296 / 528
第2章 氷の王子と消えた託宣
6
しおりを挟む
厨房の向こうにある階段の奥から、あくび交じりの声がした。艶めいた声の主が、トントンと音を立てて階段を下りてくる。赤いペディキュアに膝上丈のネグリジェの足が見えたと思ったら、そこに登場したのは、角刈りのゴリマッチョの厳つい男だった。真っ赤なルージュに紫のアイシャドウ、着ているネグリジェはスケスケのフリフリだ。
「あらんやだ、カイ坊ちゃんじゃない」
ネグリジェの裾をふりふりさせて、角刈りマッチョは内またで駆け寄ってきた。
「随分といい男になったじゃなぁい。いつの間にかこんなにおいしそうになってぇ」
「はは、フィンは相変わらずみたいだね」
カイの頬を太い指でつつきながらしなをつくるフィンに、カイは動揺するでもなく笑いかけた。その後ろに隠れるように、ルチアが一歩後退った姿勢で固まっている。
「フィン、またそんな格好で降りてきて……。あっし以外の男に目をつけられたらどうするんでさぁ」
「あらぁ、ダンったら、焼・き・も・ち・焼・き、ね。あたしにはダンしかいないって、いつも言ってるのにぃ~」
くるりと片足で向き直って、フィンはその厳つい体でダイブした。ダンがうれしそうにそれを受け止めている。殺し屋とマッチョがきゃっきゃうふふしている様は、なかなか表現しづらいものがある。子供のルチアには衝撃度が高すぎたようだ。
「ルチア、大丈夫、あれは怖い物じゃないよ。まあ、あれは、あれで、ひとつの愛のカタチ」
そう言ってカイは固まっているルチアの肩にポンと手を置いた。
「なぁに、その子。また、イグナーツ様を頼ってきた子?」
「そんなところでさぁ。ちょいと訳ありで、旦那が戻るまで、ここにいてもらいたいと思ってるでやすよ」
ダンはかいつまんでルチアの事情をフィンに話した。
「ん、まぁぁぁ! ルチア! あなたここにきて正解よん! 教会なんかクソよ、クソ! 好きなだけここにいてちょうだいな!!」
ダンとフィンはゲイカップルで長年夫婦のように暮らしている。だが、教会はふたりの仲を決して認めようとはしない。汚らわしいとまで罵倒されては、こちらも黙っていられるはずもなかった。
「それじゃあ、ルチアの母さんのことも心配ねぇ……。とにかく母さんにそのお金、届けましょ。治療は早い方がいいもの。ねぇ、ダン、あなた荷馬車を出してあげたら? 辻馬車で行くより早いし、ねぇ、そうしましょうよん」
「ああ、そうでやすな。ルチア殿だけだと、その金を見てあらぬ嫌疑をかけられても困りやすし、あっしも一緒についていきやしょう」
「え? でも、そこまで迷惑はかけられないわ」
「迷惑だなんて、そんなことないわよぅ。女は素直に甘えるものよん」
「その前に、ルチア、お風呂かしてもらったら?」
カイの言葉にフィンがルチアにクンクンと鼻を近づける。
「確かに、ルチア、あなたちょっと臭いわね。いいわん、あたしが隅々までぴかぴかに磨いてあげる。とっておきの服も貸したげるから、それで母さんに会いに行きましょ」
「えっいやよ! 絶対にだめ!」
ルチアが怯えたようにカイの背に隠れた。手をワキワキとしながら迫ってくるフィンにつかまらないように、カイの背中をぎゅっと掴んだ。
「はは、ダメだよフィン。フィンは心は女でも、体は立派な男でしょ。ルチアが怖がってるから、お風呂はひとりで入らせてあげて」
「そうでやす。フィンが子供と言えど、他の人間の肌に触れるなんて……あっしは想像しただけで気が狂いそうでやすよ」
「ま! ダンがそう言うなら、あたしあきらめちゃう! ごめんなさい、ルチア、そういう訳だから……」
申し訳なさそうに言うフィンに、ルチアは「いいのよ別に、気にしないで!」と必死に叫んだ。
よくわからない流れで風呂を借りることになったルチアは、首をかしげながらフィンに連れられて行った。しばらくするとフィンだけが戻ってくる。
「驚いたわん。あの子、お風呂の使い方、全く知らないの。今までは、真冬でも水で行水していたそうよん」
