206 / 528
第2章 氷の王子と消えた託宣
4
しおりを挟む
◇
アンネマリーに見送られながら、クラッセン家のエントランスを出たリーゼロッテは、馬車の停まる場所へと移動した。
控えの部屋で待っていたエマニュエルと途中で合流したが、泣いた後の顔はごまかされなかったようだ。周囲の目もあり、すぐに問いただされることはなかったが、後である程度は事情を話さなければならないだろう。
馬車の前に数人の人影が見え、着ている服装から公爵家の護衛たちだと分かる。冷やしたとはいえ、泣きはらした顔を見られたくないと、リーゼロッテは不自然に見えないようにそっと視線をそらそうとした。
しかし、大柄な人物が二名並んでいるのが視界に入り、リーゼロッテはそのふたりを思わず二度見した。
(か、カークがふたりいる……!)
リーゼロッテの姿を認めると、並ぶカークのうち、ひとりが跪いて騎士の礼を取った。もうひとりはそのまま静かに立っている。
近づいてよくよく見ると、騎士の礼を取ったカークは公爵家の護衛服を着ており、立ったままのカークは古びた鎧を身に着けたひげ面のいつものカークだった。
「リーゼロッテ様、こちらは公爵家の護衛騎士をされているヨハン・カーク様です」
ふたりを交互に見つめて目を白黒させているリーゼロッテに、跪く護衛服のカークの横に立ったエマニュエルが声をかけた。
「ヨハン……カーク……さま?」
「はい!リーゼロッテ様! ヨハンと申します! いずれ子爵家を継ぐ身ではありますが、この命に代えてもリーゼロッテ様にお仕えする所存です!」
ヨハンは巨体を地面にめり込ませそうな勢いで、さらに深い騎士の礼を取った。
「ヨハン様は、カーク子爵家の跡継ぎでいらっしゃいます」
すまし顔で言うエマニュエルは、どこか含んだ笑いを見せた。
「え?カーク子爵? ……もしかして、ヨハン様はカークの……」
「はい! そこの異形、不動のカークは、わたしの先祖であります!」
代々、公爵家の傍系として名を連ねてきたカーク家は、邪魔物扱いされている不動のカークの存在のせいで、昔から周りの者に軽んじられてきた。自分だけなら我慢も効くが、大事な家族がそのせいで辛い目に合うのは、ヨハンには耐えがたいことだった。
ヨハンには年の離れた妹がいる。あと数年で社交界デビューをする可愛い妹は、そんな状況では良い縁談を望めるとは思えない。カーク家の宿命だと半ば諦めていたヨハンだったが、リーゼロッテが公爵家にやってきてから、状況が一変したのだ。
「あの……ヨハン様、お顔を上げてくださいませ。わたくしにそのように礼を取る必要はありませんわ」
リーゼロッテは伯爵令嬢でヨハンは子爵家の人間なので、貴族階級的にヨハンが下である。礼を取るのはおかしくはない。だが、今ヨハンがとっているのは、王族に対して示すような騎士の中でも最大級の礼を尽くすものだった。
「とんでもありません! わたしはジークヴァルト様とリーゼロッテ様に、生涯、命を懸けてお仕えすると誓ったのです!」
本当に命を捧げそうな勢いに、リーゼロッテは困惑した。公爵家当主であるジークヴァルトならともかく、まだ婚約者の身の自分にそこまでする意味が分からない。
「ヨハン様はリーゼロッテ様に感謝されているのですよ」
「感謝とおっしゃられましても、わたくしヨハン様にお会いするのは初めてで……いえ、そういえば王城からダーミッシュ領に戻るときに、もしかしたらヨハン様はいらっしゃった……?」
王城の馬車留めで、初めてジークヴァルトの姉・アデライーデに会った時のことを思い出す。その時、一緒にいた騎士の中に、この大柄なヨハンがいたような気がする。
