235 / 528
第2章 氷の王子と消えた託宣
6
しおりを挟む
「さあ、この件はもうおしまい! で、マダム。こっちの件はどうするつもりなの?」
重苦しくなった空気をかき消すように、アデライーデはマダム・クノスぺに明るい声で問いかけた。こっちの件と指さしたのは、ケースの中で輝く『オクタヴィアの瞳』だ。
「どうもこうも、こちらの宝飾をリーゼロッテお嬢様がお付けになってデビューに挑むとなると、わたしもこのまま引き下がるわけには参りませんわ!」
言うなりマダムは紙の束を取り出して、猛スピードでペンを滑らせた。描いては飛ばし描いては飛ばし、ものすごい勢いで紙が宙に舞っていく。
「ほほほ! インスピレーションが止まりませんわ! こうなったらリーゼロッテお嬢様のデビューのドレスは一から作り直しさせていただきます!!」
「ええっ!?」
「じゃあ、わたしのドレスはこのあたりでオッケーね!」
「ええ、今日はもう終いにしましょう。アデライーデお嬢様のドレスは、わたしが責任をもって夜会までにかんっぺきに仕上げておきますわ! このクノスペにお任せください! ほほほほほっ、たぎるわ! この血がたぎって仕方がないわぁぁぁ!」
「さ、この窮屈なドレスはさっさと脱ぐわよ」
アデライーデは侍女たちに指示して、ラフな部屋着のドレスへと着替えにかかる。
「では、わたしたちはこれで失礼いたします。リーゼロッテお嬢様、また仮縫いでお会いいたしましょう」
散乱したデザイン画をお針子たちがかき集めると、マダム一行は嵐のように去っていった。
「はあ~作戦成功ぅ」
居間のソファに腰かけてアデライーデがはしたなくのびをする。侍女の一人に非難めいた視線を送られるが、どこ吹く風でそのままごろんとソファに寝転んだ。
「アデライーデお嬢様! 公爵令嬢ともあろう方がそのようなはしたない格好をされて! リーゼロッテ様を見習ってくださいませ!」
いきなり水を向けられたリーゼロッテは、向かいのソファに腰かけたまま居心地悪そうに身じろぎした。
「いいじゃない、ここはわたしの部屋よ。肩も凝ったし寝転がるくらい別にいいでしょ」
今朝方早く戻ってきて、仮眠もそこそこにマダムの着せ替え攻撃が始まったのだ。ようやく窮屈なコルセットから解放されて、あくびのひとつも出ると言うものである。
「お嬢様! 昔のようにどこででも寝てしまう癖は直っておられないのですか?」
アデライーデは子供の頃、力を使い果たしては行き倒れて、所かまわず眠ってしまっていた。それは公爵家の屋敷だろうと王城の敷地内であろうと変わらずで、あちこちでみなを心配させたものだった。
さすがに今はそんなことはしなくなったが、社交界でアデライーデはいまだに『フーゲンベルクの眠り姫』と呼ばれているのだ。
「よそではこんなことはしないわよ。久しぶりに帰ってきたっていうのにうるさくいわないで」
ふくれ面をしてアデライーデはクッションを抱えたまま背もたれの方へ横向きとなった。首をこきこきと鳴らして、肩のあたりを揉み込んでいる。
「アデライーデお姉様。お辛いようなら、わたくしがお背中を押しましょうか?」
日本では家族や友人にマッサージをして、かなり好評だったことを思い出したリーゼロッテは、アデライーデのソファの前で膝をついた。「あら、いいわね」との返事に、その背中をそっと指圧する。
「あっ! あっ! いい! それ、いいわ、リーゼロッテ!」
リーゼロッテの小さな指でピンポイントに背中を押され、アデライーデが痛気持ちいい叫び声をあげた。
