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第1章 ふたつ名の令嬢と龍の託宣
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ジークハルトの言うことを鵜呑みにしていいものか、ジークヴァルトは心の中で迷っていた。
だが、自身もリーゼロッテの力の片鱗を垣間見た。現状では埒が明かない以上、やってみるしかないのはわかっている。今までの自分だったら、ためらいもしなかっただろう。可能性が僅かでもあるのなら、なぜ試してみないのだと。
しかし、今、リーゼロッテを包む自分の力を解くことに、躊躇している自分がいた。無防備な体を、異形の前に晒すくらいなら、ずっと自分で囲っておきたい。
そう思っている自分に戸惑いを覚えた。
「ジークヴァルト」
ハインリヒに声をけられ、ジークヴァルトははっと我に返る。
「ハインリヒ、お前は俺の背後に回れ。玉座の間は王の結界で護られているようだが、何が起きるかわからない」
務めて冷静に、ジークヴァルトは言った。
「彼女はどうしたのだ?」
ハインリヒは、ジークヴァルトと背中合わせに座ると、少し振り向いてリーゼロッテを心配そうに見やった。
「ダーミッシュ嬢の力は、眠りと共に解放される。今まではオレの力と反発しあって内にこもっていたらしい」
そう言うと、ジークヴァルトは覚悟を決め、リーゼロッテを包む己の力を振りほどいた。
その瞬間、周辺に集まる異形たちが大きく反応した。玉座の間が激しく揺れる。
リーゼロッテはジークヴァルトの腕の中で、身じろぎもせず眠っていた。人形のように白い顔で、呼吸をしているのか思わず確かめたくなるほどに、静謐に眠りについている。
ほどなくして、その小さな体から陽炎のような緑のゆらめきが立ち上がった。
ジークヴァルトとハインリヒは、その押しつぶされそうな重い“気”に、ぐっと顔をしかめた。
「なんなのだ、これは」
ハインリヒがうめくように言った。
仄明るい緑の力がリーゼロッテを中心に広がり、玉座の間を満たしていく。部屋中の空気がピンと張りつめて、息苦しいほどだった。
(これが、ラウエンシュタインの力なのか――)
その光の円は、玉座の間の外へも広がっていき、群がり叫び続ける異形たちをも静かに飲み込んでいった。
だが、自身もリーゼロッテの力の片鱗を垣間見た。現状では埒が明かない以上、やってみるしかないのはわかっている。今までの自分だったら、ためらいもしなかっただろう。可能性が僅かでもあるのなら、なぜ試してみないのだと。
しかし、今、リーゼロッテを包む自分の力を解くことに、躊躇している自分がいた。無防備な体を、異形の前に晒すくらいなら、ずっと自分で囲っておきたい。
そう思っている自分に戸惑いを覚えた。
「ジークヴァルト」
ハインリヒに声をけられ、ジークヴァルトははっと我に返る。
「ハインリヒ、お前は俺の背後に回れ。玉座の間は王の結界で護られているようだが、何が起きるかわからない」
務めて冷静に、ジークヴァルトは言った。
「彼女はどうしたのだ?」
ハインリヒは、ジークヴァルトと背中合わせに座ると、少し振り向いてリーゼロッテを心配そうに見やった。
「ダーミッシュ嬢の力は、眠りと共に解放される。今まではオレの力と反発しあって内にこもっていたらしい」
そう言うと、ジークヴァルトは覚悟を決め、リーゼロッテを包む己の力を振りほどいた。
その瞬間、周辺に集まる異形たちが大きく反応した。玉座の間が激しく揺れる。
リーゼロッテはジークヴァルトの腕の中で、身じろぎもせず眠っていた。人形のように白い顔で、呼吸をしているのか思わず確かめたくなるほどに、静謐に眠りについている。
ほどなくして、その小さな体から陽炎のような緑のゆらめきが立ち上がった。
ジークヴァルトとハインリヒは、その押しつぶされそうな重い“気”に、ぐっと顔をしかめた。
「なんなのだ、これは」
ハインリヒがうめくように言った。
仄明るい緑の力がリーゼロッテを中心に広がり、玉座の間を満たしていく。部屋中の空気がピンと張りつめて、息苦しいほどだった。
(これが、ラウエンシュタインの力なのか――)
その光の円は、玉座の間の外へも広がっていき、群がり叫び続ける異形たちをも静かに飲み込んでいった。
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※小説家になろうグループムーンライトノベルズにて【R18】ふたつ名の令嬢と龍の託宣 不定期投稿中☆
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
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