「ご記憶頂けて光栄です! 確かにあの時わたしは、リーゼロッテ様の護衛の任をジークヴァルト様から受けておりました!」
「まあ、そうだったのですね。あの時は領地まで護衛してくださってありがとうございました。とても心強かったですわ。あの……とにかく、もうお立ちになって……?」
いつまでも礼を取られてはいては落ち着かない。エマニュエルにも促されて、ヨハンはようやく立ち上がった。
隣に立っているカークと並ぶと、なかなかの威圧感である。ふたりは顔立ちというより骨格がそっくりで、やはり血のつながりがあるのだと納得する。だが、無精ひげを生やしたカークと違って、ヨハンは貴族らしくござっぱりした清潔感ある出で立ちをしていた。
「エマの言うように、わたしは、いえ、カーク子爵家は、リーゼロッテ様に救っていただきました! 感謝しても、感謝しても、感謝しても、したりません!!」
前のめりに熱く言われて、リーゼロッテは引き気味になった。そこは淑女として顔には出さなかったが、戸惑いは隠せない。困ったように淑女の笑みを浮かべながら、リーゼロッテは可愛らしく小首をかしげた。
「ヨハン様……申し訳ありませんが、わたくしそのような大それたことをした覚えはありませんわ」
「いいえ! カーク子爵家は長年フーゲンベルク家に仕えてきましたが、この不動のカークのせいで長い間一族郎党から疎まれておりました。しかし!! 何をやってもうんともすんとも反応しなかった我が先祖を、リーゼロッテ様はものの数秒で動かされ! しかも!! リーゼロッテ様の護衛という栄誉ある任まで与えてくださった!!! これを! これを! 感謝せずにどうせよとおっしゃるのですか!!!!!」
ドン引きしているリーゼロッテを置き去りにしたまま、ヨハンはぐいぐいにまくしたてた。実際に、公爵家の屋敷内をカークを連れて歩くリーゼロッテの効果は、ものすごいものがあったのだ。
ヨハンは幼少の頃から、カークの末裔と言う理由で、公爵家の家人たちから白い目で見られてきた。
とばっちりもいいところなのだが、いかんせんカークとヨハンは遠目に見た感じがそっくりすぎた。いかにヨハンが清潔そうな身なりをしていようとも、武骨で小汚く見える邪魔なカークと同等の扱いを、ヨハンは長い間うけ続けてきたのだ。
しかしここにきて、使用人たちのカークやヨハンを見る目が変わってきていた。リーゼロッテの護衛として働くカークを目にした使用人たちが、こぞってそれを褒めそやしているとの話も耳にする。
以前は生ごみをみるかのような視線を向けられたものだったが、今では尊敬交じりのものとなってきているのだから、ヨハンにしてみれば天地がひっくり返ったような心持ちである。
ヨハンは力ある者だが、その力量はエマニュエル以下だ。異形の者を視る能力も低いため、不動のカークの姿をぼんやりとしか認識できない。
しかしヨハンは、ソレが自分にそっくりだと長いこと異口同音に言われ続け、皆の認識の中では、ヨハン = 不動のカークとなっていたくらいだ。
好意を抱いている女性から軽蔑のまなざしで見られるのはこたえたし、何より大事な妹が陰で悪しざまに言われるのがたまらなく辛かった。不動のカークは先祖であるから、それでも耐えがたきを耐え、ヨハンは甘んじてそれをうけいれてきたのだが。
数百年続く呪縛からカーク子爵家を、リーゼロッテは瞬く間に解放してしまった。
リーゼロッテは地上に舞い降りた女神に違いない。眩いほどの清廉な気を纏う姿は、ヨハンの目には神々しくさえ映っていた。
「それはたまたまカークがわたくしの言うことを聞き入れてくれて……。護衛につけとおっしゃったのはジークヴァルト様ですし、それに、カークに護衛してもらって、わたくしもとても助かっておりますから……」
「おおお、なんというおやさしいお言葉! このヨハン、ジークヴァルト様とリーゼロッテ様への恩義は、一生! 決して! 忘れはいたしません!!」
「ヨハン様、そのようにまくし立てては、リーゼロッテ様がお困りになられます。それにここで油を売っていては、リーゼロッテ様のお帰りを首を長くしてお待ちになっているジークヴァルト様に申し訳が立ちませんわ」
「はっ! わたしとしたことが! リーゼロッテ様にひとこと感謝を伝えたかっただけで、悪気があった訳では……!」
「わかりましたから、そろそろ出発しましょう」
呆れたようにヨハンを一瞥し、エマニュエルはリーゼロッテを馬車の中へと促した。
アンネマリーに見送られながら、クラッセン家のエントランスを出たリーゼロッテは、馬車の停まる場所へと移動した。
控えの部屋で待っていたエマニュエルと途中で合流したが、泣いた後の顔はごまかされなかったようだ。周囲の目もあり、すぐに問いただされることはなかったが、後である程度は事情を話さなければならないだろう。
馬車の前に数人の人影が見え、着ている服装から公爵家の護衛たちだと分かる。冷やしたとはいえ、泣きはらした顔を見られたくないと、リーゼロッテは不自然に見えないようにそっと視線をそらそうとした。
しかし、大柄な人物が二名並んでいるのが視界に入り、リーゼロッテはそのふたりを思わず二度見した。
(か、カークがふたりいる……!)
リーゼロッテの姿を認めると、並ぶカークのうち、ひとりが跪いて騎士の礼を取った。もうひとりはそのまま静かに立っている。
近づいてよくよく見ると、騎士の礼を取ったカークは公爵家の護衛服を着ており、立ったままのカークは古びた鎧を身に着けたひげ面のいつものカークだった。
「リーゼロッテ様、こちらは公爵家の護衛騎士をされているヨハン・カーク様です」
ふたりを交互に見つめて目を白黒させているリーゼロッテに、跪く護衛服のカークの横に立ったエマニュエルが声をかけた。
「ヨハン……カーク……さま?」
「はい!リーゼロッテ様! ヨハンと申します! いずれ子爵家を継ぐ身ではありますが、この命に代えてもリーゼロッテ様にお仕えする所存です!」
ヨハンは巨体を地面にめり込ませそうな勢いで、さらに深い騎士の礼を取った。
「ヨハン様は、カーク子爵家の跡継ぎでいらっしゃいます」
すまし顔で言うエマニュエルは、どこか含んだ笑いを見せた。
「え?カーク子爵? ……もしかして、ヨハン様はカークの……」
「はい! そこの異形、不動のカークは、わたしの先祖であります!」
代々、公爵家の傍系として名を連ねてきたカーク家は、邪魔物扱いされている不動のカークの存在のせいで、昔から周りの者に軽んじられてきた。自分だけなら我慢も効くが、大事な家族がそのせいで辛い目に合うのは、ヨハンには耐えがたいことだった。
ヨハンには年の離れた妹がいる。あと数年で社交界デビューをする可愛い妹は、そんな状況では良い縁談を望めるとは思えない。カーク家の宿命だと半ば諦めていたヨハンだったが、リーゼロッテが公爵家にやってきてから、状況が一変したのだ。
「あの……ヨハン様、お顔を上げてくださいませ。わたくしにそのように礼を取る必要はありませんわ」
リーゼロッテは伯爵令嬢でヨハンは子爵家の人間なので、貴族階級的にヨハンが下である。礼を取るのはおかしくはない。だが、今ヨハンがとっているのは、王族に対して示すような騎士の中でも最大級の礼を尽くすものだった。
「とんでもありません! わたしはジークヴァルト様とリーゼロッテ様に、生涯、命を懸けてお仕えすると誓ったのです!」