そこまで言うと、フィンは不意に涙ぐんだ。
「ずっと、病気の母親を支えて、あんなに小さいのに、ほんと不安だったでしょうにぃ……」
「ねえ、フィンも一緒に行ってあげなよ。女性がいた方がルチアも安心するんじゃない?」
「ん、まあ! それもそうねん!」
「ここはオレが留守番しとくからさ……あれ? ルチア、もう出てきたの?」
烏の行水よりも短いのではないだろうか。いつの間にかルチアがそこに立っていた。フィンに渡された服を着て、ルチアはほかほかと湯気を立てている。フィンの膝丈のワンピースは、ルチアにはぶかぶかすぎて裾を少し引きずっていた。
「だって、母さんが心配で……」
うつむくルチアの前で膝をつくと、フィンはルチアの腰を赤いリボンできゅっと絞った。即席のベルトになって、長い裾もちょうどいいくらいに収まった。長い袖ははみ出した分を幾度か折り長さを調節する。
「あらん、なかなかお似合いじゃない? あとでサイズのあったお洋服もいっぱい用意しましょ。でも、まずは母さんねん! さあ、すぐに出発するわよん!!」
毛皮のコートを羽織ったフィンがルチアの手を引いて、こんがり亭を出ていく。その後をダンがタンクトップ姿のまま追っていった。
(ルチアの母さん、驚いて心臓止まらないといいけど)
そんなことを思いながら、カイはひらひらと手を振って三人を見送った。
「さてと」
ひとりきりになったこんがり亭で、カイはおもむろに動き出す。迷いのない足取りで、先ほどまでルチアが使っていた浴室へと足を踏み入れた。
この国は温泉が豊富で、よほどの僻地でない限り、平民でも年間を通して風呂に入る習慣があった。蛇口をひねれば簡単に温泉水が出て来る仕様だ。
(ちゃんと使った形跡はあるな)
カイは風呂場を見渡しながら、隅々まで注意深く観察した。カイはかつらの下のルチアの本当の髪の色を、確かめられればと思っていた。髪の毛一本でも落ちていればと思ったのだが、あの短時間だったので、髪までは洗わなかったようだ。
「ん?」
カイはあることに気がついて、その場にしゃがみこんだ。
「これ……染料か何かかな……?」
流された温泉水に混ざって、茶色の粉が筋を作っている。カイはそれを指にとって、色やにおいを確かめた。
それは平民がよく使うような粗悪な染髪剤のようだった。染めると言うより、振りかけて色味をつけるようなそんなタイプの物だ。ルチアがかぶっていたかつらはつややかで、その染料を使っているとは思えない。
(かつらの下の地毛を、染めているのか?)
見つかりたくない相手に対する用心にしても、やりすぎのような気もする。
(よほど珍しい髪色なのか……?)
カイはもう一度注意深く濡れた床を見やった。排水溝のあたりにからまる髪を一本掴み取る。
スキンヘッドのダンや角刈りのフィンにはあり得ない、細く長い髪の毛だった。明かりに透かすように眺めやる。
(――見事な赤毛だ)
ルチアに関する情報を、整理するように頭の中で再び思い起こす。ルチアが生まれた年の前後で、貴族界で起こったことと照らし合わせてみるが、大きな事件や思い当たることは何もない。あるとすれば、前王妃であるセレスティーヌが亡くなった直後くらいの時期だろうか。
(駄目だ……やっぱり戻って調べなおさないと)
ルチアの母親とイグナーツの関係も知りたいところだが、イグナーツが戻らないことにはどうにもならない。聞いて素直に話すような男ではないが、戻ってきたら何が何でも口を割らせなくては。だが、今それは後回しだ。
カイは一筋の髪をハンカチに包んでポケットにしまい込むと、突き動かされるようにこんがり亭を後にした。
【次回予告】
はーい、わたしリーゼロッテ。無事に社交界デビューを果たしたわたしは、特にかわりばえもしない毎日で。ジークヴァルト様のもとで小鬼をきゅるんとさせたり、浄化のコツをつかんだりとちょこっと前進の兆しです! そんなときカイ様がアポなしで公爵家にやってきて!?
次回、2章第15話「星を堕とす者」 あわれなわたしに、チート、プリーズ!!
「あらんやだ、カイ坊ちゃんじゃない」
ネグリジェの裾をふりふりさせて、角刈りマッチョは内またで駆け寄ってきた。
「随分といい男になったじゃなぁい。いつの間にかこんなにおいしそうになってぇ」
「はは、フィンは相変わらずみたいだね」
カイの頬を太い指でつつきながらしなをつくるフィンに、カイは動揺するでもなく笑いかけた。その後ろに隠れるように、ルチアが一歩後退った姿勢で固まっている。
「フィン、またそんな格好で降りてきて……。あっし以外の男に目をつけられたらどうするんでさぁ」
「あらぁ、ダンったら、焼・き・も・ち・焼・き、ね。あたしにはダンしかいないって、いつも言ってるのにぃ~」
くるりと片足で向き直って、フィンはその厳つい体でダイブした。ダンがうれしそうにそれを受け止めている。殺し屋とマッチョがきゃっきゃうふふしている様は、なかなか表現しづらいものがある。子供のルチアには衝撃度が高すぎたようだ。
「ルチア、大丈夫、あれは怖い物じゃないよ。まあ、あれは、あれで、ひとつの愛のカタチ」
そう言ってカイは固まっているルチアの肩にポンと手を置いた。
「なぁに、その子。また、イグナーツ様を頼ってきた子?」
「そんなところでさぁ。ちょいと訳ありで、旦那が戻るまで、ここにいてもらいたいと思ってるでやすよ」
ダンはかいつまんでルチアの事情をフィンに話した。
「ん、まぁぁぁ! ルチア! あなたここにきて正解よん! 教会なんかクソよ、クソ! 好きなだけここにいてちょうだいな!!」
ダンとフィンはゲイカップルで長年夫婦のように暮らしている。だが、教会はふたりの仲を決して認めようとはしない。汚らわしいとまで罵倒されては、こちらも黙っていられるはずもなかった。
「それじゃあ、ルチアの母さんのことも心配ねぇ……。とにかく母さんにそのお金、届けましょ。治療は早い方がいいもの。ねぇ、ダン、あなた荷馬車を出してあげたら? 辻馬車で行くより早いし、ねぇ、そうしましょうよん」
「ああ、そうでやすな。ルチア殿だけだと、その金を見てあらぬ嫌疑をかけられても困りやすし、あっしも一緒についていきやしょう」
「え? でも、そこまで迷惑はかけられないわ」
「迷惑だなんて、そんなことないわよぅ。女は素直に甘えるものよん」
「その前に、ルチア、お風呂かしてもらったら?」
カイの言葉にフィンがルチアにクンクンと鼻を近づける。
「確かに、ルチア、あなたちょっと臭いわね。いいわん、あたしが隅々までぴかぴかに磨いてあげる。とっておきの服も貸したげるから、それで母さんに会いに行きましょ」
「えっいやよ! 絶対にだめ!」
ルチアが怯えたようにカイの背に隠れた。手をワキワキとしながら迫ってくるフィンにつかまらないように、カイの背中をぎゅっと掴んだ。
「はは、ダメだよフィン。フィンは心は女でも、体は立派な男でしょ。ルチアが怖がってるから、お風呂はひとりで入らせてあげて」
「そうでやす。フィンが子供と言えど、他の人間の肌に触れるなんて……あっしは想像しただけで気が狂いそうでやすよ」
「ま! ダンがそう言うなら、あたしあきらめちゃう! ごめんなさい、ルチア、そういう訳だから……」
申し訳なさそうに言うフィンに、ルチアは「いいのよ別に、気にしないで!」と必死に叫んだ。
よくわからない流れで風呂を借りることになったルチアは、首をかしげながらフィンに連れられて行った。しばらくするとフィンだけが戻ってくる。
「驚いたわん。あの子、お風呂の使い方、全く知らないの。今までは、真冬でも水で行水していたそうよん」
そこまで言うと、フィンは不意に涙ぐんだ。
「ずっと、病気の母親を支えて、あんなに小さいのに、ほんと不安だったでしょうにぃ……」
「ねえ、フィンも一緒に行ってあげなよ。女性がいた方がルチアも安心するんじゃない?」
「ん、まあ! それもそうねん!」
「ここはオレが留守番しとくからさ……あれ? ルチア、もう出てきたの?」
烏の行水よりも短いのではないだろうか。いつの間にかルチアがそこに立っていた。フィンに渡された服を着て、ルチアはほかほかと湯気を立てている。フィンの膝丈のワンピースは、ルチアにはぶかぶかすぎて裾を少し引きずっていた。
「だって、母さんが心配で……」
うつむくルチアの前で膝をつくと、フィンはルチアの腰を赤いリボンできゅっと絞った。即席のベルトになって、長い裾もちょうどいいくらいに収まった。長い袖ははみ出した分を幾度か折り長さを調節する。
「あらん、なかなかお似合いじゃない? あとでサイズのあったお洋服もいっぱい用意しましょ。でも、まずは母さんねん! さあ、すぐに出発するわよん!!」
毛皮のコートを羽織ったフィンがルチアの手を引いて、こんがり亭を出ていく。その後をダンがタンクトップ姿のまま追っていった。
(ルチアの母さん、驚いて心臓止まらないといいけど)
そんなことを思いながら、カイはひらひらと手を振って三人を見送った。
「さてと」
ひとりきりになったこんがり亭で、カイはおもむろに動き出す。迷いのない足取りで、先ほどまでルチアが使っていた浴室へと足を踏み入れた。
この国は温泉が豊富で、よほどの僻地でない限り、平民でも年間を通して風呂に入る習慣があった。蛇口をひねれば簡単に温泉水が出て来る仕様だ。
(ちゃんと使った形跡はあるな)
カイは風呂場を見渡しながら、隅々まで注意深く観察した。カイはかつらの下のルチアの本当の髪の色を、確かめられればと思っていた。髪の毛一本でも落ちていればと思ったのだが、あの短時間だったので、髪までは洗わなかったようだ。
「ん?」
カイはあることに気がついて、その場にしゃがみこんだ。
「これ……染料か何かかな……?」
流された温泉水に混ざって、茶色の粉が筋を作っている。カイはそれを指にとって、色やにおいを確かめた。
それは平民がよく使うような粗悪な染髪剤のようだった。染めると言うより、振りかけて色味をつけるようなそんなタイプの物だ。ルチアがかぶっていたかつらはつややかで、その染料を使っているとは思えない。
(かつらの下の地毛を、染めているのか?)
見つかりたくない相手に対する用心にしても、やりすぎのような気もする。
(よほど珍しい髪色なのか……?)
カイはもう一度注意深く濡れた床を見やった。排水溝のあたりにからまる髪を一本掴み取る。
スキンヘッドのダンや角刈りのフィンにはあり得ない、細く長い髪の毛だった。明かりに透かすように眺めやる。
(――見事な赤毛だ)
ルチアに関する情報を、整理するように頭の中で再び思い起こす。ルチアが生まれた年の前後で、貴族界で起こったことと照らし合わせてみるが、大きな事件や思い当たることは何もない。あるとすれば、前王妃であるセレスティーヌが亡くなった直後くらいの時期だろうか。
(駄目だ……やっぱり戻って調べなおさないと)
ルチアの母親とイグナーツの関係も知りたいところだが、イグナーツが戻らないことにはどうにもならない。聞いて素直に話すような男ではないが、戻ってきたら何が何でも口を割らせなくては。だが、今それは後回しだ。
カイは一筋の髪をハンカチに包んでポケットにしまい込むと、突き動かされるようにこんがり亭を後にした。
【次回予告】
はーい、わたしリーゼロッテ。無事に社交界デビューを果たしたわたしは、特にかわりばえもしない毎日で。ジークヴァルト様のもとで小鬼をきゅるんとさせたり、浄化のコツをつかんだりとちょこっと前進の兆しです! そんなときカイ様がアポなしで公爵家にやってきて!?
次回、2章第15話「星を堕とす者」 あわれなわたしに、チート、プリーズ!!
0
※小説家になろうグループムーンライトノベルズにて【R18】ふたつ名の令嬢と龍の託宣 不定期投稿中☆
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

危害を加えられたので予定よりも早く婚約を白紙撤回できました
しゃーりん
恋愛
階段から突き落とされて、目が覚めるといろんな記憶を失っていたアンジェリーナ。
自分のことも誰のことも覚えていない。
王太子殿下の婚約者であったことも忘れ、結婚式は来年なのに殿下には恋人がいるという。
聞くところによると、婚約は白紙撤回が前提だった。
なぜアンジェリーナが危害を加えられたのかはわからないが、それにより予定よりも早く婚約を白紙撤回することになったというお話です。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる