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第1章 ふたつ名の令嬢と龍の託宣
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「うは、ジークヴァルト様、女性に興味ないふりして攻めますね」
見ていて飽きないふたりを前に、カイは王妃がこれを聞いたら悔しがりそうだと、そんなことを考えていた。が、時計を見ていきなり大きな声を上げる。
「ああー!! ハインリヒ様、そろそろ公務に出発しないとまずい時間ですよ! 今回は可愛い令嬢が集まる会ですからね。レディーたちを待たせるなんて言語道断です!」
イヤそうな顔のハインリヒの背中を押して、そのままカイは扉に向かった。
「じゃ、リーゼロッテ嬢、がんばって」
しゅたっと片手をあげて、カイはハインリヒと一緒に部屋を出て行ってしまった。
(何をがんばれと言うのですか、カイ様)
ふたりを見送った後、リーゼロッテはジークヴァルトを振り返った。
「ダーミッシュ嬢。今からオレの前で眠るのと、泣かされるのと、どちらがいい?」
無表情のジークヴァルトに突然聞かれる。
「な、何ですの、その二択は? ……わたくし、どちらもいやですわ」
少しずつジークヴァルトの人となりが分かってきたような気がしていたが、この突拍子のなさは、やはり自分では手に負えそうもない。リーゼロッテはそう思うと、じり、と後退さろうとした。
「なら、泣くのはまた今度でいい。今は眠ってもらおうか、ダーミッシュ嬢」
ジークヴァルトは魔王の笑みを浮かべて、リーゼロッテの手を取った。話の展開についていけない。
「おっしゃっている意味がわかりませんわ」
じりじりと迫られて、リーゼロッテは助けを求めるように周りを見渡した。あぐらをかいたままそこに浮かんでいるジークハルトと目が合う。
「ジークハルト様」
リーゼロッテが乞う様に言うと、『リーゼロッテが眠るなら、オレはどっか行ってるけど』と、ジークハルトは助け舟どころか、そんなことを言ってきた。
「いてくださらないと困ります! ハルト様は守護者なのですから、ジークヴァルト様のおそばを離れてはいけませんわ。それに、そもそもわたくし、眠りませんし、人前でなど、寝られません!」
「夕べはオレの前で寝ただろう」
「あれは、ヴァルト様の手が気持ち良すぎて!」
リーゼロッテは咄嗟にそう返してしまい、我に返って顔を真っ赤にした。
「と、とにかく、なぜ、今眠らなくてはならないのか、全くもって意味が分かりませんわ!ですからわたくし、絶対に眠りません!」
「いいから眠れ。オレの手でまた気持ちよくしてやる」
手をわきわきして近づくジークヴァルトに、リーゼロッテは恥ずかしさのあまり思わず叫んだ。
「変な言い方、なさらないでくださいませ! 頭をなでていただけではありませんか!」
そのとき、応接室のドアがバン! と開かれた。
「ジークヴァルト様! 王城が! 王城が、大変なことになってます!!」
出て行ったはずのカイが、息を切らしてそこに立っていた。
「カ、カイ様!?」
扉を開け放ったカイの背後に、みっしりと異形がひしめいているのが見えた。リーゼロッテは恐怖のあまり、反射的にジークヴァルトの懐に飛び込んだ。
王城を舞台に、前代未聞の騒ぎが、今、始まろうとしていた。
【次回予告】
はーい、わたしリーゼロッテ。集まってきた異形の者にわたしたちは王城内を右往左往! 一時避難をしたものの異形の数は増えていくばかり!! え? コレってわたしのせいですか~!? そんなとき解決方法を教えてくれたのは意外な人物で……?
次回、第13話「死者の行進」 あわれなわたしに、チート、プリーズ!!
見ていて飽きないふたりを前に、カイは王妃がこれを聞いたら悔しがりそうだと、そんなことを考えていた。が、時計を見ていきなり大きな声を上げる。
「ああー!! ハインリヒ様、そろそろ公務に出発しないとまずい時間ですよ! 今回は可愛い令嬢が集まる会ですからね。レディーたちを待たせるなんて言語道断です!」
イヤそうな顔のハインリヒの背中を押して、そのままカイは扉に向かった。
「じゃ、リーゼロッテ嬢、がんばって」
しゅたっと片手をあげて、カイはハインリヒと一緒に部屋を出て行ってしまった。
(何をがんばれと言うのですか、カイ様)
ふたりを見送った後、リーゼロッテはジークヴァルトを振り返った。
「ダーミッシュ嬢。今からオレの前で眠るのと、泣かされるのと、どちらがいい?」
無表情のジークヴァルトに突然聞かれる。
「な、何ですの、その二択は? ……わたくし、どちらもいやですわ」
少しずつジークヴァルトの人となりが分かってきたような気がしていたが、この突拍子のなさは、やはり自分では手に負えそうもない。リーゼロッテはそう思うと、じり、と後退さろうとした。
「なら、泣くのはまた今度でいい。今は眠ってもらおうか、ダーミッシュ嬢」
ジークヴァルトは魔王の笑みを浮かべて、リーゼロッテの手を取った。話の展開についていけない。
「おっしゃっている意味がわかりませんわ」
じりじりと迫られて、リーゼロッテは助けを求めるように周りを見渡した。あぐらをかいたままそこに浮かんでいるジークハルトと目が合う。
「ジークハルト様」
リーゼロッテが乞う様に言うと、『リーゼロッテが眠るなら、オレはどっか行ってるけど』と、ジークハルトは助け舟どころか、そんなことを言ってきた。
「いてくださらないと困ります! ハルト様は守護者なのですから、ジークヴァルト様のおそばを離れてはいけませんわ。それに、そもそもわたくし、眠りませんし、人前でなど、寝られません!」
「夕べはオレの前で寝ただろう」
「あれは、ヴァルト様の手が気持ち良すぎて!」
リーゼロッテは咄嗟にそう返してしまい、我に返って顔を真っ赤にした。
「と、とにかく、なぜ、今眠らなくてはならないのか、全くもって意味が分かりませんわ!ですからわたくし、絶対に眠りません!」
「いいから眠れ。オレの手でまた気持ちよくしてやる」
手をわきわきして近づくジークヴァルトに、リーゼロッテは恥ずかしさのあまり思わず叫んだ。
「変な言い方、なさらないでくださいませ! 頭をなでていただけではありませんか!」
そのとき、応接室のドアがバン! と開かれた。
「ジークヴァルト様! 王城が! 王城が、大変なことになってます!!」
出て行ったはずのカイが、息を切らしてそこに立っていた。
「カ、カイ様!?」
扉を開け放ったカイの背後に、みっしりと異形がひしめいているのが見えた。リーゼロッテは恐怖のあまり、反射的にジークヴァルトの懐に飛び込んだ。
王城を舞台に、前代未聞の騒ぎが、今、始まろうとしていた。
【次回予告】
はーい、わたしリーゼロッテ。集まってきた異形の者にわたしたちは王城内を右往左往! 一時避難をしたものの異形の数は増えていくばかり!! え? コレってわたしのせいですか~!? そんなとき解決方法を教えてくれたのは意外な人物で……?
次回、第13話「死者の行進」 あわれなわたしに、チート、プリーズ!!
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※小説家になろうグループムーンライトノベルズにて【R18】ふたつ名の令嬢と龍の託宣 不定期投稿中☆
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
※アルファポリス版は第1部令嬢編として一度完結としましたが、ムーンでは第6章を継続投稿中です。
こちらはR18ですので、18歳以上(高校生不可)の方のみ閲覧できます。
第6章 嘘つきな騎士と破られた託宣 スタートました♡
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