本当に命を捧げそうな勢いに、リーゼロッテは困惑した。公爵家当主であるジークヴァルトならともかく、まだ婚約者の身の自分にそこまでする意味が分からない。
「ヨハン様はリーゼロッテ様に感謝されているのですよ」
「感謝とおっしゃられましても、わたくしヨハン様にお会いするのは初めてで……いえ、そういえば王城からダーミッシュ領に戻るときに、もしかしたらヨハン様はいらっしゃった……?」
王城の馬車留めで、初めてジークヴァルトの姉・アデライーデに会った時のことを思い出す。その時、一緒にいた騎士の中に、この大柄なヨハンがいたような気がする。
「ご記憶頂けて光栄です! 確かにあの時わたしは、リーゼロッテ様の護衛の任をジークヴァルト様から受けておりました!」
「まあ、そうだったのですね。あの時は領地まで護衛してくださってありがとうございました。とても心強かったですわ。あの……とにかく、もうお立ちになって……?」
いつまでも礼を取られてはいては落ち着かない。エマニュエルにも促されて、ヨハンはようやく立ち上がった。
隣に立っているカークと並ぶと、なかなかの威圧感である。ふたりは顔立ちというより骨格がそっくりで、やはり血のつながりがあるのだと納得する。だが、無精ひげを生やしたカークと違って、ヨハンは貴族らしくござっぱりした清潔感ある出で立ちをしていた。
「エマの言うように、わたしは、いえ、カーク子爵家は、リーゼロッテ様に救っていただきました! 感謝しても、感謝しても、感謝しても、したりません!!」
前のめりに熱く言われて、リーゼロッテは引き気味になった。そこは淑女として顔には出さなかったが、戸惑いは隠せない。困ったように淑女の笑みを浮かべながら、リーゼロッテは可愛らしく小首をかしげた。
「ヨハン様……申し訳ありませんが、わたくしそのような大それたことをした覚えはありませんわ」
「いいえ! カーク子爵家は長年フーゲンベルク家に仕えてきましたが、この不動のカークのせいで長い間一族郎党から疎まれておりました。しかし!! 何をやってもうんともすんとも反応しなかった我が先祖を、リーゼロッテ様はものの数秒で動かされ! しかも!! リーゼロッテ様の護衛という栄誉ある任まで与えてくださった!!! これを! これを! 感謝せずにどうせよとおっしゃるのですか!!!!!」
ドン引きしているリーゼロッテを置き去りにしたまま、ヨハンはぐいぐいにまくしたてた。実際に、公爵家の屋敷内をカークを連れて歩くリーゼロッテの効果は、ものすごいものがあったのだ。
ヨハンは幼少の頃から、カークの末裔と言う理由で、公爵家の家人たちから白い目で見られてきた。
とばっちりもいいところなのだが、いかんせんカークとヨハンは遠目に見た感じがそっくりすぎた。いかにヨハンが清潔そうな身なりをしていようとも、武骨で小汚く見える邪魔なカークと同等の扱いを、ヨハンは長い間うけ続けてきたのだ。
しかしここにきて、使用人たちのカークやヨハンを見る目が変わってきていた。リーゼロッテの護衛として働くカークを目にした使用人たちが、こぞってそれを褒めそやしているとの話も耳にする。
以前は生ごみをみるかのような視線を向けられたものだったが、今では尊敬交じりのものとなってきているのだから、ヨハンにしてみれば天地がひっくり返ったような心持ちである。
ヨハンは力ある者だが、その力量はエマニュエル以下だ。異形の者を視る能力も低いため、不動のカークの姿をぼんやりとしか認識できない。
しかしヨハンは、ソレが自分にそっくりだと長いこと異口同音に言われ続け、皆の認識の中では、ヨハン = 不動のカークとなっていたくらいだ。