「お、おやめくださいませ! リーゼロッテ様はそのようなことなさいませんよう! ああ、お嬢様もお止めください! おふたりとも悪ふざけが過ぎますわ!」
侍女の悲痛の叫びにアデライーデは身を起こすと、笑いながら目の前のリーゼロッテをぎゅっと抱きしめた。リーゼロッテもつられて淑女らしからぬ笑い声をあげてしまう。
「いいじゃない。未来の妹と親睦を深め合っているだけでしょ」
そう言ってリーゼロッテの血色の戻った頬をするりと撫でた。ひとしきり笑い合った後、アデライーデはリーゼロッテの顔をじっと覗き込んだ。
「……さっきはきつい言い方をして悪かったわ」
「い、いいえ! わたくしが至らないばかりに、アデライーデお姉様に……」
「リーゼロッテ、そうじゃないでしょう?」
リーゼロッテの言葉を制止して、アデライーデはニヤッと笑って見せた。しばし考え込んだ後、リーゼロッテは先ほどと同じくお手本のような淑女の笑みを作った。
「そうよ、それ」
満足そうに頷くとアデライーデはリーゼロッテの顎に手を添えた。
「そうね、顔の角度はこう。その笑顔もいいけど、もっと、こう、何を言われているのかわからない、そんな表情を少しのせてみて?」
本当に何を言われているかよくわからなかったリーゼロッテは、曖昧な笑みを浮かべて小首をかしげた。
「そう! それ、いいわ! ついでに、そんなつまらないこと言うなんて、この人はなんてバカなんだろう、そんな気持ちもひと匙含ませれば、もう完璧ね! 違うわ、もっと憐れむ感じで……そう! それよ!」
それと言われても、いまいちどれなのかよくわからなかったが、リーゼロッテはとりあえず言われた表情をキープした。
「ああ……いいわ、リーゼロッテ、あなたなかなか才能があるわ。いい? 夜会で誰かに心無いことを言われたら、必ずその顔を作るのよ? 下手に言い返したりしなくていいから、黙ってその顔で微笑んでいれば、あとはそれでうまくいくから」
(口は災いのもと、ということかしら……?)
リーゼロッテはアデライーデがそう言うならと、普段のはにかむ笑顔に戻って「はい、お姉様」と頷いた。
「いやぁん、なんでこんなに可愛いのぉっ」
悶絶するように胸にかき抱かれ、リーゼロッテはあわあわとなった。すっかり和やかな雰囲気に戻った場にほっと息をついた侍女たちは、ふたりのやり取りをみやりながら、仕方ないとばかりに目配せし合っていた。
間近でアデライーデに顔を覗き込まれ、リーゼロッテの頬がぽっと赤くなる。ふと、いつもは眼帯で隠されている右目の傷が目に入った。
化粧を施しているからだろうか。そこまで目の上下にかかる傷は目立たない。だが、その右眼はどことなく焦点を結んでいない。やはりその視力は失われているのだろう。
「傷が気になる?」
「はい、あの、いいえ……その……今も痛んだりはなさいますか?」
気づかわし気な視線は、純粋に心配しているようだ。周囲からぶしつけに送られる同情の目を、いつもアデライーデは煩わしく思っていたが、リーゼロッテのものはそれほど不快に感じなかった。
「そうね、寒い日なんかは痛むこともあるけど……言われてみれば、最近はあまり気にならないわね」
その言葉にリーゼロッテがほっとしたような顔をする。そんなリーゼロッテをアデライーデは再びじっとみつめた。片目での生活も慣れてきた。だが、片側のみを酷使する日々は、頭痛や過度な疲労をもたらしてくる。
(そういえば、ダーミッシュ領に滞在してから、ひどい頭痛も減ったような……)
リーゼロッテの愛らしい顔をみつめながら、アデライーデは以前、王城で読んだ調書を思い出した。
王城で異形の者たちが騒ぎを起こした日、リーゼロッテの聖女の力が解放された。その日、王城に残っていた者たちは、抱えていた慢性的な体調不良が改善したという報告が山ほど乗っていたのだ。
ふと気づくとリーゼロッテのエメラルドのような緑の瞳が、アデライーデの青い瞳を食い入るようにじっと見つめている。
「……アデライーデお姉様……とっても綺麗……」
うっとりと目を細めて微笑むリーゼロッテに、今度はアデライーデが頬を赤らめた。
「何なの、この娘! ヴァルトにあげるのはもったいなさすぎる!」
再びリーゼロッテを胸に抱きしめながら、アデライーデは心の中で白旗を上げていた。
(これじゃあ、あの他人に厳しいエマニュエルも懐柔されるわけだわ……)
リーゼロッテが苦境に立たされたとき、手を差し伸べずにいられる者がどれだけいるだろう。
夜会などもう二度と出るものか。ずっとそう心に決めていたのだが、今回、白の夜会への出席が不可避なものとなってから、アデライーデは憂鬱な日々を送っていた。
それなのにリーゼロッテのためなら、自分のちっぽけなプライドなど些細なことだと思えてくるから不思議なものだ。
リーゼロッテはただ微笑んでいればいい。
甘やかすばかりではいけないと頭では分かっているのに、周囲が全力で守ろうとしてしまう。
「とんだ人たらしね」
もう一度その頬をするりとなでて、アデライーデは仕方ないといった風に微笑んだ。
重苦しくなった空気をかき消すように、アデライーデはマダム・クノスぺに明るい声で問いかけた。こっちの件と指さしたのは、ケースの中で輝く『オクタヴィアの瞳』だ。
「どうもこうも、こちらの宝飾をリーゼロッテお嬢様がお付けになってデビューに挑むとなると、わたしもこのまま引き下がるわけには参りませんわ!」
言うなりマダムは紙の束を取り出して、猛スピードでペンを滑らせた。描いては飛ばし描いては飛ばし、ものすごい勢いで紙が宙に舞っていく。
「ほほほ! インスピレーションが止まりませんわ! こうなったらリーゼロッテお嬢様のデビューのドレスは一から作り直しさせていただきます!!」
「ええっ!?」
「じゃあ、わたしのドレスはこのあたりでオッケーね!」
「ええ、今日はもう終いにしましょう。アデライーデお嬢様のドレスは、わたしが責任をもって夜会までにかんっぺきに仕上げておきますわ! このクノスペにお任せください! ほほほほほっ、たぎるわ! この血がたぎって仕方がないわぁぁぁ!」
「さ、この窮屈なドレスはさっさと脱ぐわよ」
アデライーデは侍女たちに指示して、ラフな部屋着のドレスへと着替えにかかる。
「では、わたしたちはこれで失礼いたします。リーゼロッテお嬢様、また仮縫いでお会いいたしましょう」
散乱したデザイン画をお針子たちがかき集めると、マダム一行は嵐のように去っていった。
「はあ~作戦成功ぅ」
居間のソファに腰かけてアデライーデがはしたなくのびをする。侍女の一人に非難めいた視線を送られるが、どこ吹く風でそのままごろんとソファに寝転んだ。
「アデライーデお嬢様! 公爵令嬢ともあろう方がそのようなはしたない格好をされて! リーゼロッテ様を見習ってくださいませ!」
いきなり水を向けられたリーゼロッテは、向かいのソファに腰かけたまま居心地悪そうに身じろぎした。
「いいじゃない、ここはわたしの部屋よ。肩も凝ったし寝転がるくらい別にいいでしょ」
今朝方早く戻ってきて、仮眠もそこそこにマダムの着せ替え攻撃が始まったのだ。ようやく窮屈なコルセットから解放されて、あくびのひとつも出ると言うものである。
「お嬢様! 昔のようにどこででも寝てしまう癖は直っておられないのですか?」
アデライーデは子供の頃、力を使い果たしては行き倒れて、所かまわず眠ってしまっていた。それは公爵家の屋敷だろうと王城の敷地内であろうと変わらずで、あちこちでみなを心配させたものだった。
さすがに今はそんなことはしなくなったが、社交界でアデライーデはいまだに『フーゲンベルクの眠り姫』と呼ばれているのだ。
「よそではこんなことはしないわよ。久しぶりに帰ってきたっていうのにうるさくいわないで」
ふくれ面をしてアデライーデはクッションを抱えたまま背もたれの方へ横向きとなった。首をこきこきと鳴らして、肩のあたりを揉み込んでいる。
「アデライーデお姉様。お辛いようなら、わたくしがお背中を押しましょうか?」
日本では家族や友人にマッサージをして、かなり好評だったことを思い出したリーゼロッテは、アデライーデのソファの前で膝をついた。「あら、いいわね」との返事に、その背中をそっと指圧する。
「あっ! あっ! いい! それ、いいわ、リーゼロッテ!」
リーゼロッテの小さな指でピンポイントに背中を押され、アデライーデが痛気持ちいい叫び声をあげた。
「お、おやめくださいませ! リーゼロッテ様はそのようなことなさいませんよう! ああ、お嬢様もお止めください! おふたりとも悪ふざけが過ぎますわ!」
侍女の悲痛の叫びにアデライーデは身を起こすと、笑いながら目の前のリーゼロッテをぎゅっと抱きしめた。リーゼロッテもつられて淑女らしからぬ笑い声をあげてしまう。
「いいじゃない。未来の妹と親睦を深め合っているだけでしょ」
そう言ってリーゼロッテの血色の戻った頬をするりと撫でた。ひとしきり笑い合った後、アデライーデはリーゼロッテの顔をじっと覗き込んだ。
「……さっきはきつい言い方をして悪かったわ」
「い、いいえ! わたくしが至らないばかりに、アデライーデお姉様に……」
「リーゼロッテ、そうじゃないでしょう?」
リーゼロッテの言葉を制止して、アデライーデはニヤッと笑って見せた。しばし考え込んだ後、リーゼロッテは先ほどと同じくお手本のような淑女の笑みを作った。
「そうよ、それ」
満足そうに頷くとアデライーデはリーゼロッテの顎に手を添えた。
「そうね、顔の角度はこう。その笑顔もいいけど、もっと、こう、何を言われているのかわからない、そんな表情を少しのせてみて?」
本当に何を言われているかよくわからなかったリーゼロッテは、曖昧な笑みを浮かべて小首をかしげた。
「そう! それ、いいわ! ついでに、そんなつまらないこと言うなんて、この人はなんてバカなんだろう、そんな気持ちもひと匙含ませれば、もう完璧ね! 違うわ、もっと憐れむ感じで……そう! それよ!」
それと言われても、いまいちどれなのかよくわからなかったが、リーゼロッテはとりあえず言われた表情をキープした。
「ああ……いいわ、リーゼロッテ、あなたなかなか才能があるわ。いい? 夜会で誰かに心無いことを言われたら、必ずその顔を作るのよ? 下手に言い返したりしなくていいから、黙ってその顔で微笑んでいれば、あとはそれでうまくいくから」
(口は災いのもと、ということかしら……?)
リーゼロッテはアデライーデがそう言うならと、普段のはにかむ笑顔に戻って「はい、お姉様」と頷いた。
「いやぁん、なんでこんなに可愛いのぉっ」
悶絶するように胸にかき抱かれ、リーゼロッテはあわあわとなった。すっかり和やかな雰囲気に戻った場にほっと息をついた侍女たちは、ふたりのやり取りをみやりながら、仕方ないとばかりに目配せし合っていた。
間近でアデライーデに顔を覗き込まれ、リーゼロッテの頬がぽっと赤くなる。ふと、いつもは眼帯で隠されている右目の傷が目に入った。
化粧を施しているからだろうか。そこまで目の上下にかかる傷は目立たない。だが、その右眼はどことなく焦点を結んでいない。やはりその視力は失われているのだろう。
「傷が気になる?」
「はい、あの、いいえ……その……今も痛んだりはなさいますか?」
気づかわし気な視線は、純粋に心配しているようだ。周囲からぶしつけに送られる同情の目を、いつもアデライーデは煩わしく思っていたが、リーゼロッテのものはそれほど不快に感じなかった。
「そうね、寒い日なんかは痛むこともあるけど……言われてみれば、最近はあまり気にならないわね」
その言葉にリーゼロッテがほっとしたような顔をする。そんなリーゼロッテをアデライーデは再びじっとみつめた。片目での生活も慣れてきた。だが、片側のみを酷使する日々は、頭痛や過度な疲労をもたらしてくる。
(そういえば、ダーミッシュ領に滞在してから、ひどい頭痛も減ったような……)
リーゼロッテの愛らしい顔をみつめながら、アデライーデは以前、王城で読んだ調書を思い出した。
王城で異形の者たちが騒ぎを起こした日、リーゼロッテの聖女の力が解放された。その日、王城に残っていた者たちは、抱えていた慢性的な体調不良が改善したという報告が山ほど乗っていたのだ。
ふと気づくとリーゼロッテのエメラルドのような緑の瞳が、アデライーデの青い瞳を食い入るようにじっと見つめている。
「……アデライーデお姉様……とっても綺麗……」
うっとりと目を細めて微笑むリーゼロッテに、今度はアデライーデが頬を赤らめた。
「何なの、この娘! ヴァルトにあげるのはもったいなさすぎる!」
再びリーゼロッテを胸に抱きしめながら、アデライーデは心の中で白旗を上げていた。
(これじゃあ、あの他人に厳しいエマニュエルも懐柔されるわけだわ……)
リーゼロッテが苦境に立たされたとき、手を差し伸べずにいられる者がどれだけいるだろう。
夜会などもう二度と出るものか。ずっとそう心に決めていたのだが、今回、白の夜会への出席が不可避なものとなってから、アデライーデは憂鬱な日々を送っていた。
それなのにリーゼロッテのためなら、自分のちっぽけなプライドなど些細なことだと思えてくるから不思議なものだ。
リーゼロッテはただ微笑んでいればいい。
甘やかすばかりではいけないと頭では分かっているのに、周囲が全力で守ろうとしてしまう。
「とんだ人たらしね」
もう一度その頬をするりとなでて、アデライーデは仕方ないといった風に微笑んだ。
0
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

王命での結婚がうまくいかなかったので公妾になりました。
しゃーりん
恋愛
婚約解消したばかりのルクレツィアに王命での結婚が舞い込んだ。
相手は10歳年上の公爵ユーグンド。
昔の恋人を探し求める公爵は有名で、国王陛下が公爵家の跡継ぎを危惧して王命を出したのだ。
しかし、公爵はルクレツィアと結婚しても興味の欠片も示さなかった。
それどころか、子供は養子をとる。邪魔をしなければ自由だと言う。
実家の跡継ぎも必要なルクレツィアは子供を産みたかった。
国王陛下に王命の取り消しをお願いすると三年後になると言われた。
無駄な三年を過ごしたくないルクレツィアは国王陛下に提案された公妾になって子供を産み、三年後に離婚するという計画に乗ったお話です。

【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。
夫が「愛していると言ってくれ」とうるさいのですが、残念ながら結婚した記憶がございません
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
【完結しました】
王立騎士団団長を務めるランスロットと事務官であるシャーリーの結婚式。
しかしその結婚式で、ランスロットに恨みを持つ賊が襲い掛かり、彼を庇ったシャーリーは階段から落ちて気を失ってしまった。
「君は俺と結婚したんだ」
「『愛している』と、言ってくれないだろうか……」
目を覚ましたシャーリーには、目の前の男と結婚した記憶が無かった。
どうやら、今から二年前までの記憶を失ってしまったらしい――。
里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります>
政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・?
※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる