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第2章 氷の王子と消えた託宣
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◇
通された部屋の居間を見渡すと、誰一人として姿が見えなかった。そのかわり奥の部屋から、複数の人の話し声がする。
「リーゼロッテー? 今ちょっと、動けないのよぉ。いいからこちらにいらっしゃい」
その部屋からアデライーデの声がする。ちょっと苦しそうな声音に困惑しつつ、リーゼロッテはその部屋に足を踏み入れた。
そこは衣裳部屋のようで、数人の侍女が並ぶその先に、臙脂色の鮮やかなドレスを着たアデライーデが立っている。普段はポニーテールにしているダークブラウンの髪を下に降ろして、どこから見ても高貴な令嬢にしか見えない。
艶めいた生地のドレスが、アデライーデの美しさをいっそうひき立てている。いつもつけている眼帯は外されており、ジークヴァルトと同じ青い双眸がリーゼロッテを見つめていた。
「久しぶりね、リーゼロッテ」
「お姉様……!」
(なんて素敵なの! 似合いすぎてる……!)
瞳にハートを浮かべてリーゼロッテは祈るように胸の前で手を組んだ。臙脂色のドレスを飾る黒いレースが、豪華なゴシックドレスを思わせる。真っ直ぐな艶めいた髪がさらりとこぼれ、目の前のアデライーデはまるで等身大の緻密な美しい人形のようだ。
アデライーデの周りを囲む侍女の他にお針子の女性が何人かいて、その中には見知った者たちがいるのに気づく。
「まああ、リーゼロッテお嬢様。こちらでお会いできるなんて、なんということでしょう!」
そう言ってメジャーを両手にぴんと張り目を見開いたのは、ダーミッシュ領でドレスの仮縫いをしてくれたマダム・クノスぺだった。
「リーゼロッテは弟の婚約者なのよ。ねぇ、マダム。もうこれ、脱いでいいかしら?」
「んまぁ! よいわけありません! ろくに採寸もさせてもらえずにドレスを作らされているこちらの身にもなってくださいませ!」
「だいたい着られればそれでいいじゃない。サイズだって前とそれほど変わっていないでしょう?」
「ええ、ええ、驚くほどバストもウエストもヒップも六年前と変わっておられませんわ!」
「だったらいいじゃない、もう脱いだって。まったく、コルセットは拷問器具だわ」
「美とは心意気なのですわ! さあ、アデライーデお嬢様! このドレスには十七か所の作り直しが必要だとわたしのたぎった情熱が申しております! ええ、ええ、ご安心ください! このクノスぺが、お嬢様のお美しさを極限まで引き出して見せますわ!」
くわっと目を見開いて迫るマダムに、アデライーデが辟易としている。
「ああん、もう……サイズはぴったりなんだしこれでもういいじゃない。わたしは夜会の主役じゃないのよ。ほどほどにしてちょうだい」
「んまぁ! わたしの作るドレスにほどほどなどという言葉は存在いたしません! 今日は納得いくまでお付き合いくださいませっ」
アデライーデを見るマダムの目は、完全に瞳孔が開いている。アデライーデは観念したように両手を上げた。
「はあ、もう好きにしなさいよ」
(あのアデライーデ様が押されている……)
リーゼロッテは唖然とした様子でやり取りを見つめていた。
「いいわ、これも鍛錬と思えばどうってことないわ。そんなわけで長丁場になりそうだから、せっかく来てもらって悪いけど、リーゼロッテは適当にくつろいでいてちょうだい」
目配せを受けた侍女がリーゼロッテを部屋の壁際に置かれたソファへと誘い、紅茶と茶菓子を用意してくれた。
「わたくしばかり申し訳ありません」
「いいのよ。それ、オスト地方のお菓子だけど結構おいしいの。よかったら食べてみて」
目の前に置かれた見慣れないカラフルな菓子をすすめられて、リーゼロッテはそれならと遠慮なく桃色の菓子を選んでひとつ口にした。
(マシュマロだわ、これ!)
もちもちとした弾力のある菓子が口の中でふしゅりと溶けていく。ただ甘いだけでなく、フルーティーな酸味がリーゼロッテの口いっぱいに広がった。
頬に手を当てながらへにゃりとなっているリーゼロッテを、アデライーデは楽しそうに見やった。この場にいる誰もが同じように微笑ましそうな表情をしている。
「ギモーヴというのだそうよ」
「まあ、ギモーヴというのですね。このお菓子、わたくしとても好きですわ」
お顔を見ていればわかります。お針子・侍女一同はそう思いながら、あまりの可愛さに身震いするのをこらえていた。
「さあさ、あなたたちはアデライーデ様に集中なさい!」
マダムの一声で、お針子たちが一斉に動き出す。右向け左向けとされているアデライーデの目が、まるで死んだ魚のように濁っている。領地で自分もあんな表情をしていたのかもしれない。
「ああ、そうだわ、リーゼロッテ。ジークヴァルトにはあれはもう見せてもらった?」
「あれ……でございますか?」
こてんと首を傾ける。
「先日、母がこちらに届けたと言っていたのだけれど。……その様子じゃまだ見てないのね」
操り人形のごとくお針子たちに好きに動かされながら、アデライーデはしばらくリーゼロッテと見つめあっていた。じっと考えこんだ顔から、いきなりにやっとした顔つきになる。
「ねえ、誰か。母から届いた例のアレを、今すぐここに持ってくるようエッカルトに伝えてちょうだい」
「いえ、ですが、あちらは旦那様が……」
「いいのよ。あの唐変木にまかせていたら、いつになるかわかりゃしないわ」
手をひらひらと振って「いいから早く」と困惑顔の侍女をエッカルトの元に行くよう促した。しぶしぶといった体であったがその侍女は「仰せのままに」といって部屋を出ていった。
(これでマダムの気をそらせるわ)
アデライーデは悪い顔でひとりほくそ笑んでいた。
通された部屋の居間を見渡すと、誰一人として姿が見えなかった。そのかわり奥の部屋から、複数の人の話し声がする。
「リーゼロッテー? 今ちょっと、動けないのよぉ。いいからこちらにいらっしゃい」
その部屋からアデライーデの声がする。ちょっと苦しそうな声音に困惑しつつ、リーゼロッテはその部屋に足を踏み入れた。
そこは衣裳部屋のようで、数人の侍女が並ぶその先に、臙脂色の鮮やかなドレスを着たアデライーデが立っている。普段はポニーテールにしているダークブラウンの髪を下に降ろして、どこから見ても高貴な令嬢にしか見えない。
艶めいた生地のドレスが、アデライーデの美しさをいっそうひき立てている。いつもつけている眼帯は外されており、ジークヴァルトと同じ青い双眸がリーゼロッテを見つめていた。
「久しぶりね、リーゼロッテ」
「お姉様……!」
(なんて素敵なの! 似合いすぎてる……!)
瞳にハートを浮かべてリーゼロッテは祈るように胸の前で手を組んだ。臙脂色のドレスを飾る黒いレースが、豪華なゴシックドレスを思わせる。真っ直ぐな艶めいた髪がさらりとこぼれ、目の前のアデライーデはまるで等身大の緻密な美しい人形のようだ。
アデライーデの周りを囲む侍女の他にお針子の女性が何人かいて、その中には見知った者たちがいるのに気づく。
「まああ、リーゼロッテお嬢様。こちらでお会いできるなんて、なんということでしょう!」
そう言ってメジャーを両手にぴんと張り目を見開いたのは、ダーミッシュ領でドレスの仮縫いをしてくれたマダム・クノスぺだった。
「リーゼロッテは弟の婚約者なのよ。ねぇ、マダム。もうこれ、脱いでいいかしら?」
「んまぁ! よいわけありません! ろくに採寸もさせてもらえずにドレスを作らされているこちらの身にもなってくださいませ!」
「だいたい着られればそれでいいじゃない。サイズだって前とそれほど変わっていないでしょう?」
「ええ、ええ、驚くほどバストもウエストもヒップも六年前と変わっておられませんわ!」
「だったらいいじゃない、もう脱いだって。まったく、コルセットは拷問器具だわ」
「美とは心意気なのですわ! さあ、アデライーデお嬢様! このドレスには十七か所の作り直しが必要だとわたしのたぎった情熱が申しております! ええ、ええ、ご安心ください! このクノスぺが、お嬢様のお美しさを極限まで引き出して見せますわ!」
くわっと目を見開いて迫るマダムに、アデライーデが辟易としている。
「ああん、もう……サイズはぴったりなんだしこれでもういいじゃない。わたしは夜会の主役じゃないのよ。ほどほどにしてちょうだい」
「んまぁ! わたしの作るドレスにほどほどなどという言葉は存在いたしません! 今日は納得いくまでお付き合いくださいませっ」
アデライーデを見るマダムの目は、完全に瞳孔が開いている。アデライーデは観念したように両手を上げた。
「はあ、もう好きにしなさいよ」
(あのアデライーデ様が押されている……)
リーゼロッテは唖然とした様子でやり取りを見つめていた。
「いいわ、これも鍛錬と思えばどうってことないわ。そんなわけで長丁場になりそうだから、せっかく来てもらって悪いけど、リーゼロッテは適当にくつろいでいてちょうだい」
目配せを受けた侍女がリーゼロッテを部屋の壁際に置かれたソファへと誘い、紅茶と茶菓子を用意してくれた。
「わたくしばかり申し訳ありません」
「いいのよ。それ、オスト地方のお菓子だけど結構おいしいの。よかったら食べてみて」
目の前に置かれた見慣れないカラフルな菓子をすすめられて、リーゼロッテはそれならと遠慮なく桃色の菓子を選んでひとつ口にした。
(マシュマロだわ、これ!)
もちもちとした弾力のある菓子が口の中でふしゅりと溶けていく。ただ甘いだけでなく、フルーティーな酸味がリーゼロッテの口いっぱいに広がった。
頬に手を当てながらへにゃりとなっているリーゼロッテを、アデライーデは楽しそうに見やった。この場にいる誰もが同じように微笑ましそうな表情をしている。
「ギモーヴというのだそうよ」
「まあ、ギモーヴというのですね。このお菓子、わたくしとても好きですわ」
お顔を見ていればわかります。お針子・侍女一同はそう思いながら、あまりの可愛さに身震いするのをこらえていた。
「さあさ、あなたたちはアデライーデ様に集中なさい!」
マダムの一声で、お針子たちが一斉に動き出す。右向け左向けとされているアデライーデの目が、まるで死んだ魚のように濁っている。領地で自分もあんな表情をしていたのかもしれない。
「ああ、そうだわ、リーゼロッテ。ジークヴァルトにはあれはもう見せてもらった?」
「あれ……でございますか?」
こてんと首を傾ける。
「先日、母がこちらに届けたと言っていたのだけれど。……その様子じゃまだ見てないのね」
操り人形のごとくお針子たちに好きに動かされながら、アデライーデはしばらくリーゼロッテと見つめあっていた。じっと考えこんだ顔から、いきなりにやっとした顔つきになる。
「ねえ、誰か。母から届いた例のアレを、今すぐここに持ってくるようエッカルトに伝えてちょうだい」
「いえ、ですが、あちらは旦那様が……」
「いいのよ。あの唐変木にまかせていたら、いつになるかわかりゃしないわ」
手をひらひらと振って「いいから早く」と困惑顔の侍女をエッカルトの元に行くよう促した。しぶしぶといった体であったがその侍女は「仰せのままに」といって部屋を出ていった。
(これでマダムの気をそらせるわ)
アデライーデは悪い顔でひとりほくそ笑んでいた。
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※小説家になろうグループムーンライトノベルズにて【R18】ふたつ名の令嬢と龍の託宣 不定期投稿中☆
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
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