好意を抱いている女性から軽蔑のまなざしで見られるのはこたえたし、何より大事な妹が陰で悪しざまに言われるのがたまらなく辛かった。不動のカークは先祖であるから、それでも耐えがたきを耐え、ヨハンは甘んじてそれをうけいれてきたのだが。
数百年続く呪縛からカーク子爵家を、リーゼロッテは瞬く間に解放してしまった。
リーゼロッテは地上に舞い降りた女神に違いない。眩いほどの清廉な気を纏う姿は、ヨハンの目には神々しくさえ映っていた。
「それはたまたまカークがわたくしの言うことを聞き入れてくれて……。護衛につけとおっしゃったのはジークヴァルト様ですし、それに、カークに護衛してもらって、わたくしもとても助かっておりますから……」
「おおお、なんというおやさしいお言葉! このヨハン、ジークヴァルト様とリーゼロッテ様への恩義は、一生! 決して! 忘れはいたしません!!」
「ヨハン様、そのようにまくし立てては、リーゼロッテ様がお困りになられます。それにここで油を売っていては、リーゼロッテ様のお帰りを首を長くしてお待ちになっているジークヴァルト様に申し訳が立ちませんわ」
「はっ! わたしとしたことが! リーゼロッテ様にひとこと感謝を伝えたかっただけで、悪気があった訳では……!」
「わかりましたから、そろそろ出発しましょう」
呆れたようにヨハンを一瞥し、エマニュエルはリーゼロッテを馬車の中へと促した。
0
※小説家になろうグループムーンライトノベルズにて【R18】ふたつ名の令嬢と龍の託宣 不定期投稿中☆
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
お気に入りに追加
272
あなたにおすすめの小説

【完結】もう無理して私に笑いかけなくてもいいですよ?
冬馬亮
恋愛
公爵令嬢のエリーゼは、遅れて出席した夜会で、婚約者のオズワルドがエリーゼへの不満を口にするのを偶然耳にする。
オズワルドを愛していたエリーゼはひどくショックを受けるが、悩んだ末に婚約解消を決意する。
だが、喜んで受け入れると思っていたオズワルドが、なぜか婚約解消を拒否。関係の再構築を提案する。
その後、プレゼント攻撃や突撃訪問の日々が始まるが、オズワルドは別の令嬢をそばに置くようになり・・・
「彼女は友人の妹で、なんとも思ってない。オレが好きなのはエリーゼだ」
「私みたいな女に無理して笑いかけるのも限界だって夜会で愚痴をこぼしてたじゃないですか。よかったですね、これでもう、無理して私に笑いかけなくてよくなりましたよ」
拝啓、許婚様。私は貴方のことが大嫌いでした
結城芙由奈@コミカライズ発売中
恋愛
【ある日僕の元に許婚から恋文ではなく、婚約破棄の手紙が届けられた】
僕には子供の頃から決められている許婚がいた。けれどお互い特に相手のことが好きと言うわけでもなく、月に2度の『デート』と言う名目の顔合わせをするだけの間柄だった。そんなある日僕の元に許婚から手紙が届いた。そこに記されていた内容は婚約破棄を告げる内容だった。あまりにも理不尽な内容に不服を抱いた僕は、逆に彼女を遣り込める計画を立てて許婚の元へ向かった――。
※他サイトでも投稿中

【完結】愛してるなんて言うから
空原海
恋愛
「メアリー、俺はこの婚約を破棄したい」
婚約が決まって、三年が経とうかという頃に切り出された婚約破棄。
婚約の理由は、アラン様のお父様とわたしのお母様が、昔恋人同士だったから。
――なんだそれ。ふざけてんのか。
わたし達は婚約解消を前提とした婚約を、互いに了承し合った。
第1部が恋物語。
第2部は裏事情の暴露大会。親世代の愛憎確執バトル、スタートッ!
※ 一話のみ挿絵があります。サブタイトルに(※挿絵あり)と表記しております。
苦手な方、ごめんなさい。挿絵の箇所は、するーっと流してくださると幸いです。

【完】夫から冷遇される伯爵夫人でしたが、身分を隠して踊り子として夜働いていたら、その夫に見初められました。
112
恋愛
伯爵家同士の結婚、申し分ない筈だった。
エッジワーズ家の娘、エリシアは踊り子の娘だったが為に嫁ぎ先の夫に冷遇され、虐げられ、屋敷を追い出される。
庭の片隅、掘っ立て小屋で生活していたエリシアは、街で祝祭が開かれることを耳にする。どうせ誰からも顧みられないからと、こっそり抜け出して街へ向かう。すると街の中心部で民衆が音楽に合わせて踊っていた。その輪の中にエリシアも入り一緒になって踊っていると──

【完結済】隣国でひっそりと子育てしている私のことを、執着心むき出しの初恋が追いかけてきます
鳴宮野々花@書籍2冊発売中
恋愛
一夜の過ちだなんて思いたくない。私にとって彼とのあの夜は、人生で唯一の、最良の思い出なのだから。彼のおかげで、この子に会えた────
私、この子と生きていきますっ!!
シアーズ男爵家の末娘ティナレインは、男爵が隣国出身のメイドに手をつけてできた娘だった。ティナレインは隣国の一部の者が持つ魔力(治癒術)を微力ながら持っており、そのため男爵夫人に一層疎まれ、男爵家後継ぎの兄と、世渡り上手で気の強い姉の下で、影薄く過ごしていた。
幼いティナレインは、優しい侯爵家の子息セシルと親しくなっていくが、息子がティナレインに入れ込みすぎていることを嫌う侯爵夫人は、シアーズ男爵夫人に苦言を呈す。侯爵夫人の機嫌を損ねることが怖い義母から強く叱られ、ティナレインはセシルとの接触を禁止されてしまう。
時を経て、貴族学園で再会する二人。忘れられなかったティナへの想いが燃え上がるセシルは猛アタックするが、ティナは自分の想いを封じ込めるように、セシルを避ける。
やがてティナレインは、とある商会の成金経営者と婚約させられることとなり、学園を中退。想い合いながらも会うことすら叶わなくなった二人だが、ある夜偶然の再会を果たす。
それから数ヶ月。結婚を目前に控えたティナレインは、隣国へと逃げる決意をした。自分のお腹に宿っていることに気付いた、大切な我が子を守るために。
けれど、名を偽り可愛い我が子の子育てをしながら懸命に生きていたティナレインと、彼女を諦めきれないセシルは、ある日運命的な再会を果たし────
生まれ育った屋敷で冷遇され続けた挙げ句、最低な成金ジジイと結婚させられそうになったヒロインが、我が子を守るために全てを捨てて新しい人生を切り拓いていこうと奮闘する物語です。
※いつもの完全オリジナルファンタジー世界の物語です。全てがファンタジーです。
※この作品は小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。

なにをおっしゃいますやら
基本二度寝
恋愛
本日、五年通った学び舎を卒業する。
エリクシア侯爵令嬢は、己をエスコートする男を見上げた。
微笑んで見せれば、男は目線を逸らす。
エブリシアは苦笑した。
今日までなのだから。
今日、エブリシアは婚約解消する事が決まっているのだから。

愛する貴方の心から消えた私は…
矢野りと
恋愛
愛する夫が事故に巻き込まれ隣国で行方不明となったのは一年以上前のこと。
周りが諦めの言葉を口にしても、私は決して諦めなかった。
…彼は絶対に生きている。
そう信じて待ち続けていると、願いが天に通じたのか奇跡的に彼は戻って来た。
だが彼は妻である私のことを忘れてしまっていた。
「すまない、君を愛せない」
そう言った彼の目からは私に対する愛情はなくなっていて…。
*設定はゆるいです。

その眼差しは凍てつく刃*冷たい婚約者にウンザリしてます*
音爽(ネソウ)
恋愛
義妹に優しく、婚約者の令嬢には極寒対応。
塩対応より下があるなんて……。
この婚約は間違っている?
*2021年7月完結
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる