【R18】恋を知らない聖剣の乙女は勇者の口づけに甘くほどける。

古堂 素央

文字の大きさ
19 / 65

第19話 寸止め*

しおりを挟む
「ぁんっ、や、ゆうしゃ、それ、やあんっ」

 大きな手に余るほどのアメリの胸が、ロランによって自由自在に形を変えていく。
 見慣れた自分の胸のはずなのに、ロランの手が加わっただけでこんなにもいやらしく見えるものなのか。

「右と左はどちらが感じるんだ?」
「だからぁ、そんなこと聞かないでくださいっ」
「仕方ないな。まぁ、俺の傷の具合を見れば分かることだ」

 だったら始めから聞かないでほしい。
 そんなアメリの抗議も、喘ぐ呼吸に飲み込まれてしまう。

「ふっふぁ、あ、ぁあん」

 つままれ、弾かれ、転がされ。ロランの愛撫がもどかしすぎる。
 これはいつまで続けられるのだろうか。
 腫れた腕を見やっても、それほど治癒が進んでいるようには思えなかった。

「ど、して……?」

 前回は訳も分からないまま、あっという間に快楽を上り詰めていった。ロランへの癒しも一瞬だったはずだ。
 それが今はただひたすらもどかしい。
 気持ちいいとは思うのだが何か決め手に欠けている。籠るばかりの熱に、アメリもどうしていいのか分からなかった。

「やはり胸だけでは難しいか……」

 乳首をいじり続けながら、独り言のようにロランがつぶやいた。
 耳に熱い吐息を落とし、次はアメリに問いかけてくる。

「どうする? このままでは治癒に時間がかかる」
「じゃあどうすれば……?」
「下に触れてもいいか?」

 頬に熱が集まるを感じたが、このもどかしさをどうにかしてほしい。
 恥ずかしさよりもその思いが勝って、瞳に涙を浮かべながらも頷いてアメリは了承を示した。

「少しずつでも回復はしている。嫌だったら今のまま続けても構わないんだぞ?」
「いいえ、下も……お願いします」

 その方がロランの怪我の治りも早まるはずだ。
 何よりあの日覚えた快感を、アメリの体がほっしてしまっている。

「分かった。君はそのまま力を抜いててくれ」

 アメリはすでにふにゃふにゃだ。ロランの胸板に背を預け、再び小さく頷き返した。
 それでも下着に指がかけられると、アメリの体が強張った。

「大丈夫だ、奥に指を入れたりしない。優しく触る」

 奥の意味がよく分からなかったが、ロランを信じてアメリは力を抜こうとなんとか務めようとした。

「ん……」
「すごいな。触ってもいないのに、もうこんなにぐしょぐしょだ」

 ロランが感嘆したように言う。

「だっ、だからそ、ゆこと、言わないでっ」
「ふっ、言葉にされると君はより感じるようだ」

 怪我をした方の腕を見やり、ロランは意地悪く笑って見せた。
 確かにさっきより傷が一気に回復している。
 悔しいのに、アメリは言い返すことができなかった。

「ここが気持ちいいだろう?」
「あっ」

 どこか一か所をやさしくとんとんと叩かれて、アメリの腰がびくりとはねた。
 あふれ出す蜜を絡めながら、ロランの指が同じ個所を執拗になぞってくる。

「ふ……ぁ、や、あぁんっ」
「突起がどんどん膨らんでいるぞ。うねるように俺の指を押し返してくる」
「だ、だから、そんなこといちいち説明しないでったらぁ」

 ロランはアメリの耳を食みながら、乳首をつまみ上げ巧みに下も刺激してくる。
 どこをどうされているのかも分からなくってきて、アメリは与えられる快感にどんどんのめり込んでいった。

「あっ、あっ、あっ……ふぁっ、あっ! なんっか、きちゃ……」

 快楽の波が一気に高まった。
 初めてロランを癒した日と同様に、アメリの意識が真っ白い何かに飲み込まれていく。
 あと少し。
 その至福が弾ける寸前で、突然すべての刺激がなくなってしまった。
 不完全燃焼の状態の中、ぺちぺちとアメリは軽く頬を叩かれた。

「大丈夫か? 聖剣の乙女」
「……ゆうしゃ?」

 混乱したままロランを見上げた。

「ああ、もう十分だ」

 アメリはまったく十分じゃない。
 あと少しだったのに。そんな思いが、火照った体の奥でどうしようもなくくすぶっていた。
 抱き起こされて、気づくと乱れた衣服をロランに整えられている。

「あ……えっと……」
「ゆっくりでいい。起きられるようになったら部屋まで送る」

 ようやく状況を思い出し、アメリはロランの傷が完全に癒されたのだと理解した。

「明日の出発は正午に遅らせる。それまで君はゆっくり休んでくれ」
「でも……」
「大丈夫だ。理由は俺の体調のせいにしておく」

 涙に濡れたままのアメリの頬を、ロランの指がやさしくなぞってくる。

「今日は無理をさせて悪かった」
「慣れてないだけで、別に無理はしていません」
「それを無理と言うんだろう」

 視線を逸らすと同時に、大きな手も離される。
 後悔が残るその顔を、アメリはぼんやりと見つめていた。
 やはりロランはできればアメリに触れたくないのかもしれない。分かっていたはずなのに、それを悲しく思う自分がひどくみじめだった。

「怪我をしないように、これからはもっと気をつける」
「……ありがとうございます。でも」

 ロランの聖剣の乙女として、これだけは言っておかなくては。
 アメリはそう自分を奮い立たせた。

「怪我をしたときは絶対に隠さないでください」
「ああ、分かった。約束する」

 その返事にほっとした。

 またロランに触れてもらえる。
 そんなよこしまな思いに、アメリは気づかなかったふりをした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】退職を伝えたら、無愛想な上司に囲われました〜逃げられると思ったのが間違いでした〜

来栖れいな
恋愛
逃げたかったのは、 疲れきった日々と、叶うはずのない憧れ――のはずだった。 無愛想で冷静な上司・東條崇雅。 その背中に、ただ静かに憧れを抱きながら、 仕事の重圧と、自分の想いの行き場に限界を感じて、私は退職を申し出た。 けれど―― そこから、彼の態度は変わり始めた。 苦手な仕事から外され、 負担を減らされ、 静かに、けれど確実に囲い込まれていく私。 「辞めるのは認めない」 そんな言葉すらないのに、 無言の圧力と、不器用な優しさが、私を縛りつけていく。 これは愛? それともただの執着? じれじれと、甘く、不器用に。 二人の距離は、静かに、でも確かに近づいていく――。 無愛想な上司に、心ごと囲い込まれる、じれじれ溺愛・執着オフィスラブ。 ※この物語はフィクションです。 登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

ヤンデレ王子を闇落ちから救ったら愛執まみれの独占欲に囚われました

大江戸ウメコ
恋愛
幼い頃に精霊の祝福である未来視の力が開花し、「夫である第二王子ナハルドに殺される」という己の運命を知った伯爵令嬢ツィーラ。この悲惨な未来を変えるべく、ツィーラは彼を避けようとしたが、ひょんなことから婚約者に選ばれてしまった! ならば、ナハルドが将来闇落ちしないよう、側で彼を支えることを決意する。そんな努力の甲斐あって、ツィーラへの好意を隠さず伝えてくるほど、ナハルドとの関係は良好になった。だけど、彼の並々ならぬ執着心のすべてを、ツィーラはまだ知らなくて――

完結【強引な略奪婚】冷徹な次期帝は、婚姻間近の姫を夜ごと甘く溶かす

小木楓
恋愛
完結しました✨ タグ&あらすじ変更しました。 略奪された大納言家の香子を待っていたのは、冷徹な次期帝による「狂愛」という名の支配でした。 「泣け、香子。お前をこれほど乱せるのは、世界で私だけだ」 「お前はまだ誰のものでもないな? ならば、私のものだ」 大納言家の姫・香子には、心通わせる穏やかな婚約者がいた。 しかし、そのささやかな幸福は、冷徹と噂される次期帝・彰仁(あきひと)に見初められたことで一変する。 強引な勅命により略奪され、後宮という名の檻に閉じ込められた香子。 夜ごとの契りで身体を繋がれ、元婚約者への想いすら「不義」として塗り潰されていく。 恐怖に震える香子だったが、閉ざされた寝所で待っていたのは、想像を絶するほど重く、激しい寵愛で……? 「痛くはしない。……お前が私のことしか考えられなくなるまで、何度でも教え込もう」 逃げ場のない愛に心が絡め取られていく中、彰仁は香子を守るため、「ある残酷な嘘」を用いて彼女を試す。 それは、愛するがゆえに彼女を嫉妬と絶望で壊し、「帝なしでは息もできない」状態へ作り変えるための、狂気じみた遊戯だった。 「一生、私の腕の中で溺れていろ」 守るために壊し、愛するために縛る。 冷酷な仮面の下に隠された、 一途で異常な執着を知った時、香子の心もまた甘い猛毒に溶かされていく――。 ★最後は極上のハッピーエンドです。 ※AI画像を使用しています。

ヤンデレにデレてみた

果桃しろくろ
恋愛
母が、ヤンデレな義父と再婚した。 もれなく、ヤンデレな義弟がついてきた。

贖罪の花嫁はいつわりの婚姻に溺れる

マチバリ
恋愛
 貴族令嬢エステルは姉の婚約者を誘惑したという冤罪で修道院に行くことになっていたが、突然ある男の花嫁になり子供を産めと命令されてしまう。夫となる男は稀有な魔力と尊い血統を持ちながらも辺境の屋敷で孤独に暮らす魔法使いアンデリック。  数奇な運命で結婚する事になった二人が呪いをとくように幸せになる物語。 書籍化作業にあたり本編を非公開にしました。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

処理中です...