皇太子との関係を改めてやり直す中、聖女と過ごした日々に見聞きした知識を生かすことができることに気が付き……。殿下の呪いを解いたり、水害を防いだりとしながら過ごすあいだに、運命の時を迎え……え?ええ?

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる